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京都を舞台にした三姉妹の物語。京都の街の雰囲気、京都弁などが四季を通じてしみじみと描かれており京都を多少知っている自分にはよく表現されていると感じた。
三姉妹それぞれを主役としての連作短篇集となっており読みやすい。姉妹たちの社会や家族との関わりでの心の襞をとても繊細に描いており薄めの本ではあるが読み応えがある。確かに嵐山は夜行ったら凄く静かだろうなぁと感じた。知らんけど。
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何気ない日常の話を読みたいと思って手に取った本。性格の異なる3人姉妹がそれぞれ悩みながらも前向きによく考え人生を選び抜いていく様子が清々しい。真面目な綾香、一見遊んでいる風だが実は肝の据わった羽衣、男っ気はないが人の気持ちに気づける優しい凛子。みんな明るく見えても実は色々探って考えて、でも自分に正直にたくましく生きているんだな、と思えた一冊。ニュートラルでおすすめ。
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何も起こらないんだけど、読み終わって内容思い出そうとすると普通の出来事ばかりなんだけど、ここに描かれた姉妹の生活はとても美しい毎日だったなぁと思う。
失恋も就職も結婚も、お祭りや今日の料理や生まれ育った環境に少しだけ思い悩んでしまう瞬間も、自分がまさに経験している時は「何かが起こっている」と自覚できない。時間がたって思い出として反芻したとき初めて、あれは私の人生の中の事件のひとつだったと認定する。楽しかった、大変だった、最低だけど必要だった、と評価ができるようになる。
この本を読んだ感覚は自分の半生について思い巡らせる瞬間と似ている。目の前の出来事に評価をする暇なんてなく必死に過ごした毎日が、積み重なって人生になる。評価できるくらい時間がたって思い出す頃には、どれもすごく美しい景色になっている。
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恋と家族に向き合う三姉妹の話を楽しく読みました。京都の内側、外側、それぞれから読者が見ることを意識されて書いてるのかな。
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京都の旅から帰って2日目に読み終えた。京都国際漫画ミュージアムから八坂神社近くまで、はじめてのデートでほとんど会話もせずに歩いた長女綾香のコチコチの姿は、その距離の大変さを実際体験しているだけに、「おいおい、そんなに緊張してしまったらダメでしょ」と思ってしまう。そのあと、毎夜のように電話する宮尾さんのマメさが功を奏して上手いこと行くのではあるが。
旅のあとのせいか、さりげなく置かれている京都の景色や温度、人の接し方、美しさの一つ一つに共感する。三女の凛が魔物に追われる夢を見るのも、共感する。たった3日間居ただけだけど、京都の街には、至る所に将門や道真の怨念があったり、室町時代から続く流した赤ん坊のお地蔵さんが居たり、異次元に続く迷路のような路地裏が存在したりしたのである。綿矢りさは初めて読んだ。これが芥川賞作家なのかと思うくらい、直木賞好みの文章だった。映画にもなった『海街diary』と似ている所もあり、読んではないが『細雪』や『古都』のように失われ行く京都を描いた作品でもあるらしい。現代の等身大の京都を描いて、もし旅の前にこの本を読んでいたならば、この本の「舞台巡り」を計画していたかもしれないぐらい、琴線にふれた本だった。
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2019/5/25
綿谷りささんの京都に暮らす三姉妹のお話。京都の小説ってとっても好きで、小説に出てくる京都の地名を情景を思い浮かべながら読んで楽しめるので好きです。内容は三姉妹それぞれの恋模様だったり生活模様だったりでいろいろですが、京都の情景と心理描写の変化が何だかうまく重ねられてるような気がしました。京都を舞台にした小説は他にもたくさん好きなのがありますが、この作品はこの作品ならではの雰囲気を出していると思います。
京都の人の感覚とか生活感は自分にはどうしてもわからないので、こういう小説を読むとそうなんだーと思ったり、今度また京都行った時に確かめてみようと思ったりできて旅行の時の楽しみも増えるのでありがたいです。
京都でデートとかロマンがあっていいなと思いました笑
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特に何かが起こるというわけではなく、京都に住む三姉妹(5人家族)の何気ない日常が、美しい京都の情景、文章で書かれている。
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前原は論外として、三女の凛ちゃんがあんまり好きじゃなかった…。ある意味で一番自分に近いから?
