投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
清少納言の置かれた状況を克明に記述し、説得力のある形で当事者の心情を再現している。同じ著者の「源氏物語の時代」も名著であったが、これもそれに劣らぬ作品である。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
清少納言が何故「枕草子」を書いたのか。
それは一重にお仕えしていた、中宮定子のため。
実際の彼女の生きた時代の政治背景は、をかし事は少なく、政治的陰謀で精神的に大変だった時代。
そんな心の重荷をほぐして欲しい、そして後世の人々に、中宮定子の雅で賢く立派だった姿をの書き残したいという清少納言の心が解説でとても心に沁みました。
奥が深く、どこまでも裏を読む天才です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
枕草子の歯切れの良い潔い文章
清少納言と定子の機知に感嘆しつつ
謎解きのようなわくわく感
最後には見事な収束
あとがきの最後で涙
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
本当に面白い。
清少納言が、どういう社会情勢のなかでなんのために書いたのか。
切なく、愛おしい。学校でも少し教えてほしい
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
なんと、面白いことか。
本書が扱うのは古典の名作『枕草子』。学校の授業で、文法に悪戦苦闘しながら、つまみ食いのようにして読まされた『枕草子』。おそらく、全文を古文で読み通した人はそうはいないだろう。
かくいう私も、田辺聖子さんの現代訳『むかし・あけぼの』(名作です!)を読んだ程度。『枕草子』は、どこか、軽いエッセイのようなものと捉えていた。だが、それは確かに一面だが、それだけではない。『枕草子』には清少納言のたくらみ、想いが込められていたことを本書は指摘する。
その手がかりは、歴史的事実と『枕草子』の記載の乖離から浮き上がる。著者の山本さんは、それを清少納言の事実誤認とは考えない。清少納言が意図的に改竄したと考える。では、何故、彼女はそのように記したのか。哀しくも「あはれ」なたくらみが明らかとなる。
しかし、清少納言のたくらみは成功したと言えるのではないだろうか。なんと1000年以上経った今に至るまで、聡明な中宮定子を中心としたそのサロンは、明るく、闊達なイメージで受け入れられているのだから。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
みなさんのレビューで気になった本。小説以外の本はあまり読まないのだが、興味深い内容で楽しめた。
『枕草子』というと『春はあけぼの』など、幾つかの文章を遠い昔に授業で覚えただけの薄っぺらい知識しかない。イメージで気位の高い知識人のおばさま女房が宮中での日々を綴ったエッセイと思っていたが、この本を読んで変わった。
また作者・清少納言が仕えた中宮・定子についても後に入内する藤原道長の娘・彰子のライバルくらいの、これまた薄っぺらいイメージしかなかったのだが、この本を読むと何と波乱と悲劇の人生だったのかと驚く。
一条天皇に最初に嫁いだ后で父親は当時の権力者。帝との仲も睦まじく人生の絶頂期。しかし父親の急死により事態は一変。権力者は道長に取って代わり、后という立場は一気に揺らぐ。そこから更なる悲劇と変わらぬ帝の寵愛とに揺れ動く。
ざっくり書いただけでも映画やドラマになりそうなくらい波乱万丈だが、その定子に仕えた清少納言の立場もまた波乱続きだ。一時は出仕出来ないほど追い詰められ、その後も定子の境遇がどんどん侘しく辛いものになっていくのを目の当たりにするのだ。
『枕草子』は定子が辛い状況に陥った正にその頃に書かれ始め、定子亡き後も書かれ続けた。では『枕草子』は何のために書かれたのか。
『枕草子』では定子の辛い状況や道長への恨み言は殆ど書かれない。日々の徒然を面白おかしく、楽しいこと美しい瞬間、雅なエピソードで彩っている。『枕草子』の中での定子は嫁いだばかりの頃のように誰に憚ることなく帝と仲睦まじく過ごし、清少納言ら女房たちには優しくも時に知己や機転を鍛えさせてくれるよき主人であり、貴人と思えぬ積極性と茶目っ気を見せてくれる個性的で魅力的な女性だ。
紫式部の「絵空事ばっかり書いてるんじゃないわよ」という批判は当たっていたのだ。そこには切ないほど必死で健気な清少納言の思いがあった。
作者さんの解説を読むと、挿入される『枕草子』の数々の文章に清少納言の定子愛を感じる。それぞれのエピソードに清少納言の「こんな楽しいこと、面白いこと、幸せなことがありましたね」という定子への呼び掛けすら聞こえてきそうだ。
定子を楽しませるためなら清少納言は進んで道化の役もやるし恥ずかしいエピソードも披露する。定子の前では気位の高いオバサンではない。
こんな魅力的な定子という女性を描いた『枕草子』は、何故時の権力者・藤原道長に握りつぶされなかったのか。
