紙の本
閉塞した現代社会を打ち破るカギが隠されている書です!
2018/10/13 12:24
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、閉塞状態にある現代の日本経済に若さを取り戻させるカギを提供してくれる書です。その源泉となるのが、堤清二が一代で築いたセゾングループの哲学です。私たちがよく知っている西武百貨店、パルコ、西友、ファミリーマート、無印良品、吉野屋などは、かってはセゾングループに属する企業で、日本経済を牽引してきたコングロマリットでした。2000年にグループは解体されましたが、それぞれの企業は、今や驚くべき躍進を遂げています。その哲学には、現代日本に生き血を与え、再生を促してくれる何かがあると著者は言います。本書は、そのかってのセゾングループの哲学を学ぶことで、その再生のカギを明らかにしようとする傑作です。
紙の本
おもしろい
2018/12/27 09:05
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
セゾングループの堤清二の魅力が、よくわかり興味深く読めました。詩人、文学者としての素養が、魅力を増しているのでは。
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アベノミクスも株価にしか影響を与えず「失われた20年」は「失われた30年」にならんとしている今、では「失われていなかった時代」、いや「得ようとしていた時代」を確かめてみたい、ということで80年代を考える読書が続いています。そこには80年「じぶん新発見」81年「不思議、大好き」82年「おいしい生活」という糸井重里のコピーで突然、地上に現れたセゾン文化という大河が滔々と流れているのです。そしてその源流としての堤清二という変わった経営者に興味を惹かれて「闘争と叙情」「ユートピアの消滅」「わが記憶、わが記録」などを読み続けているのでいるので、新聞広告の「これはおもしろいぞ。糸井重里」の惹句で即読み。とても読みやすいので、堤清二入門書として最適かも。わかりやすくしている分、あるいは著者がビジネス誌の編集者である分、堤清二のモヤモヤ感が消えていて「未来を予見していた経営者」の魅力が今ひとつ伝わっていないような気もしました。ただ、堤清二にしろ辻井喬にしろ自分で書いた本では明確に指摘されていない、父 堤康次郎が軽井沢開発で文化をテーマに推進した手法との再帰性は、発見でした。働き方改革、データサイエンス、生産性が語られる現在、堤清二の説明の出来ないようなモヤモヤ感をどうアップデートするか?が大きなテーマになると思っています。
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セゾングループ発の某企業を傘下に収める会社に勤めており、会社から勧められて購入しましたが、正直、非常に面白い本でした!80年代後半生まれの私はセゾン全盛期を知らなかったので、西武とパルコ、Family Mart以外にも、無印良品、ロフト、JWAVEがセゾングループ発だったことは全く知らず、これだけの専門店企業群をセゾンが生み出していたことは驚きでしたし、糸井重里さんをはじめ、多彩なクリエイターとキラキラした広告を作っていたことも知りませんでした。今の日本の消費文化の源流の一つを間違いなくセゾングループが作ったと感じました。経営者としては賛否両論な部分もあるかもしれませんが、熱量があり生粋の文化人であった堤氏のような方の下で一度働いてみたかったなぁと思います。
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セゾンって大学に入ったときに絶好調だったから、もう本当に完成されたものだと思ってたけどそんなことなかったんだね。藤沢のlibroでテニスボーイの憂鬱のサイン本を買ったことを覚えているし、本のレイアウトの感じもうっすら覚えてる。駒沢大学にもあったよね。こんなところで大丈夫かなーと思ってたら大丈夫じゃなかったんだけど。あと、セゾン美術館のクリムトとかね。あれ、すごかったな。ニューアカのねじろの池袋にはあまり行ったことがなかったけど。クアトロはクラウドベリージャムとか見た。それからPHATか。でも、どんなに文化的に優れていても、どんなにかっこよくても、続かなくっちゃいけないんだよね。ということを自分への戒めとして読みました。
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セゾン文化に明確に影響を受けた世代としては、非常におもし六感じた。
今の時代だからこそ、堤清二を、西武セゾングループを見直すことに意義があると思った。
「コト消費」なんて40年前に堤さんが言っている訳だし。その先見性の素晴らしさとそれ故の危うさ。他にもさまざまな矛盾に満ちた人だけど、だからこそ魅力的だ。
単純に理解できてしまう人はつまらない。
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西武百貨店、クレディセゾン、良品計画、ファミリーマート、ロフト、パルコ、吉野家、西友、といった企業が1つのグループから生み出されたと言われてもピンとこない人がいるかもしれない。
外資のや他社傘下に入った企業もあるが、今もなお日本のマーケットを牽引する専門店が綺羅星のように存在するグループ。
それを作り上げた堤清二氏。
バブル崩壊とともに経済界から姿を消したと記憶していたが、こんな風に世の中を、未来を見ていた人なんだと初めて知った。
物を売るという商売ではなく、ライフスタイルを提案するという事に重きを置き、その実現のために自身の人生を賭けた。今の世を見ているとどのように感じられただろうか。
私自身もこれから先の10年、20年を見据えて、世の中の役に立つ事ができるだろうか、そんなことを実現したいと考える上で非常に参考となった気がする。
