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紙の本
チャップリン第1級の資料
2017/06/28 05:28
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界が、産業革命発祥の地イギリス・ヨーロッパの衰退からアメリカへと繁栄が移行する時期に、チャップリンもイギリスからアメリカに移民として渡る。しかし、第1次世界大戦から「自由の国アメリカ」は変質していく。第2次世界大戦では、チャップリンはアメリカから排除されてしまう。そうした世界の流れに翻弄されたチャップリンについても描かれていて興味深い。いや、翻弄されたというより、立ち向かったということが「独裁者」の撮影前後の様子で紹介される。
しかし、何より秀逸なのは、チャップリンのNGフィルムをすべて見た、世界でたった三人のうちの一人である著者が、チャップリンの「ヒューマニズム」が自らの生い立ちに基づいて形成されているとしても、徹底した芸へのこだわりによる、果てしない撮り直しの中で、コメディーを芸術まで高めていることを、NGフイルムの撮り直し過程から立証していることだ。
紙の本
さすが大野さん
2017/08/21 20:59
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきに、大野さんのチャップリンとの出会いや、この本の位置づけについてまとめられています。そのあとの謝辞にも、次のもっとチャップリンを知りたい人のためのガイドにも、チャップリンファンに役立つ情報が満載です。本文をすべて読み終わり、今日上記の三か所を読んで、読了。4月から5月、チャップリンの主要作品をすべて見終えたところだったので、この本はありがたかった。今までも、大野さんの本にはお世話になっていますが、集大成と言えるでしょう。いや、きっと大野さんは、また後日、もっとすごい本を書いてくださることでしょう。それを期待します。ありがとうございました。満足ということばでは足りない思いです。感謝。
紙の本
チャップリン愛好家である小野裕之氏によるチャップリンの評伝です!
2020/07/26 12:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、劇作家であり、脚本家、映画プロデューサー、演出家、作曲家、俳優、映画研究者、振付師、さらにチャップリン研究家として知られ、日本チャップリン協会会長でもある大野裕之氏の作品です。同書では、「このような時代においては、笑いは、狂気に対しての安全弁となるのです」という著者のメッセージがいつまでも心に響く画期的なチャップリンの評伝です。大野氏は400巻にも及ぶNGフィルムを全て閲覧されており、初期の短編、『街の灯』や『独裁者』などの名作から幻となった遺作「フリーク」まで、喜劇王チャップリンが作品に込めたメッセージを丁寧に読み解き、新たな実像を提示してくれます。同書の内容構成は、「チャップリンの誕生」、「放浪紳士チャーリーの誕生」、「放浪紳士チャーリーの完成」、「チャップリンの黄金時代」、「世界旅行と日本」、「チャップリンの闘い」、「追放された世界市民」、「チャップリンのラストシーン」となっています。チャップリン・ファンはもちろん、映画ファンには見逃せない一冊です!
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