紙の本
巧みなストーリーテリング
2022/09/28 14:11
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカで高い評価を受けベストセラーになったのも納得の、巧みなストーリーテリングによって読ませる物語になっている。少しきれいに納め過ぎという感じもなくはないが、物語にどっぷりひたりたい人にはいいだろう。
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今年のベスト本が見つかった。先を早く読みたい、続きが気になる、でも読み進むのが惜しい、読み終わりたくない。そんな気にさせる作品に出会ったのは久しぶりのこと。
盲目の少女と孤児の少年の見る(見えない)世界のなんと豊饒なことか。現実のなんと苛酷なことか。
読み終えて、快い静かな興奮を楽しんでいる。
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One of the most beautiful story I've read in years.
Bye Marie-Laure, Bye Werner.
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本しかなかった。
ずっと読んでいる間中。
こんなに本の世界に夢中になって読んだの久しぶりで、だから幸せだった。
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長い旅をして帰ってきたような気持ちにさせてくれる一冊でした。直接的に描かれない情景まで読者が想像で楽しめるよう物語がいくつも紡がれていき大きなひとつの物語になっています。ゆっくりとした時間の中で物語を楽しみたい方にオススメです。
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物語の初めは,描かれている情景が想像しにくく,なかなか前に進みませんでした。
私は,幻の宝石,炎の海が出てくるあたりから,俄然面白くなりました。
少し速足で読んでしまったのがもったいなかったですが,
なぜ,ヴェルナーがマリー=ロールが海の中へ入れた家の模型を,彼女と別れた後持ち出したのか,炎の海をどうしたのか,など謎の部分が残ったがゆえに,いつまでも読後の余韻が消えない物語でした。
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冒頭、爆撃の描写。機内は滑空音とエンジン音で満たされているはずだが、現在形で綴られる描写は静かで美しい。音を遮断した映画のスクリーンを見ているようだ。
第2次世界大戦があった頃に、フランスに住む盲目の少女とドイツの炭鉱町に育った少年の運命が、ラジオを大きな軸に交錯する。少女の父親の深い愛情に何度涙を流しただろう、少年の運命に何度無力感を覚えただろう。現在形で綴られる描写と比喩の美しさは全編を通じており、戦争に方向づけられた運命に、読み手は心の震えを止められない。
素晴らしい小説でした。
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最初は時系列がわかりにくく、読みづらかったが、ヴェルナーとマリー=ロールが気になって、止められなくなってしまった。
描写が細かいところまで丁寧に描かれていて、じんわりと心にしみてくる。子どもだったヴェルナーが楽しみにしていたラジオの放送、マリー=ロールが海辺で遊ぶ様子。
一つだけ、なぜヴェルナーは模型の家を持ち出したのだろうか? それが気になって仕方がない。そして、鉄の鍵の意味は?
