投稿元:
レビューを見る
柚木さんの描く作品全て読んでます。確かに新境地。今までの作風とはちょっと違います。ガラリと大きく違いはないのです。ふざけた軽さがない。いつも軽く読めてしまう作品が多かったのに今回は読むのにすごく時間かかった。ねっとりと絡まる、まさにバターのような、胸焼けする話なのでぐいぐい世界観に引きずり込まれたり読み進めたりしたくなる作品ではなかったかな。だからこの評価。面白いといえば面白いのだけど響かない。木嶋佳苗のことみんなそれなりに知ってると思うけど、柚木さんはご本人に会ったわけでもなさそうですよね、木嶋佳苗のブログにも書いてましたが。
軽さはないけど重みが足りない。ページ数のボリュームはあるけどそれだけな感じがしちゃった。あくまで木嶋佳苗の事件をインスパイアした作品。フィクションです、とつけて欲しかったほど。わたしの知識が足りないだけかもしれません。木嶋佳苗について知ってることは容姿と、その容姿の割に魔性だとかそういう週刊誌が書き立てたようなことしか知りません。だからこれがフィクションとして世に出てたらこういう作品か、とすんなり物語として読めたのかもしれない。けど、木嶋佳苗の事件から8年、と宣伝されればどうしてもカジマナと木嶋佳苗をイコールで、ノンフィクションとして読んでしまう。
このBUTTERが現実味があればいいのだけど、そうでもないから…とくに記者である里佳の親友、伶子の存在がそう。あり得ないだろ、と言いたくなるのと同時に、伶子の単独行動から物語は一気に加速し面白いなと感じたのも事実。その線引きが曖昧すぎて、不完全だったなと感じました。嘘っぽさが露呈しすぎちゃったかな、、
投稿元:
レビューを見る
メディア予約
木嶋佳苗事件をモチーフにした話。美味しそうな描写だけど、こってりしすぎて、胸焼け気味。料理が魅力的なので、話の本筋が、記憶に残っていない…
投稿元:
レビューを見る
バターの波はこってりと重たく、もがけばもがくほどに纏わりつき、早く読み終わりたいのに、絡みついてなかなか進めない。
精神的にかなり追い詰められたのは久しぶりで、なかなかにしんどかった。
そして、苦しんだ割に何も実が残らない。
投稿元:
レビューを見る
ここにオンナの一生の全てがある。
母と娘の、父と娘の、女と女の、そして男と女の、愛と憎。
子どもの、思春期の、適齢期の、女としての価値とその揺らぎ。
シングルマザーの、働く女の、子を欲する女の、悩みと迷いと決意。
その全てを濃厚なバターでくるみ、これでもかこれでもかと突きつけて来る。
あの、木嶋佳苗の事件があった時、私は何を思ったか。なぜ多くのオトコがあの決して若くも美しくもないひとりの女に溺れ、そして死んでいったのか、と首をかしげたはず。なぜだ?と。
なぜこんな女に、と。そこに彼女を、そして男たちを見下す視線はなかったか。
この物語を読んでいる間ずっと、肌を突かず離れずの距離でなでる生温かい手を感じていた。気持ちよくはなく、かといって鳥肌が立つほどでもない、そのざわざわとした得体の知れない居心地の悪さは自分が木嶋がモデルの梶井真奈子にからめとられていく恐怖だったのかもしれない。
普段、自分のためだけに食事を作る事なんてほどんどない。外に出かける予定のない休日には化粧もせずだらしない時間を過ごしている。
私も「自分のために」何かをすることを放棄している女のひとりだった。もしもどこかで彼女と出会っていたら、間違いなくその圧倒的肉感的楽観的自己肯定感にひれ伏し、嫌悪しつつも飲み込まれていっただろう。もしかすると彼女から見放されることに恐怖し、ひたすら動かされる駒になっていたかもしれない。そしていつか彼女に興味を示されなくなったとき、この命を落としていたかもしれない。どこかでとどまらなければ、飲み込まれるなと自分を引き止める声を聞きつつ読んだ。おいしそうな料理の数々に恍惚となる、けれどその裏側に人間の恐ろしく弱い業が口を開けて待っている。
クチから始まりクチで終わる。自分を現実につなぎとめるために今日も私は料理を作り、そして食べる。
投稿元:
レビューを見る
すごく読み応えがあると同時にお腹がすきました笑
おそらく東京のお店なので行けないけれどレシピがあるものは作ってみたいな、と思わせられました。
主人公の上下する人生があまりに胸が痛くなりました。
でも木嶋佳苗の手記を読んだことがあるわたしとして一見、正論に思える言葉にハマってしまった経験があります。
だからあまり人ごととは思えませんでした(;´Д`A
投稿元:
レビューを見る
週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。
木嶋佳苗をモデルにした話、というより女性記者・里佳の成長物語であり、何より濃厚な食の話であった。
かなりの長編、散りばめられた人生訓、ところどころで生き方などを悟る里香、結局何が言いたかったのか、焦点がぼけた感じ。
そして、料理の数々、バターたっぶりの料理に胸焼け気味、でも熱々のご飯にバターと醤油を垂らして食べたくなった。
ちなみに木嶋佳苗は一度も会ったことのない著者にご立腹だという。
「柚木麻子って誰?
