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2016年5月15日に放映されたNNNドキュメント「障害プラスα~自閉症スペクトラムと少年事件の間に~」の取材を元に構成された一冊。
トレーニング「コグトレ」等のことが興味深かった。
事件を起こしたその先の少年たちへのアプローチや取組をちゃんと記載してあるのが、良かった。
こういう事件が起きました、犯人はこういう環境で育ちました、こういう障害を持っていました、で終わりじゃなくて。
じゃ、これからの未来どうしたらいいのか?なにが足りないのか?自分達にできることはなんなのか?というところまで考えさせらた。
そういう視点が大事なんだと思う。
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「発達障害にネグレクトや身体的虐待のような虐待が加われば非行や触法行為に結びつく可能性が高くなる」
「発達障害と少年犯罪を結ぶ正体は虐待といえる」
本書にも繰り返し描かれていますが発達障害イコール少年犯罪ではありません。
ただ発達障害のある子供が傷つきやすく繊細であるにもかかわらず
そのこだわりの強さや頑固さコミュニケーションの不自然さといった性格からイジメや虐待にあいやすく
結果として社会不適応状態が作られることで
犯罪行為に結びつくことが調査結果からわかってきている
ことが描かれています。
発達障害のある子供たちの支援だけでなく保護者支援が重要であることがわかります。
発達障害のある子供が虐待を受けている場合にその親も発達障害である場合も少なくなく虐待が連鎖していく恐れがあると描かれています。
最終的には虐待が起こらない社会にしていきたいという願いに通じるように思います。
読んでよかったです。
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発達障害と犯罪に直接の関係はない。しかし、発達障害をもつ子どもの特性が、彼らを犯罪の世界に引き込んでしまう傾向があることは否めない。そんな負の連鎖を断ち切るためには何が必要なのか。矯正施設、加害者になってしまった少年たち、彼らを支援する精神科医、特別支援教育の現場など、関係者を徹底取材。敢えてタブーに切り込み、現実を正面から見据えて問題解決の方策を提示する。
発達障害が犯罪に直結するわけではないが、そうならないために、家庭は、学校は、地域社会はどうしたらよいのか。その一つは自己肯定感を下げないことだろうな。さまざまなことについて考えさせるきっかけになる一冊。「おわりに」は最後に読みましょう。
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発達障害と少年犯罪。田淵俊彦先生の著書。発達障害と少年犯罪の間接的な関係性を示唆する内容になっているけれど、発達障害や精神障害を持つ人を犯罪者予備軍のように誤解されることだけは避けなくてはならないと思います。保護者や精神科医、教育関係者だけでなく、社会全体として発達障害や精神障害を持つ人を支えないと。
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その保護者としては、とても切ないタイトルだけれど、
「よくぞ調べてくれました!」と喝采したい内容。
思春期~青年期に入り、不登校や若干の不安定な時期を、
これでもか、と経験していると、
ニュースで事件を起こした少年が、明日はわが家...と恐ろしくなる。
幼少期から手厚く療育三昧で育ててきた...はずが、
理解を超えた展開を迎え、家庭だけ、家族だけでは、
精神的にも、肉体的にも支えきれなくなる。
子どもを授かることの十字架に、改めて気づかされる。
わが家には、健常児もいるので、
発達の根本的な違い、なかなか通じ合えない、共感しずらい感覚へ
日々、向き合わざるを得ないことが、まるで修行のようです。
犯罪者を生み出さない、という社会貢献を、ひっそり実践中です(苦笑)
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認知機能が弱く「困っている子ども」のトレーニングとして話題の「コグトレ」の文字が目次にあるのを見て手に取る。
発達障害があると、他人との、そして自分へすら、その認知にゆがみを生じ、現代社会で生きていくには困難が伴う。生き抜く力を得るためには、「この人を悲しませてはいけない」と思う人と出会うことが必須だと感じた。
こういった子どもの支援ができる専門職や施設の充実ももちろん大切だが、子どもと向き合う親が心と時間に余裕をもって接することのできるための施策も、私には重要だと思う。
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宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」から遡る形で入手。
発達障害とはどういう性質の障害なのか、おぼろげではあるがイメージすることができた。発達障害そのものが危険なのではなく、そこに虐待やイジメなど外的要因が加わることで犯罪起こす可能性が高まる、ということ。また、発達障害は脳の機能不全から生じるものだが、先天性の障害とは別に、ストレスや虐待などによって後天的に障害を患うこともあること。この2つの事柄だけでも、我々とは無縁とは言い切れないことであることがわかった。
だが、いざそういう障害を持った子どもを前にして、うまく振る舞うことができるか、まったく自信がない。この問題に取り組んでいる専門家の方には頭が下がる思いだ。
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少年犯罪と発達障害の関係を取り扱った作品。
