紙の本
オサムシ
2018/08/24 09:51
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
オサムシを知らずに、この本を読み始めた。本の内容は、ヤギやコウモリ、モモンガなどの動物を観察した事である。大学の教授が書いているのだが、私のような素人にもよく分かるように優しい表現で書いてくれている。
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「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」に始まる、動物行動学者、小林朋道さんの「先生」シリーズ、これが12冊目だそうである。
なるほど、人気シリーズなのだな、と思う。軽く読めるが、なかなか深い。
さまざまな動物たちの生態に加え、動物行動学という学問が何を探求しようとし、どのように研究を進めているのか、門外漢にもわかりやすく、楽しく読み進められる形になっている。
本巻のタイトルは「オサムシが研究室を掃除しています」だが、これは前振りの話題で、むしろ本文にはヤギやモモンガ、コウモリの話題が多い。とはいえ、「はじめに」で登場する、オサムシがロボット掃除機さながら、ゴミを後肢にくっつけてせっせと移動している写真はかなり衝(笑?)撃的ではある。
全部で7章、各章には、「ヤギは仲間といることを強く望む動物だ」「暑さにふらつく鳥、寒さによろめく鳥」「ニホンモモンガの体毛に生息するノミに魅せられて」といったタイトルがつく。どんな内容なのか読むまでは見当がつかないが、読めばなるほどその通りの中身である。
一番印象的だったのは、モモジロコウモリと天敵のフクロウの話だろうか。小林先生は、モモジロコウモリのある行動とフクロウの鳴き声の間の関係を探り出す。結論を聞けば、そうなんだ、なるほど、と感心するところである。
だが、結論を導くには仮説を立て、その仮説を検証するための実験系を組み、条件を整えて実験を行い、結果を検討するという作業が必要になる。動物行動学の場合、個々の動物のさまざまな行動がどのように引き起こされているか考えるためには、その都度、その動物のその行動にあった実験系を作らなければならない。これはかなりセンスを要求されることで、もちろん、試行錯誤も必要になる。
先生自身も書いているが、本などで話題にするのは成功例が多いけれども、その陰には数多くのうまくいかなかった実験があるはずなのだ。あるいは仮説が間違っていたのか、あるいは実験の組み方がまずかったのか、あるいは動物の状態が整っていなかったのか。
いずれにしても、動物の行動の背景を探るには、その動物の目線になることが必要だということなのだろう。
全編を通し、じっくり観察して深く考察する姿勢に感銘を受ける。軽く書かれた筆致が心地よいのは、その奥に動物に対する温かいまなざしがあるためだろう。先生、本当に動物が好きなんだなぁと思う。どこか俳優の松重豊さんに似ている、ちょっとコワモテの小林先生が動物を見る目は、動物たちへの敬意に満ちて、かつとても優しいのだと思う。
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シリーズ12作目。
安定の面白さ,です。
僕は動物の行動に興味をもった人に小林先生の本を必ず薦めています。
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鳥取環境大学の小林朋道先生の「先生」シリーズの11巻目。
動物行動学の教授で,ヒトも含めた哺乳類,鳥類,両生類などの行動を,動物の生態から研究なさってきた。
その研究を一般の人にもわかりやすいように,面白く書かれています。
さて,オサムシが研究室を掃除するとはどういうことなのか。
なぜそんなことになったのかはぜひ本書をご覧ください。
ほかにも,ヤギ部の最長老のクルミの行動,モモジロコウモリが捕食者であるフクロウの声を聞くとどういう行動を取るのか,NHKの「ダーウィンが来た」に鳥取県の芦津の森のモモンガが取り上げられたときのことなど,動物の行動とその周りにいる人々の話がとても面白かったです。
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生物系研究者の、研究にまつわるエッセイにハズレは無く、この本も対象に注ぐ熱とユーモアと発見に溢れてる!