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電気技術などに天才的な才能を持ち、ナチスにその才能を買われたヴェルナーは孤児院で妹と暮らしていた。そこで、ヴェルナーは遠くフランスから聞こえてくるラジオで科学や工学を知った。
視力を失った少女マリー=ロールは、フランスで博物館の鍵の管理をしている叔父と暮らしていた。
遠く離れた大戦中は敵味方に分かれた二人が交互に描かれ、やがて敗北のナチスの戦場で二人は出会う。
出会いは、ヴェルナーが直した放送機器がきっかけであり、ヴェルナーが聞いていたラジオ放送は、マリー=ロールの大叔父だった。
奇跡のような出会いからマリー=ロールへの救い。そして、戦争の悲劇。
後年、ヴェルナーの妹とマリー=ロールの出会い、そして現代のマリー=ロールと描き続けられる。
ひたひたと押し寄せる感動と悲しみに、涙が止まりませんでした。
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新聞の書評に惹かれて読んだ本。簡単にいえば、マリー ロールという盲目の少女と、ヴェルナーという孤児院育ちの少年が、フランスとドイツで成長しやがて戦争に巻き込まれ、一瞬の出会いののち別れてしまう物語。だが出会うまでのなんて長いこと❗しかも出会いはほんの一日で、はっきり恋に落ちたかどうか定かではない。その後、ヴェルナーは戦死してしまうのが切ない。切ないといえばもう一人、ヴェルナーの士官学校の同期で、目の悪いフレデリック❗みんなからいじめのターゲットにされたあげく、廃人になってしまう。彼について書かれたところはあまりにひどすぎて胸が詰まる思いだ。
とても長い物語だが、ものすごく細かい章に別れていて、マリーロールとヴェルナーが交互に書かれているのがおもしろいと思った。
主人公たちの他にも、エティエンヌ、フォルクハイマー、ユッタなどの登場人物が個性豊かに描かれている。
「アウシュビッツの図書係」に続いて第二次世界大戦を舞台にした本をよんだが、戦争がいかに残酷なものであるか考えさせられる本だった。
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格調高い翻訳文学を久しぶりに味わいました。ヴェルナーとマリーロールの章が交互に現れ、二人の出会いへと上り詰める、静かな胸の高まりを感じました。出会いはほんの一瞬、でもそこまでに至る二人をじっくり見てきているから、素晴らしい時間だったのだと思えました。言葉をかわす二人の時間が永遠だったらどんなに良かったか、と思わずにいられません。こんな若い二人の生活、幸せを奪う戦争のむごさを改めて感じました。現代を描いた章もじつに印象的で、映画のラストシーンのように残りました。
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前半、恐ろしく読みにくかった 翻訳のまずさなのかな
ヴェルナーが軍に入隊したあたりから、ぐいぐい読めてきた ヴェルナーの友人で鳥好きのフレデリックの存在が良かった
マリーが疎開した叔父の家の手伝い人のマネック夫人がすごくいい人だったのが救われた
重厚な映画のような読み応えがあったが、前半の読みにくさで☆-1
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盲目のフランス人の少女マリー=ロールとドイツ人兵士のヴェルナー、遠く離れている二人を繋いだものはラジオだった。戦時下の話なので悲しい場面もあるし、嫌な人も出てくるけど、そんな中での日常のささやかな歓びや、人の優しさ、強さ、迷いを、静謐で、繊細、美しい筆致で描いていて、そこに伝説の宝石を巡るサスペンスも加わり、後半は先が気になって睡眠時間を削って読んでしまいました。長い時間をかけての二人の邂逅は一瞬で、だからこそ余計切なさがこみあげ、読み終えた後も余韻が残る。2016年に読んだ海外作品の中で一番好きな作品。
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ツイッターで、吉村萬壱先生がこの本を紹介していて、「こんなの書きたいぜ」とコメントしていたので、一体どんな本だろうと思って買ってみたのですが、疑う余地のない傑作でした。
1944年8月、ナチス・ドイツに占領されていたフランス、ブルターニュ地方のサン・マロという町にアメリカ軍が空爆を行います。
そのときこの町にいたフランス人の盲目の少女と、ナチスの若い兵士の物語で、少女と兵士の話が交互に語られます。
物語は時系列に沿って語られるのではなく、第0章では1944年8月7日、第1章では1934年、第2章では1944年8月8日、第3章では1940年6月 といった具合に、過去と現在を交互に行き来しながら1944年8月の焦点となるある時点を目指して物語がゆっくりと盛り上がりながら進行して行きます。
物語性と詩情を兼ね備え、厚い本なのですがラストに向かってぐいぐい引っ張っていく力のある本でした。
時間を割いて読む価値のある本だと思います。オススメです。
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この作品は間違いなく反戦を訴えていると思いました。少女と少年の奇跡的かつ束の間の出会いに心が揺さぶられるのですが、ナチの暴虐によって登場人物は一人またひとりとひっそりと表舞台から消えていく事実に胸が痛みました。物語の進行はどの場面も暗示的で緊張感に満ちています。久しぶりに充分な満足感に浸りました。