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主人公が読んでいる本の内容が気になりすぎて
本編に戻るのに一瞬戸惑うという
何とも不思議な作品。
主人公が読書を楽しんでいるのが
ひしひし伝わり、そうそう、
出てくる食べ物食べたくなるよなー
ってな具合で、楽しめた。
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初出2014〜16年「ランティエ」
どこか外国の不倫カップルの片方の失踪事件から始まったと思うと、主人公が読書中の本の文章だったり、人物の説明がないまま複数のストーリーが断片的に進行して混乱させられ、必死に情報をかき集めるように読み進めざるをえず、作者の仕掛けにまんまとはまる。
特に盛り上がりもなく、淡々と日常が描かれるが、それぞれの思いはよくわかる。
大金持ちらしい稔さんの、本ばかり読んで暮らし、女性に援助するライフスタイルには憧れる。笑
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本の中の登場人物が読んでる本を、本の外にいる私が一緒に読むのはなんだか不思議な体験だった。
キリのいいところで、登場人物の読んでる本が終わるのではなく、唐突にプツッと終わり、また唐突に始まる。
ラースの本を最初から最後まで読みたかったなー。
稔の本の世界にすっぽりと入ってしまう読み方が、共感できて楽しかった。
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読書好きの主人公・稔が読んでいる本の内容が、作中作として書かれている。本の中ではいろいろ事件が起こるけど、稔の方の世界は平穏で何も起こらない。スパイの世界に入り込んでいたのに、インターフォンが鳴ったり誰かに話しかけられたりして稔が現実に引き戻されると、私まで読書を中断させられたような気になった。その物語が途切れる感じがなぜか好きだった。わかる、わかる。最後の稔のセリフが微笑ましい。続きも気にならないし、記憶にも残らないような話だったけど、休日に旅先でのんびり本を読んでいるような気分になれた。それがいい。
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最後がな...余韻と言えば余韻だけれど、読者に振られても、年とともにこちらの想像力が枯渇するのが残念。
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時々差し込まれる稔の読んでる小説の部分は読み飛ばしたんだけど(*´ー`*)でも本好きとしてこの読みたい気持ちとか没頭する気持ちはとってもよく分かった。
この気だるさと何も起きてない(ように感じさせる)感じがいかにも江國香織。そして相変わらず食べ物が美味しそう。
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空気感が好きすぎて、一年以上かけてゆっくり、ゆっくり、読み進めた。再開するたびにこの本の中に住んでる人に会いに来たような気持ちになって。江國香織さんは空気の粒々をすくい上げる小説家。またどっぷり、他の作品も読みたい。
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本の登場人物と一緒になって本を読みながら、話がすすんでいくという不思議な構成。
読書の楽しみを疑似体験できる。
からりとした文章で小学生から50代の男女までのそれぞれに困難な生活が描かれている。
チカさんの小料理屋がぜひ近所にほしい。
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江國香織さんの長編、初めて読んだ。
本を読んで暮らす稔の小説内小説と、周りの人たちの小さな痛みのある生活。
「でもだから何だというのだろう。世界のどこかで実際に起きたことと、小説のなかで起きたこと、どう違うというのだろう。」
稔の心の声。
本当に。と、思わずにはいられない。
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親の遺産で悠々自適に暮らす読書好きの中年男と、その周辺の人たちのひと夏を描いた作品。
主人公は、財産管理のための雑務をこなすだけで仕事にも就かず、日がな読書に勤しむという何ともお気楽なご身分。姉、友人、店子たちも、いわゆる社会の規範からはどこかしら外れた人たちばかりだ。
さらに特別な出来事が起こるわけでもなく、あっても深追いはせずにかわしてしまうため、作品全体に独特の浮遊感が漂っている。
そこをうまく引き締めているのが、しばしば挿入される、主人公が読んでいる小説だ。断片的に示される作中作で、このストーリーがかなり気になる。その時点で、主人公と同じ気持ちになり、先を読みたくなるというわけ。
ふんわりとした気分で読み終えた。
内容とは関係ないが、漢字の送り仮名の誤りが複数あり、気になってしまった。あと、スズメとかハトとかいう名前、親は付けないと思うけど。
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江國さんの紡ぐ言葉は私にはとても魅力的でページをめくるのが楽しかった
読み終わるのが勿体なくて意味もなく綴じて放置して開いて読み進む
素封家で読書家の稔と周りの人々を綴る物語
稔の姉で写真家でドイツ在住時々日本で常識を介さない雀
実務家で税理士で稔姉弟の資産を一手に預かる幼馴染の大竹
稔元恋人で稔の子波十の母の渚
稔の店子のチカとさやか
稔、大竹の同級生の淳子...
