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銭湯を営む家のお話
夫は1年前に「パチンコに行く」と言って失踪、高校生の娘はどうやら学校で軽いいじめに遭っているよう
お母ちゃんはお母ちゃんで最近体調不良、そして一緒に住むことになった10歳の鮎子
血のつながらない家族ものに殊更弱いんだよなぁ…
特に、親に捨てられる系のがね
あと、いじめものとかもね
でもまぁ、これはそんな事とは関係なくよい話です
視点がコロコロ変わる
基本的に一つの章でお母ちゃん+もう一人、場合によってはプラスαといった感じ
じっくりと落ち着いて読めないのはマイナスかな
原作として映画が先なのか、小説が先なのかは謎
でもどっちかって言ったら映画のノベライズという感じはするかな
映画は省略されている部分が多い
特に心情的な部分が小説よりは伝わってこない
君江さんと話すところも良かったなぁ
辻仁成の「冷静と情熱のあいだ」で芽実さんが親子なのにお父さんと共通言語を持たない事に感じた何かの逆バージョンに思った
最後のところ、ホラーと解釈する人もいるという前情報があったのである程度展開は読めた
個人的には愛なんじゃないかと思う
最近見た映画の「万引き家族」に通じるものがある
タイトルに偽りなしなんじゃないかな
ただ、映画だけだと、なぜ家族がそんな行動を選択したのかが伝わってこないのでホラーに感じる
お母ちゃんが銭湯をどれだけ大事に想っていたかが感じ取れるかどうかかね
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映画はまだ未観でして、先に小説から入ってしまった、という所の作品なのですが、うむ。良かった。なんとも骨太な作品だなあ、という感想。そんなに分厚い小説ではないですし、文章も読みづらい感じでもないですし、サクサク読める作品だとは思うのです。でもそれが、決してお気楽極楽ポップだぜ、という訳では全然ない。内容は相当にヘヴィーにズッシリどっしり。うむむ、骨太。
作者の中野量太さんは、本業は、映画監督なのですね。そっちがメインだよ、という。で、自ら脚本も書いた映画作品を、これまた自らノベライズした、と。それがコレだぞ、と。うむむ、多才だ。映画も撮る。脚本も書く。小説化すら出来ちゃう。凄いですね。同じ日本の映画監督だと、西川美和さんと、似た存在感、でしょうかね?中野さん自身は、この作品の映画版が、自身初の商業用長編映画なんだそうです。
となると、現時点では、西川美和さんの方が、だいぶ先輩格になるのだろうなあ。西川さん、既に何作も映画作ってるし、そのノベライズも、沢山されてるでしょうし。中野氏が、これから先の自らの監督人生で、どれだけ西川美和に近付いていくことができるのだろうか?期待しちゃいますねえ。なんせもう、西川さん、とんでもなく素晴らしい映画監督ですものね。
で、この小説。めっちゃ分かりやすい言い方をするならば、ベタな表現するならば、「母(の愛)は強し」「家族愛」を描いた作品、というシンプルな説明になるかと思うのですが、その場合の「母」とは。「母親的な存在」とは。「家族の間の愛」とは。DNA的な繋がりでは無い。遺伝子じゃあ無い。血の繋がり、ではない、ところに、真の美しさと素晴らしさがある、というのが、中野さんの主張なんだろうなあ、と思いました。B'Zの曲でいうならば、「RUN」ですよねえ。時の流れは、人の絆は、時には血よりも濃いもの作るんだぜ、ということでしょうねえ。
主人公である幸野双葉は、娘として育ててきた幸野安澄とも、旦那である幸一が連れてくることになった片瀬鮎子とも、血は繋がっていない。特に、安澄が実は双葉の実の子ではない!というのが分かったところで、物語の前半~中盤のとある場面で安澄が言ったセリフ「お母ちゃんの遺伝子ちょっとだけあった」が、終盤の種明かし場面において、ホンマに切なく素晴らしいセリフになるんですよねえ。まあ、んで、血の繋がっていない存在であるにも関わらず、この作品のなかでは、双葉は、二人にとって圧倒的に「母親」になるんですよね。血の繋がった実の母である坂巻君江、片瀬幸子、という存在は、それはそれである上で。
人と人との本当の繋がりは、血縁では無いぞ、と。どれだけその人が真剣に生き、どれだけ誰かの事を真剣に愛することができるか。それこそが真の意味での人と人との繋がりなのだ。そもそもだって、人って、完全に血の繋がりのない赤の他人の男と女が出会って好きあって愛し合って、新たな生命を生みだすんじゃん。で、家族になるんじゃん。ということなのか。なのかなあ?
