投稿元:
レビューを見る
西さんの小説を読むと、弱さを肯定してもらえた気持ちになる。時代背景も踏まえていて読んでいて考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
最初、私の知っている西さんの(登場人物との)距離の取り方と違っていて、少し困惑した。
シリアで生まれ、養子としてアメリカで暮らすワイルド夫妻のもとへやってきた〝アイ〟は、幼い頃から繊細で頭のいい子供だった。裕福なワイルド夫妻は世界の不条理に痛めつけられる人々をいつも気に留め、できる限りのことをしようとしていた。その一環としてか、アイに対しても世界の様々な悲劇を伝え、想像することを願った。しかしアイは夫妻の気持ちを理解しながらも、違う意図でも心を痛めていく。この絵にかいたような幸福を享受できたのは自分ではなかったかもしれない。それはつまり、他のだれかを蹴落として幸福を得ているという苦しみへと変わっていった。そしてアイは自身の苦しみさえ、傲慢だと考える。
中学へ上がって父の会社の関係で日本へ渡ったアイはそこで自身の生き方を定められるような言葉に出会う。
〝この世界にアイは存在しません〟
自分の存在を肯定して丸ごと受け入れてくれる親友のミナと、年上で同じ女性と二度結婚して子供も二人いるユウとの結婚。そこから新たに芽生えるアイの困難と希望。
ページの残り少なくなるにしたがってどんどんと訝しがった距離は狭まり、抱きしめて強く頬をこすり合わせるような、その感触が体に言葉によって残されるようなラストでした。
全く境遇は違うのですが、アイの考え方、感じ方は自分にとても近かった。記憶のある3~4歳のころに見たアフリカの映像、戦争を振り返る番組でみた白黒の子供たちの生活。ああ、これは私であってもおかしくなかったんだと、過去、現在、今抱える火種に焼かれる誰かは。その事実に恐ろしさと罪悪感を抱え続けた子供時代を思い出した。相変わらずの胸のど真ん中に打ち込んでくる力強さと、物語を、人物たちを愛している西さんが大好き。
投稿元:
レビューを見る
何度も書かれる悲劇的な出来事と死者数、そして「この世界にアイは存在しません」という一文。
身近に思えたのは東日本大震災だけだというのに、その一文は一文は毎回重かった。
アイ=愛、LOVEと私には聴こえた。
知る事は大事だし無知は恥ずかしいけど強制も又良くない。そういう意味でいえばこの本も又読者の生きている環境を選ぶものなのかもしれない。
ミナの手紙に「一言では言い表せないって表現は逃げではなくて正しいんだね」という一文があるが、人間ってほんとに色んな人がいて人の気持ちは中々分からないし分かり合うことはもっと難しい。
だけど、ユウの言うように「理解出来なくても愛しあうことは出来る」のだとしたら…
この世界にアイ(愛LOVE )は存在する!
筆者はアイ=I、ユウ=YOU 、そしてミナをALL(世界、社会、国)としているらしい。
アイはミナを許し認め沢山の言葉を重ねて互いに世界を考えた。アイは世界をとてつもなく愛しているのだと思った。
筆者が、主人公のワイルド曽田アイを誰かに愛されたから存在するわけではなく、先にあったとする結論も素晴らしい。
彼女の実の親がどんな親であろうと、彼女の命がたとえ誰かを犠牲にして産まれたとしてもそれは又別の話。どんな命もその命そのものの存在に理由をつけるのは無意味だ。
私にとって本作は小説というより、教科書の様な存在になった。世界中の学校にこの本が置かれて欲しいし、生徒が意見を述べる時間が持てたら有意義な事だと思う。特別な読書体験に感謝です。
投稿元:
レビューを見る
”この世にアイは存在しません” (数学のことを言ってるらしい)何度も登場するこのフレーズ。(ちなみに主人公はアイという名前の女性)
シリアから養子として裕福な両親に育てられたことをどこか後ろめたく思って成長していくアイ。
その恩恵を自分じゃない誰かかもしれなかったと考え、
大きな災害、事故で命を落とした数をノートに書き溜めているアイ。
高校でやっと出会えた親友ミナとの友情と確執。
反原発で知り合ったカメラマンの夫との不妊治療。
なかなか盛だくさんの内容だったけど、なぜかあまり印象に残らず。
投稿元:
レビューを見る
世界で起こっていることについて考えるのをやめてはいけないと思った。自分には何もできなくても諦めてはいけないし、心を痛めてもたくさんの出来事をこの目でちゃんと見続けよう。今のことだけじゃなくて、過去のことも決して忘れず想像して思い続けていかなくては。そんな事を思わせてくれた小説でした。
