紙の本
過去に旅した
2016/12/20 14:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まもり - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は昭和生まれでいわゆる昭和的雰囲気のものを見ると非常に哀愁を感じてしまうのですが、こう改めて読んでみると色々なことがあって、それで今に至っているのだなあ!と、非常に感慨深かったです。もちろん、皆川博子さん目当てで本書を手に取ったのですが、どの作品も味わい深かった。今では当たり前なことが昔はちょっと特別なことだったりして、それでも月日が進んでいけば、そんなことすらもすっかり忘れてしまうのかな-それが時代の流れ、なのかなあーと読後暫くぼんやり考えてしまいました。
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朝倉かすみさん目当てで手に取ったアンソロジーでしたが、ちょっとハマらなかった。。。
1972年を知らないからかしら。
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なんで1972年なのかはわからないし、44年前って結構中途半端な気もするけど、なるほど1972年だ。
今にも通じる話でもあるし、やけに懐かしい話でもある。
ノスタルジー1972、懐かしき良き時代!
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中島京子、早見和真、朝倉かすみ、
堂場瞬一、重松清、皆川博子
がそれぞれ描く1972年。
1972年当時を思い出すネタに溢れていました。
一作を除いて、当時の空気感を感じることができました。
鎌倉、沖縄、札幌、取材事件、上野、新宿。
この中で、沖縄問題だけは、進展していない。残念。
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1972。何かが終わり、すべてが始まった年。豪華執筆陣がノスタルジーとともに今に繋がる日本を描き出すクロニクルアンソロジー。
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「川端康成が死んだ日」中島京子 「永遠!チェンジ・ザ・ワールド」早見和真 「空中楼閣」朝倉かすみ 「あるタブー」堂場瞬一 「あの年の秋」重松清 「新宿薔薇戦争」皆川博子
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1972年、思えばいろんなことがあったものである。日本はまだまだ古い時代を引きずりながらも、貪欲に上を目指し、ほんとうの自由を手に入れようともがく若者たちを横目で見ながら、民衆はそれまで通り地道に暮らしていた。激動と日常が同居していたのがあの時代だったような気がする。それぞれスポットが当たる場所は違うが、どの物語もそんな時代の雰囲気が、懐かしく思い出される。読む人の年代によってずいぶん印象の違う一冊でもあるだろう。
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1972(昭和47年)を描いた短編アンソロジー。
6人の作家中同時代を生きて活動していたのは1人だけで、あとは子供か生まれていない。
中島京子は子供の視点で当時はやっていた物、早見和真は沖縄返還のさなかの女子高校生、朝倉かすみは札幌オリンピックをカラーテレビで見守る家族と中卒就職、堂場瞬一は外務省機密漏洩事件の影をまとう新聞記者を描いている。
重松清の「あの年の秋」は中国から贈られたパンダとジャングルから帰還した日本兵、「恍惚の人」となりかける老母と戦争の犠牲になった長兄と末弟と共に行った動物園の記憶をからめて出色の掌編。
皆川博子は70年安保、アングラ演劇や前衛映画の時代の中で、新人賞に応募して作家活動を始め、72年に『海と十字架」を出版した状況を綴っていておもしろい。
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1972年の出来事を巡る6編を収録したアンソロジー。
ノスタルジーと付くから、昭和の時代を懐かしむ軽めの話かと思いきや、中島京子の巧みな冒頭の作品でがつんとやられた。川端康成の名はタイトルで示されているだけで、ストーリーに登場するのも一瞬だけ。なのに偏屈な彼の、もしかしたらあったかもしれないと思わせる行動が重要な役割を果たしている。
次の早見和真は初の作家だったが、沖縄返還を中心に据えた骨のある作品だった。オチも愉快。
皆川博子だけは、ご自身の回顧録のような内容だが、好きな作家なのでデビュー当時のいきさつをうかがい知ることができて興味深かった。
個人的にも、札幌オリンピック、元日本兵の帰還、初パンダなど、ああそういう年だったかと、かすかな記憶を手繰り寄せながら読めるのはやはり楽しい。
テレビに向かって「笠谷~!」と叫びながらジャンプの応援をしていた母、テレビでの浅間山荘事件の緊迫した生中継に「ずっと同じ画面でつまらない」と言ったら父に叱られたことなど、忘れていたひとコマがよみがえってきた。確かにあの時代、今とは違う家族とともに私は生きていたんだと思うと、感慨深い。小説とともに、個人的なノスタルジーを味わえる一冊だった。
さて2017年は、将来どんな出来事が語り継がれる年になるのだろう。よい1年でありますように。
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川端康成の自殺、沖縄の返還、札幌オリンピック、パンダ来日、残留日本兵。いろんなことがあった年のいろんな出来事。
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「1972年」をテーマに、濃い内容のアンソロジー。
どれもその年に絡めたフィクション&エッセー(皆川先生のの一篇はおそらくデビュー当時を回想したものかと)で読みごたえがあり、非常に面白かった。
全体的にほろ苦い……
冒頭の中島氏「川端康成が死んだ日」はなかなかにクル。
そして敬愛する皆川先生のデビュー前後のあれこれを読めたのは幸せ。
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【収録作品】「川端康成が死んだ日」 中島 京子/「永遠!チェンジ・ザ・ワールド」 早見 和真/「空中楼閣」 朝倉 かすみ/「あるタブー」 堂場 瞬一/「あの年の秋」 重松 清/「新宿薔薇戦争」 皆川 博子
ノスタルジー。確かに。懐かしいが、戻りたくない時代でもある。
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1972年、まだ戦争を引きずってた、ビンボーだった、それでもみんな笑ってた、未来は明るいと信じてた…
そんな時代を描いたアンソロジー。
お目当の中島さんは盤石でそれにも劣らず重松さんもやはり上手いなと思う。
このふたりに共通するのは映画や芝居に例えればセットや小道具に頼らずにその時代を言葉巧みに表す臨場感、そして懐かしさに浸りながらも深いテーマについて考えさせられること。
夢と希望に満ち溢れた明るい未来がたった50年先に行き詰まってしまうことをあの時果たして考えただろうか?
