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<感想>
伊坂幸太郎さんの最新作。
本屋で見つけ、即購入、読了。
「AX」に続く新刊発売、伊坂さんファンとしてはとても嬉しい。
好きなキャラクターである「黒澤」登場作品、楽しく読めた。
個人的にはちょい役の「今村」のキャラが好きだった。
ヌケている、でもドコか憎めない、そしてなぜか本人は自信満々、その醸し出す雰囲気がたまらない(笑)
今回の作品は、とにかく設定+プロット勝ちだったように思う。
父親っぽいけど何となく不審な男は誰なのか?等、様々な謎を散りばめながら目まぐるしく展開される物語。
読者騙しのオンパレード、終始ハラハラしながら読み進めた。
大一番の仕掛けに全く気付かずに読み進めていったので、P182の一文に衝撃…
しばらく理解が追いつかなかった。
その後、続々と繋がってくるストーリー。
あのとき呑気に思えた今村のセリフにそういった意味があったのか…と、後から分かる真実がまた面白かった。
必ずもう一度読み返したくなる作品。
読者に語りかけながら展開される形、伊坂作品にしては珍しかったように思う。
勘の鈍い私は、「読者もお分かりのように…」の展開に2、3歩遅れで付いていくのが精一杯で、終始悔しい思いをしながら読んだ(笑)
<印象に残った言葉>
・犬の名前が「センサー」だったと分かるのは、これも事件後だったが、とにかく、その時は犬の存在が私たちの前に立ちはだかっていた。(P51)
・まあ、そうですけど。もともと、俺が間違えちゃったことがきっかけですし。そのせいで、黒澤さんがこの家に。(P92、今村)
・「折尾さんのですか」春日部課長代理は紙を手渡ししてきた。その四つ折りの紙が何であるのかはすでに想像がつくだろう。あの断り書き、「黒澤の但し書き」だ。つまり、今それを落とした男は、読者が見抜いていたように、黒澤にほかならない。(P182)
・隣の家で、だ。(P209、黒澤)
・悲劇ね。非力を恨んでね。(P241、綿子)
・地上にあるものは罪からは逃れられない。罪をゼロにはできない、生きてれば誰だって罪がある、という意味かもしれない。罪のない人間なんてありえない。そうだ。だから、できるだけ罪を少なくするのを目標にしろ、と書いてあった。罪を犯したことなんてない、と言い切れる人間はむしろ、嘘だ。迷ったり、怠けたり、罪を犯してもいいが、正しい人になれ。司教がそう言う場面があるんだよ。(P257、黒澤)
・その名前に聞き覚えがあり、黒澤は顔を上げ、店員を見た。せっかく物語が終わるところなのだから、「兎田のことを待っているのか」くらいの声をかけてもいいように感じるが、もちろん彼はそんなことをせず、実際のところ、そうならなくとも幕はおりる。(P268)
<内容(「BOOK」データベースより)>
仙台で人質立てこもり事件が発生。SITが交渉を始めるが―。伊坂作品初心者から上級者まで、没頭度MAX!書き下ろしミステリー。
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黒澤さんが大活躍するお話。二転三転する展開はお見事としか言いようがない。途中での騙された感といい伏線の回収といい魅力的な登場人物といいほんと面白かった。秀逸なエンタメ作品でした。
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なんだか色々な場面が錯綜していて(いつもの事だけど)、いつにも増して状況が分かりにくい感じが強かったのだけど、読み進めていくと、読むのを止められない疾走感はさすがでした。
そして必ず救いがあるのが伊坂幸太郎作品の好きなところ。
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久しぶりに伊坂作品を読んだけど、相変わらず安定の伊坂節!!