投稿元:
レビューを見る
「サラバ!」に続き、読んだら止まらなくなる一冊。
自分の存在意義を世の問題と重ね合わせながら生きるってしんどいけど、マイノリティに生まれてしまうと考えがちなのかなって思う。
それでも、そういう人たちが真の自分を確立して、自分を受け入れられた時、誰よりも輝ける人生を創れるのかなぁと思いました。
投稿元:
レビューを見る
本屋さんで何の予備知識も無いまま、購入した。自分を卑下してしまう感覚にとても共感して夢中で読みました。読みながら強く感情が揺さぶられた。とても大切な本になりそう。
投稿元:
レビューを見る
西加奈子の文章には、ものすごい力があると思う。
圧倒的で、一気に読まずにいられない。
サラバにも通じる話だった。
アイは「i」であり「愛」。
投稿元:
レビューを見る
帯が又吉直樹さん、中村文則さんで
HPでは、芥川賞作家の村田沙耶香さんが絶賛
読んでいて、アイの実直な考え方や性格に好感を持つんだけど
読み進めるにつれて、そこまで思い込むのか、、、、
考えても良いんんだ、許されるんだっていうことなんだけど
わたしは、そこまで生きにくくしなくてもなって感じてしまう
人はそれぞれなんだなって思うが、息苦しい感じがしてしまう
また、違う気持ち、環境の時に読んだら感想は変わるのかな
少し不完全燃焼で読み終わってしまったというのが正直な気持ち
投稿元:
レビューを見る
帯文:”『サラバ!』(直木賞)から2年、西加奈子が全身全霊で現代に挑む衝撃作!” ”圧倒的なラストが胸を打つ!” ”「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!”
投稿元:
レビューを見る
戦争、震災、LGTB、家族、貧困、友情、そして、愛。多くの要素が詰まった作品。にも関わらず。いやらしさも違和感もなくすんなり読めるところが、さすが西加奈子さん。登場人物たちがそれぞれに抱える苦悩や憂鬱が少しずつ出てくるのも、秀逸。素直に感動できました。
投稿元:
レビューを見る
渾身の感はある。確かに力強い。
でも、自分の心に踏み込んでグシグシ来るかというと
自分から一歩遠いところが踏み込まれている感じ。
投稿元:
レビューを見る
すごい。西さんの今まで読んだ本の中で1番好きかもしれない。
斬新。。設定が自分とはかけ離れた境遇の人なのに、最初から最後まですごく共感してしまった。。
自身のルーツによって恵まれた環境を素直に受け入れられないアイ。ずっと心のどこかで不幸な出来事を求め続ける。しかしいざ自分にとって最も不幸な出来事にぶつかると悲しみに苛まれる…過去の自分への怒りと後悔。血の繋がりへの執着。
たったひとつの出来事で、いとも簡単に自分の感情がひっくり返ってしまう。決意が嘘のように消え去る。昨日の自分と今日の自分が全く違う意見だったり。浮かれていた過去の自分を悔やんだり。。そうゆう感情の描写に心揺れた。
西さんが伝えたいことが直で伝わってくる。これを読んで救われる人もきっと多い。素直に生きたいと思わせる作品だと感じた。
ユウやミナのセリフがいい。
勇気づけられた。
ニュースを見る度iを思いだすだろうな。そして世界の苦しみに自分なりに思いを寄せられる。偽善だからと言って避けるのではなく、私は私なりの捉え方で世界の状況を考えていいんだと許された気がした。。
なんか分からないけど、これを太宰治にも読んでほしい。そしたらもう少し生きようとしたんじゃないかとふと思った。
投稿元:
レビューを見る
自分の存在を受け入れられないまま生きる女の、苦悩と再生。
傲慢、赦し、救済、痛み、血、愛、多くの想いが強く拍動する。とても大きく重く深い作品。
多くのメッセージを孕みながら、決して重くなり過ぎない。
受け止める重さは読者に委ねられているようにも感じた。
読者に大きなものを残す、物語の強さを思い知らされる傑作。
投稿元:
レビューを見る
アメトークでよくおススメされている
西加奈子さんの作品
すごい衝撃をうける
読んでて胸が締め付けられるような作品
読むのちょっと苦しくておススメしづらいと思う気持ちと
こういう本はぜひ読んでほしいと思う気持ち
ストーリーの舞台が完全に現代社会で
実際に起こったニュースがたくさんでてくるので
フィクションとは思えない現実味をもって
小説の世界にはいっていってしまうかんじ