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投稿者:deka - この投稿者のレビュー一覧を見る
周囲の目を気にしながら生きている今だけれど・・・気にされている怒られるイラつかれるということがありがたいと思わなくてはいけないのかもしれない。。。けど自分の想像力からは読み進めるのが困難だった。
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(1975.01.02読了)(1973.06.29購入)
第25回(昭和26年度上半期) 芥川賞受賞
内容紹介
ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。
☆関連図書(既読)
「けものたちは故郷をめざす」安部公房著、新潮文庫、1970.05.25
「飢餓同盟」安部公房著、新潮文庫、1970.09.25
「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
「反劇的人間」安部公房・キーン著、中公新書、1973.05.25
「榎本武揚」安部公房著、中公文庫、1973.06.10
「人間そっくり」安部公房著、ハヤカワ文庫、1974.10.15
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好きなのは「S・カルマ氏の犯罪」。かなりカオスな世界観です。
この本の題名は『壁』ですが、この世界に壁という壁がなかったなら、わたしもあなたもあったものじゃないし、すべては溶け合い、それこそまさにカオスなんだろうなと思います。
でも人はそれぞれ名前を持ち、身分証明書やIDカードによって自己を識別してもらい社会生活を営む。もしかしたら社会で生活しているのは、『私』ではなく、『私の名前』のほうなのかもしれない。
なら、『私』の行き場はどうなってしまうのだろう。
実存主義の思想を感じます。
阿部公房は、人間が、あって当たり前だと思っているものを、次々に取り上げていって再び混沌の渦の中へ放り込むことで、そこでもがく姿に人間を描こうとしているんだと思う。
そんな、人それぞれな解釈はおいておくとしても、ただ単純に面白いです。
ある朝名前をなくしていた『私』と『名刺』との権力争い。
シュールです。ナンセンスです。言葉あそびの極致です。
名刺が会社に行って仕事をします。名刺や帽子や万年筆たちが当たり前のようにしゃべるし、しまいには、モノたちが謎の作詞作曲をしだします笑 その歌詞は深いようでいて意味不明でかわいらしく、すごくツボです。
主人公は、果てしなく成長する壁になります。安易な解釈かもしれませんが、名前を失い、存在を口々に否定され失墜した自我が、外へ溶けだしていくことを恐れるあまりに自らが壁になってしまった…そうだとしたら切ない話です。
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芥川賞受賞の傑作。
三部で構成され長・短編6作を収録。
僕が安倍公房にどっぷり浸かってしまった原因の一冊。
第一部の「S・カルマ氏の犯罪」は、
名前を失ってしまった男の話。
現実での存在証明をなくしてしまった彼は、
なぜか裁判にかけられることとなり…。
全6作、すべてしっかりとしたテーマを持った作品ばかり。
純文学の名にふさわしい一冊である。
ただ、ちょっと内容が難しいのだが…。
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高校時代安部派、高橋派、大江派、三島派、、、全学連の各派同様いろんな嗜好のグループがあった。安部派だった友は今地元の名医になった。
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『終わりし道の標べに』で見せたあの重苦しい私意識。そこから安部はしがみついていた「私」を乗り越えようとする。それがこの小説に表れた軽さや遊戯性だと思う。
近代的な人間中心主義からの訣別。
<死んだ有機物から/生きている無機物へ!>
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この作品はどこかカフカの『変身』を思わせる。はじめは読みにくいと感じたが、いつの間に引き込まれていた。非現実的な出来事なのに、それは現実として物語は淡々と進んでいく…。この本に収録されている短編『バベルの塔』もお勧め。
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5/13読了。壁と砂がモチーフ。穫らぬ狸とかありきたりな言葉から飛んで行くファンタジー、少し笑った後にぞっとする。
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短編集。シュールレアリスティック。(←あんま分かんないで使ってる)何回だけど難解も読みたくなる作品。面白い。
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面白い!私はこれが安部公房の作品の中で一番好きです。
壁の概念のいろんなパターンを見せてもらえます。
初期作品。
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難しい。はっきり言って難しい。何が言いたいのかわからない。しかし引き込まれるという安部公房ワールド。あなたもいかが?
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アリスにところどころ似てる気が。一番最後の話は背筋がゾクゾクしました。
解説に、カフカと比較して「軽さ」がどうとかとか書いてあったけど、それって東洋と西洋の「無(もしくは空)」に対する意識の違いなんだろうな。
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【S・カルマ氏の罪】これほどまで著者の意図が汲み取りやすい作品があろうか。そして、読み終えたときのこの充実感。久しぶりに味わえた。読者の認識を変えてしまえるくらいの作品を描けるのは安部氏くらいではなかろうか。【バベルの塔の狸】誰かの真似のような作品、・・安部氏の作品の中では独創性に欠く気がしてならない。
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おもしろかった。特に"S.カルマ氏の犯罪"に笑った。言葉遊びと言うのか、とにかく文章能力が…凄い。いちいち関心しました。
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「surrealism」超現実主義。まさに、この概念。これほどまでに目を見開いて読んだ小説はない。そう、目を見開いて。その手法と内容は、あまりにも衝撃的だった。安部公房。この人の思考回路。感受性。文学は底が見えない。