投稿元:
レビューを見る
村上春樹氏お得意の紀行文。
氏の書籍は小説のみならず、旅行記・滞在記・雑文等々
相当な数を読みましたがやはり最大の魅力は比喩の巧さに尽きると思います。
特に最近の小説の定番の展開でもある現実世界との乖離のシーンに関しては、比喩が発展したその先の世界が氏の頭の中では具体的にイメージ出来ていて、その結果なのだと思ってます。
なので一般的な読者は拒絶反応を示すし、信者はその真意を読み取る事を楽しみながら村上氏を崇拝していく。
いつの間にかファンとアンチがはっきりと別れる作家になってしまい自分としては悲しい思いでした。
ただ、本書についてはそんな村上春樹的展開が苦手な方も問題ないと思われます。
比喩については適度に心地良い程度に抑えられ、写真も豊富。
何よりいく先々での氏の感性に触れることが出来て、普通だったら何気なく楽しんで終わってしまう旅行をこんな視点で楽しめば良いのか!と、読めば多くの人が旅行に行きたくなることうけあいです。
旅行会社では『村上春樹が廻った場所ツアー』なんて企画したら特に海外のファンには喜ばれるんじゃない?
本人は嫌がりそうデスが。。やれやれ。。
投稿元:
レビューを見る
旅先で。ラオスにいったい何があるというんですか?の章の最後が良かった。旅先で感じた匂いや感触。それらが今後の人生にどう影響していくのか今はわからないが、それは必ず私の中に立地的に存在し続けるだろう。
2018.10.14
投稿元:
レビューを見る
人にとって,旅とは一体いかなる価値があるのか,旅によって人はどのように昇華されるのか,言外にひしひしと,旅という非日常によって自らを顧みる視線を感じる.また,資本主義にどっぷり浸かった現代人達へのアイロニーが題目にたっぷりと込められていて,それまた小気味がよい.
投稿元:
レビューを見る
村上春樹氏の本はあまり読まないのですが、紀行文集ということで、旅好きの一員として手に取ってみました。
雑誌に連載されていたものを集めた本で、主な出典はJALカード会員向けの会員誌「AGORA」からのもの。軽めのタッチで書かれていて読みやすいです。
個人的な経験として、海外を旅する時、特に一人旅で街を歩いたり、何かを見たりすると、脳が刺激されるせいか色々なことを思ったり、考えたりします。ただ、肝心のその内容は頭の中に残ることなくその場でサーッと消えていってしまって、寂しいような気持ちになるのですが。
本著の細やかな描写を見ていると、ふとそんなことを思い起こしました。
本著での旅先のチョイスは、定番を避けつつ、ちょっとスマートなイメージのある場所が多いですが、著者は香港やバンコクといった雑踏はどう見るんだろうとも思いました。あまりイメージとは合いませんが(笑
かつて住んだ場所を、一定期間空けて再訪すると面白い、と言っていたくだりは、その通りだろうなぁと思いつつ、東京を離れたことのない自分としてはなんともうらやましく感じました。
本著を読むと、なんか旅っぽいことがしたくなります。文中に挙がっていたキャンティでも買ってこようかな…。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹の紀行文。単行本で出版された時から気になっていたんだけど今回たまたま文庫本化されていたので思わず手に取った。
一番印象的だったのは「大いなるメコン川の畔で」。
ラオス・ルアンプラバンを訪れた筆者のメコン川の描写に引きこまれる。
僕もタイに行ったことがあるが、(川の名前は忘れてしまったが)バンコクを流れる川の圧倒的な水量と川幅を前に、一種恐怖を感じたものだ。手つかずの自然と宗教が融合した街・ルアンプラバンは世界遺産にも登録されている。
投稿元:
レビューを見る
旅行中に旅行記を読んでみたくて読みました。
文字だからこそ残せる記憶もあるだろうなと思いながら読みました。
ありきたりではない、自分の言葉で旅のことを記せるようになれたらと思いました。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹の紀行文には必ずと言って良いほど、親切な地元民、おいしそうなレストラン、ゴロゴロする猫が登場する。
本作はタイトルになっているラオスの事が気になって購入したのだが、北欧のフィンランドやアイスランド、そして村上氏がかつて実際に住んだギリシャも大変興味深く印象に残った、いつの日か旅行で訪れたいものだ。そして猫と一緒にゴロゴロしたい。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹さんの本だと紀行文、エッセイ>短編>長編の順で好きだ。特に好きな「遠い太鼓」の後日譚みたいなのもあり楽しい。色々なところを旅していっぱい文章にしてほしい。東京するめクラブまだ読んでないから読もう。
投稿元:
レビューを見る
よくあるパターンで、高校〜大学の頃村上春樹にハマり、大抵の小説、短編集は読み漁った。
しかし、エッセイは読んだことなかったかも。今回かなり久々に、村上春樹の、しかもエッセイを手にしてみた。
まさに、「ラオスにいったい何があるというんですか?」と思って読み始めた。
ただし、ラオスネタはほんの一節で、あとは諸々の世界各国、あるいは日本の熊本などの紀行文集。
あんなに好きだった村上春樹…。時を経て、苦手になっていたのかも。そういうことってあるのかな?
読むのにやけに、時間がかかる(読みにくい)。
しかしながら、自分の行ったことのない場所を語る紀行文は、やはり興味をそそる。
アイスランドのパフィンも見てみたい。
フィンランドについては、まずはカウリスマキの映画を観てみたい。片桐はいりさんも推してたし。
ミコノス島の猫たちにも会ってみたい。
熊本の橙書店の、しらたまくんにも会ってみたい。
ラオスにいったい、何があるというのですか?
