紙の本
遅くもなく速くもなく
2021/01/31 14:54
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
永田の横を付いて歩く、沙希の姿がいじらしいですね。カップルとも同志とも言えない、ふたりの不思議な関係性が心地よかったです。
紙の本
まるで太宰治のような身勝手な男。
2017/12/25 23:44
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「火花」は賛否両論ありますが私は好きです。
芥川賞受賞後第一作となる劇場は、期待以上の仕上がりで
作者の奥深さを感じました。これはお薦めです。
永田は脚本家兼その他もろもろの役目で、無名の劇団
「おろか」の設立者です。中学からの同級生の野原と一緒に
立ち上げました。
しかし評判は散々で、独りよがりのクソ劇団なのです。
団員が毒づいて辞めてしまうところから話が始まります。
同じタイミングで、永田は沙希という女性と街で出会い、
強引に知り合いになってしまいます。
ほとんど変質者まがいの行動なのに本能が囁いたのでしょう。
沙希は心を開いてくれたのです。
メロドラマみたいな展開ですが、文体が陰鬱な感じがしますので、
妙な迫力があります。そもそもこんなに都合よく女性は
振り向いてくれません。
都合のよすぎる展開に、なんだかなあと思います。
断言します。こんな女の人はいません。
それくらい永田はキモいのです。
しかしそれを強引に物語に持ち込んでいくあたりが、
何とも不可思議ですし常識に捉われない雰囲気を出すのに
成功しています。それこそがこの物語の原動力です。
永田はどんどん自分の世界に埋没し、受けいれてくれない人を
攻撃し、自分の殻に閉じこもったことを指摘されると
さらに意固地になるという超絶めんどうくさい人間です。
それもに関わらず、すべてを肯定的に受け入れようとする沙希に、
精神のゆがみを感じずにはいられません。
そう、自己中の永田にではなく沙希に対してです。
そこにこの物語の面白さがあります。
常識人がつぶれていく様は、太宰治を愛した女たちを
彷彿とさせます。だからこそラストシーンは心に残りました。
人を愛することを描ききった作品だと思います。
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投稿者:てる - この投稿者のレビュー一覧を見る
前から気になっていましたが、ずるずる過ぎ、この日に至りました。
読み終わって、、少し分かりづらい部分があり。
何度か読み直したりしました。
けど、内容は良かったです
電子書籍
演劇人よ、読むべし!
2017/09/27 14:30
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投稿者:おじ屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからして何か同じ匂いが漂う。演劇人ならどこかしらシンパシーを感じるはず。
若いからこその不器用さ、演劇人だからこその無骨さに心が締め付けられる。
切なさと共に、青春の欠片がキラキラと散りばめられた秀作。
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驚くほどに攻撃的な作品だった。
恋愛小説と謳っているけど、これら暴力だ。痛いくらいに。
妬みからくる黒い気持ちがどんどん蝕んで、愛する人を傷つける、平気で。
愛していない同業者は汚い言葉でとことん追い詰める。病的で、だけどどこかわかる。
愛せば愛するほど痛めつけたくなる。憎くて仕方なくなる。そんな主人公永田の気持ちを分かってしまうし。反して、沙希ちゃんの真っ直ぐさ、素直さが痛い。
最初から最後まで攻撃的で、泣きたいような怒りたいような笑いたいような、感情がぐるんぐるんする作品だった。
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「劇場」
一番 会いたい人に会いにいく。
演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った。
力のある作家とは、ぐぐっと熱くさせる物語、表現、描写、文章を書くことができる人だと個人的に思います。その点を鑑みたら、又吉は力のある作家です。
永田は、演劇を通じて世界に向かうと言えば聞こえが良いですが、実は自己世界を変えることができない、自己を客観的に見れない。良く言えば、自己に誇りがあると言えるが、決してそうではない。沙希の底知れぬ優しさに甘え続けた堕落の人間です。
甘え続けるダメな人間で終わっていたら、これは最後まで読めない。しかし、中盤から終盤にかかるにつれ、永田は、人間のずるさや弱さ、卑屈さを沙希にぶつけ始め、更に元劇団員に対しても、自己を正当化して全てをたたきつけながらも、この熱が凄い。永田が元劇団員にたたきつけるメールの会話なんて、人間のマイナスを全てさらけ出した感じになっており、一気に引き込まれるパワーがあります。これだけでも、凄いなと。