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西武百貨店を足がかりに、無印良品、パルコ、ロフトから吉野家に至るまで、日本の流通業に大きな足跡を遺したセゾングループ。総帥だった堤清二氏の生き様を、様々な関係者のインタビューで再検証したドキュメンタリータッチの一冊だ。
なぜ無印良品が生まれたのか、なぜ電車もないつくばに西武百貨店ができたのか、なぜ吉野家を引き受けたのか。
セゾングループというとバブル崩壊後の経営危機、そしてグループ解体というところに注目が集まりがちだが、一つ一つのエピソードを目の当たりにすると、セゾングループが世に問うたことが、時代の先を行き過ぎたということに気がつく。「もし」が禁句なのは承知しているが、今なら受け入れられたものもあったように感じた。
マーケティングの教科書としても読めるし、日本の産業史としても人物史としても読める。私にとって、ここ10年で一番の本だった。
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無印良品のDNAを深掘りできた。小説家という側面からもわかるように、人間ひとりひとりの感情を洞察しアイデアに落とし込むのが長けていたのだなと思いました。現代にも通ずる示唆が多いなと思いました。
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セゾン全盛期の雰囲気を知っている世代としては、懐かしく読んだ。堤清二の人となりは何冊か読んでいるので知っているが、もう少し掘り下げないと何故このような経営をしたのかという核心に迫れていないと感じた。
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グループ全体で4兆円を売り上げる時期もあったものの、解体されることとなったセゾングループの堤清二について記載されている書籍。セゾングループが関わっていた企業というと、良品計画、パルコ、ロフト、ファミマ、吉野家、リブロなど多岐にわたる。それらのビジネス展開に関する堤氏のこだわりや各関係者の考えなど、リアルに記載されている。
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自己矛盾の経営と、生活者を真に豊かにするためにセゾン文化とあう1つの時代を作ったことは大きな功績であり偉業だと思う。バブル崩壊後のセゾングループ解体からは経営者として優れていたと評価することは難しいかもしれないが、戦後物が充足する中でまず個々の豊かさをいかに提供するか、ライフスタイルや街をつくっていくという文化的な消費行動を促した点では、優れたアーティストだったのかもしれない。
無印良品、ロフト、パルコ、WAVE、リブロ。どれもが堤清二から生み出されたということに驚き。
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「商売を通して、生活や文化を作ることに貢献する」という小売業の醍醐味ややりがいといったものを改めて考えさせられた。
無印、西武だけでなくチケットセゾン、J-WAVE、パルコ、クレディセゾン、このあたりが面白かったな。
無印良品とは、消費者の自由を確保すること
生活の要求の多様性、意義のある生活を送りたいという願望、生活の知恵を得たいという願い、そういう人々の要求に応えるように売場が作られ、商品が提供されているということ
自分の頭でものを考え、判断することが質販店なのである
米国の様子を見ていると、その地域に住んでいる人に合わせて品ぞろえを変えている。その変え方がチェーンオペレーションのスピリットになっているという感じがする
ノーアイデアでなんとかするというのは、みっともないんですよ
資本の論理と人間の論理の間にあるという「マージナル産業論」
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西武百貨店 対 無印、パルコ、ファミマ、ロフト。
軸を育てて、自己否定をするような対軸も育てる。結果、両方とも存在感を増す。
すごいとしか言えない発想。
ダイエーの中内功を書いた「カリスマ」と対比して読みたい。
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物心がついたときには丁度バブル経済が破綻しかけていた自身にとって、セゾングループという存在は一種の謎めいた企業体であった。セゾングループが、なぜ企業体としての経済成長と同時に、ある種の文化的爛熟さを提示することができたのか。それが私にとっての謎であった。例えば、中学生のときから私が愛聴してきた日本が誇る作曲家である武満徹。彼の生涯を追うときに、セゾングループが主催した事業「MUSIC TODAY」の存在は欠かせない。その支援は、いわゆる企業メセナ・CSRといったものとは違う立ち位置に感じられていた。
その答えは、セゾングループのドンたる堤清二に迫る他ない。本書は長らくセゾングループを日経の記者として取材した著者によるルポルタージュである。
本書の問題提起は、バブルの最中で不動産等の過剰投資によりセゾングループを崩壊に追い込んだ堤清二の負の側面ではなく、正の側面を照射しようとする点にある。例えばその正の側面とは、無印良品、パルコ、ロフト、ファミリーマートといった今でも別資本の元で活躍を続ける種々の企業体の創出。また、美術・アート・コンサート等のいわゆる”コト消費”の先駆け。こうした観点から、関係者のインタビューを元に本書では堤清二に思想を明らかにしようとする。
時間が経つことで負の側面がマイルドになり、それまでは隠れていた正の側面が浮かび上がってくるということは往々にしてある。歴史的再評価とでも言おうか、本書を読んで堤清二の生き方は十分それに見合うものであるということを実感した。