それに即答できるなら、ラオスにいく必要はない。
わからないから行くのだし、行ってみて初めてわかる魅力は、どこの地にもあるんだと思う。
投稿元:
レビューを見る
ハーバード大学 マサチューセッツ工科大学 嗚呼、僕という人間は、こうして基本的には特に意味もなく、でも実際には否応なく端末的なエゴを抱えて…生きとし生きている多くの非合理で微小で雑多なもののひとつとして、ここにあるのだ チャールズ河畔の遊歩道 ニューバランス ボストン・マラソン 身体を慰撫するように走る レイキャビク 人口僅か30万人弱の国である ヨーロッパで一番人口密度が「すかすか」の国である 苔の生えた広大な溶岩台地が延々と広がっている 北辺的な寂寥感 アイスランドの羊には尻尾がない パフィン=エトピリカ クリアな人生観には刮目すべきもがあるような気がする 東京都葛西の臨海公園にある水族館が開館したとき 苔に覆われ 造花の健気さ 推して知るべし 美しいフィヨルド 温泉の湯を利用した温室栽培 三宅島 ブルー・ラグーン 隣の地熱発電が排出する「排水」である 厳しい経済危機 西のオレゴン州ポートランド ピノ・ノワール ワイナリー巡 ナイキの本社 スポーツ施設が充実している 東のメイン州ポートランド そこに入植したのは主にスコットランド系アイルランド人だった とりたてのメイン・ロブスターを味わわずしてこの街を出て行くことはできない スティーブン・キングの書いた殆どの小説の舞台になっている土地だが ミコノス島 ウゾー とてもチャーミングな皺を寄せて笑う人で スペッツェス島 檸檬とオリーブオイルをかけた新鮮な魚料理を食べていると ブーゲンビリアの美しく繁った角っこの家はとうとう見つからなかった チャーリー・パーカーやビリー・ホリデー かなりディープに麻薬をやっていたせいで これ以上の至福をどこに求めればいいのか? アキ・カウリスマキの映画 シベリウスの音楽 ムーミン ノキアとマリメッコ 当時のフィンランドはまだ実質的にロシアの統治下にあり 19世紀まではスウェーデン語がフィンランドの公用語として使われていた 500万しか人口のいない小さな国 ヘルシンキのエテラ港 その大半は峻険な山地と密林 遷都せんと 柔和な笑み メコン川の流れが途切れることがないのと同じように フェンウェイ球場 スターバックスよりダンキン・ドーナツに入ることを好むようだ 僕は少なからず哲学的省察に耽らされることになる ボストンの沖合いで無心に鰯の群れを追うことと クマモト・オイスターという小ぶりな牡蠣と トスカナ地方 森と葡萄畑が混在している 今度こそアルファロメオを借りなくてはな 来熊らいゆう 万田坑 太田胃散 川上哲治氏が人吉市ひとよししの出身であることをふと思い出した 津奈木町 日奈久温泉 藺草いぐさ 少女時代の八代亜紀 人口に膾炙 くまモン 夏目漱石の妻の自殺未遂 東京スルメ倶楽部
投稿元:
レビューを見る
この20年の間の旅行記。ボストン、アイスランド、ポートランド、ギリシャの島、ニューヨークのジャズクラブ、フィンランド、ラオスのルアンブラバン、トスカナ、熊本。旅っていいものです。疲れることも、がっかりすることもあるけれど、そこには必ず何かがあります。
作家の仕事ってうらやましい。数か月〜数年の単位で、好きな場所に暮らせて、仕事もできるなんて。
投稿元:
レビューを見る
情報量、情景の伝え方、ユーモアな文章で、飽きさせない世界的作家となった著者の紀行記。
パックツアーでは行く事が出来ないような、国、場所が、目白押しである。
個人的には、滞在して、トスカーナのワイン、飲んでみたいなぁ。
意外なのは、海外で滞在し、名作を執筆していたのは、驚きである。
紀行記としてでなく、メジャーな作品を著述した背景としても読める。奥行きの深い作品
投稿元:
レビューを見る
観たありのままの印象を描いている感じ。
所々にある写真が味わい深くて好きだった。
パフィンをぜひ生で見てみたい。
思わず旅に出たくなる一冊。
投稿元:
レビューを見る
詳しい感想はソフトカバー版にアップしましたんでここでは詳しく語らんです。
ソフトカバー版になって文庫版にある、熊本再来訪。雑誌CREAに載ってなのを収録したものですが、2つの本の間に熊本地震が起きたんで、もう1回再来訪したようです。「カッパがんばれ」。が気になる。
投稿元:
レビューを見る
ボストンの野球場もギリシャの島々も熊本も楽しい。でもやはりタイトル旅の「大いなるメコン川の畔で」が印象的だ。裸足に真っ赤な法衣の写真。ラオスは仏教国なので道を歩けば大量のお坊さんの托鉢とそれを毎朝待ち受ける人々。そこで宗教について。それは「物語の共有行為として自生的に存在するものだから」「自然に無条件に人々に共有されるということが魂のために何より大事」なんだと結論する。なるほど。タイトルはハノイでのベトナム人の質問。「その何かを探すために行こうとしているわけなのだから。旅ってそういうものではないか」。ですよね。