学際的な計算社会学で分析
2019/02/14 07:21
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投稿者:巴里倫敦塔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェイクニュースの発生、拡散の過程を学際的な計算社会学に基づい分析している。フェイクニュースを「情報生態系(Information Ecosystem)」の問題としてとらえて論じる。メディアリテラシーとファクトチェックがフェイクニュース時代を生きる基本だと説く。メディアリテラシを高めるうえでお薦めの書である。
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フェイクニュースがどのようにして拡散していくのか、計量社会科学の視点から解説している良書。フェイクニュースについて包括的に取り上げているので、一つ一つの事例をさらに深堀りできそう。海外の事例が多かったので、次回作では日本の事例も取り上げてほしい。今後、この種の研究法が活発になりそうな予感。
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フェイクニュース拡散のメカニズムについて諸外国の研究結果の概要を紹介しつつ解説している。記述は平易でわかりやすい。個人的にはもう少しだけ分析を深掘りして欲しかった。
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噂やデマ。振り返ればなぜ騙さたのか疑問に思うことでも、SNSが跋扈する昨今では至極当然かつ巧みに人々が信じてしまうメカニズムを科学した本だ。以前計算経済学モデルの動的シミュレーションを見たことがあるが、情報が拡散し連結しさらに拡散し「悪貨、良貨を駆逐」する様子は怖いものを感じさせる。
自分は偽情報には踊らされないと思っていても、エコーチェンバーやフィルターバブルなど認知バイアスがかかる仕組みを解説されると、スマホで日々SNSをいじる身としては知らず知らずの上に毒されているのだろう。
これから益々情報技術が発展していくことを考えるとフェイクニュースが幅を利かせ、ひょっとするとベルリンの壁崩壊のように誤情報を信じた人々が行動し後追い事実となる現象も増えてくるのかもしれない。
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ソーシャルメディアが発達した現代社会においてフェイクニュースは大きな問題である。その中で、エコーチャンバー等それらが拡散するメカニズムや情報オーバーロード故に貴重とされるアテンションエコノミー等興味深くとても参考になった。
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フェイクニュースについての評論やコメント、あるいはその場しのぎの対策案ばかりが横行するなかで、唯一大学生の卒業論文作成のために役立つ本である。
参考文献については検討することはできなかったが、もっと多くの参考文献があれば、卒論により役立つと思われる。
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フェイクニュースの老舗と言えば、もちろん東スポさんですが、かれらのフェイクをみても、ニヤリと笑いがおきるだけ。これは、東スポさんはデタラメを書いちゃう、とみんな認知しているから。メディアをも疑うべき、と言うリテラシー教育の一助にもなっているのかも。
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海外でのフェイクニュースの事例や取り組みを交えつつ、認知心理学や統計的手法からフェイクニュースの性格がわかる。著者の主張や考えがありきたりで中身のないものに終始しているのが惜しい。
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認知バイアスやエコーチェンバーなどの説明を用いて、人がなぜフェイクニュースに影響されるのかというのを客観的に分析し、計算社会科学という目新しい分野で読み解いている。
2016年からフェイクニュースというものが世の中に蔓延っている現状、私たちは更なる情報の取捨選択を意識しなければならない。
優しい文章と200pほどの読みやい文量でとても分かりやすく、心地よく読めました。
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(参考)
lazer, the science of fake news. science, 359(2018)
信じてはいけない 平 しだ
フェイクニュース調査のフィールドガイド日本語版(web公開)
ted クリスタキス 社会的ネットワークの知られざる影響
ted パリサー 危険なインターネット上の「フィルターに囲まれた世界」
ted オニール ビッグデータを盲信する時代に終止符を
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見たいものを見て、知りたいことを知る、そこにある罠。
フェイクニュースというと、何か2010年代のもののように思われるが、デマやプロパガンダと考えれば、もう何百年も前から社会の中にあったもの。それがSNSの発達した高度情報社会の技術で、どれだけ力を増したか、という話。「情報生態系」という専門用語が出てくるが、難しい話ではない。AIではない人間だから、認知バイアスに支配されているし、AIがその仕組みゆえにフェイクを広げてしまうことがある。情報は溢れているけれど、すべてを確認する余裕もないから、大切なことは立ち向かう姿勢と能力。
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本の体裁が科学っぽくないけれど、ちゃんと科学してる。
科学論文の知識を平易な言葉で説明してくださっている。
まさに知りたかった情報。
あとがきにこんな一文がある。
”万が一、間違いがありましたらご指摘ください。ご指摘を受けた点についてはファクトチェックをして、本書の内容がフェイクにならないようにウェブサイトなどで訂正いたします”
著者のこの姿勢が全編の行間に感じられる。
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計算社会科学と言う新しい応用学問領域の先生が書いた本。フェイクニュースをニュースそのものではなくそのシステム全体を俯瞰し広く浅く学べる入門的本と捉えられる。
