紙の本
複雑な「柔らかい専制」
2023/09/25 22:26
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
オスマン帝国といって多くの人がまず浮かぶのが最盛期とされる時代のウィーン包囲であり19世紀以降の長い衰退期であろうが、日本でいえば鎌倉時代から大正までという長期に渡って存続したこの帝国の歴史は複雑なものである。「柔らかい専制」とあるようにその柔軟性こそが最も特徴的なのかもしれない。
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なかなかなかった通史
2021/12/07 18:21
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投稿者:健 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オスマン帝国の通史は、あまり類書がなかったので、早速購入しました。すごく読みやすく、オスマン帝国を大づかみで捉えるのにはとても便利だと思います。内外の新しい研究の成果も取り入れられています。
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めまぐるしい歴史
2020/05/15 05:17
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、オスマン帝国の歴史600年を追いかけた本。
600年を新書だけでじっくりというのはさすがに難しいので、歴代スルタンの話をざっくりと纏めている感じ。
かなり駆け足だなという印象は有るけど、オスマン帝国の歴史をひととおり俯瞰するのには丁度良いかも知れない。
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実は親日国トルコの壮大な歴史
2019/08/31 23:35
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投稿者:ときわ木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルコが親日国というのは知っていましたし、オスマン帝国のことも何となく知っていましたが、600年近くも広大な版図を有し、他民族を抱え、一時はヨーロッパの奥深くまで侵入するほどの国力・文化力を持っていた歴史をわかりやすく解説しており、興味深く読みました。ちょうど、「オスマン帝国外伝」というトルコのドラマにはまっていたこともあって、史実を確認しつつドラマを楽しむこともでき、購入してよかったです。
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国立新美術館に行くべき
2019/03/31 07:50
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投稿者:MACHIDA - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在開催中の「トルコ至宝展」に行く前に読んでいたので、相乗効果があって展示が一層楽しめました。歴代スルタンや往時の宮殿に想いが巡ります。
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オスマン通史はなかなかない。
それぞれの時代を適切に区切りながら、各王の治世と、社会・世界構造の変化を織り交ぜて、記述している。
物語というよりは、教科書的な表現も多いが、所々のエピソードが上手く挟まり、飽きずに読めた。
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オスマン帝国600年の通史。わかりやすくまとまっている。オスマン帝国の通史はなんどか読んだ気もするのだが、日本語原書はこの他に50年前の1冊があるだけらしい。ほんと?オスマン帝国が安定した理由のひとつに王位継承が比較的スムーズで、有名な兄弟殺しの他に、奴隷を母として王子が産まれることにより、外戚の介入を防いだ、というのは初耳の気がする。なぜこれだけの大帝国で奴隷の母后が多かったのか、不思議に感じたが、格式よりも合理性だったのか。兄弟殺しも残虐ではあるが、マキャベリズムとしては正しい。封建国家としては最強だった理由がわかる一冊。
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オスマントルコという国は歴史上の古い、しかも縁遠い国というイメージがあった。東ローマ帝国を滅ぼし、更にウィーンなどの欧州を脅かした敵方というイメージもあった。それを相手方から見ることによって全く知らなかった世界を学んだ気がする。それも既に19世紀のうちに立憲民主主義を確立し、ケマルによるアタチュルク革命後の共和国に連続している部分もあるとは、再認識である!この国の起こりが、彼らそのものがトルコと呼んだことがなく、国の名前さえなかったことにもビックリ。そしてスルタンという言葉も実は確立していない!本の中では「オスマン帝国」「スルタン」と呼ぶことに最初に断りがあるのだ。そして名君が多く登場する輝かしい歴史の国だったのだ。それが逆に君主就任時に兄弟を皆殺しにするという超法規措置があったために、分裂・争いのない盤石の体制を築いたこと、また外戚の影響を避けるため、後任スルタンは奴隷の子供から選ばれた!ビックリの連続である。中国史などと違いすぎる!!そしてキリスト教戦士軍団がスルタンの下で友誼で結びついていた!!!現在のトルコがこのオスマンの栄光の歴史の誇りを取り戻そうとしていることは当然のことだろう。
