紙の本
『カーネーション』
2017/05/14 18:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
母に愛されたい娘と娘を愛せない母
そんな母娘の関係を見て見ぬふりをする父
「あたしね、お母さんに好きになってもらいたかった。
笑いかけてもらいたかったし、話をきいてほしかった。
だけどそんなの無理なんだってわかった」
──はじめて日和を腕に抱いたときから、愛おしいと思えなかった。
そんなことはないって何度も思ったけど、あの子を抱くと、苦しかった。
お母さんってすりよってきたとき、ぞっとしたこともある。
「オレは、愛子も、日和も、なくしたくないんだ」
3人をとりまく人々とのかかわりを通じて家族が再生に歩みだす
家族のあり方を描きつづけるいとうみく衝撃の最新作
いとうみく情報
『チキン!』が2017年の課題図書(小学校高学年)に選定
前年の『二日月』につづいて2年連続!
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児童文学だからか字が大きく、すぐ読める。でも内容はとっても切なかった。日和はよく素直に育ったな。お母さんへの誕生日プレゼントを用意て渡すのを楽しみにしているところから、家を飛び出すところまで日和の気持ちがすごくよく描かれていると思いました。カズさんの「家族がこわれる前に、日和がこわれるぞ」にグッときました。
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中一の日和は、母に愛されていないと感じていた。そして、愛されたいと心から願っていた。けれども、日和が母を喜ばせようとしても、ただ母の気に障るだけ。そんなある日、電話口で泣いている母をみかける。母もまた娘を愛せない自分を責めているのか?
母との関係に悩む子の葛藤と成長を描く。
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誰にでも、どうしても相性の悪い人間はいて、なるべく深く関わらないことでやり過ごせるものではあるが、その人が家族であったら悲惨だ。それが親や子どもであったら。
しかし、それは起こりうる。思春期の少女を主人公に、母から疎まれて傷つき、どうにか距離をとることができるまでを描く。
この主人公は母には愛されなくても、父は愛して守ってくれるし、相談できる大人も友達もいる。何より、母は専業主婦でありながら、父と二人でアパートを借りることができる経済的余裕がある。これは大いなる救いで、父は気付かず仕事に没頭、相談できる大人も友達もなく、経済的にも苦しい家で同じことが起こったらどうだろうかと、考えずにはいられない。
しかし、この本は中高生向けだから、これでいいのかもしれない。最近の岩瀬成子の小説みたいにリアル過ぎると、辛すぎるから。
欲を言えば、社会人になって自立した主人公が幸せになり、母に対して赦しを感じられるようなラストがあったら、もっと良かったかもしれない。同じような立場の中高生は、自分が幸せになれるのか、特に自分の子どもを愛せるのか、きっと不安だと思うから、大丈夫だよ、と伝えてやるためにも。
余談だが、背表紙にまで酒井駒子の名前が入っていて、(表紙だけで、挿し絵はないのに)そんなに酒井駒子は人気なのか?酒井駒子が表紙を描いているだけで買うほどに?という疑問がふつふつと。まあ、子ども向けの本はタイトルと表紙絵で勝負が決まってしまうということは否定しないけど。
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よかった
タイトルの「カーネーション」、花言葉がじわりと効いてくる
途中から、ずっと泣きながら読んだ
外からはごくごく普通の家庭に見えるのに、ちょっとした勘違いではすまない、亀裂が入った家族
娘は母に愛されたい
母は娘を愛せない
父はその現実から目をそむける
愛してほしくて、努力して、我慢して、それでも拒絶されたら、愛どころか、自分が壊れてしまう…
物語は、完全解決ではないけれど、希望のあるラストになっていて、私も救われた気がした
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視界をにじませながら、一気に読んでしまった。
あんまりにもつらくて、くるしくて、胸がぎゅっと締め付けられた。
家族ってなんだろう。
いろんな人がいるからいろんな家族の形があったっていい。
でも、家族に愛されないのはつらい。
役割や関係性にとらわれすぎてしまうとダメになってしまうのかもしれない。
最後が前向きだったのが救い。
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移動中にうっかり読んでしまったので
車内で泣いてる怪しい妊婦になってたとおもう
昔読んだハッピーバースデーと似てる。
娘と母親ってむずかしいのねー
生まれてくる子を可愛いと思えるといいなぁ
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どうにもならない子どもの立場。
壊れてしまわないか心配になりながら読みました。
苦しい時に支えようとしてくれる人が近くにいること、その事に気づくこと。
なかなか難しいことですが
ホッとできる場所があると心が壊れずに済むものですね。
一見つらく当たってくるようでも
何を思っているかは表面からはわからないこともあるんですね。
話し合うこと、みんなで逃げずに向き合うことでいい方向へ向かってこちらもホッとしました。
良かった(*´∀`)
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主人公の中学生の心の変化や状況がよく伝わりました。
やっぱり私は人は人の中でしか育たない!が主題に入っている物語が大好きなようです。
主人公を取り巻く人がいい味出しています
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50分くらいで一気読みでした。
日和は母に愛して欲しくて愛される努力をしている、母は愛したいけど愛せない話
日和目線で書いてあるのと、愛子目線でかいてあるのがあって凄く分かりやすい!