それが中野量太さんの言いたい事伝えたい事なのか、とか思った次第ですが、うーん、好きですね。俺はコレをどうしても伝えたいの!って所は、ビシバシ伝わってきたし、その伝え方も、上手いと思いました。ですので、好きなんですよねえ、この作品。
エンディングは、相当に衝撃的です。こりゃあ、ある意味とんでもねえ結末やな、って思いました。倫理的に良いんですか?ってか、倫理ってなんやろなあ。この結末は、これはこれで、最高に相応しい、といいますか。まさに題名そのもの。うおお、タイトルがここに繋がるのか!という凄まじい納得感、あります。なんせ、幸野家の人々、お母ちゃんである双葉の遺体を、銭湯の釜場の炉で、焼いちゃうんですよ。まあ、火葬、と言えることもないことも、ない、か?で、その、お母ちゃんを燃やした熱で、お風呂沸かして、そこに「ええ湯だな~♪」って、湯船につかるんですよ、家族で。とんでもなくシュールやんか。猟奇的すぎるやんか。でもそれは、当然の事であり、お母ちゃんに対する最大限の愛情表現であり感謝の表現であり、もう、絶対に正しい事なのだ。幸野家にとっては。
この場面が持つパワーは、ホンマに凄いと思いました。一般社会のモラルも倫理も全てぶっ飛ばして、この家族にとっては、これこそが真実の愛なのだ。で、それは、なんらかの感動を、俺には、呼び起こしたのだ。すげえ事ですよ、うん。
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母の愛の熱さはよく伝わる話でした。話を語る「私」がコロコロ入れ替わるのが読みづらかったのと、本筋以外のエピソードが多すぎて本筋が途中から浅くなっていたのと、ラストのエピソードは不要だと思えて残念。奇抜なことをしなくても大切な事はちゃんと残ると思うので。
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映画の後追い読書。ノベライズなのか原作なのか知らないけれど、各シーンともほぼまったく映画と同じ内容。終始映像が思い起こされた。最初にこちらを読んでいたら映画はどんなふうに感じたのだろうか?当たり前だが映像がない分、感情説明的な言葉が多く、また、視点がコロコロ変化するのも正直読みづらかった。やはりこの著者は小説家ではなく映画作家なのだな。たぶん映画を先に見て正解だったと感じた。
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約200ページ数なのでサクッと読めますが、
内容は濃いので楽しめる話でした。
お母ちゃんの人への愛情が素晴らしく、
その愛情は家族だけではなくヒッチハイカーの青年や探偵業を営むシングルファザーとその娘にも注がれます。
そしてその結果お母ちゃんの最期にみんなからの愛情返しがあるので心が温まります。
人間ピラミッドいいですね♪
お母ちゃんは自分が母親から大切に扱われず、
自分が死ぬ前に会いにいくも拒否されたことを悲観せず、自分の周りの人に愛情を注げるお母ちゃんの人間性は見習いたいです。
結局人間は与えた分だけ自分にも与えられると思うので、
私も人に愛情を注いでいけたらなと思いました。
ただ本のタイトル通りの「湯を沸かすほどの熱い愛」の最後はちょっと猟奇的で受け入れられませんでした...。
それって残された家族の自己満足なだけなのでは...と戸惑いました。
どうしても結末に違和感があったので星3つですが、それまでのストーリー自体は好きでした。
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最初は夫が出て行った母たち娘のシーン。娘はいじめられていたが、母に立ち向かえと言われ立ち向かった。そして、娘はおかーちゃんの血が流れていると言ったのが、後に印象に残った。主人も違う娘を連れてきて四人家族になった。しかし、母親と血が繋がっている子供はいない。最後の火葬シーンは母を焼き温泉に入ったのだろうか。とても愛が熱い物語だった。
探偵の、この人に与えてもらってるから何でもしてやりたいという言葉が良かった。
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涙が止まらなかった。
家族だけじゃなくて、関わる人すべてに惜しまず愛を与える双葉とそれに応えようとする人たちの姿に心打たれる。
どんな気持ちで安澄の実の母親に手紙を書かせ、カニを食べ、手話を教えていたんだろう。どんな気持ちで夫に会いにいき、鮎子を受け入れたんだろう。そう思いながら読んでいたけれど、想像以上に双葉の愛は大きく熱かった。
母としてももちろん、人間として とても強い人だと思った。自分の弱さも他人の弱さをも受け入れ、人に愛を尽くす。そんな人になりたいと思った。
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以前映画で観てなんとなくは覚えてたけど、改めて。
双葉、一浩、安澄、鮎子、それぞれに秘密があり、余命2ヶ月となった双葉が「絶対にやっておくべきこと」として実行して行く。気丈に振る舞う双葉の行動すべてが愛に包まれたものであり、バラバラの家族に絆を結ばせることにもなった。
終盤の展開はわかっててもやはり読むのがキツかった。
タイトル通り愛に溢れた物語、また映画でも観よう。幸の湯ではないが、銭湯にも行きたい。
261冊目読了。
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泣いてもいい場所で読んでいたら、ずっと涙だったかもしれない。
親子や家族の形って無限大。
そして双葉の強さ。
でも、最後にこのタイトルの意味がわかった気がするけど、私はちょっと受け入れられないかも…
2024.3.8
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天真爛漫な母親とどこか憎めない愛らしい他の登場人物。
別れの物語でありながらどこか温かい、ほっこりする物語。
銭湯で火葬するのはどうかと思った。
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知り合いに勧められて読みました。
銭湯を営む複雑な家庭のお話。主人公はとっても芯が強い女性。それは癌に侵されても変わらない。彼女と対照的な夫。いわゆるクズな男なのになぜか憎めないのは作者の表現力のおかげだろう。複雑な家庭がとりまく問題を主人公の強さで乗り越えていく。最後は衝撃だが「主人公が望んだんだろうな」と納得させられます。