紙の本
村上春樹のいる風景
2017/05/26 07:53
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もし村上春樹がいなかったら、私たちはレイモンド・カーヴァーというアメリカの作家の作品を読むことはなかったかもしれない。
あるいはスコット・フィッツジェラルドという作家の再発見もなかったかもしれないし、サリンジャーもチャンドラーも新しい翻訳でめぐりあうこともなかったのではないか。
村上春樹が翻訳をしたから彼らを読んだというのは言い過ぎだろうか。
村上春樹が『風の歌を聴け』で小説家デビューしたのが1979年。随分長い職歴になったものだ。
しかも副業ともいえる翻訳本も70冊くらいあるというのだから、普通の会社なら上司から嫌味のひとつくらい言われそうだ。
まあ本業もしっかりしているから嫌味もでないのだろうけど。
その副業のほうの仕事ぶりを「ほとんど」全部まとめたのがこの本だ。
最初のカーヴァー本は1983年の『ぼくが電話をかけている場所』で、このタイトルそのものが村上春樹らしい。
この本では村上春樹の翻訳した本が「ほとんど」紹介されているのに合わせて、同期(会社でいえばちょっと若いのにメチャ優秀な奴)の柴田元幸との対談がいい。
案外この対談のなかに小説家村上春樹を知るヒントが隠されたりする。
例えば、「翻訳作業が僕の教室みたいなもの」だったり、「角を曲がると新しい光景が出てきて、それをそのまま描写する」みたいであったり。
きっと村上春樹にとって翻訳という副業があったからこそ小説家という本業が成功したのだろうな。
紙の本
村上さんの36年にわたる70以上の訳書についての振返り
2023/06/27 16:27
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹さんの翻訳書は70冊を超えるらしい。彼は小説家でありながらも翻訳家としてもとてつもない実績を誇ります。その原動力がどこから湧き出てくるのか、その答えは本書の後半に掲載されている柴田元幸さんとの対談の中にあります。
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ツボに入りすぎて
2017/04/22 10:49
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投稿者:Plaa - この投稿者のレビュー一覧を見る
騎士団長殺しよりも先に読んでしまった!
村上春樹さんが、どんな思いでその本を訳したいと思ったか、いちいちなるほど〜〜と思わせてくれて、あっという間に読了。
また、原作で読んでみよう!と思わせられる本が増えてしまった…
ただ、村上さんは若い頃に、そんなにたくさんの洋書をどうやって手に入れてたんだろう…と、いつも不思議&うらやましく思っていたが、
それに対する答えは見つからず。
有名本屋の洋書コーナーに行っても、
映画になった話題作や、既に日本語に翻訳されたもの等の原作が多いように感じるので。
村上さんはどうやって、日本で無名だったレイモンド カーバーなる人の原作を手に入れ、読んでいたのかしら。
つい数年前に、スイスの本屋で店主に「レイモンド カーバーを置いているか?」と聞いたら、「誰 それ?」と…^ ^;
あ、柴田元幸さんとの対談もおもしろかった。
わたしは、どちらも好きなので、
お二人の翻訳の仕方や翻訳に対する考え方の違いがたくさん知れる感じが、たまらない。
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それこそ ”ほとんど” 読んでいた。
彼が訳して紹介してくれなかったら、ティム・オブライエンにもグレイス・ペイリーにも出会うことはなかったのだろうし、「心臓を貫かれて」でぐっさり貫かれることもなかっただろう。
一冊を通して、翻訳者としての良心と誠意を感じる。自分が気に入った物だけを訳せるのは彼の特権?であり羨ましい限りだが、楽しんで訳しているからこそ、彼が気に入った何物かが読者にも届くのだろう。
次にどんな作品が届くのか、いつも楽しみだ。村上訳「心は孤独な狩人」もいつかぜひ読んでみたい。
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旺盛な意欲の源は、翻訳が創作にもたらした影響は――思い入れをこめて訳書1点1点を自ら紹介。翻訳家・村上春樹が36年の道のりを振り返る。柴田元幸氏との対談も収録。
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村上春樹が翻訳した作品について語る本で、村上春樹翻訳の本はチャンドラーの翻訳を中心に数冊しか読んだことが無くて、こんなにたくさん翻訳していたんだ、と改めてびっくりした。もっと村上春樹翻訳の本を読んでみたいな、と思った。