私も家族も弁護士も知らないユズキアサコという人が書いた本「BUTTER」。
この本の主人公は、木嶋佳苗ではありません。私は、柚木を知りませんが、柚木も私を知りません。
書籍広告に私の氏名を載せることはやめてください。迷惑だ!」etc.
最後に、単行本でありながらこの紙の薄さは経費節約なのか、破れそうで頁をめくりにくかった。
(図書館)
投稿元:
レビューを見る
読みたいリストにありながら忘れていた。実際手に取ったきっかけは、高知でファムファタルみたいな警官のニュースを見て。
家帰ってBUTTER読まな、ってこの数日は仕事帰りにいつも思っていたような、久しぶりに吸い込まれた本。
その一方で、感情移入しやすいと自分では思ったいるけれどこの本ではほとんど移入することがなかった。
ただただなんなんやろこのカジマナは、と。ほんのりとある先入観と、実際の事件をベースとした話ってどんなもんやという好奇心で読み進めた気がする。
読後感は爽やかでもなんでもない。あー、読みおわった、事実として読み終わった、という感じ。へんなの。
好きな作家の一人である柚木さんの本は、私にとって自分のコンディションで読む読まないを選ぶタイプ。しかし今回は読んでしまった。見事に絡め取られてしまった。
投稿元:
レビューを見る
どうしてもお気に入りの作家の小説は評価が甘くなる。この本は内容が重く密度が濃い。そうタイトルそのままなのだ。
図書館の返却期限があるので駆け足で読んだが、読み終わったときに読み始めたのが遠い昔のように感じた。その間、私も主人公と同じように密林を迷い続けたような気持になった。終盤になりようやく陽の差し込む出口にたどり着け、体の力がふっと抜けた。また5年後あたりに今度こそ1か月かけてじっくりゆっくりと、舌でじわじわ溶けるのを感じながら読んでみたい。そのときこそ、本を閉じて思いっきり号泣してみたいと思った。とりあえずエシレバターを買いに行かなきゃ、だ。
投稿元:
レビューを見る
例の事件がモチーフになっているが、事件を追いながら主人公の生き方や考え方が変わっていく。
最後の30ページくらいがなかなか読み進まなくて…というより、ゆっくりじっくり「まだ終わらないで…」と思いながら読んでいる自分がいた。
それにしても個人的にタイムリーというか、どストライクな内容。
なぜならバターが好きで、最近美味しいバタークリームケーキが食べたくて仕方がなかったから。
ご飯にバターとお醤油は、おかずが何もない時のお昼ご飯の定番だし。
バター不足は今も続いているが、マーガリンをたくさん使うならバターを少量でいい、って自分はカジマナか。
時間があればエシレにまた行きたいし、佐渡バターも気になる。
ウェストのバタークリームケーキ、ホールで買いたくなってしまった。(胸やけするだろうな~)
…とこれはグルメ本じゃないけど、出てくるものすべてが気になった。
記者という職業はよくわからないけど、犯人探しみたいなことするのか~?
