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紙の本

現代社会とナチス世界との連続性

2018/03/16 14:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

ナチス・ドイツと現代との連続性については、つとに指摘されているところであり、ナチスは現代社会への橋渡しとなる「革命」を実現した体制である、という主張もある。例えば、このレビューを書いている今は確定申告シーズン。確定申告の基礎である「源泉徴収」システムは、ナチスが戦費調達を効率化するために考案した制度である。民間人を源泉徴収義務者という疑似公務員に見立て、当時は戦費調達のために効率的に徴税する仕組で、戦前日本も1940年輸入して戦後も制度は存続している。野口悠紀雄先生が「1940年体制」と呼び、戦後日本にも受け継がれた制度には、同じ時期のナチス・ドイツから輸入した制度も多い。
経済に限らず、私たちの日常生活を取り巻く法律・制度にもそのようなものは多い。とりわけ、自然保護・動物愛護・健康志向の分野では、驚くほどナチス・ドイツとの連続性が見られる。例えば、「動物愛護法」は、動物を殺傷する時には苦痛を与えてはならない、という「動物」の視点からの規制を定め、動物実験の制限などを定めている。また、「帝国自然保護法」では、現在にも通ずる「景観保護地区」の設定、自然保護部局の開発計画への関与、さらには、自然保護区域設定のための土地収用など当時としては最先端で高く評価された法律であった。もっとも外見はそのように見えても、人種論のアナロジーによる動物の分類とか「公益は私益に優先する」として正当な補償なしの収用など、裏にはナチズムの思想は反映されている。
本書はそのような流れの一つとして、「健康な身体」、現在の健康管理システム・ダイエット志向などに通ずる流れを、ドイツを中心とした「裸体文化」について研究した著書である。著者の森貴史には、直近では「アイアンスカイ~月面に蟠踞するドイツ第四帝国のリアリティ」(「想起する帝国 ナチス・ドイツ「記憶」の文化史」所載)や「ドイツ王侯コレクションの文化史-禁断の知とモノの世界」「エロスの庭-愛の園の文化史」「ビールを“読む”-ドイツの文化史と都市史のはざまで」などのように、ドイツ圏のニッチな文化(悪く言えばキッチュ)を通して近現代史を読み解く、という研究をされているようである。
ドイツ体操の父ヤーンのような、ナチズムへの流れでつとに登場する人物のほかに、「裸体文化」に通ずる思想家・運動家など、初めて知る人物やその数の多さや、R●●●Pのような現代でも盛んなビジネスもあったことも紹介されてり、この分野での多様な活動・ビジネスの存在には驚かかされる。豊富な写真・資料をもとに、丹念に当時の社会現象を整理しており、これらの動きの全てまたは一部がナチズムとの関連性・連続性は持つようになったのか、その理由・背景は何だったのか、を期待したのだが、最終章の記述はあっさりして肩透かしの感があった。
おそらく本書が整理した菜食主義、裸体運動、禁酒運動などを全て飲み込んだ生活改革運動だけでは、ナチズムとのつながりは乏しいだろう。この新しい潮流に、「男らしさ」のイデオロギー(『男のイメージ 男性性の創造と近代社会』ジョージ・L.モッセ著、作品社2005、『男たちの帝国 ヴィルヘルム2世からナチスへ』星乃治彦著、岩波書店2006)と世紀末から勃興する「民族至上主義」(『帰依する世紀末』竹中亨著、ミネルヴァ書房2004)と「人種論」「オカルティズム」(『聖別された肉体―オカルト人種論とナチズム』横山茂雄著ロサ・ミスティカ叢書1990)という二つの伝統的な要素が融合すると、ナチズムはすぐそこにあるということだ。
なお、世紀転換期を対象にしているためか、明らかな年の記載ミスが目立つことが気になる。

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