投稿元:
レビューを見る
(2017/3/22読了)
主人公の名前からの印象や、下記のような簡単な内容からは想像できない、壮大さ、深さ。
自伝を綴っているような錯覚を覚える。アイが西さんに乗り移っているかのようだ。まぁ、書いてる本人だからね。そして、世界のあらゆる災害や事件の、半端ない量のデータ!西さん、すごい、凄すぎる!!
自分ではどうすることもできないことでも、想いならどうもできる。反対に、自分は望んでいないことを想い続けてしまい、想いに支配されてしまうこともある。
複雑な人生を送っているアイだけど、大人になってからの周りにいる人たちには、とても恵まれているなぁと、羨ましく思う。その人たちからの愛への愛がなかったら、このラストは導き出せなかっただろう。
(内容)
「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!
投稿元:
レビューを見る
おそらく意図したものなのだろうが、登場人物が皆揃って悪意のない存在で、物足りない。各々の悩みが壮大でありながら、善意のもとに成立しているので、複雑さもなく一辺倒。あと単純に語り方が凡庸。
投稿元:
レビューを見る
シリアで生まれた主人公の「アイ」がアメリカ人と日本人の夫婦の養子になり成長して行く過程で起きる世界情勢と本人自身の心の葛藤を描いた少女漫画を活字にしたような物語
投稿元:
レビューを見る
西さんはまぶしいなあ。感想は西さんに伝えたい。きいてほしいこと、いっぱいある。だから手紙を書くよ。みんなには言わない。みんなには言いたくない。自分で直接読んでほしい。
投稿元:
レビューを見る
LGBT、反戦、反原発などがてんこ盛り。
意識高い臭もなく、よく書けているとは思う。
好きな人にははまるのだろうが。
ミナの生む子を養子に迎える展開を想像するのは私だけだろうか。
投稿元:
レビューを見る
「この世界にアイは存在しません。」で始まる物語。 自分の存在が果たして世界に認められているのかどうか主人公は悩み続ける。 養子という存在が自分を更に悩ましている。そんな中、出会った親友に支えられながら物語は進んで行く。 この物語を読んで親友の大切さ、偉大さを改めて感じた。一生親友は大切にしたい。
投稿元:
レビューを見る
iは数学では存在しないと教えられ 自分の名前と同じアイが頭から離れず ずっとそれが負い目となって生きている。
養子として育てられ 幸せになってはいけないと 自分を責めながら生きている。
親友や 運命の人との出会いにより アイの考えが変わり始める。
サラバ!を読んだ後だったので どうしても比べてしまった。
これはこれで楽しめる。
投稿元:
レビューを見る
繊細で深くて大きな祈り。成長と自立と、家族・親友と伴い越える痛み。隙がなく息がつまる様な…文中の言葉がたたみかけてくる。黒から色付いていく…"i"♪。
投稿元:
レビューを見る
やっぱり西加奈子すごい。涙が出そうだった。
今まで感じていたもやもやしていた気持ちを言葉にしてくれたって思った。
投稿元:
レビューを見る
ちょうど今年120冊目の読了。
著者の『サラバ』を読んで非常に感動しました。
今回はどうかなあと少し懐疑的になって読みましたが
確かに少しくどいというか、そこまで人は深くものごと
を考えるのかなあ・少し大げさ感がある面はありましたが。
それなりに面白く感動しました。
最後のところは非常に哲学的で、感動する文書です。
”私はここにいる!私はずっとあった。先に私はあった。存在した・・・”
自分の存在の再確認と存在意義の獲得。存在が許容される
ということ。を獲得する瞬間が、主人公のバックボーン
・経緯を考えると非常に感動的です。
シリア難民の海でおぼれてなくなった子供のことは非常に
クリアに記憶にあります。陳腐ではありますが心が痛みます。
投稿元:
レビューを見る
懐かしかった。主人公は私と違う部分が多くて想像しにくかったが、自分に一瞬でもあった気持ちを思い出させた。
子どもを子ども扱いしないこと、ひとりの人間として接すること。p.5
こんな育てられ方をしたいされたいとか、甘い食べ物は罪深く美味しく、自分の身体を恥じることもある。確かに好きのパワーは決めることの怖さを見えなくするとか。数学は苦手だったけど、問題と向き合う時間は静かで美しい世界でじっかり浸ってみたい。子どもを産むのは自分が死なない理由を作るためでもあると再確認したし、子どもは怖いと思う。当事者になりたいし、選ばれたくないこともあった。いくつも共感した。
好きになって幸せな気分を知ったらますます、いつも幸せでいないと嫌になって、幸せな気分を害するものは避けていた。世界の不均衡もそのひとつだし、そうすることが抵抗になると思った。すると何が現実かわからなくなった。何もかも善悪も悲喜もなく、ただそうなったことだ。出来事に浸り、感傷することは無意味だと思った。誰かが生きるも死ぬも、自分が生きるも死ぬも。何もないと信じた上で、無の苦しさから逃れようともがいている。
その結果、この本を読み終えた。
同じ時代を生きる架空の主人公の視点から世界を見つめることになった。避けていたものと再会した。こういう再会の仕方をしてよかったと思うし、そうなったことに意味がありそうで、少しだけ想像を巡らす。
実際の力はないかもしれないけど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う。p.271
無のゆらぎの様のひとつかもしれない。これを愛だとしている人もいる。わかっていることかもしれないが、飽きず腐らず発し続けたい。
161215
投稿元:
レビューを見る
シリアから裕福な両親の養子となった一人の女性のお話。自分の存在に悩み葛藤しいろんな経験をしながら成長する様は逞しい。そこで語られる生と死や家族や血縁や恋愛や友情が心に刺さる。著者ならではの筆致で圧倒された。素晴らしい一冊。
投稿元:
レビューを見る
重い・・・おっもい、おもすぎるわー!!!
