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平成、昭和…わたしたちの世代、親の世代、祖父母の世代…といろいろな世代の人々が交差しながら話が続いていくフシギな「お話の世界」。ストーリーは途中、退屈かな?と感じる部分はあったけど、わたしたちが普段感じているけど口には出せない想いを登場人物たちが代弁してくれる箇所が所々にあって、だからわたしは重松清さんの小説が好きです。
男子に、世間に、同じ女子に、その他もろもろ、負けていないはずなのに勝てないことは、たくさんある。
子どもの頃の後悔や心残りは、おとなにならないとわからない。振り返るたびに胸が痛くなる思い出があって、それで初めて、後悔や心残りに気づく。
生きていれば、みんな、思いどおりにならないことも、うまくいかないことも、失敗することも、誰かに負けてしまうことも、なにかをあきらめることも…たくさんある。「でも終わるな」
などなど。
気持ちが優しくなれるような気がします。
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取り壊しの決まったたんぽぽ団地での「過去」と「現在」を「時空たつまき」という不思議な現象によって行き来して、「お話の世界」と「現実」を行き交うお話でした。
読み終わった頃にはとても温かい気持ちになって、少し懐かしいような、泣けてくるような気持ちになりました。
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取り壊しが決まった3丁目団地。
そこは、かつてあるドラマが撮影されたロケ地だった。
そのドラマの名前は「たんぽぽ団地のひみつ」。
主演を演じたワタルくんはもう52歳。今は売れない映画監督。
ワタルくん、かつてロケに携わった団地の人々、今も団地に暮らす徹夫さん、その孫の小学生の杏奈。徹夫さんの奥さんで、杏奈のおばあちゃんも亡くなってしまったショーコ先生。
3丁目団地に集まる人たちが体験する、少し不思議な物語。
面白かった!
子供も大人も楽しめる、優しさと夢の詰まったファンタジーエンターテイメントという感じ。
設定が団地なので、派手さはないものの、万人が好感を持てる物語。
主人公の杏奈も元気いっぱいで、優しくてとても良い子。好きになれるキャラクターです。
登場人物みんなが魅力あって憎めないところも、重松さんの小説の持ち味ですね。
杏奈一人に視点を固定させず、杏奈のお父さんの直樹さんや、団地に現れた勝ち気な子役女優のカノンなど、そして、時を超えてワタルくん、ワタルくんにほのかな恋心を抱いていたナルチョ、…など、適切にストーリーテラーが変わるところも効果的と感じる。
若干、ファンタジー要素が後半は強すぎる感もあったけど。
重松清さんの本で何を読もうか迷っている方にはこちらをオススメします!
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ファンタジーの要素が強すぎて、いつものように感情移入できませんでした。家族や友人関係も希薄な感じがしました。
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小学低学年の頃、近くにあった円山北町団地の事を思い出しながらノスタルジックな気持ちで読みました。(団地には住んでなかったけど、友達はたくさんいて、団地の敷地にある公園やら、イベントやらではよく遊んだ記憶があります。)文庫版にはガリ版の挿絵がないのが残念かもしれません。ネットで探すと見つかる味のある挿絵も作品の一部だと思います。
ストーリーやキャラクターは、ちょっと物足りないところもありましたが、昭和の情景やら匂いを楽しむことができたかな。
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NHK少年ドラマシリーズ(これは面白かった)に対抗して作成された「たんぽぽ団地の秘密」その舞台となった団地が老朽化で取り壊されることになった。その団地に住む祖父を訪れた小6の少女から見る団地のあれやこれ。1973年の小6の少女の団地の思い出。ドラマの主役だった男の子は、今はほどほどの監督になり、その続編を作ろうとー。
時空のタツマキがおこり、お話の世界で当時の心残りを少しだけやり直す。当時を懐しむ大人のノスタルジーと過去のものになる団地から未来を託す子供へのメッセージ。そんな感じ。
ファンタジー部分への移行が曖昧で、あまりに読者層を広げた為か、何の話かまとまりが悪い印象です。
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小学校高学年のことを思い出すと、悪いことしたなと反省もするが、総じて考えることなく思い切り走ったり笑ったちしたものだ。大人になっていろんなことがあるけれど、子どもたちには一所懸命過ごしてくれるようエールを贈りたい。2023.9.7
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重松清の長篇作品『たんぽぽ団地のひみつ』を読みました。
『赤ヘル1975』、『流星ワゴン』に続き、重松清の作品です。
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団地をめぐる冒険が始まった!
幸せすぎる結末が待つ、家族と友情のミラクルストーリー。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。
そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて――。
大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
『たんぽぽ団地』改題。
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『しんぶん赤旗 日曜版』に2014年(平成26年)9月から2015年(平成27年)10月まで連載され、2015年(平成27年)に刊行された作品です。
■プロローグ
■団地坂の再会
■夢の中でクランクイン?
■徹夫さんと昭子さんとワタルくん
■ワガママ姫、登場
■ようこそ、8号棟へ
■おじいちゃん
■ナルチョさん
■純平の秘密
■チコさんの悔しさ
■帰ってきたワタルくん
■一九七三年の夏休み
■幻の続編を探せ!
■映画には悪役も必要だ
■勇気を出して
■再会
■たんぽぽの綿毛
■バイバイ
■エピローグ
■文庫版のためのあとがき
僕らの団地がなくなる前に、映画を撮ろう!運命と奇跡のクランクイン、、、
元子役の映画監督・小松亘氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る――その代表者は初恋の相手、成瀬由美子(ナルチョ)だった。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた小学六年生の杏奈は、不思議な少年に出会う――そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった、、、
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて……大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
少年ドラマ、ガリ版、片思い――あの頃を信じる思いが、奇跡を起こす……取り壊し前の団地に舞い降りた、奇跡と運命のハッピーエンディング。
取り壊しの決まった団地に住む祖父・徹夫と孫娘の杏奈が、かつてそこで撮影されたドラマの主人公・小松亘(ワタル)と出会って、時空を超えた冒険を繰り広げるという物語、、、
団地という舞台がユニークで、懐かしさを感じさせ、そして魅力的に描かれていたことが印象的でした……団地という舞台を活かした時空を超えた冒険と人間関係の変化を描きつつ、昭和から平成にかけて日本の住宅文化を支えた存在であり、多くの人々の思い出や生活が詰まっている団地の魅力や価値を伝え���うとした作品なんじゃないかと感じました。