その第二の問は言われるまで気付かなかった。まあ定子の境遇と『枕草子』が書かれた理由を知らなかったからなのだが。
だが言われてみれば確かにそうだ。長い歴史の中で、常に文書は後の権力者の都合に合わせて作られ、都合の悪いものは改竄され潰される。そこにも第一の問同様、清少納言の巧妙な「絵空事」戦術があった。
とは言え、娘の小馬命婦をちゃっかり彰子に仕えさせている辺り、親としての心情は別なのだなと思ったりする。
道長の世は当面続きそうだから彰子に仕えていれば娘は食いっぱぐれはなさそう��し、上手く行けば良い男を掴まえられるかも知れないし。なんて考えていそう。
凋落後は道長派からの露骨な嫌がらせを受け続け、周囲からも距離を置かれ不遇なままだった定子が、崩御後は手のひら返しで気の毒がられたり恐怖の対象になったりというのは、現代でも通じるところがあって興味深い。
そこにはこの時代ならではの、祟りや怨霊が本気で信じられていたという背景があったのかなと考えられる。だからこそ『枕草子』も守られたのではないかとも思う。
道長も晩年は多くの怨霊に悩まされていたと聞く。まぁ彼の場合、定子に限らず色んな恨み買っていそうだし。
これまた始めて知ったが『源氏物語』の桐壺の更衣は定子の境遇にそっくりとのこと。
紫式部が仕える彰子のライバル、定子をモデルにしたとしたならそこにはどんな思いがあったのだろう。立場を越えて、定子の境遇は紫式部の創作意欲を刺激するものだったのか。
それにしても作家さんは清少納言と定子が好きなのだな、と全編通じて感じた。まあどうしても悲劇的な方に肩入れしたくなるのは解る。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
表題がなんとも魅惑に満ちている。
かの清少納言が随筆『枕草子』に託した”たくらみ”とは?
冒頭「春は、あけぼの」に込められた秘かな想いとは?
今まで他の物語を読んで何となく知っていた中宮・定子の波乱万丈な人生。
山本淳子さんの指導により深く掘り下げてみると、定子の毅然とした美しさや聡明さ、それを見守る清少納言の知性に惚れ惚れする。
誰もが羨む恵まれた血筋に生まれながら必ずしも順風満帆とは行かず、暗闇をさ迷うような人生を歩んだ定子。
そんな定子の気持ちを誰よりも察し、定子の苦悩が少しでも和らぐように、定子の魂を鎮め浄化させようと、清少納言はただ黙々と『枕草子』を書き綴る。
人生とは時に切なく時に儚く、けれどそれら全てはこんなにも光り輝き美しい。
清少納言好きはもちろん、平安時代好きにはたまらない一冊。
とても贅沢で有意義な時間を過ごせた。
何かと比較される清少納言と紫式部。
2人が孫の代まで因縁があったとは驚いた。
この2人って何かと比較されるけれど、時代的に見ても出逢ったことはないはず。
なのに何故こんなにも比較されるのか。清少納言の後に後宮入りした紫式部にとって、目の上のたんこぶ的存在の清少納言のことは忌々しくどんなにか嫌であっただろう。
それが孫の代まで縁があるとは、あの世の2人もびっくりしたことだろう。
千年の後の世でも受け入れられ、幅広い世代に読み続けられている『枕草子』。
定子が後宮で創り上げた文化は時代を超えて今もなお生き続ける。
『枕草子』に託した清少納言の”たくらみ”は大成功と言えよう。
悲しい時こそ笑いを。
くじけそうな時にこそ雅びを。
「あはれ」を「をかし」に変える清少納言の姿勢を見習いたい。
最後になりましたが、この著者を紹介して下さった地球っこさんに感謝します(*^^*)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
枕草子 に秘められた意図を平安文学研究者が解きあかす。引き込まれる。文学とはこういう研究なのですね。
良書と感じます。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
学生時代は「枕草子」、「清少納言」、「春はあけぼの」を連想ゲームのネタ的に記憶したり、「春はあけぼのやうやう白く~」から「冬はつとめて。雪の降りたるは~」という文面と現代語訳を暗記したりしただけだった。
それから時間が経っても「説経の講師は、顔よき。(説経の講師役のお坊様は、イケメンが良い)」などにより、平安時代のエッセイ集という認識でしかなかった。
ところで今回、源氏物語(の翻訳本)を読み終えて平安時代に興味を持ち始めた頃、ちょうど新聞の書評でこの本が紹介されていたので、図書館で借りて読んで見た。
単なる軽いエッセイ集ではなかったんだ。
枕草子ほどターゲットを絞り込んだ作品はないかも知れない。
だから、読む人にとっては「これは真実ではない」と腹も立ったであろう。
しかし、この枕草子を分析するこの本によって、教科書とは別の角度から平安時代が見られて面白かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
本作を読む前と後とではおそらく、清少納言への見方、そして『枕草子』の見方は変わってしまうでしょう。私は変わりました。
学生の頃教科書で習った『春はあけぼの』の解釈、清少納言への理解がなんと浅いものであったのか・・・!