細雪や古都はわからないけど、海街diaryみたいだなぁと思いながら読んだ。
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綿矢りさの本は、たぶん初めて読む。
凜のことをもう少し、記して欲しかったな。なんとなく、姉二人に対して、少し足らなかったような気がするのだ。
それとも、もう一度読み返したら、印象は変わるのだろうか?
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京都が好きで手に取った本。
京都から出たことがない5人家族の、三姉妹それぞれの人生 恋愛、結婚、就職ー の思いが書かれている。
人の心に焦点を当てつつ、京都の街並みが恋しくなる素晴らしい小説でだった。
週末に自転車で京都を旅しようかな。
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京都が舞台の本を京都で読む
ちょうど祇園祭で、京都のひとにとっての祇園祭の位置付けを理解する助けになった
三姉妹、かわいらしい。きっとわたしも三女のように、京都を出たくなると思う。
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京都の3姉妹の娘さんを描いて、谷崎潤一郎の「細雪」や川端康成の「古都」を連想させると謳われたそうである。「細雪」は読んでいなく、「古都」は枯れていて印象が薄い。
これは京都の自然と行事と人情を描いて、濃やかな小説である。
長女・綾香は次女の紹介した男性と交際を始め、うまく結婚へ進みそうである。次女・羽衣は自認するモテ女だが、「キレ芸」でいけずな先輩や取り巻き、パワハラ・セクハラの上司を撃退するものの、キレたところを恋人に見られて失恋してしまう。3女・凛は理系の大学院修士課程を修了し、両親の同意を苦労の果てに得て、東京都の有名菓子メーカーに就職する。
僕は家庭内の娘さんの実情を知らない。しかし僕が憧れるほど、京都の娘3姉妹を、京言葉と共に、濃やかに美しく描いている。
作者の望郷の思いも、籠められているだろう。
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どこで呼んだかと言えば、熱海の往復です。
それはさておき、綿矢りささんと言えば芥川賞『蹴りたい背中』なわけですが、まだ読んでないわけですが、この一冊はその、試金石のような位置付けになりました。
まず、綿矢りささんは、京都の生まれ(大学は早稲田)だそうで、淡々としたトーンの描写の中にも、京都の文化を鋭く表現されています。
あー、いやいやこんなおとなしいレビューを書きたい訳じゃない。なんだろう、たぶん、作者自身の投影は、三女の凛なのではないかなーと。そんな気がします。京都の重さに苦しみ、京都を離れ、でも、一番京都のことを思っているような。そんな自伝的小説、と読みました。
龍村の着物が登場するのも、自分とは縁を感じます。
ああ、一週間くらい、なにも考えずに京都に滞在したいなあ。その時はまず、北野白梅町で天一を食べよう、そんなことを考えながら読みました。
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京都の様々な情景とともに描かれる三姉妹の様々な戦い。
分かりやすく敵がいる子もいれば、自分の中の焦燥や閉塞感と戦う子もいる。
形のない時間や習わしと戦う子も。
自分だけが知る闘志もある。
いつも何かを相手取って拳を固めるのは自分を守る為だったりする。
良し悪しは置いといて、ほとんどの戦いは自分を守るためだったりするなーと改めて思った。
嬉々として戦う人もいるだろうし、自分を守る為に誰かを傷つける必要がある人もいるし様々やが。
物騒な感想になったけど作品自体は繊細で美しくてちょっとユーモラスな可愛い品。
あとタイトルが、京都を慈しむ感じが出てて良い。
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京都を舞台に繰り広げられる三姉妹の人間模様。
京都に住む人からしたらわかる~てなるシーンもあれば、そこまでかなあ?と思うようなシーンもあった。
でも綿矢りさはそういった京都を経験してきてるんだろうな。
解説にもあったように京都に生まれ、京都を離れたからこそ書けた小説だったように思う。
独特の綿矢りさ節は少し身を潜めたあっさりとした文章のはずなのに、京都の薄暗い部分がときどき垣間見えて不気味な感じがただよう。
綿矢りさの作る世界ってなんでこうも引きつけられるんだ!
文章の書き方が大好きな作家の一人です。
情景と心情の描写は本当にうまい。本当に。大好きです。