モモジロコウモリの天敵から逃げる行動、モモンガの皮膜、ヤギも糞や唾液のついた餌は避ける、などなど、生物の行動は実に興味深く、それを解き明かしていく研究者の姿も興味深い。
「自然のなかに身を置いて、自然を感じることによって、日々の先に小さな光が見えるのだ」
「一人で自然と対峙する時間が私には必要なのだ」
寡聞にしてシリーズ既刊が11冊もあると知らず、読む楽しみが増えた。
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2018.9.27読了。モモンガ滑空中に向き変えられるんだ!どうにかして舵を切ってるってことだよね。尻尾かな?腕と飛膜両方かな?ムササビも向き変えられるのかな?やっぱり生き物は面白い。生物とその進化は枯渇することない知的好奇心の泉だみたいな事を最近どこかで見聞きした気がする。まさにその通りだ!ヤギは唾液のついた葉は食べないというのにも驚いた。実家の猫どもに草をあげると我先にと食い荒らすのだが、他猫のよだれでべっちょんべっちょんになったものでも平気食べるやつがいるから、気にならないのかと思っていたが、なるほど肉食と草食の違いがあったのか!モモンガの巣にいたヤマネやコテングコウモリは彼らの種としては変わり者なのかもしれない。習性と個性の差はどこから出るのだろう?個性があるから何かあった時全滅を防げるのかもしれないけど、個性の方が生き残れる環境に変わったら個性と習性は逆転したりするのだろうか?感心と知識と疑問が更新されるような一冊だった。
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シリーズ12作目。
181ページのヤマネの写真が可愛すぎ。
シリーズを読むと毎回思うが、小林先生のゼミは毎日楽しそう。
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シリーズ途中から、この書籍の存在を知って以来、毎年の新刊を楽しみにして来た。
今回も馴染みの調子が健在だ。久し振りに読むと、鬱陶しいくらいに?書き込んだ本音と建て前を面白く書こうとするサービス精神が、読む進める内に段々とクセになって来る。
筆者の体調(年齢?)の低下が年々、何となく心配になる印象...。
相変わらず自然や生物・人間を含めて、筆者独自の愛情と表現・思考・行動が楽しい。
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鳥取環境大学教授による、動物の観察記録。面白い。仮説の立て方が上手く、興味深い内容が多い。聞いたことのない大学であったが、面白い研究観察をしていると思う。他の著作もぜひ読んでみたい。
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相変わらず学級新聞的な文章ですが、
動物行動学?と構えることなく、
気楽に読むことができる楽しいシリーズ。
1人いや、一頭だけ置いていかれて寂しそうだったヤギじいさんが印象的。
太字の部分は著者さんが決めてるのかな、それとも編集者?
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<目次>
はじめに
第1章 ヤギは仲間といることを強く望む動物だ
第2章 モモジロコウモリがフクロウに対して示す2つの反応!世界初だと思う
第3章 「ダーウィンがきた!」が来た
第4章 暑さにふらつく鳥、寒さによろめく鳥
第5章 ヤギは糞や唾液のニオイがついた餌を食べない!
第6章 ニホンモモンガの体毛に生息するノミに魅せられえて!
第7章 サッカー場の10分の1ほどの調査地に取り付けた、10個の巣箱から6種類の動物が見つかった話
<内容。
軽口をたたきながら、動物行動学を説いていく小林先生の本。分かりやすいエッセーである。いろいろと面白い話がてんこ盛りである。
逗子市立図書館
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再読しだして止まらなくなったシリーズ。
これがねぇ、見回りの間の空き時間に読むのにめちゃちょうどええねんな。軽いようで、非常に深い。ブレインがストーミーですわ。たまりません。
・ヤギ、1匹だけ仕事に連れて行ってもらえなかったクルミ
・モモジロコウモリがフクロウに対して示す2つの反応
・芦津モモンガ、ダーウィンが来たに出演
・保護鳥、メジロ、シメ
・ヤギは糞や唾液のニオイがついた餌はたべない
・モモンガノミ
・10個の巣箱から6種類の動物
今作も非常に面白かった。特に惹かれたのがモモジロコウモリの反応、モモンガノミ、巣箱。ノミダニシラミはほんと奥が深いわ。そういえば、探し求めているシラミバエ、余裕のあるときには全く出ぇへんな。オオジュリンについたんしか見たことがない。
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楽し~い(((o(*゚∀゚*)o)))このシリーズを読むと、知らなかった事が面白おかしく学べる♪でも今回は「しんみり」で始まる(._.)うちの部屋もオサムシに掃除して欲しいわ~(^^)でも部屋に放し飼いはちょっとなぁ(--;)
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しんみりと始まった「はじめに」で高校生の生物認知でカエルやヘビは虫。漢字にすると「蛙」「蛇」虫片がついてるじゃないかと。モモンガに着いたノミの心臓の話も面白い。体長の半分以上が心臓、「ノミの心臓」は言い当て妙。「ダーウィンが来た!」は見逃していたのは残念だった。最後の章のヤマネとモモンガの写真が愛らしい。このシリーズは生物(人間も含む)について易しく学べ、小林先生の記録の保存媒体ヒューマン.クラウドである学生の研究や講義に打ち込む生き生きとした姿も想像できる。楽しんで学ぶ、羨ましい!