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【江戸時代は「濃尾平野」でつくられた!】歴史を動かす日本人、国を滅ぼす日本人とは? 戦国武将から戦前エリートができるまで、古文書から武士と官僚の歴史をまるごと解説。
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<目次>
第1章 中世の武士と近世の武士の違い
第2章 歴史を動かす英才教育
第3章 古文書を旅する
第4章 歴史を読む
<内容>
古文書を縦横無尽に読み解く磯田先生らしい本。いろいろな雑誌の投稿をまとめたもので、文春文庫オリジナル。
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磯田の専門は、社会経済構造に注目する史学ということなので、資料を丹念にいっぱい集めて、それらの関係性を構築するというのがメインの手法なのだろう。
その途上で行き当たったネタと、磯田が小さい頃から個人的に興味を持っていたテーマをかけ合わせて、人も驚く多様な視点で、歴史上の有名人物や「常識」を面白おかしく解説してくれるので、飽きない。
また、アベノミクスと荻原重秀まで関係するので、読者層はますます広がりそうだ。
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国家と言うものは古今東西、民のおこたりには厳しいが、法権力を握っている自分たちの怠りには甘い ノーベル経済学賞を受賞したD・ノースは、取引費用が大きな社会では、経済取引そのものが不活発になり経済発展が阻害されると看破した 日本社会は安定しているときには所属や世襲の原理になりやすいが、一旦、動き始め変革期に入ると、実力主義・能力主義に急に向かう 教育といっても、生活と出世のためだけにする勉強は、人を幸せにしない 墓石は永遠の象徴である
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歴史に名高い武田軍団であるとか、海道一の弓取りと言われた家康が、なぜ強かったのか。あるいは日本一の兵、真田幸村はどのようにその知性を高めたのか。古文書から読み解かれる日本の教育システムは刺激的だった。人がどう育てられたのか。どんな集団が強かったのか。まぁ、やっぱりどのように人を育てるというのは大事なんだね。
後半、雑多な印象もあったけど、くノ一とか美容整形とか、歴史の流れ以外の場面も知ることができて面白かった。
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ノーベル賞のダグラス・ノースは経済制度は前の制度の道筋にとらわれながらしか、発展できない、、、としている。日本は1000年もの長い間武士のじだいであった。非武士の時代が150年。
一口に武士と言っても、その様相気風はだいぶ変遷があった。初めは、来いと言ってもなかなか来てくれないのが武士(家来)であった。が火縄銃が開発されてから、戦いの戦略がかわり、武士の関係性も変わっていった。
日本の始まりから、現在に至るまで日本と日本人を知る古文書やそれから編集されて本になったものまで、順に読むべき書籍を紹介しながら時代を追う。
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大好きな磯田先生が日本史探偵の手帳を公開するように江戸時代の隕石落下、美容整形の発祥とはなどを。歴史を暗記物から自己の判断材料に役立つよう学ぼうと。
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さすが、著者!歴史の教科書では知ることのない江戸時代の経済政策や投資の金言など、現代でも通用する知識が江戸時代にもある教えてくれる。
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深い、深いなあ、磯田さんの蘊蓄は。感動しました。
100冊推薦の最後のところでいきなり出てきた奇本。
読みたい。
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著者は最近はマスコミに売れに売れ、毎週どこかのテレビ局に出演している影響で堕落したのか、出版される本は、新聞の連載で書き散らしたものを集めた雑文が読き、同じ歴史学者の本郷和人の方がじっくりと読ませるような感じがしていた。
しかしこの本は、最近としてはやっとまともな姿に戻った感じがした。
面白かったのは、「江戸から読み解く日本の構造」で、中国の科挙と日本の世襲(宗族と小家族)との比較でその弊害を見ると、どっちもどっちという感じがした。
日本では1000年も続いた武士の時代の後に、最後の300年で世襲制が完成された。このシステムを著者は、信長・秀吉・家康が完成させた「濃尾システム」と呼んでいる。
