紙の本
中島岳志氏による気鋭の研究者は先人たちを訪ね直し、保守思想をその起源から描き出した作品です!
2020/08/10 12:19
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ナショナリズムと宗教』、『インドの時代』、『パール判事』、『朝日平吾の鬱屈』、『秋葉原事件』などの話題作を次々に発表されている中島岳志氏の作品です。同書では、「保守」という思想はいったいどのようなものであるかを考えていきます。小林秀雄氏、三木清氏、橋川文三氏、福田恆存氏、竹内好氏、大川周明氏など、近代日本史をふまえつつ、気鋭の研究者は先人たちを訪ね直し、保守思想をその起源から描き出していきます。混迷の現代日本にも迫り、読者に新たな発見を与える保守のヒント集です。同書の内容構成は、「序 保守のヒント」、「第1部 保守と右翼」、「第2部 近代日本を見つめ直す」、「第3部 現代日本のナショナリズム」となっています。
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18/08/
10/18読了。
10/30二度目の読了。中島さんの大ファンなんだけど、最近のネトウヨや、安倍政権周辺の方達にはもう右翼とか保守とかというような印象さえ持たず、行儀の悪さや節度の無さしか感じなくなってきた。
なんでこんな風になっちまったんだろう。
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「保守」という思想はいったいどのようなものであるか? 近代日本史をふまえつつ、気鋭の研究者は先人たちを訪ね直し、保守思想をその起源から描出した。
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耽美派の世界観に入り込めるようになったのは、人間の理性に懐疑的になったからだと気づいた。そしてわたしが好きな物語の多くが、合理的なグランドデザインvs人間の不完全性、という構図があることに気づいた。政治に現れるからには当然だが、右派と左派というのは日常のあらゆる局面に転がってるなぁ。以下、学んだこと
・保守は「保守するための改革」に積極的。過去を単純に理想化するわけではなく、改革を否定するわけではない。自分たちの行動を縛るものに意味を見出し、その社会関係を大切にするため、排除のない安定したコミュニティの構築を目指す。保守と寛容は両立し得る!
・安倍さんが自称する保守は「反左翼」に端を発しているため、小泉改革を推し進めて保守政治を空洞化させた。
・右派の中に保守と右翼が分類される。過去を理想社会と考えるか、現代を永遠の過渡期と捉えて理想社会の実現を断念するかでラディカルさも異なる。
・日本の植民地支配に至るまでに、革命アジア主義(アジアを西洋支配から解放する)が反革命アジア主義(帝国主義を推し進める)の政治に取り込まれていった。二十一ヶ条の要求を取り下げていたらまた異なる歴史を辿っていたのかも…
・柳田国男、福田恆存、橋川文三に興味が湧いた
・自覚的に引き受けた役割を全うしている時に生の実感を得られる(「人間の『演劇的』な特質」)ことに共感できるため、ナショナリズムが一個人の自分らしさの探求と結びつくのは理解できる。現れ方がその国のたどった歴史・思想史によって異なるだけで、その心情自体は非常に普遍的で忌み嫌うものではなないと思う。しかしpatriotismとの明確な違い(政治的に現れるかどうかという点だけなのか?)はまだわかってないため、imagines communities読む予定。
Twitterの論争に疲れたらまずこれを読むべし。作者はリベラル保守のようだが、保守リベラル(存在するとしたら)の方による「リベラリズムのヒント」とかあったら読みたい。