そして、沙希の優しすぎる人間性に甘え続ける永田からも、なんて人間は弱くちっちゃいんだろう。でも、人間てこんなもんよね。と思わせます。んで、最後の沙希の優しさが底をつき、弱さを出して、永田も弱さ丸出しで無理に笑いに持っていく。この締めが最後でした。ぐぐっと胸が熱くなりました。
火花よりもぐぐっと完成度上がってます。中盤から終盤までの展開は最高ですね。
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文芸紙に載っていたものを読んでみた。花火も読んだが、こちらの方が小説としてレベルが高いように思う。
主人公のクズっぷりを読んでいると、だんだんこれは自分のことが書かれている本だという錯覚に陥った。
愛しかたは人それぞれなのだが、愛しているが故に歪む事は多々ある。それは相手に対しての甘えということでも、我儘ということでもなく、その人の心からの愛の1つの発露として、何故か、そうなる。
話題性だけではない、この作者の非凡な才能を感じた。
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ずいぶん前に読んだので、印象がぼやけてしまったが、売れない劇団員と暮らす女性を、可哀想だと感じたのは覚えている。どうしてこういう男を好きになってしまうのかな・・・・。
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一口で恋愛小説と片付けるのは なんか違った。 仕事や 生きがい 彼氏の立場 人間関係それぞれに小さな劇場のようなものがあり それに対して悩みあぐねていた。 主人公がラストをきっかけに 少しは成長してくれたらと願っている。
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NHKの特集を見て、作品が出る前から期待。
前作は読んでないので、読み始めた時の、普通の小説との違いにまずびっくり。
普通の人が着目しないような、そうとらえるんだ!という発見ばかり。でも、理解出来ないわけではなく、しっかり余韻として残す。とても、言葉選びが上手い。
小説として決して後味の良いものではない。けれども、あーなんでそこそういっちゃうかなというもどかしさや、主人公の苦しみをうまーく表現した、本当に秀逸な作品だと思う。
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最後のシーンが良かった。別れのシーンだけど、本当に別れると思う。
「火花」より前に書かれた作品らしいので、「火花」と似た構成はありますが、読みやすかったです。演劇論や訳の分からない会話の下りがありますが、夏目漱石や太宰治を読んでいてもそういう箇所ありますから、又吉直樹さんは真似たのだと。
評価は分かれると思いますが、迷っているのならば読んでください❗
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ある週末に発売日を知った。
普段はそこまでこだわらないのに2作目は初版を買おうと決めていた。
発売日の朝に目が覚めて、書店の開店時間と同じくらいに買いに行った。
書店と名のついたレンタルショップに着くと目当ての本がちょうど棚に並べられようとしていた。
荷台から取り出すのは気が引けたので少しCDや他の本の棚を見て、その本が棚に並べられてから手にとった。
会計を済ませて店内にあるカフェでアイスコーヒーを買って窓際のカウンターで読み始めた。
打ち合わせ中の会社員や会議中のおばさんたちの会話が聞こえていても読んでいた。
同じカウンターに座った女性の顔が気になっても本から目を離せなかった。
駐車料金がかかってしまうことも気にはなったが読むのをやめなかった。
アイスコーヒーの氷が全て溶けてしまっても読み続けた。
トイレに行きたくなっても読むのをやめたくなかった。
又吉劇場の支配人はきっかけ作りこそ下手でも実はしっかり恋愛ができる人なのではないかと思った。
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火花を三度読んだけど、その時の感情や気持ちが恐ろしく繊細に書き込まれています。
この本も二度、三度読むごとに違う視点や感覚で読めると思うので、少し寝かせてまた読もうと思います。
翌日大後悔とはよく言ったものの、後悔後悔後悔の永田に人間の卑しい部分も嫌だけど共感してしまった。
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2017/06/08
ラストが素晴らしい。
自意識の塊のような主人公は、太宰治の人間失格を思わせた。
永田みたいな彼氏絶対嫌だなー。笑
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屈折しているのに、大事な人を傷つけているのに、そんな主人公を客観視しない潔さ。どこかで間違えたはずなのに、ふと我に返る暇も与えず、剥き出しの激情だけで駆け抜けてゆく。
ただ読者だけが冷静に、それを眺めている......そういう劇場なのだろうか。それでも最後ばかりは胸が締め付けられた。