作者の語りが入ると言うなかなか面白い書き方も、あっという間に慣れて何だかその語りがむしろ癖になる。伊坂さんが書く立て篭もり人質事件がすんなり終わる訳がなく、とんだひっちゃかめっちゃかぶりで荒波にアレヨアレヨと飲まれてびっくりしてるうちに綺麗に投げ出される感じ。
この世の中生きていて完璧な正義なんて無く、生きているだけで人間何かしらの罪を重ねていく。
でもその罪に善悪はっきりつけることなんて不可能で、よんどころない事情が誰しもある人生って矛盾だらけですな…としみじみ思ってしまった。
いやー、面白かった。
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おんもしろかったぁ~~!!!w
伊坂、サイコー!!!♡♡♡
予測不能の籠城ミステリー!!w
仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。
SIT出動。逃亡不可能。予想外の要求・・・。
登場人物それぞれの、妻への愛、息子への愛、娘への愛が
胸に沁みる・・・んだけど、それが交錯して複雑でおもしろいことになっちゃうのが伊坂流ww
読者として「白兎事件」の全貌を知ることができたことに
このうえもない幸せを感じますー♡
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新潮社さんさすがです。
出版社によって、なんともいえないものが出たりするが、新潮のは安心。
たてこもりの話しだが、時系列がごちゃごちゃしだして、これなら2回読んでもいいかなという感じ。黒澤がたくさん出てくるのもいい。ホワイトラビットなサイン本欲しかったなぁ。あまり内容に触れるわけにもいかず。しかし面白い!
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伊坂節の面白さよ。善し悪しの価値観が入り交じる展開。悪人にも色々いるし、悪のなかにも救われるものがある。そんなに単純じゃないんだ、世の中は。なんでも割り切れるほど単純じゃないんだ、ニンゲンは。その割り切れない思いを抱えて生きている。クールでドライなクロサワも、割り切れない一面を見せてくれるのがまた良いのだ。ニンゲンってのは一筋縄ではいかないのが面倒だけど、それが面白くて愛おしい。
結構残酷で痛々しい場面もあるけれど、それを物語のナレーションのごとく語りで薄めてくれるのは、伊坂さんの優しさか。もしくは、この物語の大事なのはそんなところじゃないということか。
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「AX」から2ヶ月くらいしか経っていないのに、もう新作!
伊坂幸太郎の新刊は、なんと“籠城ミステリー”。この段
でもう胸がときめいちゃう人、やたら多い気がする(^^;)。
伊坂幸太郎の籠城モノと言えば、「チルドレン」や「陽気
なギャング」シリーズで何度か目撃したことがあるのだが、
今回のは完全に一線を画す内容。籠城モノなのに登場人物
はやたら多く、ともすれば話がこんがらがってしまいそう
なのだけど、絶対にそういう展開に持って行かないのが
伊坂幸太郎の凄いところ。終わってみれば全キャラが皆
重要な役回りを最低一つは担っており、結果的に“無駄な
人物”が一人も居ない。加えて、章全てに用意されたどん
でん返しは感嘆に値するくらいレベルが高く、随所で爆笑
しつつも唸る。奇跡のような作品だ・・・。
そして嬉しいことに、今回のキーマンは「泥棒」と「探偵」
の両極端を生業とするあの男。彼のキャラがここまで立つ
のはかなり久しぶりで、それだけでもう嬉しい。さらに、
「レ・ミゼラブル」にインスパイアされた狂言回し的な表
現があまりに小憎らしい上に「あそこからこの話を思いつ
くのか!」という天才ぶりも遺憾なく発揮されているのだ
から、もう脱帽するしか無い。
ユーモアに富んだジェットコースターミステリー。しかし
このカッコ良さ。伊坂幸太郎のエッセンスが存分に詰まっ
た作品、ぜひお試しを!
