紙の本
この間、
2021/11/23 17:53
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビで専門家が「人間は1日に3万5千の選択をしている」と言っていた。その中で自分の選択が間違っていたかどうかが気になる選択肢といえば、1年に1個あるかないかだと思う。今までの選択を振り返って、後悔することは仕方ないかもしれない。でもやっぱり負けず嫌いの私は、自分の選択がたとえ間違っていたとしても、こっちの方が良かったんだと思えるくらいの点を打ちながら生きていくよ。
紙の本
お仕事小説
2017/07/17 17:41
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者にとっては初のお仕事小説ということだが、なかなかいい仕上がりになっていると感じた。加藤千恵らしい軽やかさもありつつ、感情の機微が丁寧に描かれているところがよかった。最後の対談も面白かった。
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「みのり」はわたしだった。
そして、誰かでもある。
そんなことを思わせてくれる、ひとりの女性の人生の一部を切り取った小説だった。
人生は選択の連続。
何かを選んだということは、何かを選ばなかったということ。
みのりはそれを「点つなぎ」になぞらえる。
選んで、選んで、選び続けたその先にしか見えない形、明らかになるかもわからないそれをイメージして。
選ばなかった先の景色は決して見られないし、どちらがよかったなんて絶対にわからない。
それはすでに、違う世界だからだ。
劇的なことが起こるわけじゃない。
行方不明の妹は行方不明のままだし、取引相手ともチームのようだし雰囲気も良いこともいくつかあったが、恋愛には発展しない。
年齢と結婚という面で漠然とした不安を抱きながらも、突然の出会いが舞い降りるわけじゃない。
でもみのりは「わたしたちにはまだまだ一緒にやれることがありそうな気がした」と、にやりと笑う。
そんなことろが、とても好きだ。
とても丁寧に記された、みのりの人生の一部をゆっくりと見させてもらったと思った。
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加藤千恵さんは恋愛における小さな疼きみたいなのを書くのが上手だなと思ってたんだけど、恋愛じゃなくても小さな疼きがすごく上手だった。主人公と同世代の私からしたら、よくわかるからちょっと痛かった。安っぽくないラストもいい。最後の村田沙耶香さんとの対談も面白かった。
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「この中に、満足している人は、
どれくらいいるのだろうか。
仕事に。自分に。人生に。」
リアルで知人の話を聞いてる
みたいだった。
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かわいい表紙カバーを一枚めくって現れる、荒波。大海原。
こっちがみのりの、っていうか大勢の社会人の日々を表してると思う。
気力体力を消耗して、周りの無理解と不寛容に傷付いて、必死でやってるのに確信をもてなくて。
ああ。
身に覚えのありすぎる光景。
多くの人が普通にこなしてる(ように見える)ことのしんどさに気が遠くなったけど、この小説はそれだけでは終わらなくて。
目の前にあるのにずっと気付かなかった、もしくは言語化できなかったことを言葉にしてくれている。
「わたしは自分の人生を悪くないと思っている。ただ、満足感は、他の人たちの言動でいとも簡単に左右されてしまうほど、もろくてたやすく崩れてしまう」
ここを読んだとき、思わず本を閉じて深呼吸した。
周りがみんな立派に見えて、自分だけが惨めで恥ずかしい存在に感じることがあるけれど、いやいや自分の意志で、いいと思って今ここにたどり着いたんだ。
悪くない。
生きやすい場所を見つけた自分の嗅覚を、私は気に入っている。
「両親の娘という存在のわたしに、代わりはいない」
この言葉にもハッとした。
親からしたら、娘は娘として機能していてほしいんだ。
たしかに。逆に親には親として機能していてほしいって思ってるかも。
なんか、自分本位対決って感じ。
視点を変えないと、こんなに近くのことさえも見えてこない。
ほかにも好きな場面をいうと、
マーケティング担当の指摘で「大人の女性のためのスイーツ」の「女性の」を取ったっていうところ。
ナイス!ありがとうマーケティング担当!
