紙の本
始まりの鐘が鳴る
2020/07/07 17:09
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
祇園精舎の鐘が、意外なほど脆い材料で出来ているのを初めて知りました。全編に渡って清盛が汚れ役に徹しているので、重盛の自己犠牲に注目してみたいです。
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膨大な物語として知られる「平家物語」を全4巻におさめた初巻です!
2020/03/02 10:28
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、膨大な物語として知られる「平家物語」を講談社学術文庫として全4巻にまとめ直したものの第1巻目です。平安時代の末期に頭角を現した平家一門が、その後の鎌倉時代において、巨大な権力を掌握してきます。そしてその権力が暴走し、それに対して延暦寺から反発を受けると天台座主明雲を流罪に処したり、鹿の谷でのその謀議が知れると大臣らを追放するといった暴挙に出ます。そして最後には、後白河法皇までも鳥羽離宮へ幽閉するという信じがたい行動に出ます。こうした平家一門を詳細に描いた初巻は目がはなせません!
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やっぱり読んでよかったです
2017/06/14 08:47
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投稿者:ブックン - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は高校教科書以来の平家物語初心者です。読みたいと感じた戦記の記述は巻第四以降ということを何かで読んだので、(二)を先に手にとってから、本書に臨みました。準備運動ができたせいか、思った以上に難渋せずに読み進めています。一つだけ気になる点。本書の中身でなく裏カバーの紹介文の表現について。「暴走する権力に延暦寺から反発を受けると天台座主明雲を流罪に処し」と記載されていますが、本文237ページ【解説】他で、この件に関しては、清盛は明雲擁護側であったと読み取れます。講談社さん、未来の読者にあらぬ誤解を与えぬためにも、この表現は見直した方がよいのでは・・・。とこんな意見を述べられるくらいに、この本は当方を引き上げてくれています。
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一巻は巻一~巻三が載っていて690ページとずっしり重くぶ厚い。原文、注釈、現代文、解説から成っていて、解説で背景、実歴史との差異なども述べられていて、薀蓄好きの私には合っているように思います。注釈も多く詳しい。登場する寺、寺院まで一つ一つ詳しく説明されていて資料として膨大です。現代訳は、きっちり正確にですます調で、全体に教科書っぽい。私は、この詳しさ、文体のカッチリ具合が好みです。
読む中心は現代文で読んでいるのですが、面白いエピソード等は原文で読んだりできるのも、この版良いです。原文は源氏物語よりは読みやすく、かつ、声に出して音読すると気持ち良い感じ。五七調なのか?リズムが良いです。
源氏物語より少しとっつきにくい。巻一~巻三が序盤で、ドラマの導入部分であるせいもあるでしょうけれど、段によって、読みやすく楽しめる段と読みにくい段がありました。
読んで興味を惹かれたのは重盛の描かれ方。最初に良い男、立派な男だなあと思って読んでいたのですが、解説を読むと、どうやら史実、事実と変えて脚色されているらしい。悪いことは清盛がやったように、重盛は悪いことはしてないように、キャラクター付けをメリハリ付けて、かつ、清盛がこういう態度であったから因果応報で平家が滅びた、重盛が亡くなったことで平家の衰退が始まった、と理由付け、納得させるための役付けらしい。
巻一の殿下乗合の展開、経過、摂政の方から実際は謝罪に出向いていたが、重盛が受け入れなかったのが実際らしい。別の文献との違いが詳細に述べられていて、ほほーと面白く読んだ部分です。
エピソードや人物で印象深かったのは、鹿谷の陰謀の首謀者の一人、大納言成親。逮捕される際に、気づかず美しい衣装に着替えて華麗な牛車に乗って出かける場面とか、死罪から重盛の助けに寄り一旦は流罪になるものも、その先で殺害されてしまう場面は、かなりショッキング。しかし、その息子の少将成経は許されて流罪先から戻ることができるのですが、この親子間での思いを歌に歌う場面は心打たれます。
少将が赦免されて戻るのに対し、共に流された俊寛は、遂に戻れず島で亡くなるのですが、この場面は、能や文楽などにもなっているらしい。文楽では、足摺の場面が、人形だからか、ちょっと笑える場面に見えたとも観た方から聴き、それはぜひ観てみたい、能でも文楽でも。実際には、3人が流され、2人が許されて戻り、自分だけが残るとなったら悲惨でしょうね、3人なら我慢できることも、1人では耐えられないでしょう。
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現代語と原文の両方が掲載されているので古典初心者の方も読み慣れてる方も楽しめます。解説や脚注もあり関連知識が身につくのもオススメポイントです。個人的には人物関係図が掲載されていないので関係を整理しながら読み進めるのが少し苦労しました。
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アニメ『平家物語』が大変面白かったので、その原作の原作として読みました。
巻第一~第三(アニメ第1話~第5話前半に相当)を収録しています。
主要エピソードは、僧兵の強訴、鹿ヶ谷の陰謀、平重盛の死です。
源氏はほぼ出てこないし、割と地味な事件なので、軍記物を期待している人には肩透かしかもしれません。
ただ、その後のストーリーや解説を追うと、これらのエピソードを取り上げる必然性が分かります。
平家の滅亡を描くには、その滅亡の原因を描かなければならないからです。
仏教的な因果応報観、盛者必衰の理をあらわすための3巻です。
文章的には、時に漢詩文を引用して格調高く、時にドラマティックに、文体を変えつつ緩急のある話運びで、長いのに飽きません。
音読してこれほど気持ちいい文章は、現代文ではきっと誰も作れないでしょう。
体裁は、講談社学術文庫おなじみの原文→現代語訳→語釈→解説の4区分掲載で、多少古文の読解に自信がなくても、辞書を引かずに読み進められます。
原文も、底本にはないカギ括弧や改行により、かなり読みやすくなっています。
『平家物語』は各社から出版されていますが、とりあえず1冊買うなら本書がベストだと思います。
なお、地図、系図、年表、解説は、最終巻にまとめて収録されています。