投稿元:
レビューを見る
人類の歩んできた道に悲観も楽観もせず、冷静に受け止めた上で、「私たちは何を望みたいか」を考える。
◯人類を統一する3つの要素:貨幣、帝国、宗教
→貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の制度
◯宗教:超人間的な秩序の信奉に基づく、人間の規範と価値観の制度
→物言えぬ自然との仲介役としての起源
◯歴史の選択は人間の利益のためになされるわけではない
◯人類の進歩=パイの拡大がないと信用は生まれない
◯市場に完全な自由を与えることの危険性
◯人類の無知を克服することで、まだまだ新たなエネルギー転換方法を生み出せるか?
◯生化学的特性から見たヒトの幸福=セロトニン、ドーパミン、オキシトシンの分泌
◯自然選択による進化から、知的設計の時代へ
投稿元:
レビューを見る
資本主義、消費主義のほころびが見え始めている現在、成長し続けなくとも幸福に暮らせる社会の仕組みづくりが重要なのだろう。
投稿元:
レビューを見る
上下巻なんとか読み終わった。
人類(サピエンス)の歴史、これからどこへ向かってくのかがまさに目から鱗。
読み落としてる所もかなりありそうなので、もう一回読まなきゃと思わせられるがいつ読めるかなぁ
投稿元:
レビューを見る
ものすごいボリュームでとても1度読んだだけでは消化しきれない。印象に残ったのは、私たちは壮大な虚構の中に生きているという見方。
投稿元:
レビューを見る
目から鱗の作品。上巻ほどの衝撃はないが、科学や資本主義がいかに人類を発展させたか新しい視点から解説している。
投稿元:
レビューを見る
全史と銘打つとおり実にさまざまな切り口からサピエンスの歴史が語られる。非常に面白い。そのなかでも、歴史が人類の幸福にどう影響したかという視点は重要な指摘に思われる。結論としては、大きな進歩を遂げたが別に人類は幸福になったとは言えず、またこれからどうなるかもわからない、といったところ。
著者の主張はあとがきの項によく要約される。『自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?』
投稿元:
レビューを見る
★SIST読書マラソン2017推薦図書★
★科学道100 / めくるめく失敗
【所在・貸出状況を見る】
http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11700189
投稿元:
レビューを見る
さまざまな意味で、示唆に富む本です。
歴史を、ある時代だけを切り取って見ていたのでは分からないことが、ホモ・サピエンスの通史として、全体を通すと見えてくるものがあります。
「歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ」
超お勧めの本です。
投稿元:
レビューを見る
人間社会における宗教の意義と役割、イデオロギーを宗教と同じものであるとする説明はおもしろい。
宗教は、貨幣や帝国と並んで人類を統一する要素のひとつで、超人間的な秩序の信奉に基づく人間の規範と価値観の制度と定義できる。超人間的な秩序の存在を主張することによって、それが人間の気まぐれな合意の産物ではなくなる。さらに、広大な領域を傘下に統一するためには、いつでもどこでも正しい普遍的な超人間的秩序を提供し、それをすべての人に広めることを求めなけれなならない。普遍的で宣教を行う宗教は、紀元前1000年紀に現れた。
動植物は、狩猟採集社会では霊的な円卓を囲む対等のメンバーだった。農業社会になると資産に格下げされたが、動物を確実に繁殖されることも、流行病の発生を防ぐこともできなかった。豊穣の女神や空の神、医術の神などは、人間と動植物の仲立ちをするために現れ、人間の動植物の支配権と引き換えに、神々への永遠の献身を約束するものだった。多神教は、世界が雨の神や軍神などの一団の強力な神々によって支配されていると考えた。やがて多神教の信者の一部は、自分の守護神が唯一の神で、宇宙の至高の神的存在であると信じ始めて、一神教が生まれた。その神は、関心を持ち、えこひいきすると考え続け、取引ができると信じ、病気から快復したり、戦争で勝ったりできるよう嘆願した。
