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著者は東京大学大学院を卒業、現在は大学や専門学校で教鞭をとっているが、日航123便が御巣鷹山に墜落した当時は、日本航空客室乗務員、当時の呼称でスチュワーデスだった。この事件では(「事故」と呼ぶのはためらわれる)機長をはじめ、勤務中だった乗務員は全員亡くなったが、彼ら、彼女らは、著者のよく知る先輩であり、友人であった。本書は著者が、当時日航に勤務していた者の責任として、また、尊敬していた先輩たちへの恩返しとして、いくつもの疑問を多く残したまま風化させられようとしているこの事件を丹念に調査し、後世にきちんと伝えるべく著わした記録である。
この事件は、墜落の原因そのものの調査がきちんとは行われておらず、墜落機の発見を意図的に遅らせ、救えたはずの命を見殺しにしたように思える疑いが濃厚と言われている。それを「陰謀論」と軽く片付けるには不可解な点が多すぎることを、本書は説得力を持って語る。例えば、墜落したとされる場所が二転三転したのは、現場の特定が困難だったからとしながら、実は墜落後ほどなく現場を発見していた米軍機は救助を行わず引き返すよう指示されているし、123便を追尾する2機の自衛隊機が何人もに目撃されている。ここまでは他の関連書にも書かれていることだが、本書で注目すべきことは、著者が小中学生の文集に着目したことである。
墜落現場である上野村の小中学校では、事件が子どもたちの後の人生に活きるよう、また、犠牲者への供養となるよう、その日見たこと、感じたことを生徒が書き、それを文集にまとめていた。「小さな目は見た」(小学校 148名分)、「かんな川5」(中学生 87名分)の2冊である。この手書きの文集の記述は信頼できる。詳しくは本書を読んでほしいが、子供たちが、記憶が鮮明なときに書いたものは正直であり、何らかの意図を持って事実を曲げて書くことなど、まずありえないからである。
著者は、事実はこうであったという結論は述べていないが、子どもたちが書き残した証言を参考に、これまで指摘されてきた不可解な点をさらためて検証すると、恐ろしいことが、大変現実味を帯びて浮かび上がる。
最後に、著者の思いを引用しておく。
「この事件で命を落とした人への供養は、まだ生きている関係者が「真実を語ること」、それだけである。そして私たちに出来ることは、長い歴史の中で一時的な政権に惑わされることなく、それぞれの場でゆがみのない事実を後世に残す努力をし続けることではないだろうか」
是非とも一読を。
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この本を読んだ後、「JAL123便墜落事故 自衛隊&米軍陰謀説の真相」(杉江弘著)も読んだ。
杉江氏の本は、青山氏の本の反論のようであるが、根底にあるのは同じだと思う。
それは、この大事故を国や企業は検証し直して、再発させないようにして欲しいということだ。
その過程で陰謀が見つかれば徹底的に叩けば良い。
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ここまで調べ挙げた著者の方に感服です。よくこの本、出版できたなあというのが正直な感想です。当時は「大惨事」くらいにしか思っていませんでしたが、裏に隠された事実は「ある」のだと思います。
33年もたつと何もかもが曖昧になりそうですが、真実がしりたいものです。情報が風化しないことを祈るばかりです。
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御巣鷹山の日航機事故から33年も経ったのかと思ってしまう。圧力隔壁の事故としか認識していなかったのに、この本を読んで様々の疑問を突きつけられると今更ながら本当の真実がどこにあったのか考えさせられる。
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墜落時にファントム機2機が追尾しており、練習用ミサイルの標的になっていた模様。人命救助より隠ぺい工作が行われ、多数が見殺しにされた。
本書には論文的に裏付けのある事実のみしか書かれていませんが、その後のネット記事などが補完してくれているので、存在意義は大きいと思います。
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これ、どこまで本当なのでしょう。権力による事実の隠ぺい?もう少し明確に証拠、根拠を示してもらわないと。
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多くの証言を基に記述されている。決して面白おかしい憶測でストーリーを作り出そうとしない姿勢に敬意を表するが、核心がはっきりせず、隔靴掻痒の感があった。
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1985年8月12日(月)日航ジャンボ機123便。ボーイング747。東京羽田空港から18時発の大阪伊丹空港行きの墜落事故。生存者がヘリコプターで吊り上げられていく映像は覚えているものの、事故原因の詳細に疑問が残る状態のまま現在に至ることを当時理解出来ていなかった。本書は早稲田大学政治経済学部1年生科目で書評のための教材に取り上げられる。事故原因の真相、報道、語り部などいろいろな切り口から後世に引き継がれる課題を見出されることになりました。
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日航123便の墜落原因についての見解本。まあ巷間よく言われていることで新味はなかった。まあでもこの世紀の大事件が風化していくことに危機感をお持ちで、このような本が継続的に出版されていくことは良いことだと感じた。特にCA目線でのJAL乗務員の奮闘記は新鮮だった。
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日航機行方不明の第一報をいつどこで聞いたか今でもはっきり覚えている。
当時、群馬出身の知人が友人(警察官)から聞いた事故現場の話だとか、その後の報道やこの事故をもとにした小説やドラマから感じた底しれぬ恐怖や不安感。
あの時、テレビは本当のことを伝えていたんだろうか?