と、これまた途中で浮気w
手元にあった道尾秀介さんの「サーモン・キャッチャー the Novel」と交互に読んだらいい感じでしたw
考えすぎちゃう人って、いますねー。
私と全然違うタイプ・・・。
私は楽天家なわけではないけど、考えても無駄なことはあえて考えないようにするタイプ。
だって、「今」考えても絶対分かんないし、きっと堂々巡りになっちゃうし、だったらその時間って無駄だし。(いや、ホントは無駄ではないんだけど、あえてw)
でね、頭だか心だかのどっか片隅に留めておくだけにする。そういう欠片みたいのが、探せばゴロゴロでてきそうだけどw
でも、そうすると、いつかわかる時が来る。
本を読んだり、人と話したり、何かがあったりしたときに「あ!これかも!」とか「あ!こういうことか!」とか「あ!いつかのあれはこのためだったのか!」とか、いろいろだけど。
1冊の小説に凝縮されたものを読んじゃうから、キツかったり、重かったりするのかな?
だれでもこんなふうにいろいろ考えて生きてるような気もするけど。
ただ、あれはキツいよね「この世界にアイは存在しません」ってやつ。言葉は怖いね。
アイにミナがいてよかった、ユウがいてよかった、養父母がいてよかった。
いつかわかればよし。永遠にわからなくてもよし。
それもこれも私の、私だけの人生ってことで♪
投稿元:
レビューを見る
アメリカ人の父、日本人の母、そしてシリア生れの養子・ワイルド曽田アイ。高校入学式翌日の数学教師の言葉、「この世界にアイは存在しません。」これが彼女にとって呪いのように木霊し続ける。賢くも感受性豊かなアイが、言葉にならない不安や残酷な現実、行きつくエゴと向き合い、苦しみ、絡まり、もがきながら、小さくも確かな光を見出す。「自己の存在証明」という命題に答えを出したアイの人生を描きつつ、現代の人々が無意識に抱える利己的思考にも切り込んだ長編小説。
不幸な者の苦しみを描いた小説は多いが、幸福な者の苦しみを描いた小説は初めてだった。主人公アイは両親にも友人にも夫にも経済的にも恵まれた女性だ。なのに彼女はずっと苦しんでいる。幸福ゆえに、世界の悲劇をテレビで見ているだけの自分に勝手な罪悪感を抱くが特に何も行動を起こせない。声を上げて動き出しても、幸福者の利己的側面に気付いた瞬間に、自分の存在が陳腐に思えてくる。何が正しいの?一体どうすればいいのか?世界一治安が良い国のリビングで世界の悲劇をテレビで目にする私達日本人、その多くが抱える感情ではないだろうか。いや、多くの人が一瞬抱え、瞬時に眼を背け、そのまま気がつかないふりをしてきた問題ではないだろうか。著者はそれを逃がさない。主人公アイをそこに向き合い続けさせた。そしてアイなりの答えを導き出させた。
「自己認識」「幸福な者が抱える苦しみ」「家族」「血の繋がり」「愛」「友情」この小説は一体いくつのテーマを抱えているのだろう。絞られたテーマにスポットを当てたわかりやすい小説では決してない。様々なテーマを含有し、その全てが独立せず絡まり溶け合い、時には他のテーマを阻害し、しかし時には他のテーマに欠かすことの出来ない地盤となる。そういう意味で、西加奈子は「人生」そのものを描こうとしているのだと私は感じている。
その絡まり合うテーマの中でも、私が特に強く感じたのは「被る者の心理」だ。自分も何かの不幸を「被った」と感じた時、作中のアイは何か自信のようなものを漲らせ始める。これは一部の人に当てはまる心理なのだと思う。自分が被害者になったことで、自己の主張を訴える権利を得る。その権利はそのままエネルギーとなり、いつしか人生の大きな部分を占め始める。これは悪いことではないし、必要なことだ。しかし、アイが被災者意識を持った時、「水を得た魚」のようになったことに違和を感じてしまう。それはアイに限った話ではなく……。
作中で幾度となく挿入される「この世界にアイは存在しません。」という言葉。これはアイが虚しさや無力感、自己の価値が見出せない時に聞こえてくる。シリア生れの養子ということも関係があるが、更に虚数「i」という数学記号との名前の一致がとても面白い。虚数「i」と自己「アイ」を重ね合わせ、「i」の存在を「証明」するように、「アイ」の人生は「自己の存在証明」という命題を抱える。
「私はここだ!」というラストの叫び。読後、震えた。広い広い世界の片隅で、とても尊くて美しいものを見たような気がした。アイという一つの生命が輝く瞬間を見た気がした。言いようのない感動が、一過性ではない強さと優しさが心に宿る���「i」は、現代に生きる全ての人が読むべき本だと、本気で思ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
メディアで特集されていて、かなり期待して読んでしまったせいで、この読みやすさが物足りなかった。もう少し時間をあけて再読しようと思う。