イデオロギーは言葉の綾に過ぎない。共産主義は、プロレタリアートの必然的勝利で間もなく階級闘争の歴史は幕を閉じると予言する資本論が聖典や預言の書に類似しており、宗教と遜色ない。近代の信念のひとつである人間至上主義は、人間が独特で神聖な性質を持っており、他の動物や現象の性質と根本的に違うという信念で、3つに分けられる。自由主義は、人間性とは個々の人間の特性であり、個人の自由がこの上なく神聖であると信じるもので、各個人には自由で永遠の魂があるとするキリスト教の遺産。社会主義は、人間性は個人ではなく集合的なものと信じるもので、全人類の平等を求めるが、あらゆる魂は神の前に平等であるという一神教の焼き直しに過ぎない。進化論的な人間至上主義は、人類が不変で永遠のものではなく、進化も退化もしうる存在と信じるもので、ナチスが利用した。
近代科学とヨーロッパの帝国主義は、自らの無知を認め、外の世界に出て新たな発見をすることで世界を制するという願望を持って絆を結んだ。それ以前の帝国は、自分たちの世界観を利用して広めるために征服を行った。
投稿元:
レビューを見る
途中でちょっと違う本を読んだりして、ブランクがあったけど、資本主義の記述あたりから面白くなり、一気に読了。
上巻を大分忘れてしまったので再読予定。
人類は国対国の全面戦争は選ばなくなったというけれど、これが書かれているのは2014年。
イスラム国の記述もないし、トランプ氏もまだ大統領にはなっていない。そして、北朝鮮の動向もさほどニュースにはなっていなかったろう。
原爆の恐怖を世界に知らしめたという功績でオッペンハイマーとメンバー達にはノーベル平和賞を与えるべきだったというジョークがあったが、日本人には面白くない冗談。
どこまでご存じかわからないトランプ氏と北朝鮮。
原爆の悲惨さを伝えるべき日本の役割を改めて感じた。
興味深かったのは資本主義の原理と成長過程の記述。良く知らなかったので勉強になった。
果たしてポスト資本主義はあるのだろうか?
家畜の惨めな状況、科学の動向も気になる。
投稿元:
レビューを見る
現代の「聖書」というべきか。それぐらいホモ・サピエンスの起源、歴史、未来を深くえぐっている。
地球の平和度を見る段になって、いかに自分は認知的バイアスをかけて時代を見ていたか、愕然とする。(上)に感じたのと同じく、冷静な議論が次々と「当たり前」を覆す。
歴史学がホモ・サピエンスが幸福かどうかを吟味してこなかった指摘も鋭い。
著者の「あとがき」はあまりに核心を突いていて、言葉にならない。広い意味での「神が死んだ」時代の出発となる著作であった。
・普遍的で、宣教を行う宗教が現れ始めたのは、紀元前1000年紀だ。そのような宗教の出現は、歴史上屈指の重要な革命であり、普遍的な帝国や普遍的な通貨の出現とちょうど同じように、人類の統一に不可欠の貢献をした。
・天国と地獄の信仰は、旧約聖書には微塵も見られないし、そもそも旧約聖書は、人々の魂が肉体の死後も生き続けるなどとは、けっして主張していない。
・生物学科と法学科や政治学科とを隔てる壁を、わたしたちはあとどれほど維持することが出来るだろう。
・歴史はいわゆる「二次」のカオス系。それについての予想に反応する。
・物理学や経済学と違い、歴史は正確な予想をするための手段ではない。歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ。
・500年で人口は14倍、生産量は240倍、エネルギー消費量は115倍に増えた。
・進んで無知を認める意思があるため、近代科学は従来の知識の伝統のドレよりもダイナミックで、柔軟で、探求的になった。
