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長い不妊治療を経て、特別養子縁組で息子を授かった夫婦。平穏な毎日を過ごしてきた家族の元に、ある日突然実の母親を名乗る女性から「子供を返して欲しい」と電話が――――
もう文庫裏表紙にあるあらすじを読むだけでわくわくさせるような香りが漂ってくるのですが、予想に違わずいい作品でした。久々の渾身作・傑作だと思います。
第一章と第二章は夫婦視点のパートで、自分と年が近いせいか、不妊治療にしろ幼稚園トラブルにしろあの出来事にしろ、母親が悩み苦しむ姿に非常に共感でき、時々ぐっときてしまうこともありました。そのうえでミステリ・サスペンス風の仕掛けも効果的に決まっており、作品に奥行きを与えていると思います。
代わって第三章と第四章はある少女の物語になります。著者のことですからティーンエージャーの心理描写に関しては相変わらず上手いです。展開に関しては若干の作為を感じなくもなかったのですが、少女が理詰めで行動せずに状況が悪化していくあたりは逆にリアリティを感じました。
直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』で見せてくれた世界をさらに研ぎ澄ましたような印象で、まだまだ辻村さんが進化し続けていることがうかがえます。自分と同世代に彼女のような作家がいるのは本当に頼もしいなあと。現時点での辻村作品No.1です。
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長い不妊治療の末に、民間の団体を通じて特別養子縁組を決意する栗原夫妻。
物語は主に、妻の佐都子の物語ののち、生みの親のひかりの物語、という二本立てで進んでいく。
ひかりの物語の間は、とにかく早くそこから抜け出したい一心で急いで読み進めたが、次に現れると信じていた佐都子の物語にはたどり着けなかった。
なんだか尻切れとんぼで、裏切られたような感じがしてしまう。
帯に書かれた「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある」と言う言葉の意味は凡人の私には全く分からず。
考えもなく思い込みだけで行動し堕落していく10代の子供を描いた物語は、いつも掴み所がなく、嫌悪感しか抱けない。
私に思春期の子供がいることや、それらを悪だと思い込んでいることが原因なのだろうとは思うが、申し訳ないけれどこう言う話は好きにはなれない。
ただ、以前最後まで読み切れなかった作品があったことから敬遠していたこの著者だが、この作品はとてもよかった。
また別作品を読んでみたいとは思う。
些細なことかもしれないが、この作品には「躊躇いなく」という言葉がやたらと使われている。何でもかんでも誰のことでも「躊躇いなく」と表現していることで、またか、と思った瞬間に登場人物が色褪せてしまったのはとても残念だった。
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2年ほど前に連続ドラマ小説としてテレビで見てから続きが気になって購入。
ひかりに焦点が当たったあたりから話の最後はきれいにまとまったものの、展開が思ったものとは違う方向に進み、物語の主旨がずれていくような違和感を感じてしまった。
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冒頭のエピソードで、また子育てイヤミスかとゲンナリしたが、そうはならない。ここから一気に持ってかれた。揺れても強い母親。父親もまた、たしかな人たち。
また後半分の愚かな小娘の薄っぺらい哀しみは少し冗長に感じたが、これもまたリアルだと思わせる。
最終盤は出来過ぎ。でもそうあってほしかったので満足した。
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最近の辻村深月によく見られる女性を描ききった作品だと感じる。その生々しさから途中頁をめくる手が躊躇われるほどである。
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産みの親、ヒカリと育ての親であるサトコ。養子として育てられる幼いアサト。2人の女性の境遇がバランスよく描写されている。ただ読み終えるとどうしてもヒカリに感情移入してしまう。懸命に生きるヒカリは等身大の衝動にかられとても純粋に描かれている。最後は美しく文体から、情景を想像させる。養子という制度の偏見をとても切なく、美しい物語として心に焼きつかせてくれる。
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やっぱり辻村深月好きだなぁと思う作品
冷たさの中に暖かさ
救いようのない辛い現実にひかりがあるのがいい
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もしも自分の娘がヒカリの境遇だったら…どこで救ってあげられたかな。こどもと性と、どのように向き合っていけば良いのか、親として考えさせられました。
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ドラマも見て気になっていた作品
ドラマは終始イライラしたけれど、本は思ったよりはよかった。
どの程度取材したのか分からないけれど、今の特別養子縁組は、あんな感じなんだろうか。
養子先の家庭が生みの母を慕い、感謝の気持ちを持っているっていうのは違和感がある。私が親の立場なら子供は生みの親に会わせたくないし、私が子の立場なら生みの親を慕うことはない。
不妊治療での悩みや葛藤はよく描かれているけれど、子育て中の葛藤もあるはず。血が繋がっていないことによる弊害とか、差別もあるだろう。そういうことが全く書かれていない。
特別養子縁組したから、子どもできた、よかったねっていうただのお花畑話になってる。
そういう実際には当事者たちが感じている気持ちとかをもっと知りたかった。私が当事者の一人とて、親の気持ちが全くわからないから、知りたかったというのが本音。
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もうラスト2ページで涙腺崩壊でした(;_;)
不妊治療、養子縁組、中学生の妊娠
そして家族の在り方
色んなテーマがあってすごく読み応え
ありました。
これ、映画化できるんちゃうかなあ
と思ってたら河瀬直美監督がメガホン
撮るそうです!
