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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
奴隷制度と自らの経験を淡々と記している自伝。序盤話が前後していたり、登場人物の紹介が乏しいので、相関図必須。主人公が利己的で、更に周りに恵まれ過ぎていた様に思え、そこまで悲劇に感じなかった
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ある奴隷少女リンダの伝記小説
126年後に実話と証明され作者が主人公の奴隷少女だったとわかるという長い時を得て日の目を見た本
奴隷少女が書いたとは思えないほど知的でセンスの溢れる文章
だからこそ、執筆者を著名な白人に間違われていたのかもしれない
それほど物語としての惹きつける力がある
そして彼女に起こる残酷で凄惨な現実に打ちのめされる
死を選ばなかったことを単純に賞賛できないほど苛烈だった
実際自分に置き換えたら...
リンダの弟ウィリアムは言う
鞭で打たれる痛みには耐えられる
でも、人間を鞭で打つという考えに耐えられない
リンダは思う
大きな毒ヘビですら文明社会と呼ばれる地に住む白人男性ほどは怖くはなかった
リンダは奴隷売買に思う
自分の心が啓発されていくに従い自分自身を財産の一部とみなすことはますます困難になった
正しく自分のものでは決してなかった何かに対し、支払いを要求した悪人のことは嫌悪している
私は売られる
私の自由を売買される
リンダは奴隷逃亡生活の苦しい中で尊厳は取り戻していく
自分を差別しない友との交流で
リンダは自分の子供を奴隷制度から逃れさせるため逃亡をするが、人間の自由が売買される制度に強烈な嫌悪感を抱く
剥奪されるのは人権だけではない
尊厳や自主性、主張も持つ事を許されない
奴隷のくせに傲慢だとみなされる
聖書がなんの救いになるのだろう
何を我慢すればいいのだろう
なぜ なぜ なぜ
と憤るしかなかった
弱者に押し付けられる清廉という欺瞞の中で
これだけの意見を持つ彼らはその聡明さが故に理不尽極まりない現実に苦しみ悶えた
リンダの戦いは自由になったから終わるわけではない
奴隷制度が撤廃されても歴史は残る
リンダの言葉は今を生きる私にも必要なもの
先人が血と汗と涙をふり絞って手に入れた人権、尊厳を権力の元に投げ出してはいけないと
リンダという名も無き奴隷少女が綴った小さくて聡明で抗う力を与えてくれる本
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偶然出会った本。届いて一気に読みました。
150年前に実在した女性が実体験を忠実に綴った、奴隷少女の話。
当時、奴隷は読み書きができなかった時代に
運良く読み書きができたアメリカ南部の黒人女性。
自由州と呼ばれた北部の女性に、南部の奴隷女性のことを知らせたくて
筆をとったそうです。
当時は、フィクションと思われ、自費出版だったこともあり
埋もれてしまったそうですが、
いくつもの偶然が重なり、時をこえて掘り起こされたアメリカの名著です。
この本の翻訳者と同様に、
自分も読まずにはいられず、一気に読みました。
内容は大変過酷なものです。
でも、こういった歴史のうえに世界が続いていて、
今があるということを知っておくことは
のちのち大変重要な要素になると思うのです。
そういった側面で、この本に出会えてよかったと思います。
気になった方は、ぜひ読んだ方がいいと思います。
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奴隷制とは何か。ただ単に酷い制度だろうと思っていたが、これを読むと当時の黒人に対する白人への仕打ちは想像を絶するものがあった。
それは、人間ではなく物であり家畜でもありペット以下の扱い。
言葉には言い表せない行いは人間の業による利己的な感情から起こり、こうも人を人とは思わない愚劣なやり方ができるのかと思うと恐ろしい。
この作品から国家とは何か。法律とは何か。自由とは何か。生きるとは何か。そもそも人間とは何かを問題提起している気がする。
未だに黒人と白人の差別があるが、こういった遺恨のDNAが伝承している限り、本当の意味で心穏やかな平和はないのかもしれない。
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黒人奴隷を母に生まれた少女。ある程度の教育を受ける事ができ、何とか生き延びたので、自分の境遇を書き残すことができた。
社会的な制度の上に縛られてはいない今の日本では有るけれど、昔からの習慣に縛られているのは感じる。曰く、女のくせに 女だてらに 女の子でしょ。まぁ年も年だし、今ではそんな縛りには目もくれないで、好きなことをしているけどね。
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『ある奴隷少女に起こった出来事』
ハリエット・アン・ジェイコブズ
