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2019年4月読了。
愛育病院に行く途中、田町駅前の虎ノ門書店で「ジャケ買い」。
この本が2019年に日本語訳されて出版されるということの意味を何重にも噛みしめて読んだ。
訳者による前書きで本書の成立年代に関する背景について説明があり、そこで提示された事柄を前提にして読み進めれば、この当時のこの場所=1936、37年のソビエト社会が、如何に今日私が住んでいる社会とさして変わりはない、同じような現象が起こっていることに気がつく。
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1936年3~6月にジッドがソヴィエトを旅行し、
考えたこと、感じたことが書かれた本。
ジッドはソヴィエトに希望を見出していたが、
実際に訪れてみると、理想とかけ離れた現実が
そこにはあった。
当時のフランス左派知識人からソ連は強く支持されて
いたため、本書が出版されると、左翼から猛烈な批判を
浴びることになる。当時のヨーロッパでは、私たちが
考えるよりも、共産党に共鳴する人が多かったそう。
この時代の空気を感じることができた一冊でした。
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ソ連については教科書以上の予備知識はあまりなかったので、当時フランスでソ連の信奉者が知識人の中にも多くいたのには驚いた。あとがきにもあるように、「歴史が証明した」後に私は生まれたから。
旅行記と聞いて想像した内容とは違って、ほぼソ連への批判文だった。最初こそはソ連への希望的観測を捨てきれていないようだったけれど。
全体として真実を見つめ誠実であろうとするジッドの姿勢にはとても好感が持てた。ジッドがソ連を訪れたのは66歳だったという。作家としても成熟した年齢になっても、自分の想像と現実が違ったときには過ちを認められる柔軟さや誠実さを持ち続けていることに尊敬。
現代でも全体主義的な脅威はいまだ存在しており、その脅威はこれからより一層大きくなるように思われる。ソ連時代の本では歩けれど、現代にも通ずるメッセージを持っていると感じた。
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いい本でした。単なるソ連の批判ではなく哲学としても非常に奥深い本となっています。作者の批判が非常に理論づけされていて良かった。
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ソ連崩壊前、共産主義にはそれなりに興味があった。その後歴史が証明したとおり、社会主義、共産主義は、たぶん人類の脳というOSに合わなかったんだろう。
「あっ、合ってないなあ」、と気が付き出した時の人類がどういう非喜劇を演じたか、壮大な社会実験を行ったソ連の内情を垣間見ることが出来て、非常に面白かった。
ドグマがなんであれ、批判を許容出来ない社会には活力も進歩も生まれないのね。
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内容についての良さは置いといて、訳者による前書きやあとがき、解説の丁寧さと熱意のすごさたるや…ジッドに込められた想い、前訳者に対する尊敬の念などを読んで、文庫と厚さにしては1200円ほどと高さを感じたが、これはそれ以上の価値がある。ソ連をより知るための教科書でもあるがそれ以上に現代人には必読書と感じる。読んで本当によかった。
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面白かった。赤かった時代のソ連に旅行した時の作者の感想。こういう他国の政治には、くるんでくるんで、匂わせ程度にしとけばいいのに、多分それでも批判されるのに。別に攻撃、批判をしてるんでなくて、ちゃんといい所も挙げている。多分フランス人が一番、人間の尊厳、生きることの理由意味などに真摯に向かい合っている人種で、最後の一人になろうとも、違う物にはノーというべき姿勢を貫ける人種かと思っているが、当時のソ連には、個人を表現するすべが見当たらず、作者は絶望を感じてしまったようだ。この作者読んだことなかったけど良かった
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・これは面白い。歯に衣着せぬ鋭い意見。
・ソ連の欺瞞をジッドは見抜いていた。
・何度か読み直してみたい。
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1930年代のフランス文学界と共産主義や革命との関係の史料として手に取ったが、心に残る言葉にたくさん出会えたのは思いがけない喜び。