紙の本
ゆでガエル
2017/11/28 20:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口の激減が予想される日本の近未来。その時、我々の身に何が起こるのかを、夕張市や島根県等の先行事例を検証し、未来図を描きます。
メンテできずに朽ち果てていくインフラや公共施設。機能不全に陥る役所は、前例のない撤退戦を強いられます。そして、愛着ある住処を捨てざるを得なくなる冷酷な現実が明らかにされます。
しかし、それでもなお「地方創生」策で何とかなると現実を直視しない専門家もいて、呆れました。「自分たちは、ゆでガエル」と話す島根の方の言葉が重たいです。やや感傷的なエピローグには不満ですが、渾身のレポートでした。
ところで、本書で、議論されているのは市町村レベルの話です。一方で、日本市場が急速に縮むわけですから、海外進出していない日本だけで勝負している企業は容赦なく淘汰されると思います。また、高齢化が顕著な農林水産業は、担い手がいなくなり消滅するかもしれません。
政治家たちは、「森友」や「加計」以外の諸問題にも関心を払い、「加計」なみの議論を国会で戦わせてほしいと強く思いました(政局にならない課題には、マスコミも野党も興味はないでしょうが・・・)。
紙の本
少子高齢化、人口減がこんなに怖いことになるなんて・・・
2017/07/30 16:24
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の人口は2053年には1億をわり、これから50年間で約4千万人が減るのだという。その間急速な高齢化が進む。これがすごい怖いいことなのだということが本書を読むとよくわかる。
過疎化という言葉は地方都市のものかと思ったが、池袋も将来、消滅するかも。都会は地方から仕事を求めて集まる場所だったが、仕事はあるが非正規労働などが多くなり、家族が養える労働でないために一生独身者が増えて、少子化のために都市が消滅する、しかも死ぬ時は孤独に死んでいく。怖い・・・
財政破綻1号の夕張市の事も怖い。
ほとんどの施設が閉鎖もしくは廃墟と化しており、自治体が手を打てずに街の縮小が始まる。炭鉱から観光へと大きく舵を切り、不適切な会計処理を行った首長や市の行政当局にあるのか、石炭など国策で翻弄した国にあるのか。いずれにしても最大の責任者が直接責任を取らない政治の仕組に怒りを感じる。
島根県のいわゆる過疎の町は、当たり前の公共サービスが提供されず、自治体は住民の共同組織に、公共サービスを自分たちでやれとわずかな金を渡し丸投げする。70,80歳の住民にだ。怖すぎる。
そもそも、少子高齢化が国民の責任なのか、産めない施策を政府が進めてきたからではないか、一極集中の施策が現在も進行しているが、例えば、最低賃金だって地方と東京では200円以上の開きがあるのだ。東京で働きたいと思っても仕方がない状況が作られている。農業では暮らしていけない状況が作られている。政治の責任だ。財界言うなりの雇用政策を進めてきて非正規を増やしているのも国の責任だ。保育所待機児ゼロの約束も反故にされたし。
こんな怖い思いをさせるなんて、しかし、そんな政治家を選んだのは私達だということも怖い。
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NHKスペシャルがベースになっているだけあって、とても読みやすかった。似た内容だけど、総論として先に「未来の年表」を読んでから、各論というか具体論のこちらを読んだのもよかった。これからどうすべきなのか、ほんとにオリンピックなんてやってる場合なのか、なんて考えてしまった。
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向島4.3 向島から4/3に運ばれてきた人
今の夕張市の人口ピラミッド 40年後の日本の人口ピラミッド
撤退するくらいなら、最後まで頑張って玉砕したほうがまし、といった意見もありますが、私にとって撤退とは力の温存です。いまこそ、進むべきは進み、引くべきは少し引いて確実に守るという発想が大切なのではないでしょうか
余力があるうちに集団で麓に下りてきて集落を作る
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本書の内容はネガティブ数字の連続である。政治の世界における「アベノミクス」の自画自賛とは真逆の世界が広がっている。日本には夢がないのかとため息をついてしまった。
人口の未来予測はほぼ間違いなくあたるそうであるが、本書の語る日本の将来はあまりにショッキング。せめてアジアの成長により日本国民の生活レベルは維持できることを願うばかりである。
日本の現状を冷徹に捉えれば本書の言うように「撤退戦」しかないのが現実なのだろう。問題を先送りしないことを「政治」に期待したいが安倍政権には無理そうであるとも思った。
2017年8月読了。
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<目次>
プロローグ
第1章 東京を蝕む一極集中の未来
第2章 破綻の街の撤退戦①
第3章 破綻の街の撤退戦②
第4章 当たり前の公共サービスが受けられない!