レシピ考えてつくって経営して、って、全部一人でやることだけがすごいんじゃない。
連携の強みを見せてくれて、嬉しくなった。
分かり合えないことは孤独だけど、それだけ自分の選択で生きてきたって証なのかもしれない。
まるごと全部、とくべつに好きな一冊になった。
巻末対談は、明日の楽しみにとっておこう。
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再読。
コンビニスィーツの商品開発をするみのり。
自分の選んでいる人生に少しの不安を感じていた。
実家に帰り、地元の友人たちと過ごすときに、結婚も見えず働き続けている自分は間違っているのかもと思ってしまうみのり。
逆の立場で、働く人達の中に1人だけ紛れてしまった専業主婦の友人が居たら、やっぱりその人も自分の選択が間違っていたのかもと悩んでしまうと思います。
自分の選択を信じ、そこに自信を持つことは大事。
少しまどろっこしい展開でしたが、最後にみのりがそこに行き着いた様子でよかった。
大きな変化はなくとも、みのりの気持ちに寄り添うストーリーでした。
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好きだった。これでもかってくらい迷う主人公も、迷いすぎて自分を見失っちゃうんじゃないかと思うくらい。格好悪いくらいブレるんだけど、わかるんだよね。自分としてはがむしゃらに、ただその時を、その時の自分の最大限で選択してきたはずなのに、ふと立ち止まって振り返った時に、「何も持ってない自分」に波のように押し寄せる不安と焦り、わかる。
仲の良い友達の結婚話、出産話、今度こそこの人だ、と思っていた人を失った時。
どうしようもないあの孤独と、戦って踏ん張って生きてる自分をもう少し褒めてあげて良いのかなあと思った。自分がしてきた過去の選択たちに意味を持たせられるよう、過去の自分に誇れるように。大丈夫、きっとどこかにぜんぶ繋がるから、と自分に優しくなれた小説でした。
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コンビスイーツ開発の仕事をしている女性の日常を緩やかに描いている。地元の友人や大学時代の友人が結婚、出産、海外生活など変化が起こっている事を目の当たりにしながらも、淡々と商品開発の仕事に打ち込む主人公。何を選択すれば幸せな未来へと繋がるのか悩んでいる気持ちは、現代社会における女性の悩みをリアルに表現してると思った。我々は生きていく中で多くの選択をしなければならないが、それは全て点で繋がってて失敗してもまた繋ぎ直せばいいんだと前向きになれる作品。藍田さんとの距離も良いし、バナナジンシャープリン食べてみたい。
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地方出身のコンビニのスイーツ開発部門で働く女性のお話。
希望した仕事について、希望の部署で働いて、それなりに成果も出していて、ちゃんと自立できていて、もうそれだけで充分偉いよ。
やりたい仕事に就けるってそれだけですごい事だよ。夢を叶えたってことだもの。
彼氏がいないとか、結婚していないとか、親に渋い顔をされるとか、子供のいる地元の友達と温度差を感じるとか。よくある事ではあるんだけど、主人公はそのことを深刻に捉えているというよりも「深刻に捉えられないことを深刻に考えすぎている」感じ。
この物語の日常感がリアルで好きだな。
別れてしまった元彼とは再会しないし、デートした元同級生は知らない間に彼女作ってたし、仲のいい仕事仲間の好きな人は自分じゃなかったし、失踪中の妹の行方はわからないままだし、仕事はひとつ終わってもまた次があってその繰り返しだし。人生ってこんな感じだよね。
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加藤千恵著 初読了。
やりたいことを仕事にできて、
充実している。
「でも…」
"女として"の生き方や、
周りの目、あらゆるしがらみと葛藤して、
"あったかもしれない別の道" を考えて。
自分の選んできた道は、
これで正しかったのか。
「まわりの人と比べて…」
と、感じたり、感じなかったり。
羨ましい、いや、そうでもない?
私はこれで大丈夫、、な、はず。
そんな繰り返し、
揺れるアラサーの心境が
リアルに描かれている。
同窓会で再開して、なりゆき的にデートした
同級生に知らぬ間に彼女ができていたり、
いい感じに発展するのかと思った、
取引先の男はクリスマスに蕎麦屋で、
フラレた女の話をしてきたり、
失踪した妹は変わらず行方不明だったり、
煮えきらない話のまま終わる感じが、
「物語」ではない、身近さをより、
引き立てる、良いスパイスで、
とても読みやすい作品でした。