紙の本
あの日を描く
2020/06/29 09:27
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家として未曾有の大震災を書き残すための、それぞれの決意が伝わっていきます。「がんばれ」という言葉よりも、黙って差し出せるものについて考えさせられました。
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震源地からは離れた千葉県に住んでいますが、液状化で自宅が全壊しました。
あえて言えば「そのとき」はまだ良かったのです。ひずみは3年ほどたったころに、家族の中で一番柔らかい心を持っている人に現れました。家族の一人ひとりがみんな少しずつ無理をしていました。その人は一番がんばらなくていい立場でした。だから誰もが、その人にあからさまではない八つ当たりをしてしまっていたんです。蝕んでごめんねと言葉にするのはあまりに身勝手でできません。
大きすぎる不公平な災厄は、直接の被災者とは言えなくても、波紋のように人を当事者にしていきます。でもつい比較してしまって、こんなのは大したことじゃないと思おうとする気持ちが働くので、自分が重たい荷物を持ってしまったことに気づくのが遅れて、あっちこっち傷めたりします。
そんなふうに気づかないことにしてしまっていた荷物を、この絵本は肯定してくれます。重たかったよねと共感してくれます。
今だから、ほしい本です。読んでよかったです。
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アトリエで仕事をしていた人、個展会場にいた人、神戸の地震にも遭った人・・・、32人の作家が、3月11日当日のことやその日を経ての今を、絵と言葉で語るアンソロジー。
震災によって自分の中に生まれた思いや感情を、うまくあらわせずもどかしくても、表現することを生業にする作家さんたちの絵や言葉が、代わりに外に出してくれたような・・・そんな気持ちになる。
それぞれ、ごく個人的な体験だから共感とはちょっと違う。でも、「あ・・・、そうだな、そういうことだったのかな」と腑に落ちる表現があったり、思いを込めて描かれた絵をながめていると、「そうだ、私の中にも、こういうシーンがあるような気がする」と思えたり。そんな感情の動きはなんの助けにもならないけれど、心がなだめられて整う感じがする。
多くの作家さんが参加することで、本の主張も個人の主張も薄くなり、「思いの記録」のようになったふしぎなたたずまいの本。
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一つだけ気に入らないのがあった。
「当時」とは断っているものの
東北の食べ物は不買とか
水は遠方から取り寄せたとか
子供には東北からの影響を最大限遠ざけたとか、
東北の被害に寄りそう姿勢微塵もなく自分の都合だけを並べたのがあった。
停電時にヘッドライトで執筆したのが「面白かった」とかも、
そのイベント気分はなんなんだろう。
まあ、著者それぞれにあの日何があったかを語ったのをまとめた一冊なので仕方ないが、
あの甚大な被災地住人としては思いきり批判・蔑視された気分で、
そのたった一人の女性の文章でもやもやイラッ。
猫のことなんて全然ともいえるくらい関係ないのに、
本人も文末でそう言ってるとおり、
本当に要らなかった。
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「あの日のこと」は誰にも何らかの記憶や感触や感情を思い起こさせる。一般人でもそうである「あの日のこと」について、より感性の高い作家の皆さんが命を削って表現している。
またいつかきっと来る「あの日」であり、「また」を決して繰り返してはいけない「あの日」でもある。今を大切に生きることに改めて向き合える本でした。
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2019.7月。
たしかにみんなが傷ついて考えたはずなのに。あの日を境にもっと立ち止まって考えなきゃいけないはずだったのに。日常や慣れって怖い。これは戒め。まだできる。
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3.11と子どもの本の作家たち〜のサブタイトルを持つ本書はあの日スマホを握りしめながらテレビを食い入るように見つめてた被災を逃れた側の人々の絵とことばの作品集。
とりとめのない何処にでもある日常は誰にでもある日常、それが或る日を境に起こる変化は決意であったり諦念であったり受容であったり焦燥であったり。
そんな心のメッセージを見ていると繋がりだとか絆という言葉にあったわだかまりがスッと解けていくような気がします
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東日本大震災のあの日を、あの日からの日々を32人の絵本作家が絵と文で綴る。
あの日からの出来事に対し、たとえ被災者でなくても何も考えなかった人はいないだろう。
表現者としての絵本作家が、何を想いどう描いたのか知りたいと手に取った。
ミロコマチコさんの文章
「新最後の不安の中で、絵を一枚描くごとに、生きることについて深く考えるようになった。
わたしは生きものとしてなんて弱いんだろうと、愕然とした。」印象的だった。
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ミロコマチコさんの言葉だとヨシタケシンスケさんのイラスト、考えさせられるものがあるなー。(他の方ももちろんですが、私はこのお二方のがグッときたので)
忘れてはいけない、知る義務がある、しかしその事実に心身が耐えられない人もいる。その通りだな。
忘れた方が良いこと、忘れたいこと、忘れられないこと、忘れてはならないこと。バランスが大事でその分量は人によって違う。
自分でその分量をはかることが、生きやすさに繋がるのかな。
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2011年3月11日、あの日を境にして、平穏な日常生活で感じていた「楽しい」「嬉しい」や「悲しい」「寂しい」の気持ちが大きく変容し、怯えと恐怖の入り混じった消えない感覚が疼きはじめ、東日本大震災以降に出版された絵本の傾向も変わり始める。 あの日、あの時期、32人の絵本作家たちは、どうしていたのか、何を考えていたのか、そしてどんな時にあの日々のことを思い出すのだろうか・・・という問いかけから生れた震災の記憶をたどった、思い出したくないけれど、忘れてはいけない、すべての人への胸せまる絵本です。
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あの日(3.11)からの絵と言葉の物語。 震災を受け、絵本作家さんが、絵と言葉により綴った絵本です。 あの日のこと、その後の日々。 いろんな気持ちで過ごした日々の記録。 昨夜(2022.3.16)の東北地方の地震で、あの日のことを思い出し、不安定です。 風化させてはいけない。