紙の本
趣向を凝らした警察小説集
2016/11/20 21:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は所謂警察小説を集めた「警察アンソロジー」である。このジャンルを得意とする小説家5人がそれぞれ腕ならぬ筆を振るという趣向である。警察小説がなぜこんなにもてはやされるのであろうカ。警察小説はいわゆる推理小説に属するものだと考えがちだが、最近はその範囲が拡大している。
もちろん、推理小説に属する警察小説がほとんどだが、推理といえば、殺人事件が発生し、それを解決するのが警察の捜査活動だというのが以前のパターンであった。ところが、横山秀夫のように警察の内部の動きをテーマにする作家が現れてきた。今まで一般には知られていなかった警察の動きが表に出るようになってきたのである。
本書の5人の小説家は警察小説をどう捉えているのか。それを確かめるだけでも本書は楽しめる。最初の薬丸岳の『黄昏』は、近頃ニュースネタになる高齢者の行方不明がテーマの一部になっている。随分今様なのである。警察小説はドラマも含めて社会の動きを最も敏感に捉えていると考えても間違いではなかろう。
そういう点ではきわめてタイムリーな小説であろう。柚月礼子の『恨みを刻む』は警察というよりは、検察の話、すなわち検事と地検が主人公となっている。実際には悪徳警察官絡みなので、警察小説と言えるかもしれない。それを警察内部ではなく、外部の検察が追及するというストーリーになっている。
今野敏の『みぎわ』は、警視庁神南署の安積警部補が東京湾臨海署に転勤したのちの事件をテーマにしている典型的な警察推理小説である。このシリーズでよく登場する事件を通して部下との交流を描いたものと言ってもよい。いつもながらさっぱりとした読後感を味わえる。
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お馴染の、夏目刑事、佐方検事、安積警部補たちが登場する警察小説のアンソロジー5編。
沖縄県警に出向中という与座哲郎警部(渡辺裕之著)と、浪速署生活安全課の鍋島刑事(呉勝浩著)は初顔。
大阪の鍋島刑事は、東京の新宿署生安課の鮫島刑事を意識しているのかな?
やはり、馴染みの刑事たちの方がすっきりと作品に入って行ける。
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アンソロジーは、読んだ事がない作者の作品が読めて良い。柚月裕子さんが気になり買った本です。佐方貞人シリーズを今度は読んでみよう。薬丸岳さんも気になります。今野敏さんは、安定の面白さです。
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+++
東池袋署管内で発見された女性の白骨死体。娘が逮捕されたが…(「黄昏」)。警視庁から沖縄県警に移動した与座哲郎は、県人との対応に戸惑いもあり…(「ストレンジャー」)。佐方貞人検事は、米崎西署で逮捕した覚醒剤所持事件に疑問を持ち始め―(「恨みを刻む」)。西成署管内で、ネットに投稿されたビデオクリップのDJが病院に担ぎ込まれ…(「オレキバ」)。臨海署管内で強盗致傷事件が発生。昔の事件とリンクして―(「みぎわ」)。沖縄、大阪、東京など各所轄を舞台にした傑作警察小説アンソロジー。
+++
警察署と言っても、地域によっても場所柄によってもかなり雰囲気が違うようである。そんな各地の所轄署の様子に触れられるのも興味深い。さらに、警察官の階級やら立場やら、果ては、出身や配属理由まで、さまざまなことが絡まった人間関係の面倒くささも垣間見られて興味を惹かれる。だが、犯人に向かう際の執念には、ほかとは比べられないものもあり、警察官魂の熱さも感じられる一冊である。
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やっぱり、
佐方貞人が好き!
ほんとにそろそろ、1冊で新作を!と思う今日この頃。
今野敏氏の「みぎわ」
が抜群に良かった。
上手いわぁ。読ませるわぁ。
サクサク読める警察アンソロジー。
函館から札幌の列車内で読了。
寝たり読んだり、丁度いい感じ。
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【収録作品】「黄昏」薬丸岳/「ストレンジャー」渡辺裕之/「恨みを刻む」柚月裕子/「オレキバ」吾勝浩/「みぎわ」今野敏
「黄昏」は夏目信人もの。「恨みを…」は佐方貞人検事もの。「みぎわ」は安積班もの。この三作は既読だったが、安心して読める。
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刑事に検察、階級や縄張り、東京、大阪、沖縄……色々な立場や場所で今日もお仕事お疲れ様です! と言いたくなるような警察アンソロジー。
想いも思惑も絡むけど、警察側も犯人側も人間なんだよ!
警察の職務に対するプライドは勿論、対する側(お世話になる方)も思うことはあるわけで。ついうっかり魔が差して、に至るまでに目的(動機)もあるわけで。
電車の中で楽しめました。
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所轄の刑事がテーマの短編集。
いずれも、ベテランの5人のミステリー作家達の作品です。
黄昏/薬丸 岳
ストレンジャー/渡辺 裕之
恨みを刻む/柚月 裕子
オレキバ/呉 勝浩
みぎわ/今野 敏
それぞれに面白かったですが、特に、今野さんの『みぎわ』、柚月さんの『恨みを刻む』が良かったですね
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アンソロジーはあまり好きじゃないけど、この作家陣なら面白くないわけがない。
薬丸岳作品には夏目刑事が、柚月裕子作品には佐方検事が、今野敏作品には安積班長が登場するとなればもう、美味しいとこどりの全部乗せみたいな印象。
短篇だけに事件そのものはそれほど興奮するほどのものではないけれど、それぞれの刑事、検事にそれぞれの生き方がある感じがなかなかいい。
なかでも、唯一の女性作家・柚月裕子さんの描く男たちが一番男前な気がするのは、やはり女性の理想だからか。
佐方検事の上司である筒井副部長の言葉にはしびれた~
「俺は、恨みは晴らさないが、胸に刻む主義だ」
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東池袋署管内で女性の白骨死体が発見される「黄昏」、臨海署管内で発生した強盗致傷事件が昔の事件とリンクする「みぎわ」…。沖縄、大阪、東京など各所轄を舞台にした警察小説アンソロジー。
薬丸岳の夏目刑事や柚月裕子の佐方検事といった人気シリーズの主人公が登場する短編集。読み始めてすぐどちらもすでに他の短編集で読んだことのある話と気づいたけれど、オチはよく覚えていなかったのでもう一度読むことができた。
(Ⅽ)
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旅のお共として。5篇の警察アンソロジー。柚月裕子「恨みを刻む」は検事が主人公だから、このアンソロジーに入れるのは違うのでは、と思う。でも面白かった。続編というか、シリーズになってるかな。読んでみよう。今野敏「みぎわ」も面白かった。さすが今野敏。こういうアンソロジーでしか読んだことないけど、改めて読んでみようかな。しかし読みたい本が多すぎる。仕事なんかしてる場合じゃないよな。
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5人の著者による短編5作品収録
タイトルからもわかるようにいずれも警察小説
どの作品も楽しめました
短編なので物足りなさもちょっとだけ感じましたが
その中でもしっかりまとめてあるのですごいです
よかったです
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所轄を舞台にした警察アンソロジー
短篇な故にあっさりしていて物足りない感じがした
もっとしっかり読み込みたかった
その中でも白骨化した母と暮らしていた娘の話である「黄昏」と現実と過去の記憶がクロスオーバーする「みぎわ」が良かった