第5章 地域社会崩壊 集落が消えていく
エピローグ
<内容>
NHKスペシャルでやった「縮小ニッポンの衝撃」び印刷物編。怪談よりも怖い話だった。高齢化と人口減がダブルで日本を蝕み、公共サービスができなくなる…第1章、第4章では、過疎化したところに(東京は過疎化ではないが)人を呼ぶサービスを今やることで、将来の人口減を防ごうとする(保育園のサービスなど。第4章は行政でなく民間でこれwをやる)話だが、夕張市はすべての市町村の未来を先取りし、エピローグに載る横須賀市は、、無縁仏の話…。日本を活性化するには「待ったなし」なんだと気づかされる怪談集…でした。
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少子高齢化による人口減少という言葉は何となく理解していたが、自治体からの面では働き手の減少による税収減と高齢化による社会保障費の増大がダブルパンチで来るんだな。恐ろしさが充分わかった。
こんな事が確実に来るのがわかっているのに、この国の為政者は「憲法改正」だのとホザイている。「一億総活躍」だとか「人づくり革命」だのと言葉遊びにこだわっている。
ぜひ政治家と公務員には読んでほしいね。また我々一般市民も次の世代に先送りせずにしなければならない。
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東京に暮らしていては見えにくくなる日本の姿がある。恵まれた先進国とはなんだったのだろうか。蓄えをゆっくりと消費し下り坂を降りていくなどという比喩すらも、もう古い。
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『未来の年表』の方が、内容的に分類整理がよくできてて、文章もまとまってて、衝撃が大きかった。
こちらは、TVの取材だから?かな。
夕張市の調査や、現状の問題点、そして、これから人口縮小にむかう、というか、もうすでにその兆候が始まってる首都圏の人口動態の問題点を指摘してるんだけど、文章がダラダラしてる。
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これまでNHK取材の本を読む中で、過度にストーリー仕立てで、現状課題を過度に追い立てる文調を感じる。事象として、過度に一般化していり恐れがあるので、慎重な姿勢で読むことをオススメしたい。
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居住地域の縮小しか無いと思うけど、理屈じゃないなとも思う。そのうち互助の関わりも薄くなって、というか都会はすでに薄いし、そうなると公共サービスはホントになくならざるをえないのか
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人口減少の深刻さが改めて理解できます。
政府は言及しませんが人口減少は出生率の低下が原因ではありません。
戦前戦後の後先を考えない政府の人口政策が主因です。
戦前を富国強兵策、戦後は労働力確保の名目で「人口をいじった」からです。
日本の他にドイツが、この政策を行いました。
だからドイツは人口構造を維持するために、移民を積極的に受け入れ、今移民問題が発生しています。
狭い国土の日本でなぜこれほどの人口(世界10位)がいるのか?それは戦争と経済に勝つためです。
しかし、それが今、この国を衰退させる主因になっています。
多くの有用なレビューが書かれています。
多くの人は、人口減少社会によって、
①自分や家族の生活が、どのようになるのか?
②自分はどうすればいいのか?
が非常に気になると思います。
この問いに答えることは、自分が置かれた状況によって、
異なります。「こうした方が良い」という正解もありません。
個人、個人で考えて行動を起こすしかありません。
ここで、日本の①人口推移 ②働く人(生産年齢人口比率と人口)
③1人当たりのGDP(政府希望数値)
を記載しておきます。
これを見れば、一目で日本が置かれた厳しさがわかります。
【結果から】
①日本は2030年までに人口が現時点での2000万人近く減る
②日本は2030年までに働く人が1300万人近く減る
③日本政府は、成長戦略として、欧米並みの生産性を実現するとしている(成長戦略)。
実際は、財源確保が理由で、裏の理由は、既得権益の維持です。
毎年2%以上の実質GDPの成長をすると
という仮定で、1人当たりGDP434万→630万にしようとしている。
では、GDPが増加すると、私たちの生活は豊かになるでしょうか?
答えは否です。あくまで企業活動の効率化を徹底させるだけで、世帯所得が増加することはありません。
誰も指摘しませんが、日本はこの20年で平均世帯所得が2割近く(100万以上)減少しています。
2018年 1億2663万人 60.7%(7700万) 1人当たりGDP 434万(政府希望)
2020年 1億2400万人 59.2%(7340万) 1人当たりGDP459万(政府希望)
2025年 1億2000万人 58.7%(7044万) 1人当たりGDP523万(政府希望)
2030年 1億116万人 58.1%(6483万) 1人当たりGDP 630万(政府希望)
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NHK取材班による、人口減少社会となった現代日本のレポートですが、題名よりは明るい印象を受ける取材地が並び、今後のことをしっかり考えようと思わせる一冊。ただし、ここに出てこない多くの自治体こそ、「ゆでがえる」になってしまう懸念があるだけに、心配です。
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タイトル通り「縮小ニッポンの衝撃」である。
人口減少がもはや田舎だけの問題ではないことは周知の事実であろうが、それをデータと丹念な取材でリアルに掘り下げている良書であると感じた。
付箋は13枚付きました。
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人口減少が本格化する日本の中でも特に特徴的な地域を丁寧に取材されていることが分かる。
23区で唯一消滅可能性都市となった豊島区、財政破綻した夕張市、地域運営組織の優等生の島根県雲南市、それを模倣する同益田市。
いずれの事例も示唆に富むものであり、読み応え抜群だ。
なかでも雲南市の鍋山地区の秦さんの考え方が印象的で今後重要になるのではないか。
「人口が減るから、…都会から誰か来てほしいと、人口が減ってはいけないという働きかけみたいなものが全国で行われています。…言葉が悪いけど、よそから来た人に50万円だとか、片付けに5万円とか、そんなお金を出すなら、瓦が落ちて、困っているおばばの家でも直してあげてよと思うんです。…国のやり方、雲南市のやり方を批判するわけではありませんが、新しい人を呼び込むだけでこの鍋山地区が、人口が増えてすみよい地域になるとは思っていない。」
国は交付金を用意したから、あとは地方が知恵を絞ればよいという姿勢を改めて欲しいと思う。