紙の本
未だ変わらず。。むしろ加速している
2024/01/20 10:50
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投稿者:Monty - この投稿者のレビュー一覧を見る
初版から8年弱。家の周りを見ると住宅過剰社会は加速してる気がする。空き家は取り壊され、コインパーキングに。街の画一化に危機感を覚えています。
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老いる家 崩れる街 野澤千絵著 過剰な住宅建設 増える空き家
2016/12/11付日本経済新聞 朝刊
人口減少時代に入ったのに高水準の住宅建設が続いている。本書は「住宅過剰社会の末路」という副題の通り、過度な住宅建設がもたらす様々な弊害について警鐘を鳴らしている。東京の湾岸部で建設が続く超高層マンションや、都市部の郊外で止まらない宅地開発の背景を探り、このままでは「不動産」が、売りたくても買い手がつかない「負動産」になりかねないと厳しく批判している。
確かに、本書でも触れている賃貸アパートの建設ラッシュには「本当に入居者が集まるのだろうか」と思わざるを得ない面がある。著者が指摘している通り、都市計画の規制緩和をてこに自治体が人口の奪い合いをしているのも事実だろう。空き家は今では地方だけでなく、東京のような大都市でも急増している。
本書では群馬県みどり市や埼玉県羽生市など各地の事例も紹介している。様々な住宅のなかでも超高層マンションが抱えている問題について、的確にかつ鋭く切り込んでいる点が印象的だ。
著者は解決策として、都市計画と住宅政策の連携の必要性を強調し、今ある「まちのまとまり」に住宅の立地を促すことを提案している。そのためにも、住民一人ひとりが自分が暮らす街に関心をもつように求めているが、そこが最も難しいのだろう。(講談社現代新書・760円)
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長期優良住宅 建物の基本構造部分に耐久性が高い 配管などの設備の補修がし易いこと 間取りの変更がし易いこと 定期的な点検や補修等の計画が策定されていること 税制優遇あり
ただし立地が考慮されていない 老いる家 崩れる街
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空き家増加が社会問題化しているのに新築が周辺でもどんどん建築されている。このような問題に都市計画、住宅政策といった視点から考察している一冊。事例を挙げて問題点を指摘し、最後には提案をしている。
特に災害が起きる可能性がある立地に住宅を新築できていまう現状に嘆息。報道でもよく見るがなぜこのような土地に家を構えたのか、というケースもよくある。一定程度行政が規制できるようにすべきと思う。
このような本を読んで国民の意識が変わっていくのが望ましいが、正直難しいと思うのでお上からの規制が必要だろうと思う。
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著者が共著に名を連ねていた「これからの日本に都市計画は必要ですか?(学芸出版社)」が全く実務の香りを伴わない絵空事の羅列にしか読めなかったため、本作もまたどうせアカデミズムとやらの垂れ流しだろうとタカを括って手に取ったが、どっこいしっかり地に足のついたプラクティカルな内容で驚いた。都市計画屋さんを少し見直した(私の専攻も都市計画ですが)。
以前から「人口減少下で自治体のやる空き家対策なんて単なる近隣窮乏化政策」と思っていた僕にとって、本書の「自治体のやる過疎対策は規制緩和競争」という見解はまさに我が意を得たりと言ったところ。本著では都市計画の策定権限が無秩序に下部行政にデレゲートされてしまったことを原因に挙げる。考えてみれば、そもそも「立地適正化計画」なんてものが必要になったことからみても、都市計画行政は既にレームダック化していたということだ。本書で触れられる容積緩和の限定適用のほか、個人的には低層住宅地の最低敷地面積も厳格に運用して土地の細分化を防ぐべきと思う。
本書では住宅供給過剰社会からの脱却策として、新規住宅供給の乗数的波及効果を考慮してそれ以外の方策を述べるが、そこはきちんと本丸を攻めるべきと思う。ほぼ完全雇用の日本において、需要を無視して供給したって資産価格が下降するだけで需要は喚起しまい。既に日本は総量規制の道を探るべき時期に来てしまっていると思うのだが。
先日もある不動産業界団体のトップがインタビューで「個人的見解だが、人口減少はもうそろそろ止まる頃だと思っている」と言い放った記事を見た。どんな個人的見解だよ、と思ったものだが、不動産業界もこのまま根拠の不確かな楽観論に乗っかって住宅を無秩序に作っていたのでは、日本の都市としての価値を劣化させ、ひいては自らの拠って立つ「不動産の価値」を毀損しかねないことは頭では解っているはず。早い所「わかっちゃいるけどやめられない」から脱却しなければ、本書の指摘通り次世代の生活にとって取り返しのつかない事態になりかねないことを思い起こしてほしいものだ。
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私たちは人口減少社会なのに、住宅過剰社会という不思議な国に住んでいると著者は言う。
湾岸エリアのマンション群や、再開発と称してノキノキ立ち並ぶビル群を見ると、これだけの建設物が人口減少時代に必要なのか?いつも疑問に思う。
そのカラクリについて本著は詳細に述べている。
一つには住宅建設業界が土地取得費や建設費といった初期投資が短期間で回収できるために事業性を確保しやすく、住宅を引き渡し後の維持管理の責任も購入者に移るため事業リスクが低いことによるという。(そして常に作り続けないと収益を確保できないビジネスである。)
結局は住宅を供給する産業がある限り、住宅は造られ、商品を仕入れて売る、その利ざやで儲ける仕組みは、基本的に八百屋と変わらない。違いはその商品特性であり、売られてからの商品ライフサイクルや波及効果、社会的なインフラの必要性といったところだ。