発達障害を持つ子と親から適切な養育を受けていないと思われる発達障害を持つ子たちへのケアが大切になってくるなぁと感じた。
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タイトルからして、とてもインパクトの強い一冊だった。
ただタイトルの“どぎつさ”よりも読み進めると筆者が悪戯に発達障害と犯罪者を掛け合わせようとしていないことがよくわかる。
この番組が放送された時のことは知らないのだけれど、きっと時間の制約がある中で“分かりやすさ”を求められるテレビという媒体では、表現しきれなかった部分があって、そこに対するバッシングもあったのだろうなと想像に難くない。
環境要因が加わることで犯罪に走るリスクが高まること、それを予防するために社会全体で取り組む必要性があることを主張している。
その主張は一貫して当事者や回りを囲む保護者であったり支援者であったりに寄り添った切り口に好感を持った。
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宮口先生のゴグトレの箇所では、そもそもトレーニングを実施するのも難しい状況もよく分かる。
肝心なまとめの所が様々な面(医療、教育、福祉、社会)からのアプローチが必要というところで終わってしまっているのが残念。
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最近こういう類の本たくさん読んでる
何が正しいかとかじゃなくていろいろなアイディアを知ることが良い気がしている
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まず本書を読む際には、著者が何度も指摘しているように、発達障害イコール犯罪ではないことは留意しなければならない。
その上で、発達障害を有する子どもにいじめや虐待などのプラスαの要因が掛け合わされることにより、少年犯罪が誘引されてしまっていること、また虐待などにより脳の海馬に障害が生じ、後天的に発達障害と同様の症状が引き起こされることには、社会全体が向き合わなければならない問題であると思った。その解決のためには、家族が単にわがままを言う子・手がかかる子と距離を置くのではなく、子どもの発達障害を受け止め、愛情を注ぐことが大切であると実感した。
また、受胎時の父親の年齢により、新生突然変異の発生率が増加するという研究結果には、非常に驚いた。
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発達障害に「+α(虐待や愛情不足や偏りetc)」が重なると少年犯罪につながる可能性が高まる、という趣旨の民放ドキュメンタリー番組を書籍化したもの。
発達障害の子の少なからずが「普通の人にはできることができない」ことで自尊心を傷つけられている、また特有の過敏性で被害妄想を高めやすい状況にもある。そこにまわりの不理解でしつけという名の虐待が重なると、トラウマ(心の傷)が残り、それは海馬や前頭前野などへ器質的な影響を残すこともあり、本人の社会参加はより難しくなる。
おおまかにいえばそういう本なんだけど…それをどう解決するのか、というと…難しい。
医療少年院にいる自閉症スペクトラム障害の疑いがある子どもへのインタビューがあったりして、何人かの実例が載っているんだけど、本人の「大変さ」は三者三様。当然、対応も個別対応に近いものになる。
実際、トレーニング方法(コグレトp.173-)も紹介されていたりするけどその個別指導を誰がするんだ、という話にもなるし、心理療法(p.192-)だって本人(やその保護者)が自分自身の現状を受け入れることが前提でそれはあまりに難しい。虐待などの二次障害は本人だけでなくその親も被っていることが多く、そんな親とセットでの治療が必要な場合が多いこと(p.223-)も困難さに拍車をかける。
発達障害そのもののつまずき、そんなつまずく子供を受け入れうまく愛しきれない親の存在、そしてそんな自分自身を愛せない本人のいら立ち。
わからんわけではないが…「親も愛せん奴を他人が愛してやってくれ」といわれても困るし、そもそも難ある親の説得までようせんよな、というのも本音ではあったりする。
とはいえ…発達障害者にかぎらず人は三者三様で、ある人にはどうにも受け入れられない人でも、別な人には好物だったりする。
一方で専門的なプログラムを施しつつ、もう一方でそんな人を受け入れられる空間を増やすことが求められはするんだろうな、という趣旨は理解できた一冊。
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発達障害やHSPやパーソナリティ障害といったような分野が近年とても注目を浴びている気がする。
今までも絶対にそういうものはあっただろうに、こうやってちゃんと認知されるようになったことで、だんだんそういう人たちにとって住み良い社会になっていっているのだろうか。そうだといいけど。
認知度が高まっているとはいえ、まだまだ理解されていない部分も多いとおもう。
かなり危ないところまで踏み込んでいて、賛否両論あるとおもうが、わたしはこの本はいろんなひとに読んでほしいと感じた。誤解を招きそうなタイトルだが、実際は誤解を解くための本だとおもうから。
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発達障害の子の親も発達障害である可能性があることをしっかりと伝えている本。発達障害と今の社会を取り巻く環境について、生きていく上で向き合っていかなければならない現実とヒントが記されているのだと思う。向き合って行く必要性については著者のあとがきを読むことで、より感じるものがある。
発達障害の子の母親へのカウンセリング場面の描写から一気読みだった。
後半の節分「私たちに何ができるのか」を読むことで、発達障害への意識の持ち方も変わってくるように思う。