いろんな意味を込めて「あの頃には戻れないのだな」と痛感
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懐かしい記憶が甦るような短編が6つ.堂場瞬一「あるタブー」が良かった.西山事件(沖縄密約文書)を背景にした,新聞記者の根岸俊雄の話だが,彼は警察官の三輪葉子と付き合っている.記事の出し方を逡巡する根岸の思いがうまく表現されていた.モハメドアリ,小野田寛郎が出てきたり,あさま山荘事件も出てくる.72年,色々なことがあったことを思い出した.
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私が理想とする小説や映画は、『ナミヤ雑貨店の奇跡』や『三丁目の夕日』的な、レトロ風味でいい人ばかり出てきて残酷な描写がなくハッピーエンドで終わるというもの。
このパターンの物語を色々と探しているところです。
本書はタイトルからしてまさにそれにピッタリそうだと思って気楽に読み始めたのですが、意外にもヘヴィーで軽々しく読めない深刻な短編集でした。
中島京子『川端康成が死んだ日』
幼い日の哀しい家族生活の描写とその44年後。
ノスタルジーというより、重くて悲しくなってきます。
早見和真『永遠!チェンジ・ザ・ワールド』
沖縄復帰運動と現代の国会前デモと。
いくら心ある若者が行動しても、あの頃から何も変わっていないし、むしろ悪くなっているのではと絶望感を抱かせる作品。
朝倉かすみ『空中楼閣』
買ったばかりのカラーテレビで札幌オリンピックを見る幸せな小市民家族と苦学生と。
当時はこのような苦学生は沢山いたのでしょうね。
やがて日本は経済大国となり、苦学生も過去の存在となった……と思っていたら、安倍政権による悪政によって経済格差は広まり、1%が99%を支配する世界となり、苦学生も復活してきているのだった。
堂場瞬一『あるタブー』
ミステリーというかサスペンスというか、読んでいる時は一番次の展開が気になって夢中になって読めた作品。
読み終わってみると結局意味が分からないというか。
作者の経験による新聞記者と警察の関係の描写が勉強になったけど、再読してもう一度よく味わいたい度は一番低い作品。
重松清『あの年の秋』
短い短編ながら、ある家族の三代に渡る大河ドラマを感じさせる名作。
1972年の秋が中心に描かれていますが、40年後、あの人がああなっているという時間の経過。歴史というか、【稗史】ですね。
1972年の時点では、博史はまだ小学生ですが、父親も祖母も戦争の経験が生々しく残っていて、戦争を身近に感じています。
そういった方々がいたからこそ日本は平和的に経済大国になっていったのでしょう。
そして今、戦争を体験した方々は少なくなり、戦争を知らない・民主主義と平和憲法の有り難さを実感できない馬鹿どもが平和憲法を改悪して軍国主義を復活させようとしているのです。
皆川博子『新宿薔薇戦争』
作者の回想に伴い、固有名詞が次々と登場。
最初と最後に自分が登場しない友人達の描写を入れたのは作家ゆえの演出か。
決して軽々しく読めませんが、名作揃いの短編集でした。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180529/p1
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今とは違った空気に満たされていたあの頃。嫌でも切れない人の縁。濃密な家族関係。わたしたちの世代にはよくわかる。そんな時代を知らない人ばかりになったら、この世はどうだろか?
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1話目の中島さんの話しは実話?と、思ったけど、そうでもなさそう。
浅倉かすみさんのが面白かった。
昭和。ちょっとタイムスリップして、楽しみたい。