泣けます…
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一度捨てて、捨ててそこから築きなおす関係もあるのかと思った。
「母性」の振れ幅や、社会的な圧力も怖いと思った。
妹に向ける母性にも歪んだものを感じた。
親も親として成長していかなくてはいけないのか。
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勤務先で児童にあるか尋ねられ、なかったので公共図書館のYAコーナーにあったのを読んだ。
私自身、愛子に共感できたのは、嫌いと思う理由がないということ。理由がなく人をうっとうしく感じる自分に自己嫌悪。
私にとっては義父だったので、ちょっと違うかもしれないけど…
そして日和の気持ちを思うと身につまされる。特に、保育園のときの思い出には、自然に涙が。
周りに話せる人がいるのが物語の救い。
家族だからって一緒にいなくちゃいけないわけじゃない、って、今一番思っていること。
この話のように、離れて前よりいい関係になれるって保証があるといいけど、そこは家族それぞれでしょうね。
尋ねてくれた児童にも読ませたいけど、予算が削られる小学校の学校図書館には入れられないかなあ。
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なかなか難しいテーマ。だけど子どもにも分かりやすい文章で色々考えさせられるお話でした。
一人称と三人称が混じる文章の書き方はちょっと違和感もありましたが…。
大人になっても、「こうあるべきだ」という考えに縛られたり、人の噂に振り回されたりすることもある。
でも、一見ふつうと違うかたちがあってもいい。
自分の目で見たものを信じればいい。
ということにあらためて気づかされた作品でした。
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3.5
これが児童書って、かなりハードすぎる気がする
児童書なのですぐ読めるし、気になるので一気に読んだけど、読んでて辛かったー( ; ; )
母親に愛して欲しい娘(日和)と、愛したいけど愛せない母親。
自分の子供でも愛せないって、きっと実際にもあるんだと思う。
母性が欠けているのかなと思いきや、日和の妹である紅子の事は無条件で愛せてしまう。
これが余計に日和には辛かったと思う。
母親の苦悩も辛いけど、でも日和の辛さは比じゃないと思う。
子供はまだ自分の力だけでは戦えないのだから。
こんなん心が壊れてしまう。
何よりも父親や母親の妹が状況を分かっていたのに、こんなに長い間見ない事にしてきた事が悲しい
この話は日和の決断によって希望が見える終わり方だったけど、人の助けがあったから出来た事で実際にはこうは行かない事がほとんどじゃないかな。
ただこういう思いをしてる子たちが、この本を読んで、いつか自分も自分の方から決別してやると、なにくそ〜と負けないで生きて欲しいなと思う
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母に愛されたい娘と娘を愛せない母。このフレーズだけでえぐられる。見て見ぬ振りをする父と母の愛情を一身に受ける妹の存在が、愛されたいと願って振る舞う娘・日和の孤独と飢えと苦しさを際立たせて足元が覚束なくなる。
家族だから、という言葉がこんなにも重くて苦しい。幸せの象徴と思っていたカーネーションに薄ら寒くなったのは初めてかもしれない