フェイクニュースの拡散、それがもたらす人々の分断は
・デジタルイノベーション
・広告収入を得たいプラットフォーマー
・人々に特定の意思を流したい企業や国家
・そして認知バイアスと言う脆弱性を抱えた大衆
などなどにより構成される情報生態系的な問題であり
ニュース単体の是非だけを論じるものではないんだ
という視点が一番の収穫。
この情報生態系を前にして「真実をひたすら唱える」というのは非常に対抗策として弱いものであることが分析により実証されてしまっている。
「無限の情報、有限の認知」
「希少資源としての注意力」
という本書で見かけたフレーズはそんな生態系に振り回される一般人が持つべき心構えと言えるだろう。
また、人間はファクトではなくフィーリングで動くという現実はコンテンツ発信者にとっては必修科目だろう。
フェイクニュースの対処法としてメディアリテラシーの情勢、ファクトチェック、法整備といった例が紹介されているが、あえていうとこの程度の対策しか今はなく、人間の認知バイアスを利用して認知資源を貪るビジネスはまだまだ廃れないんだろうなあということが容易に想像できてしまう。
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情報拡散は自分の考えや価値観に一致する情報の場合に起こりやすい。反証する情報は拡散しない
→ファクトよりもフィーリングが優先される。
→捉えるべきはファクトは当然、フィーリングもあるな
"誤情報は事実よりも遠く、深く、早く、幅広く拡散する"
正しいニュースとフェイクニュースでは情報の拡散のされ方を可視化したときの様子が全然違→この情報電波ネットワークを考慮することで真偽判定の精度アップ
→ある程度のデータがあることでAIによるフェイクニュース検出ができる可能性を示唆
認知バイアス→人はデータから何か意味のあるものを作る癖 など
被験者に例えば、イラクの大量破壊兵器が存在する、と言うようなデマの情報与えその後、大量破壊兵器は見つからなかった、と言うような訂正の情報を与え被験者の態度の変化を調べた。その結果政治的な考え方がリベラルな人は訂正を受け入れましたが星型の人は新しい情報を受け入れないばかりかさらに強く大量破壊兵器の存在を信じるようになりました。
2000ニュースを信じるのは誤解や知識不足のせいなので真実を伝えれば問題が解決すると思われがちです。しかしこれらの実験結果は何かを深く信じる人々に対してその根拠となる事実を提示する事はかえって逆効果になる可能性があることを示しています。
バスター・ベンソン→薬を108種類の認知バイアスを機能や類似点に基づいて整理し問題ごとに24種類に分類。さらに大きな4つの分類にまとめ認知バイアスのリストを作成し公開。
マ��ューサルガニックの実験→
これらの実験結果は流行は筆よりも偶然とみんなからの影響受けて生まれる可能性があり質が良いだけでは成功するには不十分であることを意味しています。ただし出来の良い曲が著しく不人気になったり1番質の悪い曲は1番人気になったりといった極端な事は起こらなかったと報告されています。
→ある程度は実力、その先は運。
「デマの心理学」→噂の流通量=話題の重要性×状況の曖昧さ
→コロナがまさにこれじゃん
エコーチェンバー→自分と同質的な人ばかり追って情報環境が閉じる
フィルターバブル→ユーザの興味関心に応じた情報ばかりやってくる。
→GoogleやFacebookがどれを表示してどれを表示しないしないのかどれをどのような順番で表示するのかを決めている。
"Facebook上で私たちが何気なくしているイイネは個人情報に関する強いシグナルを走っていることを念頭に置いておく必要があります。私たちはFacebookを無料で利用しているのと引き換えにこのような個人情報を企業に提供しているのです。"
無限の情報、有限の認知
希少資源としての注意力
情報型世界においては人間のアテンションこそが希少資源でありアテンションがお金の代わりに流通するようになると言う考え方がアテンションエコノミー(中位の経済)です。これは社会学者のマイケルゴールドハーバーが1997年に提唱した考え方です
ミームは人から人へと伝達されコピーされる文化の情報単位のことです。文化的遺伝子とも呼ばれ1976年2000進化生物学者のリチャードドーキンス菅著書利己的な遺伝子の中で提案した概念です。
スタンフォード大学の研究グループが全米12州の中学生から大学生までの7804人を対象に調査を実施しましたその結果によると中学生の10人18人はウェブサイトのニュース記事とスポンサー付きの記事(広告)を判別できないことがわかりました。また奇形のヒナギクの写真に「福島原発の花」と言うタイトルが付けられたウェブサイト記事を見た高校生の10人中4人はその写真がいつどこで誰が撮影したのか明記されていないにもかかわらず本物だと信じだと報告されています。
幼い頃からソーシャルメディアに慣れ親しんでいるからといってメディアリテラシーが高いわけでは無いのです。
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デマ、陰謀論、プロパガンダがどうやって拡散していくか、について述べた本。
少し前に読んだ「ディープ・フェイク」よりは冷静な書き方でした。
ファクトチェックが重要性ですね、はい。
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フェイクニュースや陰謀論などの構造がよくわかる。
この構造をしっかり理解しておくことは、この複雑でカオスな情報化社会を生きていく上で必須教科だと思う。
SNSやニュースに惑わされない情報リテラシーを磨くにはうってつけだ。
自分の考えや価値観に一致する情報の場合に情報拡散が起こりやすく、反証する情報は拡散しないという事実は、陰謀論やデマを信じる人に科学的根拠を提示すればいいという単純な話ではないことを示している。
また認知バイアスの仕組みから、偽ニュースを信じるのは誤解や知識不足のせいなので真実を伝えれば問題が解決すると思われがちだが、何かを深く信じる人々に対してその根拠となる事実を提示することはかえって逆効果になる可能性がある、というのも重要なポイントである。
情報リテラシーというのは、現在ではこの「フェイクニュース、デマ、陰謀論、プロパガンダ」を見分ける、という視点を外しては語れない。教科書に載せるレベルで知っておくべき常識の一つと言ってよかろう。