特に問題なのは、住宅が現在のように野放しに社会的インフラも整っていない地域に虫食いのように建てられ、その居住地整備(道路、水道、ゴミ収集、学校 etc)に税金が投入されざるをえないことだ。
無駄な住宅供給が止まらない理由は、住宅産業だけではなく、人口増加させたい自治体、土地で儲けたい地権者などの思惑も絡む。
住宅を購入する者は、こう言った供給側の思惑の裏を読み、その土地の将来を見据え、町全体の持続可能性を冷静に考えて居住地を選択していかねばならないだろう。
が、どれだけ人々に選択権があるのだろうか。
自分の属性(仕事や出身地)に縛られる部分は多いだろう。
自分たちの街への問題意識を持つことを解決の一つとしているが、新しい街ほど地域への帰属意識を形成することや住民同士の交流を図るのは難しい。
一住民として、何ができるか、その範囲はとても狭いように思える。
読み終わって、絶望的な気持ちになる部分が多く、それだけこの問題の根深さを感じる。
防衛できることはあえて住宅を「使い捨て」することかもしれない。
これだけ過剰な住宅供給があれば、安い中古住宅も増え、住み替えももっと容易な社会になるだろう。
ただし流動性は政府の思惑で阻まれる可能性はある。人々を土地に縛り付けておくために、住宅ローンを低金利で組ませ、ローンに減税措置を取り、一見優遇されてお得に見せる。
将来的には地方ではなく中央政府が都市計画をもっとコントロールする社会になるかもしれない。
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都市計画に関する法律に関しては全く知識がないところではあるが、法規制をもって街をどのようにゾーニングしていくかということに関心があったので手にしてみた。
集落が無尽蔵に広がるとそれに併せた道路・上下水道などのハード整備が必要となることから、一定の法規制は必要であると私は思うが、権限移譲により市街化区域の線引きが県から市に委譲されたことにより、一部問題が生じてしまった事例も紹介されている。
世帯数は増えているとはいえ、今後人口減少傾向にあるのだから、コンパクトシティを目指すのが良いのではないかと個人的には思うのだが。
そんなことを考えさせていただけた一冊。興味がある方は手に取ってみてください。
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都内で良いマンションを探すと、いまだに凄い価格が付いていてため息が出てしまいますが、それは日本全体から見ると特例なのかもしれません。
私は世紀末の頃に、東京近郊に築10年の中古のマンションを購入しましたが、現在それを売却しようとすると、購入価格の半分程度ではないでしょうか。郵便受けに入ってくるチラシに書いてある価格が年々下がっていくのを見て寂しい思いをしていましたが、この本によれば価格がついているだけ、まだましなのかもしれない様です。
これから少子化が進み、その状態での相続が起こり始めると、空き家問題が益々大きくなってくることが予想されます。私が若いころは家を相続できるのは嬉しいことのように思っていましたが、維持費等を考えると難しいですね。
ある特定のエリアを除いて、すでに住宅過剰になっています、今後15年で、空き家が3倍近く(2100万)に増えて、3分の1が空き家になるそうです。色々と自分の未来について考えさせられる本でした。
以下は気になったポイントです。
・国内で既に建っている住宅の戸数は6063万戸(2013)、世帯総数に対して16%も多い。1973年に全都道府県で住宅総数が世帯総数を上回った(p4)
・住宅業界が分譲タイプの戸建て、マンションを建て続けている理由は、初期投資が短期間で回収可能、引渡し後の維持管理責任が購入者に移るので事業リスクが低い(p6)
・2025年には、人口の5%を占める団塊世代が75歳以上となり、2035年前後から彼らの死亡率が一気に増える(p7)
・全国世帯数は2019年の5307万をピークに減少、大都市においても2025年には減少となる(p9)
・新築住宅の着工戸数の90%が、これまで住宅が建っていなかった土地に建設、居住地が広がり続けている(p11)
・超高層マンションが相続税対策となるのは、低層・高層でも面積当たりの相続税評価額は同一、実勢価格比較で評価額が低くなるため、分譲形態にすると賃貸比較で、短い期間で土地取得費等の初期投資が回収可能(p27)
・総戸数が500戸を超える大規模マンションでは、5棟に1棟で滞納住戸が10%ある(p42)
・1998年に再開発地区計画という制度が導入されて、湾岸エリアの超高層マンションが建ち始めた(p48)
・相続放棄する場合も、家庭裁判所によって相続財産管理人が正式に選定されて管理が開始するまでは、適切な管理を継続しなければならない、専任申し立てには数十万円の予納金を負担する(p118)
・分譲マンションの管理組合としてやっかいなのが、住む予定のない住戸を相続放棄されると、管理組合が相続財産管理人の選任を家庭裁判所へ申し立てる必要がある(p123)
・2009年6月に、長期優良住宅の普及の促進に関する法律が施行、耐用年数が長い(75-100)住宅が供給されはじめた(p175)
2017年4月30日作成
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・空き家のタイプ4類型:賃貸空き家、売却用空き家、二次的住宅、その他空き家
・2023年には5戸に1戸、2033年には3戸に1戸が空き家
・全国の空き家の52.4%(429万戸)が賃貸住宅。サブリース
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長期的に考えてどこに住むかという選択がますます大切になってきますね。所有から利用という選択も進んでいくように思います。
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「15年後には3戸に1戸が空き家に!」「再自然化」する空き家、スラム化する分譲マンション、漏水・破裂する水道管???日本が都市部も周辺部も壊れていく・・・。何とかしなければ!