作品に込めた作者の思いや時代背景、作品の生い立ちを知ることが、どれほど大切かを感じさせてくれる。
最初は図書館で借りていたのですが、どうしても読み返したくて改めて購入した本です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「源氏物語の時代」が面白かったので、枕草子版も読みました。
中身は「源氏物語の時代」と結構被っているところがあったので、さらっと読み終わりました。枕草子がいかに良きことを描いているのか、一端をしれたような気がします。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
枕草子は古典の教科書に載っている「春はあけぼの」というフレーズであまりにも有名だ。そしてこれを書いた清少納言もこの草子の作者として知られている。私が学生の頃は随筆というジャンルに分類され、「平安時代のOLエッセイ」と呼ばれていることも聞いたことがある。
しかし本書を読むと、清少納言が軽いエッセイ感覚で枕草子を編んだという思い込みは払拭される。枕草子は実に巧妙に作り挙げられた忠臣清少納言による主君定子に関するイメージ戦略なのだ。それも殺伐とした政治の話を一切取り上げることなく、定子サロンの洗練された優美さや機知、そして華やかな姿だけを取り上げることによって実現している。
枕草子を抜きにして中宮定子の生涯を知った者はきっと時の政治に振り回される彼女の人生を不幸なものとして憐れむだろう。しかし枕草子を通して彼女を知った者はその逆の印象を抱くに違いない。美しく機知に富んだ型破りな粋姿で、これまでの後宮とは違うおしゃれなサロンを作り上げた憧れの中宮こそが定子の姿だと信じてしまう。事実ももちろん織り交ぜながらそれを演出しているのが清少納言なのだ。私はそこに清少納言の意地と忠誠心、そして定子に対する深い愛情を感じて彼女のことがより一層好きになってしまう。
そして枕草子からはただ清少納言から定子への一方的な愛情だけではなく、定子から清少納言に対する厚い信頼も見えてくる。白楽天も諳んじる知識豊富でかっこいい女性像である清少納言も女房になりたての頃は緊張で定子に近づくことすらできず、定子の呼びかけにもしどろもどろだったのが驚きだが、そんな彼女が羽を伸ばして生き生きと活躍できるように接する定子の姿は主君として理想的ではないだろうか。枕草子はこうして定子の粋なふるまいを描くことで清少納言の忠誠心だけではなく、定子自身の清少納言への羨ましいほどの信頼や期待も読者に伝えている。当時この草子を読む機会があったであろう紫式部がどう思ったか、想像に容易い…そしてその結果生まれたのが紫式部日記の清少納言に対するディスりなのではないかと勘繰ってしまう。
少し脱線するが、私は杉田圭先生の『うた恋い』シリーズが大好きである。そしてその中でも清少納言と藤原行成の関係性や描かれるエピソードがたまらなく好きだ。年上の女性としてのプライドがあり定子様を慕う清少納言、そして無骨だが狭く深い友人関係を望む行成。二人の恋愛模様が描かれず、どちらかといえば深い友人関係がしっくりくる。私の中の二人のイメージは、まさにこの『うた恋い』で作り上げられているといっても過言ではない。そして今回『枕草子のたくらみ』を読むと、そのイメージは全く間違っていないことを再確認できてとても嬉しかった。特に11章の「男たち」に登場する清少納言と行成の歌の詠み合いは漫画そのままの表現で、二人の絵が頭に思い浮かぶほどだった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
大好きな1冊で、何度も読み返している。現代では「毒舌ブロガー」と称される清少納言だけど、この本を読むと全然そんな気がしない。枕草子には、定子への愛が詰まっている。清少納言が生きた時代が小説のようにドラマチックに描かれて、間に随筆の現代訳や解説が入るため読みやすい。清少納言の“たくらみ“通り、今も生き続ける作品になっていることがすごい。「スキ」の想いに勝るものはないと思わされる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
清川妙さんの「うつくしきもの枕草子」を読んだのちに、読みました。枕草子のきらきら感を堪能した後だけに、これを読んだ直後は、それが痛々しい気もしてしまいました。でも、やはり前向きな枕草子かな。そのうち、原文で読んでみたいです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2024大河への助走④
清少納言、機知に富んで当意即妙でウケるタイプ、現代ならツイッタラーって思ってたけど、圧倒的にインスタ派だった。定子さまが男前で好き。