紙の本
山田詠美氏の愛憎劇を描いた名作です。テレビドラマにもなり話題になった作品です!
2020/08/12 09:38
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ベッドタイムアイズ』(文藝賞)、『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』(直木賞)、『風葬の教室』(平林たい子文学賞)、『トラッシュ』(女流文学賞)などの名作を次々に発表してこられた山田詠美氏の作品です。同書は、編集者の父と医師の母のもとで何不自由なく育てられてきた高中真由美という女性を主人公とした物語です。真由子が小学生の頃、隣家に二つ年下の百合の家族が引っ越してきて、二人は急速に仲良くなっていきました。しかし、真由子が21歳になった冬、百合から真由子が幼いころからずっと思いを寄せてきた澤村諒一の子どもを妊娠したと告白されます。その日から、真由子の百合への復讐が始まります。諒一と百合の子どもの名付け親になった真由子は、『痴人の愛』の「ナオミ」から、二人の息子に「直巳」と名付け、彼を「調教」していくのです。直巳が20歳の誕生日を迎えた日、真由子は初めて、直巳に体を許します。そして、それが最初で最後となるのです。テレビドラマにもなった愛憎劇を描いた一大傑作です!
紙の本
新時代へ
2018/03/05 00:58
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷川潤一郎「痴人の愛」を下敷きにして、
新しい時代への「愛」の物語を構築した作品。
詳細は解説に詳しい。
この時代に、
この小説を上梓する、
山田詠美という作家の底力、というか。
凄みを感じる1冊です。
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これでこそ、楽しみにしていた甲斐があるというものである。
やっと文庫化された。やっと。WOWOWでドラマ化された際に見た、あの耽美的な世界に憧れて、もうこの何年も思い出すたびに文庫が出てはいやしないかとヤキモキしていたのだ。
そして、その甲斐はあった。良作、名作である。そしてこの何かの理屈を掴みかけ、しかしそれを本当に掴んで読み解くことなどできないという無力感がかえって心地よい。
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急転直下、“ちょうだいお化け”なんて可愛いらしい呼び名を遥かに凌ぐ、百合の怪物級のもの凄い存在感に呑み込まれる。最終章に仄かに漂う幸福感。それは真由子の幸せなのか、直巳の幸せなのか…。それさえも百合という怪物の腹の中で消化された後に残ったスカスカの残骸でしかない気がしてしまう。持たざる者のハングリーさにタジタジ。
グーパンチをくらったような後味だけど、夢中で読むほどおもしろかったのは確か。
脇役で登場のあの「彼」が嬉しいサプライズだった。
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秀美くんが出てくるという理由で読んだ。大人の秀美くんも良い…。
ストーリーは、最初は20歳年下の男で、しかも友達の息子って…と思った。でも読んで行くうちに復讐に100%共感はしないけど2人の関係について気にならなくなった。でも最終地点はどこなのか、それは真由子も分からなさそうだったけど。
百合に対してはひどい女だなと思っていたけど、ラストを読むとひどいというかすごい女だな。
ドラマ化もされたようだけど、私の中ではずっと直巳ははっしーで再生されていた。若手俳優が分からんからだけども。高尾滋の絵でも再生してたな。
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想い人の諒一を奪った百合。復讐に燃える真由子は、二人の息子・直巳を手に入れると決意する――。『痴人の愛』に真っ向から挑む恋愛長篇。〈解説〉柚木麻子
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痴人の愛の逆パターンで女性が年下の男性を自分流好みに育てるが。やはり、痴人の愛のほうが小説としては好きかな。
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大好きな部類。
気の毒なマユちゃんの復讐は成功したとも言える。
ドラマverで百合を高岡早紀が演じていて凄いはまり役だったのを覚えている。
強烈で印象的なお話し。凄い。
たまにまた読みたくなると思うからまだ捨てれそうにない一冊。
ハマりすぎて谷崎さんの‹痴人の愛›も購入しました(´∀`)
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愛や幸せは与えられるもの?
奪うもの?作り上げるもの?
.
生まれた時から
その人の本質というものは
基本的に変わらない。
きっとそう。
育ちや環境や人間関係など
いろんな事がその人生に影響を与えたとしても。
.
「ちょうだいお化け」いるよね。
あと「マネっこお化け」も。
こーゆーのって
女の子特有のものなのかな?
