紙の本
幻想と頽廃
2017/06/14 15:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビアズリーが夭折した画家、オスカー・ワイルドが名声を得ながらも男色罪で投獄され、転落の人生を送ったのも知っていた。しかし、ビアズリーの姉の存在は知らなかった。
プロローグとエピローグは不要と感じさせるほど、あやしくも美しい、芸術にとらわれた青年とその青年を愛し独占しようとする姉の姿がさながら縦糸と横糸のように織り上げられていく。
さながら、ビアズリーの絵のように。
紙の本
19世紀末ロンドン
2017/05/20 20:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新しく発見された絵から19世紀末のロンドンへ思いを馳せます。
オスカー・ワイルドと画家オーブリー・ビアズリーの出会いから深い関係を築き別れるまで。
ワイルドの異端めいた作品、ビアズリーの妖艶な挿絵。ワイルド文学と言えばこの挿絵、と言っても過言ではないくらい。
しかし画家の事は何も知らなかったなぁ、と思い至りました。
ヴィクトリア朝の息苦しさ、産業革命後のエネルギーと退廃、そういった時代に現れた天才たちの愛憎が鮮やかに描かれてます。
電子書籍
夭折の天才画家の生涯
2017/05/20 20:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀末のロンドン。オスカー・ワイルドと天才画家オーブリー・ビアズリー、オーブリーの姉メイベルを始め、彼らを取り巻く人々の姿がいきいきと描かれてます。
妻子がありながら男色家であったことも有名。ワイルドの恋人も登場します。
作中で「白薔薇の貴公子」とメイベルに表現されてる侯爵家の子息。ちょっと意地悪くて残念キャラです。
メイベルの浅知恵で姉弟で破滅へと向かってしまう。そんな結末も19世紀末の英国にふさわしい。
退廃的で妖艶で美しい、ほのかに苦みのあるお話でした。
一気に読める。
電子書籍
サロメ
2017/09/24 16:15
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投稿者:おじ屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵から広がるサロメの世界。
その無限に広がるワイルドの戯曲の裏側にこんなにも複雑で奥深い人間模様が隠されていたなんて。
メイベルの女としての醜さが、サロメにどんどん近づいて行くようでそら恐ろしい気持ちになる。
あなたの口に口づけしたよ、ヨカナーン
という言葉がまた違う奥行きを持って私の心に迫ってきた。
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【退廃の世紀末。二人の天才を、“運命の女”が悲劇へといざなう】十九世紀末のロンドン。美貌とスキャンダルで時代の寵児となった作家オスカー・ワイルドと、天才画家ビアズリーの愛憎を描く。
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史実を元にしたフィクション。圧倒的な勢いで物語に引き込まれました。思わず、オスカー・ワイルドの「サロメ」も購入。ハマさんの美術を巡る物語が大好き。
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史実に沿いつつ、オーブリー、メイベルのビアズリー姉弟を描く。
メイベルをサロメに擬している(というか本作中ではメイベルが劇中のサロメに魅いられている)のは明らかで、それを象徴する大吐血したオーブリーの口から血を吸い出すシーンのイメージは、オーブリーによる挿し絵そのものだ。
本書を読みながら、ワイルドの「サロメ」も同時に読んだかのような気になる。
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2017年早々凄い本が出た…
何この愛憎劇は…
オスカー、ビアズリーを中心に皆んなの2人へ対する愛と言うより所有欲が凄まじくて地獄のような展開に。
世紀末のロンドンで、2人が天才同士、男同士にも関わらず深い関係だからこそ起きた歴史の一幕。
史実はどうか分からないけど、もしこれが本当の話だったら凄い事件だなと思った。
人間誰しもサロメになり得る…
泥沼っぷりが最高でした。
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カテゴリーは敢えてミステリーに。
この世界は嫌いではなく、とても興味深く読了。
聖書は全く身近かでないですが、なんでこんな話があるのだろう?とても興味深い。
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19世紀を代表する作家オスカー・ワイルドと彼の代表作「サロメ」の挿絵を描いたオーブリー・ビアズリーの物語をオーブリーの姉・メイベルの目線で描いた物語。時代の寵児と言われたオスカーと急速に仲を深めていくオーブリーに嫉妬するメイベルが恐ろしい…どこまで真実かは分からないけど、男色家として世間をあっという間に追われるオスカー、それに巻き込まれるビアズリー姉弟。そういう時代が確かにあったんだと実感する力作。物語にぐいぐい引き込まれ、長編とは思えないくらい、一気に読み終わってしまった。
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これはすごい。ワイルドとピアズリーの関係をサロメに擬えた傑作。
真実は知らない。でもこうだったらいい。
原田さんの作品を読むたびにそう思ってしまう。
オーブリーの最期も、オスカーの最期も、これでよかったのではと思わせてしまう。
愛と憎しみは表裏一体で元を辿れば同じものに辿り着く。
誰もが誰かを全力で愛して憎んで、その首をと願う。
サロメのごとく狂気に満ちた物語。タイミングを間違えて読んでしまったら此方側に戻れなくなりそうな気がする。
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本書を読むに先立って、平野啓一郎さん訳(講談社古典新訳版)のサロメを読みました。同書で、平野さんは、「モローだとか、ビアズリーだとかによって、ワイルドの≪サロメ≫は、随分と塗りつぶされてしまっている。」(「訳者あとがき」128頁)と指摘します。ワイルド自身の意図を超え、三島由紀夫をして「ビアズレイを選ぶことと、≪サロメ≫を選ぶこととの間に、そもそもどれだけの径庭があろうか。」とまで言わせてしまう、ビアズリーの挿絵の魔力は凄まじいですね。
「<サロメ>は誰によって書かれたと思いますか?」(本書19頁)という冒頭の問いは、まさしくここに繋がっていきます。
この出発点から、架空の未発表資料を登場させて、ちゃんと原田さんの小説世界は出来上がっていく。本書の主人公は、ビアズリーでもワイルドでもなく、メイベル=サロメなのだから。
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刺激的で、ドキドキし、焦り、不安で、物語の中で溺れるような
そんな感じでずっと読んでいた
ネットで見たオーブリー・ピアズリーの絵は不思議で
その不思議さがこの小説を支配しているような気持ち
すごい時間を過ごしたけれど、疲れた
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面白く読めました。サロメは今度読んでみたいと
思いました。また、ピアズリーの絵はどこかで見たことが
ありますが、もう一度よく見てみると、なかなかすごい絵
です。
原田さんの美術界の史実を使った小説は、絵を見ながら
読んでいくとひきこまれて行きます。
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19世紀末イギリス出身の画家オーブリービアズリーの人生、サロメの挿絵についてを姉メイベルの視点から描いたもの。劇作家オスカーワイルドとの絡みはこの作者の他の作品にはない、ドロドロとしたものだった。作品全体に妖異な空気が漂う