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森見ワールド全開、本当に摩訶不思議な世界観なのに止まらなくなってしまった書。そして螺旋状になって終わらない物語。「熱帯」を最後まで読んだ人はいない…私もその1人になった。小説って不思議だ。
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同著者の幻想は、路地裏で起きているかのような現実との曖昧さがある。勿論それは妄想なんだけど、その妄想を、それこそ千夜一夜物語のように膨らませていく語り手がいて、それを求める読み手がいる。自分は本の外にいるのか、中にいるのか。永遠に終わらない物語。
ネタバレ含んだ細かな感想はまた後で。
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天地創造的な?輪廻転生的な?パラレルワールド的な?とかいろいろ「?」と思いながら読み終えた。
で、読み終えたら、あれ?これまた最初につながるのかい?読み終えた者がいないってのは永遠ループなのかい?
とまた?にやられる。
それこそ沈黙読書会に参加したくなる1冊ですね。
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難しかった。入れ子方式で、そして、物語は途中で裏返って元に戻ってきた。リバーシブルだと思った。京都の街が切れ切れに登場して不思議な世界感。宵山万華鏡を思い出しつつ。でも、なんていうか、引き込まれるけど、陰鬱とした物語だった。もう少し突き抜けるような感覚が欲しかったなぁ。
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あと少しで掴めそうなところでするっと逃げていく、森見氏の小説を読んでいるといつも鬼ごっこの鬼をさせられているような気分になる。
ある人が語っている話の登場人物が語り始めて…と、どんどん物語の奥へ奥へといざなわれる。ふっと我にかえると今自分がどこにいるのかわからなくなる。
そうならないようにしようとどんなに身構えて読み始めても。
そんな感覚がスリリングでもあり面白い。
この作品は、著者の森見登美彦氏が昔読んだ「熱帯」という小説のことを思い出すところから始まる。最後まで読み終える前に消えてしまったこの小説。
「熱帯」を通して、ひとりの女性と出会い、その女性が語り始めるところから、物語は始まっていく。
そこから最後の後記までの流れがとても面白く、さすがだと思った。
本文は523ページに渡り、決っして短くもなければ読みやすくもない。
けれど、物語の中に入り込むまでの時間は一瞬だった。
わざわざ本を読む時間を確保して読み始めるのも久しぶりだったが満喫させてもらった。
本文中に出てくる「熱帯」は幾何学模様にタイトルだけの古めかしいシンプルなデザイン。
文庫化は、是非カバーつきの本文中に出てくる「文庫より少し大きい」サイズで、仕掛けを生かして出してもらえたら最高だな、と思った。
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最近、社会問題を下敷きにしてるような小説ばかり読んでいたので、こういう異世界に誘われるような話は久しぶり。
こういう本は、通勤中に細切れに読むんじゃなくて、何の予定もない休日に朝から一日中どっぷりとその世界に浸りながら読みたい。
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【謎が謎を呼ぶ、最高の冒険譚!】どうしても「読み終えられない本」がある――その名も『熱帯』。結末を求めて身悶えするメンバーが集結し、世紀の謎に挑む。
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どんな結末なんだろう?とドキドキワクワク想像しながら文章を読んでいくのは久しぶりの経験。こういう本に出会えて嬉しいです。
森見さんの本はほぼ全部読んでいるのだけど、「四畳半神話体系」や「太陽の塔」をはじめとする登美彦氏独特の語彙力の無駄遣いステキ文章や、「夜行」のような幻想的なSF要素、「夜は短し歩けよ乙女」を彷彿とさせるめくるめく展開など、森見さんの様々な作品のカラーを集めた集大成のような作品だなぁと思いました。
言葉にすると陳腐に聞こえますが、結局、熱帯はそれぞれの心の中にあるということでしょうか。そのままの伏線たちは読み終わった後の私たちの心にふわっとした余韻を残し、まだ熱帯という冒険が続いているかのような気持ちになります。
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汝にかかわりなきことを語るなかれ
しからずんば汝は好まざることを聞くならん
ずぶずぶと物語の沼にはまっていくようなお話でした。