.
怖いよね、強いよね、女の子って。
でも、
関わらなければ、
そっちに引っ張られなければ、
見てる分には面白い生き物だよね。
って思うのも、女だからかな。笑
.
帯に書かれていた
“もう減点方式で 冷めてしまう恋など したくない”
…ちょっとわからない。
私の感性と合わなかったみたい。
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『痴人の愛』のオマージュらしい。こちらは男女逆パターン。親友に好きな人を寝取られ、できちゃった婚された真由子。生まれた子は男の子。その子供の名付けを頼まれた真由子は「直巳(ナオミ)」と命名し、ナオミの心も体も支配することで、親友に復讐する-。ストーリーの本質は痴人の愛というよりも、女同士の確執のようなものか。それにしても男版ナオミが、21歳歳上の真由子に夢中に溺れていくのが、どうも納得いかなくてね..。真由子の魅力がそんなに見えてこない。やはり元祖痴人の愛のように、若い女に溺れる男の図式の方がリアルよね?
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0028
秀美くんが出てくるという理由で読んだ。大人の秀美くんも良い…。
ストーリーは、最初は20歳年下の男で、しかも友達の息子って…と思った。でも読んで行くうちに復讐に100%共感はしないけど2人の関係について気にならなくなった。でも最終地点はどこなのか、それは真由子も分からなさそうだったけど。
百合に対してはひどい女だなと思っていたけど、ラストを読むとひどいというかすごい女だな。
ドラマ化もされたようだけど、私の中ではずっと直巳ははっしーで再生されていた。若手俳優が分からんからだけども。高尾滋の絵でも再生してたな。
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真夜中、一気に読んでしまった。
山田詠美の小説の中で「僕は勉強ができない」と同じくらい好きな小説になった。
好きな人を取られ、敬愛する父をも取られ、精神が崩壊してもおかしくないような仕打ち。
それでも彼女は強く生きていた。取る側になる、罪を犯さない復讐。これ以上美しい復讐はないと思う。できないけど。
どうして?と思うところは、解説を読んだら全て納得できた。真由子自身、彼をその程度の男だと無意識のうちに分かっていて、本当によかった。
敬愛している人でも、あることに於いては俗物だったりする。気づけたら少し落ち込んで、次に行けばいい。そう思わせてくれる小説。とても好きでした。
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一章ごとに読み進めていったが、直巳と真由子の関係、真由子と百合の関係がどうなって行くのかが気になり、物語に入り込めた。
父とSEXをし自殺に追いやり、大好きな人を奪った百合に対する憎しみは相当なものだと思うが、そんなことがあっても真由子が育てた直巳はある意味ではいびつに、ある意味では純粋に育ったように思う。最終的に百合の策略(百合は真由子の幸せのため直巳を差し出した場面は嫌な女というよりただただ可哀想な女性なんだと感じられた)により、真由子は身体が不自由になってしまい、ずっと直巳に介護されて過ごすのだろうが、真由子がどういう気持ちなのか、賢く尊い女性であるから、察するのが難しい。
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直巳に出会う前の真里子は私のようで、出会った後の真里子は小田さんのよう。わたしも強い感情があれば小田さんのようになれるのかな。百合への不快感がすごい。文面だけでオエッてなっちゃう。「マユちゃんの言ってること、全然解んない」という幼少期の直巳に、「解りなさい」という真里子がいい女だった、わたしもいつか言いたい。あとヴェルレーヌが読みたくなった。
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谷崎潤一郎の『痴人の愛』を下敷きにした作品。真由子は元親友・百合の息子に直巳と名付け、自分の思い通りに育てることで自分から幸せを奪った百合へ復讐する—という話。
真由子が溜めた幸せを根こそぎ奪った百合から、今度は息子の直巳を奪うことで復讐するのだが、復讐が成功しているかというとそうでもないと思う。生粋のお金持ちで円満家庭で育った者特有の鈍感さを持った真由子に、機能不全の成金家庭で育った百合はこれでもかと男の浅はかさを突き付ける。真由子が奪った気満々でいる直巳も、その名付けを百合からお願いされたあの時点で百合に"奪わせられていた"のではないか。百合という女の底知れなさは確かに怖いが、私は真由子よりも百合にシンパシーを感じてしまった。