'Incidents In The Life Of A Slave Girl'
Harriet Ann Jacobs
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好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。
卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。
自由を掴むため、他の白人男性の子を身篭ることを―。
奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。
しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。
人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遙かに凌ぐ“格差”の闇を打ち破った究極の魂の物語。
(表紙裏、内容説明より)
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あまりの内容に、ちょっと言葉が出ない…。
人間の愚かさと残酷さと想像力の欠如に、震えが走った。
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一部本文を抜粋。
「奴隷制から生まれる、品位の堕落、悪事、不道徳について、どんなに言葉をつくしてもわたしは言い表すことができない」
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内容説明を読んでちょっと読むのを躊躇ったんだけど、黒柳徹子さんの言葉に後押しされて読んでみた。
これは、皆さん読んだ方が良いと思う。
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正直、読みやすい文章ではないし目を背けたくなるような、悲しい記述で溢れてるんだけどこれは知っておくべき事だなと思った。
きっと、世界のどこかでは未だにこんな現実があるのかも知れない…。
考えさせられる。
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図書館より。
ブクロブで発見し、気になったので。文庫しかないので、こちらでレビューを。
スゴい作品。始めはさらっと読み飛ばすつもりだったけど、いつの間にかがっつり読んでた(笑)。
主人公の考え方がスゴい。奴隷制度って黒人だけじゃない、白人男性を豹変させ、白人女性を鬼と化す制度なんだって(ちょっと表現に語弊がありそうだけど(笑))。いいこと何にもない制度だってあの若さでしっかり考えてるところがスゴい。
私的にもうちょっと性的表現があるのかと思って読んでいたけど、そんな事もなく(想像すれば分かる程度)。それでも、この時代・宗教感覚からすれば、好きでもない男性と...は衝撃的なんだろうな(尊敬できる白人、だったのかも知れないけど)。
自分ひとりの為でなく、家族や子どもの為に頑張る女性って兎に角スゴい!
奴隷制度とか、気になる人にはオススメかな(でも、目線は偏っているのかもしれないが)。勉強になりました。
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奴隷だった本人の生涯の著書って本当に貴重だと思う。文章かけるは海外に出かけるし、生涯の生き様を見る限り容姿にも恵まれてしまったばっかりに、より苦しむことになるとは。
途中、様々な雇い主の家族を知っている著者が、奴隷制度が黒人にも白人にも害悪をもたらすとの記述が印象的だった。
やはり人としての尊厳を排除した制度は完全に人間を堕落させるのだなと。
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2018年3冊目。「奴隷制」当事者の自伝。人間が作り出した愚かな制度や法律に、同じ人間が虐げられ、想像を絶する苦悶に満ちた人生を余儀なくされ…読んでいて辛くなります。同時に、理不尽で非情な環境に身を置きながら、希望を忘れず、思慮深く、強く生きた著者を尊敬します。家族への愛や、信仰の深さから、著者は崇高な魂を失わずに生きることができたのかな。著者の家族を含め、周囲で支援してくれた様々なひとの存在に、人間の温かさを感じます。わたしも、愛を注げる生き方をしたいです。
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アメリカ南部で、奴隷として生まれ育った女性の自伝的ノンフィクションと聞いて、読んでみたいと思った本。
彼女の人生全てを握る白人の主人は、あらゆる陰湿な手を使って、彼女に性的関係を迫る。
どれほど彼女が恐ろしく辛い思いをしたのかと心が痛む。南部の沼地に住む大きな毒蛇ですら、文明社会の白人男性ほど怖くないという言葉も出てくる。