・従来の伝統はたいてい、自らの説を物語の形で組み立てた。一方、近代科学は数学を使う。
・支配者は、既存の秩序を強化する目的で伝統的な知識を広めるのが使命の教育機関に出資した。
・今日の生物学者が、現代の人間に見られる生物学的差異はとるに足らないと説明するだけで人種差別をたやすく否定できるのに対して、歴史学者や人類学者が文化主義を否定するのは難しい。
・資本主義の第一の原則は、経済成長は至高の善であるということ。
・盛んな大西洋奴隷貿易は、暴君や人種差別的なイデオロギー信奉者ではなく、何の抑制も受けない市場原理が原因だった。
・奴隷貿易はどこの国家や政府によっても管理されていなかった。それは純粋な営利事業であり、需要と供給の法則に則って自由市場が運営し、出資していた。
・アフリカの農民やインドネシアの労働者が一日身を粉にして働いても、手にする食糧は500年前の祖先より少ない。
・ハーロウの研究。サルの赤ん坊たちはミルクを与えてくれる金属の母親ではなく、布の母親をはっきり選んだ。
・アメリカ人は毎年、世界の他の地域の飢えた人全員を養うのに必要とされる以上の金額をダイエット食品に費やす。
・2002年、世界では殺人よりも自殺する可能性の方が高かった。
・かつての戦争と違い、現代の富は、人的資源や技術���ノウハウ、あるいは銀行のような複合的な社会経済組織なので、奪い去ったり、自国の領土に併合したりするのが困難だ。
・幸福度。交通事故と宝くじに当たった二人を二年後に訪ねても幸福度は変わらない。
・歴史上のほとんどの出来事は、生化学的特性に何一つ影響してこなかった。
・ニーチェの言葉にあるとおり、あなたに生きる理由があるのならば、どのような生き方にもたいてい耐えられる。
投稿元:
レビューを見る
仏教の教えが身にしみる。悲しみや怒りを避けようとするのではなくあるがまま受け入れる。
そしてヒンドゥー教にますます興味。
幸福とは何か、考えさせられた。幸福って快が大きいことじゃないのかも。
責任という概念も人間の想像の産物のひとつなのかも。
投稿元:
レビューを見る
下巻は、キリスト教を中心とした一神教の勃興から大航海時代、産業革命と世界の覇権の手中に収める欧州を科学技術と資本主義から分析し、その鍵を好奇心と希望(信用)と説く。長い歴史を振り返っての人間の幸せとは何かを熟考、そこからの人類の未来の展望はとても考えさせられる示唆を含んでいて感動です。
投稿元:
レビューを見る
「認知革命」「農業革命」「世界の統一」というトピックの後、何故我々は歴史を学ぶ必要があるかという根本的な問いに対する答えが書いてある。
歴史は二次のカオスであり決定論的に予測は出来ない。歴史を学ぶのは未来を予測する為でなく視野を広げ必然的なものでなく想像しているよりもっと多くの可能性がある事を理解するものである(未来は自分で創る)。
科学革命の発端は知識の革命ではない。何より「無知の革命」である。近代以前の知識の伝統はこの世の事は全部知っていると思っていた(賢い人に聞けば良いという発想)。
科学は「観察」と「数学」の中心性から成り立つ。
近代の文明の発展19世紀の前半までのヨーロッパの発展は「帝国(政治)」「資本(経済)」「科学」のフィードバックループによる。古代の歴史の人は将来が現在より良くなると考えなかったが近代は進歩という考え方によって「将来の信頼」が生まれ投資(融資)という発想が生まれていった。
今現在サピエンスはどのような事を望み、テクノロジーが連れて行ってくれるか著者の予測が入ってきている
楽観的に見ようと悲観的に見ようと未来のテクノロジーの流れは止まられず、今では想像もつかない所に連れて行ってくれるだろう。
その時問われる問いは「何になりたいか」ではなく「何を望みたいか?」ではないだろうか?
投稿元:
レビューを見る
ホモ・サピエンスの歴史を様々な角度からまとめていて面白い。面白いけれど、私は「繁栄」の結論の方が好き。これは人としての好みの問題。