千一夜物語が主軸にいるようなのだけれど、同じようにどれが誰の話なのか、誰がどれの話なのかどんどんわからなくなってました。
映画のインセプションを思い出し、千一夜物語を読んでみたくなりました。
沈黙読書会、楽しそうですね。読書会というものにもいつか参加してみたいです。
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電子書籍お試しで1章無料のやつで読んだところ、みるみる引き込まれてしまった。内容については自分で読んだ方が絶対に良いので、深くは語らない。やはり以前の作風からは変わってしまったのだと感じるものの、新たに怪談の要素も取り入れ、魅力はパワーアップしている。個人的には最高傑作とまでは言えないものの、このような怪作を書き上げてしまう著者の力量には感服。まだ自分の中で消化しきれていないものの、謎は謎のままに、と置いておくのも良いのかもしれない。
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『夜は短し…』だったか、文庫の帯に「これぞモリミーワールド!」と書かれていたことがあった。モリミーとは「腐れ大学生」と同義であり、ニアリーイコールで「ねじれの位置の京都」でもあった。
本作、森見氏とモリミーが別離を遂げたと感じた。
妄想小説家として名を為した氏が幻想小説家への転生を果たしたと称される一作になるかもしれない。
前作『夜行』はその剥離が浅く、破れかけなのに剥がすと血が滲むかさぶたみたいに居心地の悪い思いをした。せっかくのサイン本だが、再読できていない。
別離とは何であるか。「暴夜書房」や「沈黙読書会」など独特な固有名詞、「海底二万哩」や「芳蓮堂」の再登場、そして冒頭に見られるかつてと変わらない語り口。以上の切片が未だモリミーとしてある証左だという向きもあるかもしれない。
しかしそれらを使っても既に氏はモリミーではないと僕には思われる。
かつて僕は「閨房調査団」を出現させ、それを吹き飛ばす、言い換えれば即刻退場させ、「象の尻」に移行するその肺活量にほれぼれしたものだ。
感覚的なことだけだが、どうも今、暴夜書房などを出現させる(「創造の魔術」!)ために息を使いすぎて、それを吹き飛ばす空気が肺に残っていない……そんなように感じるのである。
もちろん小説としての毛色は違うし丹念に書き込んだ詳細な筆致は素晴らしい。森見氏15年間の書き味の蓄積を丹念に味わうことができる。
ただ、僕はどうしたってモリミーが好きなのだ。
モリミーの新作が読みたいわけではない。もう書けないだろうし、書いたとしても受け入れるべくもない。別離を受け入れるとはモリミーを過去の名作棚に移し、二度と新作の出ない文豪たちの枠にあてこめることだ。
森見氏の幻想小説家としての羽化を心待ちにしている。
そうして二度と僕の許に帰ってこないことを。
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「熱帯」という小説という名の世界。
あれよあれよと引き込まれて、物語は奥へ奥へと進んでいった筈なのに、いつの間にか世界の外側に出てしまっていた。
自分の今いる位置を途中から確認するのをやめた。
沈黙読書会に参加したい。
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申し訳ないけど、わかりにくい物語でした。
アラビアンナイトの知識が必要だし、ない読者は置き去り。
森見さんらしく、また、それが悪い方向に向かっているような作品でした。
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とにかくスゴい小説。そんな陳腐な表現でしかこの怪作であり傑作である「熱帯」を評することの出来ない情けなさを感じつつ。
読み手を本の世界に誘う、というよりはどんどこ取り込んでしまうような「夜行」のような一冊であり、ページをめくる手が止まらぬ、わくわくする大冒険譚という点では「ペンギンハイウェイ」のような一冊でもある。その二冊以上の、読者を世界に引っ張り込む森見登美彦氏の怪力にただただ脱帽である。
作中に、小説は読み手がそれを読んで登場人物と一体となり小説世界に入っているときのみ、実在する。というような文があった。冒頭から、本好き読書好きの心をちくちくつついてくる。そんなところも素晴らしかった。
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大変な冒険ものでした。
いつもの京都の薄暗い、何か怪しげな神秘的なものとは違う小説でした。
話はループしていて「私」がいろんな人に変わっていく。
ぐるぐる回っているそんな気分でした。
「柳画廊」が出てきてホッとしました。昔馴染みのお店というか、見知らぬ土地で友人に出会ったような気分でした。