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物理的制約、つまりざっくり言って重力の支配下にあるがゆえに、脚、ひれ、翼という生物の移動をつかさどる体の部位は、現在の仕組みになったということを解説しているのであって、「なぜ進化したのか」の「なぜ」の答えは、はっきりとは明示されていない。
一応の答えは「移動」のためだ。 そうは言うが、そもそもなぜ移動するのか?という核心の問題に向かっていく後半は、話が多岐、あるいは細部に入り込みよくまとまっていない印象を受けた(つまり、私は理解が及ばなかった)。
ただ、各論の部分は面白く、人の歩行能力、そのための「足」という機能が、いかにうまく出来ているか、よくわかる。
「筋肉はそれ自体では伸びることができないので、伸筋は、屈筋と呼ばれるいわゆる拮抗筋の伸縮によって元の位置に戻されなければならないのだ」
という記述も、直接進化の話とは関係ないのだが、確かに力を入れることで「縮む」機能しかないのだなとメカラウロコな記述が面白い。
また、水生生物だった祖先が、陸上を歩くための四肢を発展させる元となる海底を這う行動になぜ至ったかとういうのが、泳ぎ回らず餌を待ち伏せするため、という結論はずいぶん大上段だなという印象を受けた。
一度、そこで「移動」を諦めている(諦めないまでも、移動に優れた遊泳能力を犠牲にしている)のはいかがなものか? 諦めた(のかどうかは知らないが)、その説明は特になく、
「安定した移動運動と待ち伏せ捕獲を好んだために、四肢を交互に出すという動作を最初に試みたらしい肉鰭類にとって、海底面との接触が始まるのは時間の問題だった。そしてひれの内骨格が拡張し、四肢が出現したのである。脊椎が連結して、四肢の関節の機能が改善し、四肢動物は陸上環境の過酷さに耐えて、好機をつかむための準備を整えたのだった。」
と解説する。 餌の獲得合戦に敗れ、深い海底に活路をもとめ潜航しじっと我慢した仲間が、鰭を四肢に進化させて陸上へと這い上がってきたのだろうか。とんだ敗者復活という気がした。
なんとも検証不足の推論の上に、さらに細かな記述が多く、なかなか読み進みにくく、全体として何が言いたいのか把握しにくかった。
ただ、これはホモ・サピエンスにだけ言えることだが、異常に発達した脳を獲得し、想像上のルールを構築できるようになった、その脳の働きとして、物語(小説や映画や、なんなら音楽も)という虚構を好むのも、「移動」を求める太古の記憶が作用しているという強引な説は、それなりに面白い。
「物語はナビゲーションという用途からはかけ離れているが、人間が一連の出来事から意味を汲み取るのが得意だからこその機能を果たすし、物語は出来事の前後の順によって特徴のある一定の心的イメージを苦つり出す。そして、まさに人はウェイフェアリングをしながらこを実践している。どちらに進むのが自分にとって意味があるかを、次々と現れる一連の展望から見出しているのだ。人間がよくできた物語を好むのは、究極的には、移動運動用に設計された脳の造りのせいだといえないだろうか?」
いえないだろうか? って問われても困るんだが(苦笑)
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非常に難解で半分も理解できていないが,めちゃめちゃおもしろい。
ヒトの二足歩行の起源について常識を覆された。
移動運動する生物にはなぜ前と後ろがあり左右対称なのかなんて考えたこともなかった。
「移動」というワンテーマでこれほど深く掘り下げられるとは思わなかった。
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この本を読んであらためて人間は、いや、あらゆる生物は、単細胞生物から進化してきたのだと認識した。
著者の進化についての読みものと研究レベルの知見の橋渡しをしようという熱意が感じられる。
しかしちょっと冗長になっている面もあり、一般の読み物としては重いかなと感じた。一般の人は上手に拾い読みするといいかなと思う。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12520149206.html
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農学部図書館のアルバイト学生の方に図書を推薦いただきました。テーマは「進化 : evolution」です。
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27769441