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通史。読みやすいです。即位の兄弟殺し、イスラム以外にも寛容だった初期~中期、ヨーロッパへの遠征、支配体制などなど面白い。末期の過程は日本の近代と似ている印象。
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世界史によく出てくるけれど、今ひとつ分からなかったオスマン帝国。書店で本書を見かけて、気になって購入した。
オスマン帝国の成り立ちから終焉まで、一通り知ることができた。
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アジア・アフリカ・ヨーロッパを跨ぐ広大な版図を築き、600年の長きにわたってイスラムの盟主として君臨した大帝国の興亡を描く。
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最近はオスマントルコとは言わんとか、あとは塩野小説の敵役としてくらいしか知らんかったのでいろいろおもしろかった。約600年続いて親子兄弟甥っ子以上に離れた王位継承がないってすごいよね。兄弟殺ししかり鳥籠しかり現代から見ると人権的にどうよ、ってのはさておき王家の存続のためには優れてるし、重臣を奴隷から登用することで世襲で王家を脅かす存在を作らないってのがこれだけ長く機能したのもあまり他で聞かない気がするし。スレイマンの時に全盛期を迎えてから遺産を食い潰しながら腐っていったイメージしかなかったけど、もちろん腐って崩壊するのを食い止めようとした人々がいたわけで、特にナポレオン以降は塩野の範囲外やし読んだことなかったから特に興味深い。
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最新の研究成果も織り込まれた立派な学術書なのにドキドキワクワク興奮しながら読了。発売当時好評な論評が並び、賞を受賞したのもわかる充実した内容と文章の巧さ。初めは皇帝の治世を順に追って説明するだけかと思ったがさにあらず。オスマン王朝絵巻のようでいてその流れがのちのトルコへと変容していく要点がそこかしこに落とし込まれている。オスマントルコの政治文化・歴史といえば本邦には鈴木董先生という素晴らしい先達がいらっしゃっるが、令和の時代に有望な後継者が現れた。
ところでショックだったのは、スレイマン一世の妹ハティジェは大宰相イブラヒムとは結婚してなかったことが定説になっているということ。それだと『オスマン帝国外伝』の物語背景が根底から覆ってしまう。いやドラマだからそれでもいいんですけど(苦笑)。
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なぜオスマン帝国は長く、600年もの命脈を保ったのかを説明したのが本書。
目についたのは2点。
一つは、奴隷の活用。
一方は、権力分立。
奴隷の活用という点では、これほど徹底している帝国もあるまい。次代の母后から大宰相まで、余すところなく奴隷なのだから。確かにこれでは強大な外戚も発生すまい。また、強大な力を持った臣下も、奴隷という身分であれば処刑するのも容易であろう。ただひたすら主君のみが絶対であれば、それだけ安定する。しかし、それゆえ血の粛清があれほど激しいく、惨い。
権力分立については、一種の公有制で担保している。例えば、徴税権のみを保証し、土地の領有は許さない。一種のサラリーマンである。これなら豪族も生まれ難い。
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今までは塩野七生の描くキリスト教社会から見たイスラム社会としてしか認識していなかったオスマン帝国の実像を初めて知ることができた貴重なオスマン通史。どうもイスラムというと中世的で原理主義的に思ってしまうが、実のところはキリスト教社会も中世は極めて原理主義的かつ非人間的であるところがあり、むしろオスマン側のほうが他宗教に寛容でさえあったという。現在のイスラムのイメージとは大分違うとともに、たぶん日本がヨーロッパ的価値観に縛られているためにそのように感じるのだと思う。それが再認識できる非常に素晴らしい本。まあ、後継者争いを避けるために兄弟殺しをするなど今考えるとあり得ないようなことも起きていたが、それも中世という時代背景の下でのことであり、実際に日本の戦国時代においても兄弟殺しは一般的であったことを考えると仕方ないことなのだと思う。今のトルコとオスマン帝国の関係さえ知らなかったので、本当に勉強になった。