「何かの事情で」飛行ルートを外れた123便を目撃したり123便を追う「飛行体」の「音」や「気配」…
…ひょっとして?それを見ていたのは私だったかもしれない。背筋がぞっとした。
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死者540名という史上最悪の航空機事故。あれから30数年が経過しても未だに事故原因について多くの疑問が残されている。著者はこの事故で亡くなったCA達の後輩にあたるJALの元CA。釈然としない事故原因に人生をかけて当時の様々な事柄を調べ上げている。真実の事故原因は凄まじいです。事故原因について、この様な噂は囁かれていたが聞き取り調査や証拠を集めて理論的に説明されていて、やはりこれが真実であったと認識します。
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政府や情報を信じてはいけない。自分で考え、見たもの、聞いたこと、多角的な情報をもってから判断をするべき。
そして、いざというときには自分の判断で動けるように訓練をしておかねば、有事のときには名もない死傷者の一部に含まれてしまう。
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大体他の本で読んだ内容ばかりでした。
当時の幕僚長は否定してるけど、現役機長の多くがフライト中かなりの頻度で自衛隊機に仮想敵にされて追跡された経験を持つという証言は、さもありなんという感じだな…。いろいろと怖いのでもう飛行機には乗りません!
著者が元日航客室乗務員の方ということで、調査の仕方も書き方も、ルポとしては物足りない。新事実のための告発が目的なのか、犠牲者の鎮魂がしたいのか、先輩乗務員を褒め称えたいのか、主題がハッキリしないのが物足りなさの理由かも。文章も突然尊敬語入って来たりするので、「される」とか出てくると尊敬なのか使役なのか受け身なのか分からなかったりして読みにくいっちゃ読みにくい、、、著者の熱い思いは伝わったけども。
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1985年8月群馬県上野村御巣鷹の尾根に墜落した日航123便について当時の同僚CAが不審に思って、様々な目撃証言や手記、資料をもとに、原因が世間一般に言われている圧力隔壁修理ミスとは違う可能性について検証した本。
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日航123便墜落の新事実 青山秀子 河出書房新社
青山さんはその後東大に人学して博士になる
出版物としては
日航123便 あの日の記憶 天空の星たちへ
日航123便 墜落の新事実
日航123便 疑惑の始まり
日航123便 遺物は真相を語る
その他記事多数
青山さんの人生をここまでのめり込ませた
虚しく悲しい真実に
私も少なからずやり場のない義憤を覚える
多くの目撃情報を分析すれば
少なくとも自衛隊や米軍にとって
あらゆる権力を動員して多くの犠牲を払ってでも
隠し通したい
何かがあることだけは確かだとわかる
隠蔽を命じた奴らは兎も角
墜落後に生きながら見捨てられ殺された人々だけでなく
現場で隠蔽工作をさせられた自衛隊員の人生も
苦しいものになったに違いない
いずれボイスレコーダが公表されれば
内部告発も起こり多くのことが判明するだろう
人間社会を豊かにする手段であるはずの組織が
独り歩きして主権者たる者から信頼関係を吸い取り
競争原理に突き落としている現実の怖さ
その推進者と成り下がった官僚支配も哀れですらある
この底なし沼から這い上がるにはどうすれば良いのか?
答えは単純明快である
個々が自らの中心でそれぞれの環境を俯瞰することで
客観的に広くを見渡せば自ずと答えが見えてくるし
それだけで切磋琢磨の関係を取り戻して
追い込まれてきた虚像を消し去ることができる