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緩くてフワい短編集
2019/12/30 19:55
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
連載誌で発表された切り他の媒体には収蔵されていなかった短編集。
提示されたテーマにそった作、指定ページ数通りに書かれた作品、事前にオーダーを出された作。
様々な制約のなか、落ちるべきところに落としているのは職業作家ならでは。
反面これといった編集方針がなく、どことなく座り心地の悪さも感じる。
相変わらずホラーともサスペンスともファンタジーとも形容しがたく、ふわっとして本性を捉えらえにくい作が多い。
恒川作品への分類付けに意味がないことをよく教えてくれる。
明治期から大正、昭和、平成に至るまで日常に軸足を起きつつも、気付けば異界に踏み込んでしまっている。
(時には異界が我々の日常に否応なく割り込んでくるのだが…)
短い作ではわずか七ページ、長くても六十~八十ページに収まってしまう。緩急のリズムがかなり異なり、中長編に慣れた方は違和感を覚えるかも。
凝縮されているが、明快かつ説得力が強いのですんなり没入できてしまう。これが恒川作品か。
あなたは人形と目が合った。
「こんな駄文を読んだ方はそうね…、恒川の既刊を大人買いしなさい。保存用と読む用なんて言わずに最低百冊よ、書店でも通販でも古本でも見かける度に。雑誌のバックナンバもありったけ取り寄せる。カードも限度額いっぱいまで使ってしまいなさい」
人形はとりとめのないことを繰り返す、もうあなたは逆らうことができない。
紙の本
ブリガドーン
2019/11/04 22:46
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
デビュー以来どこかの媒体に発表したものの本にはなっていなかった作品や、アンソロジーには収録されていた計10個の短編を集めた一冊です。作品ごとの長さも、様々。
恒川さんの小説は大好きですが本書は何か「落ち着かない」感じでした。
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短編10作。
10年間に放った様々な作品たち。
それぞれにそれぞれ。
「銀の船」にような作品が読みたいなあ。
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人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。
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この作者では珍しい実話系怪談やSFモノも収録されているが、やはり白眉は作者お得意の「ここではないどこか」への憧憬を描いた作品。
もっと世界観に浸りたいため、中編〜長編で読みたいと思ってしまう作品多し。
そりゃ短編だったらここで終わっちゃうよね…という結び方がちと残念。
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短編集。
かなり色々な詰め合わせだったけど、どれもとても恒川光太郎。
「銀の船」が好き。続き、というか他の乗船者達の話も知りたい。
不気味でおそろしいものが美しいこともままある不思議。
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短編集。それこそ数ページで終わる短いものから、中編くらいのそれなりの分量のものまで。どの作品も恒川印がくっきりしていて、ベースはファンタジー寄りのホラー。表題作とかが結構好きだった。急繁殖した植物に取り込まれた人々の話。でもやっぱり、中長編が好きかな。
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植物に自分の体が飲み込まれる。そして、同じように飲み込まれた人と意志の疎通ができる。体は動かせないけど、やり取りはできるって孤独なようで孤独じゃないのかな?
それでも、やはり動きたいわな。
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アンソロジーで既読のものもあったけど、こうしてまとめて読み返すと、また違った感じがして面白い。
SFチックだったり、ホラーだったり、ダークファンタジーだったり…今回は珍しく実話系w
様々作品だけど、どれも恒川さんらしくて素敵。
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個人的には表題の白昼夢の森の少女と、銀の船、傀儡の路地が好きだった。現状を抜け出したとしてそれは幸せなのか、自分が思うほどうまくいかないよねという話が多いところが好き
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幻想・ホラー小説短編集。恐ろしさも感じますが、どこかしら夢の世界のような柔らかな雰囲気を感じられる作品が多いです。じっくりと世界観に浸りたい一冊。
お気に入りは「傀儡の路地」。一番ホラーらしい作品で、実際これが一番怖いと思いました。都市伝説的な存在がメインになっているのも好みの一環です。
「白昼夢の森の少女」「銀の船」も大好き。状況だけならホラーのようでもあるけれど、どこかしら理想郷のようにも思える世界を描いた不可思議な物語。ある意味、これらの世界で生きることはとても幸せなのかもしれません。行きたいかどうかと聞かれたら……悩みますけれど。
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怪談にファンタジーに都市伝説に戦争小説といろいろあって、全部好みだった。変わり種で『平成最後のおとしあな』が印象的。
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短編集だと思わずに読んでいたので、それぞれの物語に出てくる事物がいつか回収される伏線だと信じ、心に留めていました。例えば、四角いコンクリートの建物、20万円、シーサーの置物などなど。
どの物語も幻想的で面白く、これらが回収されるラストにはさぞかし凄まじい傑作になるに違いない!これは間違いなく星5つ!と思っていましたが、あらあら短編集でした。
そんなわけで自分勝手な期待の妄想の喪失により、星4つ。
でも本当に面白かったです。
さすが恒川ワールド、いつも楽しませてくれます。
「古入道きたりて」は既読でした。
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短編集10編
ふと気づくとそこに広がる異世界,その何気なさが怖い.
蔦と同化してしまう人々を描いた「白日夢の森の少女」ヤハタさんお帰りくださいと言って難を逃れないとダメな「傀儡の路地」,ホラーではないが「平成最後のおとしあな」が良かった.
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なんと想像力豊かな物語の数々なんだろう。
いつも恒川さんの作品には「参りました!」の思いを抱く。
色々なタイプの不思議があり、どの話も凝っている。
タイトル「白昼夢の森の少女」も、どこからこの話を思いつくの?と聞いてみたくなる。
表紙の不思議な絵がまさしくそれを物語っている。