最近ネットのニュースでも、誤字脱字はよくあるし、何を言ってるのかわからないような適当に書かれたのも見かける。
きちんと伝えて欲しいものだと思ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
ジャケ買い。
帯を読んで、きっと女性特有のドロドロした物語に違いないと思ったが、
予想に反して、勇気付けられる物語だった。
成長していく主人公の応援につい力が入ってしまい、1日かけて一気読み。
孤独な人は、誰かと一緒にご飯を食べるのに飢えているのかもしれない。
主人公と獄中にいるカジマナの意見、どちらも納得したり共感したりする箇所がいくつかあり、複雑な気持ちになる。
特にカジマナの行動力と、何もしない人に対する苛立ちには共感した。
主人公には基本的にずっと共感しっぱなし。父親との関係性を除いては。
全体的に、予想に反して、この本のメッセージは前向きだった。
自分を信じて、考えることや生きることを放棄しないで、自分で考えてふてぶてしく生きていくのは楽しいよ、と言ってもらえたような。
そして、作者の表現語彙や心理学的考察に唸った。
開高健、平松洋子など、食の描写が上手い作家を信頼する向きが私にはあるけれど、柚木麻子氏も信頼できる作家リストに加わった。
タイミング的に、主人公ほどではないけれど、部分的に似たようなことで悩んでいた時期だったので、正直、救われた。多面的に自分を見れたし、肯定してもらった感がある。
やっぱり作家には、やさしい、ほっとけない視線がベースにある。
投稿元:
レビューを見る
実際の事件をモデルにした小説と思って、週刊誌を読む気分で手に取りましたが、事件をモチーフにした女子力小説でした。女子力という言葉の使い方、間違っているかもしれませんが男にとっての女子、女性同士の世界の中での女子、仕事と女子、社会と女子、そうそう父親と娘の関係性においての女子、そして母と娘、まさに今、21世紀の「女はつらいよ」物語。「男はつらいよ」の車寅次郎は柴又というファンタジーとしての居場所を確保していましたが、この小説の主人公は自分の居場所を血みどろでリアルにしていく、という違いがありますが…。そう、その血みどろの現実性と、実際の事件の容疑者もこの小説のもう一人の主人公、カジマナも他所から調達したファンタジーに自分を置いておいたこととの対比がこの物語の構造かも。主人公がカナマナの禍々しさに巻き込まれる様は映画「羊たちの沈黙」のクラリスとレクターを思わせますが、レクター並みの超人っぷりに比べて、カナマナの凡庸性に逆に恐ろしさを感じました。物語的には何回もクライマックスを迎えるような箇所を感じますが、さらに、さらに、とか先に進み、答えのない、だけど希望、みたい終わり方か、まさに「女はつらいよ」!
投稿元:
レビューを見る
他人の形が、自分の内側で起きてることよりもずっとずっと気になって仕方がないなんておかしいわよ。
だれだって、傍にいる誰かのことがわずらわしくて、消えて欲しいと思うことくらいあるてしょ。
梶井まなこの言葉は、認めたくないけど、大きな声で友だちには言えないけど、そう思ったことある人多いはず。
投稿元:
レビューを見る
女の嫌なところをぜんぶ見せられた感じ。
いい気分で読むのは難しい。
新潟出身だと複雑な気持ち。
とにかくバターごはんが食べたい。
私はマーガリンでもいいけど。
投稿元:
レビューを見る
うわー、木嶋佳苗ときたか~~!!!
「カジマナ」と呼ばれる被告を女性記者が取材し、彼女に翻弄されていく様はオソロシイ。ハンニバル・レクターか!?w
そして、木嶋佳苗は支援者を通して、今もブログを更新中とのこと。支援者って・・・( ̄▽ ̄;)
そういえばこの人、獄中結婚してたな~。あいかわらず、モテモテっすねw
それにしても、出てくる食べ物の美味しそうなこと!
ただ、七面鳥あたりになってくると、だんだんめんどくさくなってくるけどwwwww
まぁ、なんちゅうか、満腹です。ハイ、お腹一杯で胸焼けしてますwww
投稿元:
レビューを見る
木嶋佳苗をモデルにした作品だし、直木賞候補にもなったしで、期待していたのだが、読み終わってバターの濃厚さだけが残った気がする。ウェストのケーキが食べたい。
決して若くも美しくもない容姿に、自信に満ち溢れた言動に絡め取られていく様子は、ある種の宗教にも思えてくる。