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自分の問題意識にピタッとはまった本でした。
自分が今住んでいる町は、たぶん僕が死ぬまで、今と同規模の町としてきちんと機能すると思うんですが、自分の実家がある市は、このままいくと、僕が死ぬ頃には、市としての機能が相当衰えていると思うのです。
都市が都市として機能するために、住宅から考えることは、とても意味があることですし、考えやすいと思います。
より多くの人に、この本のような視点をもってもらいたいものです。
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2025年以降、東京圏は高齢者が激増し生産年齢人口が減少していくため、地方圏より相対的に貧しくなっていく。
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メモ
・湾岸エリアは眺望の陣取り合戦。
・公共施設、教育、医療、福祉系施設などの施設も、人口減少、財政難により、統廃合され、現在より広域エリアを対象とせざるを得なくなるなるでしょう。
・「週間東洋経済」によれば、首都圏の鉄道網を持つJR東日本ですら、黒字なのは全70路線のうち18路線しなかく、52路線が赤字。赤字ばかりの地方都市では、自治体が税金で路線維持のために支援している場合が多いですが、このまま支援を続けられるかは疑問であり、近い将来、路線の廃止が相次ぐ危険性が懸念される。
・長期的に見ると、低蜜に拡大した郊外の住宅は、住宅単体としての話はさておき、周辺のまちを含めた住環境として見た場合に、今のように暮らしやすいままであるかは極めて未知数。
・「30年一括借り上げ」サブリースは、サブリース会社が損をしない仕組み、ビジネスモデル。羽生ショック。
・都市計画の規制緩和のあり方の抜本的な見直し
・大都市のまちのスポンジ化。中心部は古く、その周辺は新しい。日本の都市計画や住宅政策が、住宅供給を市場原理に任せたままで、これまで作ってきたまちの新陳代謝を生み出そうという意識や意欲が不足していた。
・難問だから無理だと言って思考停止するのではなく、やらない理由ばかりを見つけるのではなく、将来世代に今よりさらに良い遺産として引き継いでいけるように、知恵を出し合うことが真に求められているのです。(いいこと言うなあ!)
・ドラマ金曜日の妻たちへ、の舞台ともなった町田市は、高度経済成長期に開発された郊外のおしゃれな新興住宅地として注目を浴びました。その時代のあこがれとなるような良好な住宅地であっても、現在の居住者の寿命が尽きる時期から一気に空き地が増える危険性がある。
・2025ねん頃、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる。2035年頃には、団塊世代の死亡数が一気に増えると予想される。この時期に放置されるケースが多いのでは…
・住宅地の行く末は、団塊世代の死後、相続する子ども世代(団塊世代ジュニア)がどのように取り扱うかにかかっているといっても過言ではない。(なるほどー。)
・住宅の終末期にババ抜きが始まる。空き家の維持管理費、解体費用を誰が負担するのか。自治体が行政代執行を行う場合というのは、よほどのケースのみ。
・分譲マンションの居住者が亡くなった後、相続人は相続したマンション住戸に住まなくても、固定資産税や管理費等を支払う義務が生じる。そのため、マンションを相続しても自分は住まずに賃貸にする場合も多い。…相続人全員が相続放棄した場合、管理組合は相続人財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があり、最終的には相続財産管理人が、その住戸の処分をすることになります。しかし、この申し立てには、数十万もの予納金に加えて、司法書士などの申請代行費も必要となり、たとえ物件を売却しても、管理費滞納分すら回収できない可能性もある。高齢化した管理組合にこのような難しい対応ができるのかという問題もある。今後、相続放棄される住戸が急増していくと、仮に相続財産管理人の選任という難しい手続きや対応ができない場合、管理費が徴収できない相続放棄された住戸が増加ひ、マンション全体の費用が不足するなど、維持管理に影響を与えかねない。
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「人口減少社会」なのに「住宅過剰社会」というのは確かに不思議である。今後、空き家は増えて、住環境もおいていく。その現実を突きつけられる。このような社会の中で、いかに生きていくべきか、を考えさせられる。
そのためには、自分たちの無関心もやめるべきだし、行政の都市計画・住宅政策も転換して行かねばならない。いずれにせよ、最近、この「住」という話題には関心があり、もっと学ぶ必要性を感じている。