沢山の登場人物の様々な思想、人生が江國さんの筆にかかるとふわっと膨らみだす
頭の中で沢山の群像劇が巡る
想像を豊かに喚起させる
大人になっても、子供でも、何を選んでも、選ばなくても普通を好んでも異端でもここの世界は誰もが共存してた
楽しかった
稔の読む本の世界と重層しながら進むのもとても新鮮
それなのにスッキリ読みやすい江國マジック
読む楽しさを堪能した
読んだ後の充足感 何が変わった訳でも、ラストがあった訳でもないからこそ、今も彼らは進んでる気がする
自分たちとともに
そんな読後感だった
そして登場人物の名前がとても素敵
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日本と海外の二本の作品を同時に読んでいる感覚になりました。突然、プツンと途切れる感じで物語が切り替わるので、なんとも不思議な余韻の繰り返しでどこまでもアンニュイ。凡人の私には馴染めない内容でしたが、江國さんの文章力のスゴさだけは理解できる一冊でした。
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江國先生にしては珍しい、長編での男性主人公。
そして、登場人物が読んでいる小説の文章が挟み込まれるという形式で書かれた小説でした。
う~~ん先生が書くとこうなるんだな…。
途中で出てきた海外の絵本がめっちゃ気になるんだよな~~…。
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結局何が言いたかったのか。
又は何も言いたくない日常を淡々と現した小説か。
江國さんの淡々とした日常の物語は好きだ、
それに浮世離れした由緒正しきお金持ちの話も。
今回もその両方が堪能できるかなと思って読んだ。
出席しなくてはいけないパーティやら葬儀やら
勝手に送られてくる数々の到来物やら、
浮世離れした50代の男、稔が主人公。
でも江國さんの得意な手法、語り手が次々と
かわるので、他にも主要な人物は多々登場。
どの人にも感情移入できない、しなくても
良いのだけれど、肩入れしたい登場人物も
あまりいない。唯一まともなのは稔の道楽の
ソフトクリームやさんの店員の茜かな。
稔の娘の波十ちゃんが一人称の部分が好きだった。
でも思春期の娘、波十がいるのに再婚してしまう
稔の元妻の渚や
本当の父親には子供を認知されず、お金持ちの稔に
書類上の父親になってもらっている茜の友達とか
苛々する女性も多く登場する。
かっこよく表現しているけど、自分の人生に全然
責任持ててないと思う。
稔の友人の大竹が一番気味悪かった。
ものすごい奥さんへの束縛(本人は全く気づいてない)と、
歯科矯正のために話しにくく赤ちゃんことば
みたくなってしまっているしゃべり方が
あいまって気味悪かった。
途中稔が読んでいる小説が文章まるごと
入ってくるけど、この書き方で
何かしたかったのか
いまいちよくわからない。
稔の離婚理由が本の中に入り込んで
一緒の空間を共有できないという渚の
申し立てによる離婚だから、それだけ
本が重要な役割なんだと言いたかったのか。
でもKGBとかが絡んだミステリーとカリブの
マフィア絡みの恋愛ものとか、面白かった。
もっとそっちの話を読みたいと思った。
結局心にのこることもなく、
もう読み返さないだろう本だった。
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3.5
親の遺産で、日々本を読み暮らす生活をする主人公・稔。
普通を求め別れた妻・渚とその娘・波十。
年下の美しい妻に出ていかれ、三下り半を突きつけられてもまだ理解できない友人・大竹。再会して男女の関係になった淳子。
稔の読む小説が、かなりの密度で作中に挿入されているのが、独特の空気を創り出している。