その文明社会、その文化の中では、彼女の主人のような男性が非情で卑劣とされていたわけではなく、むしろ、社会的地位のある紳士として扱われる。そして、彼自身も、自分のことを真に寛大な人物と心から思っていたのでは、と思われるふしがある。力ずくで彼女を思うままにできるところをわざわざ、彼女の子どもや親族の生活の保障やらを挙げては、彼女が自ら彼の物になるように仕向けているわけだから・・・。
その文化の中での常識となると、人間は思考停止に陥り、どんなこともしてしまえる。自分が優位な立場にあると、どこまでも残忍になり得る。そういう恐怖が時を超えて伝わってきます。
反面、知性に富み、強い意志を持った彼女の生き方は、多くの人に勇気を与えるものと思います。
舞台は19世紀だけど、人の世が続く限り消えることのない問題提起を含んだ話と思います。
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アンネの日記を思い出す。実話だけに読んでて胸が苦しくなった。現代人がいかに恵まれた環境にいるかを知る良書だと思う。
あらすじ(背表紙より)
好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身篭ることを―。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遙かに凌ぐ“格差”の闇を打ち破った究極の魂の物語。
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奴隷制度の残るアメリカ南部から逃げ出し、人間らしく生きようとした元奴隷女性の自叙伝というか啓蒙文というか。
良かった所:
どれだけ困難に襲われようとも、諦めず何とかしようとする彼女の意志と行動力がすごいと思う。ある程度の自由を得ていた少女時代と、よきキリスト教的な信仰心と、祖母や弟など家族の支えが大きかったのかなぁと。
特に7年もの屋根裏潜伏がすごいし酷い。錐の穴から子供たちが見えるとはいえ、閉所暗所で何もすることがない毎日なんて体壊すか気が狂いそう。あと母親を必要とする年頃の子供たちの傍にいてやれなさ、申し訳なさが縷々書いてあって、こういう所は不変の母性愛だなあと思った。
よく分からなかった所:
「別の白人男性の子供を持てば医師の毒牙を免れる」ってのが何でかもうちょい説明してほしいかなと思う。当時のアメリカ人なら言わずもながなのかもしれないけど、子持ち女はダメなの?子供の父親に遠慮してってのもないみたいだし、何でだろう鬼畜の割に嫌われたくないというか手ぬるいなと。
あと重要人物なのに筆の重げなサンズ氏について。彼もどういうスタンスで彼女と2度も婚外子を持ったのか、金で全部解決する気だったのか、トラブルは面倒じゃなかったのか、彼女をどう思ってたのか謎なのでモヤモヤ。罪だとか恥だとか、子供たちに読まれたくなかったのか、思い出したくもないのかもしれないけど、当然ぎりぎりのドラマがあっただろうにと残念。
総評:「奴隷制度にフォーカスしたノンフィクション」だからこその重みと歪みがあるかなあと思った。自由と尊厳に対しては饒舌だし崇高。今じゃ当たり前すぎてハッとさせられる部分も多い。反面、話の進みと描写は幾分弱いかも。賢く美しく母性にあふれたハリエット個人の、狡さとか弱さにも踏み込んで、もうちょい客観性を持たせたら半生記としてもっと面白くなったのになーと図々しく思わなくもない(本の趣旨が下世話な方にブレちゃうから駄目か?)。
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アメリカ南部の奴隷制度。
知ってはいたけど…ここまでとは。
この本は120年くらい忘れ去られていたという、本人が匿名で書いたため、フィクションと思われたので。
奴隷として生まれた人に字が書けると誰もが想像しないこともあり。
今でも人種差別があり、人は自分の下を作ることで満足している人もいる。
人は平等で自由である!
私も私らしく生きなくてはいけないと改めて。
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どうコメントして良いかわからない。
実際の奴隷であった方の半生がリアルに綴られている。
人種差別だけでなく、差別は常に行われている。
区別でなく差別が。
心の弱さ、体の弱さ、生まれた地域、全てが差別になりうるし、自分が差別される側になる可能性はいつだってある。
自由に生きる。というのはとても難しい。
自分は差別に対して何もできないかもしれない。
ただその事実を理解しようとすることはできる。
この本に出会えてよかった。
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新潮文庫の夏の100冊の冊子を観て購入。一気に読み進む。アメリカ南部の奴隷制の真実が綴られている。
映画「それでも夜が明ける」を観た時も奴隷制の真実を知り衝撃だった。
リンダという女性の心情が文章から痛いほど想像できる。堀越ゆきさんの翻訳も素晴らしい。日本語で読むことができ感謝。今の時代だからこそ読む価値あり!佐藤優さんの解説付き。