そういう意味で、明治政府が、身分制度(つまり世襲制)を廃止して大量の武士の失業者を出すのが、分かっていたにもかかわらず、これを実行した(暫くは藩閥政治が残ったとしても)のは、凄いことだと思うし、よく明治政府が持ちこたえたものだ。
しかし1000年の武士の時代に対して、現代の非武士社会はまだ150年しか経っていない。「経路依存」という経済学の考え方は、日本では経済だけでなく制度としての日本史に根強く残っていると著者はいう。
また「元禄時代のリフレ政策」も面白い。
日銀黒田総裁のリフレ政策から説き起こし、過去の日銀の体質や、元禄時代のデフレ派の新井白石と対立して、最後には失脚させられたリフレ派の勘定奉行・荻原重秀の話も面白かった。
荻原は「通貨は発行する国家への信頼が強力であれば、たとえ瓦礫で造っても通用させることが出来る」と、時代を超越した通貨思想を持っていた。惜しむらくは、彼はその超絶した経済思想を文字に残さず、最後には「自分には非がない」と、食を絶ち壮絶な餓死を遂げたとされている。
経済史が語られる場合にも、新井白石や松平定信が「清廉潔白な正義者」であって、彼らと対立した荻原重秀や田沼意次はわいろにまみれた「経済通の悪者」としてのイメージが焼き付けられ、日本ではリフレ政策をやった人間が終わりをまっとうしたことが少ないという。
・・・等々、久々に楽しい読書が出来た。
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執筆のほかTVなどでも活躍する著者。第1章はけっこう学術的な書きぶり。第2章からだんだん柔らかくなっていく。特に第3章は三面記事を読んでいる感じ。それはそれで面白い。文章がどことなく司馬遼太郎や池波正太郎に似ている気がして、TVで見る著者とは違う印象を受ける。それも悪くはない。
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磯田先生は、NHKの「英雄の選択」という番組のMCをされていた事でファンとなり、著書を読む様になった。
この作品は日本史全般に渡り触れられたもので、興味のある時の部分しか頭に残らなかった。ただ、今迄興味のなかった縄文、弥生時代も少し気になり始めたのは良いことかもしれない。
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まえがき
第1章 中世の武士と近世の武士の違い
第2章 歴史を動かす英才教育
第3章 古文書を旅する
第4章 歴史を読む
初出一覧
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【単に江戸は歴史の中のものだけでなく、私たちが生きる現代にも脈々と流れている点も考えねばなるまい】(文中より引用)
現代を代表する歴史の語り手である磯田道史が、日本史の面白さや巷間には知られていない小話について紹介する作品。日本のアイデンティティから江戸の街中に落ちた隕石の話まで、多様な分野の多様な話を収めています。
どっしり構えて対面する歴史ではなく、ちょこっと脇に控えて手に取りたくなるような歴史の面白さを教えてくれる一冊。一次資料をかき分けた著者でなければわからない好奇心をくすぐるエピソードが満載で、日本史熱に日を付けてくれる嬉しい体験ができるかと。
磯田氏が出演しているNHKの『英雄たちの決断』を毎週見ています☆5つ
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磯田氏が2003年から2015年までに文芸春秋などの雑誌に書いたももの21編をまとめたもの。
内容別に
「中世の武士と近世の武士の違い」
「歴史を動かす英才教育」
「古文書を旅する」
「歴史を読む」に分かれている。
中世の武士は家臣団といっても寄せ集め、主人が不利とみるや逃げ出すが、織田信長あたりから戦の最後まで主人に付き添っている形になった。また現代のものの考え方のルーツも鎌倉とかまでは遡らず、江戸時代で、それは織田・豊臣・徳川の美濃・尾張・三河の濃尾平野で作られた、と考えていいいという。
教育が成果を出すには3代かかる。
なぜ太平洋戦争で軍部は独走したが、それは教育システムのせいだという。江戸も中期になると家柄にとらわれず優秀な者もとりたてようと藩校などが作られた。維新の英雄は教育に力を入れた藩から出ており江戸時代からの生き残りで下級武士が多かった。次の世代、日露戦争あたりの乃木将軍や大山巌などは第一世代をみつつ新しい組織になじんだ。次の第3世代、東条英機あたりになると維新は知らず、出世するのは筆記試験に強い秀才が集まり、人材の多様性が無くなり、専門知には長けているが総合知が無かったから、という。
そして現代、重要視されるべきは技術知だろうという。
最後の「語り下ろし日本史「必読の百冊」」では、原始から現在まで古今の著作100冊を引き合いにざっと、日本史を通観していて、これがとても分かりやすい。
氏が当たった史料の多さには恐れ入る。それでこそプロなのだなあ。ただ文が、ですます調と、だ調が混じっているので読んでて調子が狂う。