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初読。図書館。小説家・村上春樹の本はほぼすべて読んでいるが、翻訳家・村上春樹の仕事はずいぶん前に数冊しか読んでいない。どの作家にものめりこめなくて、「翻訳してる時間あったら新しい小説書いてくれよぉ」と思ったものだ。でも村上さんにとっての仕事としての翻訳の話はとても面白くて、今は「翻訳したいだけしていただいて、さらに新しい小説もお願いします」と思っています。
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語学もできないくせにいつかじっくり翻訳…ぢゃなくても、読みたい本を言語で読みたい。と思うけど、好きな人は時間があるないの問題ぢゃなく、読んで、楽しんで訳すんだな、と。翻訳本はどうも苦手だったけど、訳者に村上春樹の名前を見るとつい手にとってしまう、翻訳本も訳者で選べる楽しみ。とりあえず「バースデイ・ストーリーズ」を図書館予約。
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気軽にも読めるが、知識次第では人それぞれ深めることもできる。
翻訳を全然知らない人から、翻訳に携わる人まで。
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翻訳本には(スティーブン・キングは別)あまり興味がなかったけど、あまりに著者が夢中になって読んでこれを訳したいって(日本にも紹介したい)って思ったほどの小説なら
読んでみたくなった。
小説と翻訳が上手く連動して(別の筋肉を使ってそれぞれに相乗効果があるらしい)書けるってのがすごい。
翻訳は柴田元幸氏との対談でも触れてたけど楽しい作業らしい。
絶賛しているいくつかの春樹翻訳の本、読んでみよう。
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翻訳におけるこれまでのランドマークという感じで、翻訳家としての村上春樹の魅力いっぱい。カーヴァーやフィッツジェラルドを日本に紹介した功績はとてつもなく大きい。
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★3.5。
作家が翻訳に勤しむ秘密が垣間見える。文章の習得、究極の熟読等々、年間2冊程度の翻訳本を世に送り出してきた実績から重みがあります。
それにしても他の作家はどうやって文章・文体を我が物にしているんだろうか?村上春樹を通して心に浮かんだ素朴な疑問であり、本作読了後の最大の関心事です。Bruceじゃないけど学校じゃぁ学べんでしょ?他の小説なのかな?
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現存する職業作家のうち、自らの創作活動と平行して最も多くの翻訳活動を行っているのが村上春樹であるのは間違いがない。僕自身にとっても、レイモンド・カーヴァーやレイモンド・チャンドラー、ティム・オブライエン、ジョン・アーヴィングなどとの出会いは、彼の翻訳がなければなかった可能性があるし、スコット・フィッツジェラルドやJ.D.サリンジャー、トルーマン・カポーティなどの新訳によって、改めて作品の持つ素晴らしさに触れるなど、彼の翻訳作品を読むのは大きな楽しみであった。
本書では、彼の翻訳作品の全仕事のクロニクルや、そのサポート役を長年務めたアメリカ文学者/翻訳家の柴田元幸との対談等を通じて、彼の翻訳活動の全体像を掴むことができる。改めて読んでいない作品もたくさんあることに気づき、1冊ずつ読んでいく楽しみが今後も得られることを嬉しく思う。
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村上春樹の翻訳は数冊しか読んでないが、この本は読みたかった。
柴田元幸さんが、結構関わっておられることは知らなかった。
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こういう過去の仕事をまとめたアーカイブものの本は、「データベースとしてはいいけど、読み物としてはちょっとなぁ」と感じることが多いが、本作では小説とは違う翻訳の楽しみ方を教えてもらった。
「村上春樹ほどの人なら、最初から翻訳なども軽くこなしてたんだろう」などという思い込みは軽く吹き飛ばされる。
何度も間違え、たくさんの朱を入れられながら翻訳の腕を磨いてきた姿に背筋を正される思いがした。
それでも「血の滲むような努力」みたいな悲壮感は微塵もなく、翻訳は「自分へのごほうび」であり「午後からの楽しみ」であり「時間さえあればついやってしまうもの」という。
「これからは国際社会なんだから英語くらい…」などと100回説かれるより、遊ぶように学ぶ大人の格好良さは刺激になる。