キャストが楽しみ!
https://eiga.com/amp/news/20190530/3/
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<学生選書コメント>
子供が欲しいけれど授からなかった母親と、
子供が欲しくなくても授かってしまった母親とのお話。
結末が気になり一気読み間違いなし。
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私は普通じゃない、地味じゃない、あなた達と同じところにいない。必死で大人になろうとした学生時代のことを思い出した。私は劣等感の塊で、そう思ってるのに本当はあの子達に追いつきたくて、だけど怖くて不安で飛び抜けたことは出来なくて、勇気のない子だった。だからひかりとは違っていたんだと思う。
妊娠の仕組みとか、妊娠したらどうなるとか、予期せぬ妊娠をしたらどうしたらいいとか、そうゆう知識がないことも怖いことだと思ったけど、自分にとって何が大切なのか、どんな自分になりたいのか、自分とは違う周りを受け止めるにはどうしたらいいのか、自分の考えることが本当に正しいことなのかを知る術を知らないことは、簡単に自分を追い詰めてしまうのかもしれないとも思った。
そしてひかりの、お腹の子供を大切に思う気持ち、本当は守るべき存在なのに、唯一自分が頼りに出来るような存在だと思う気持ちもよくわかる。それが失われた時、自分ではどうしようも出来ない時、どれ程の痛みが伴うのだろうか。ごめんなさい、ありがとうございます、この子をよろしくお願いします。それは、中学生の女の子としてではなく、あの子のお母さんとしての愛情と、謝罪と、そして幸せにしてほしいという強い願いが、込められていたんじゃないかなと思う。
読み進めるのは、本当に心が苦しかった。こんなことになるはずじゃなかったのに、ちゃんとしたかったのに、その方法がわからない。誰も教えてくれない、興味を持ってくれない、認めてくれない、その現実はどれ程苦しいものなのだろう。そんな周りを私は責めたいのに、きっと私もまたひかりのような子が近くにいたら関わらないようにするのかもしれない。巻き込まれたくないと思うのかもしれない。それは私が養子をもらった立場だったとしても、この子を産んでくれた私たちのお母さんなんて思わず、見下してしまっていたかもしれない。だからこそ、最後。朝斗のお母さんがひかりを見つけた時、あぁ、このお母さんは、ひかりがこの6年間に何があったかを悟ったんだなと感じた。やっとひかりに、次にどうしたらいいかを教えてくれる人が現れた。
朝斗がいるから、養親達が憎らしかったし、産みの親の喪失感を理解できた。だからひかりは救われた。朝斗の存在が、ひかりにも朝を運んできたのだと思うと、やっと心の重苦しさがとれて、とっても眩しい希望の光を感じた。
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210522
我が子を手放す辛さって相当なものだったんだろうな...。産んだ後、自分は親として我が子と人生を歩めないってわかっていながらも、出産前に我が子に手紙を書き続けてる姿に感動した。
今見てるthis is usにも里子が出てくるけど、里親の役割って本当に大事。里親ならではの悩みもあるだろうしね。
辻村深月の本、もっと読もっ!
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最初は幼稚園の子供同士のトラブルの話しからはじまり、不妊で子供を授かれず養子だという話になり、生みの親の出産の話となりと話がつながっていく。先が気になって一気に読んだけど最後がちょっと何だか物足りなく感じてしまった。
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不妊治療 若年の貧困問題 希望しない妊娠
現代社会の問題がより身近に感じる
どの登場人物にも感情移入してしまう
あっという間に読み切ってしまった