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紙の本
短編集
2024/02/04 06:23
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投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『主の変容病院』レムの文学作品、戦時中を描く。
総合的な文学への関心があったのかな。
情報量が多い。
十九世紀から二十世紀初頭の大文学を踏まえての戦後文学って意識があったんじゃないのかな。
局地的な事柄から世界を捉えるそういった野心を感じる。
レムにしては血の気が多いというか、感情的だ。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を観たあとに読み始めたせいか、頭の中でアニメになってしまう。
ポーランドの小説だけど、チェコのアニメ(いろいろな作風全部ごた混ぜ)みたいな、アニメーション。
それというのもカリカチュアだからである。
これは、『スパイダーバース』もそうなんだが、キャラクターで社会の階層を描いてしまう技法。
リアリズムが好きな人からすると、漫画的なキャラ造形や舞台設定は苦手なのかもしれないが、そういったもの。
脱線するが、日本の漫画アニメは、この辺のカリカチュア/風刺がどうも苦手というか、忌避してるような気がする。揶揄的には扱うけれど、社会を取り上げることから逃げがち。
これは小池一夫のキャラを立てる理論が悪い影響を与えてると思う。
漫画のようにグロテスクな現実は、時代設定が要求する通りに、過酷な終極に向かう。
最終章には冥界との文字。
東欧の映画で感じるような感覚。
最初の長編作品であるらしい。
『挑発: ホルスト・アスペルニクス著『ジェノサイド』』
架空の書物の批評なのだが、これはメタ的なお遊びというよりもシリアスに「ジェノサイド」について考えた文章のようである。
想像を広げるというより掘り下げることに注意が向いていて、架空の書物を扱うって枠組みがほとんど生かされていない。
現在ウクライナ領土であるポーランドに産まれ、生身で戦争を感じたレムとしては、おふざけの余地がない深刻なテーマだったのだろう。
もっとも名高き、強制収容所は、ポーランドにあった。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所である。
『挑発: J・ジョンソン、S・ジョンソン共著『人類の一分間』』
一方こちらは、架空の書物の書評らしい書標。
不可能ではないが、現実的ではない人類の一分間に起きていることの統計をまとめた本。
ちょっとだけSFな飛躍。
『二一世紀叢書:創造的絶滅原理 燔祭としての世界』
人類に至る宇宙の進化を振り返っていき、絶滅に近い終極的破局が、進化のための土壌作りになったことを述べていく。
もはや架空書評ではなく、ちょっとした冊子、ブックレットのよう。
『二一世紀叢書:二一世紀の兵器システム、あるいは逆さまの進化』
今度は一応書評の体ですが、レム自身が論考をSFのフリして書いてると、告白してる。
とすれば、レムのメタ・フィクションは全てエッセイと捉えてもいいかもしれない。
愚かしい兵器の歴史について。
『戦闘妖精<雪風>』に似たような話があった気もしますが、相互に影響は考えにくいので、元ネタが同じなのだろうと思われる。
戦争と社会の未来について、もしかしたらこの本唯一の、真っ当なSF。
紙の本
宇宙船が出てこないレムの作品
2022/09/06 11:06
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポーランドには忘れてはいけない3大偉人がいて、作曲家のショパン、バックアタックのボイトビッチ、そして作家のレム、残念ながらコペルニクスは私にとっては次点だ。レムの作品だからといって、どの主人公も辺境の星へ飛び出していくわけではもちろんない、それどころか。「主の変容病院」の主人公・ステファンはポーランドさえ出ていかないし、宇宙船も出てこない。この小説は検閲を受けて出版するのに苦労していたらしい、彼は「自分が考えていることをそのまま小説にするのではなく、SFという手段に訴ええれば自由にいろいろと書けるのではないか」と考えたらしい。ナチスによるユダヤ人大虐殺を扱った架空の歴史書の書評「挑発」という何だかよくわからない小説もなんだかよくわからないけど、おもしろい
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