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伊坂幸太郎、さすがです。
今回の作品はドタバタ感が拭えませんが、それでもこの物語自体が騙し絵を眺めているかのよう。そして、最後にはあちこちに散らばったピースが収束していく様は気持ちがいい。隅々まで伊坂幸太郎の技が冴え渡っています。
今回も伊坂作品ではお馴染みのキャラクター黒澤が登場します。伊坂ファンは思わずニヤリ。シリーズ物ではないのに、どこかの作品で登場した人物を登場させる伊坂さんは遊び心が十分で、またファンサービスが旺盛です。
物語は、ある犯罪組織の男が奥さんを誘拐され、その奥さんを取り戻すためには、組織の金を持ち逃げした男を探し出さなければならない。その男に仕掛けたGPSを辿っていった家には泥棒の黒澤もいて・・・
とまあ、ドタバタが予想される冒頭ですが、ここからは伊坂さん、一筋縄ではいかない物語を展開させてくれます。帯にもあるように、伊坂初心者でも上級者でも楽しめる作品となっています。大満足の一冊。一気読みでした。
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いつもの泥棒も登場したり。
相変わらず、パズルがピタッとはまっていくようなお話だった。読んでいて気持ちがいい。
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前作『AX』に続き、伊坂幸太郎さんの新刊は、「悪玉」ものらしい。早速手に取ってみると、伊坂作品にはしばしば登場するあの男の名が。
『ホワイトラビット』という緊張感の欠片もないタイトルだが、本作に描かれているのは立てこもり事件だ。仙台市の高級住宅地ノースタウンにある家に、男が人質を取って立てこもった。後に「白兎事件」と呼ばれるのだが、これまた緊張感のないネーミングである。
そもそも、男が立てこもるに至った経緯とは。こりゃ、何も書いてもネタばれになりそうで、書けない。一つだけ言えるのは、あとがきにある通り、本作は硬派で正統的な犯罪小説ではないということ。伊坂作品なのだから、言うまでもないだろうけれど。
作中の経過時間は短時間なのだが、とにかく視点人物や時系列が飛びまくる。あまり長くないので、一気に読むのがいいだろう。もちろん、これには理由がある。
一見いい加減に飛んでいるようで、実はきちんと計算されていることが、読めばわかる。どのように飛べば、どのようにネタをばらせば、最も効果的に読者を煙に巻けるか。ここまで「騙し」に重点を置いた作品は、伊坂作品としては珍しいのではないか。
暴力描写がまったくないことはないが、基本的には安心して読める。絶体絶命のシチュエーションなのに、どこかワクワクしてくる。たまたま居合わせただけなのに、律儀に付き合ってしまう、あの男。この男なら、何とかしてくれそうな気がする。
警察がこんな手に引っかかるんかい!とか突っ込みたくはなるが、現場指揮者が理解ある(?)人物だったのは、ツキがあったかもしれない。さらりと触れられるこの人物の事情には、一瞬絶句する。必要不可欠な設定なのかはやや疑問だが、硬派ではないがユーモラスすぎない、本作の絶妙なバランスを担うキャラクターだろう。
適度な長さに、伊坂幸太郎の真骨頂が詰まっている。帯にある通り、従来のファンだけでなく、初心者にも手に取りやすい。伊坂さんにしか書けない1作だ。
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伊坂ワールド全開の作品。ファンは楽しめる。ただ、例の伏線を畳み込んで行く面白さがあまりなかったのは残念。
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伊坂さんの人質立てこもり事件なんて、おもしろくならないわけがない。
お話の構成がとてもおもしろいなあと思いました。人や時間があちこちに飛ぶけど、それが一本の道につながる感じ。
まさかそういう展開になるとは思ってませんでした。
私は稲葉が勇介の父親なのかと思ってましたが、それははずれちゃったな……。
稲葉は最低なヤツだったけど、電話をかけてこられるのが苦手だ、だったらメールの方がいい、という考え方は私も同感。
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面白かったー!
終盤のとある場面で「そういうことか!」と気付いた瞬間、色々と繋がるわ、こんがらがるわ。
全てが分かったところで、また1ページ目から読みたくなる。
さすが伊坂幸太郎さんです。
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久しぶりの黒澤さん、と思ったけど首折り男以来だからそれほどでもないか。
最近の伊坂幸太郎は、誰かが救いを求めて助かる、というワンパターン化してない?と思うところがあるけど、
軽妙な登場人物たちのやり取りと、この先どうなるのか読めないところが物語に引き込む吸引力となる。
仙台市内で立てこもり事件が発生!助けて!!
白兎事件と呼ばれる(世間的には呼ばれない)、この事件には語られない物語ばかりだ。
とある誘拐グループの末端の兎田は、まさか自分の新妻、綿子ちゃんが誘拐されるとは思わなかった。
金を持ち逃げした誘拐グループ経理担当を唆したコンサルタント、オリオン座の薀蓄が詰まった通称オリオオリオを作れてくることが、解放の条件だった。
オリオオリオに仕込んだGPSを頼りに民家に押し入ったら、まさか無関係の人の家だった。
しかも二階には、ただいま空き巣中の黒澤も紛れ込んでいた。
人質事件発生。
第一報が警察に通報されるまでには、裏シナリオが絶賛進行中だった。
悪人には鉄槌を。
神の視点でオリオン座が見下ろしていた。