紙の本
人のプラットフォームでは吸い上げられるだけ?
2022/10/01 07:57
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投稿者:Monty - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽い気持ちで手に取ったけど、労働とは何か?を考えさせられた一冊。イギリスのルポなので一概に日本と比べられないけど、本質的には同様の流れかなぁ?個人的にはプラットフォーム資本主義というのが、しっくりきた。映画マトリックスが頭に浮かんだ…
紙の本
二十一世紀の「イギリスの労働者階級の状態」
2019/05/16 15:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:garuhi - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者ブラッドワースは元トロキストで、英国のジャーナリストである。本書はかれがアマゾンのピッカーやウーバーのドライバーとして体験した「ギグ・エコノミー」のルポルタージュである。それはまさしく、現代のイギリス労働者階級の最底辺で労働している最貧困者・移民労働者の現状と本音を代弁している。アマゾンの巨大倉庫でトイレにも行けず昼食の時間をも「節約」して、伝票に指示された商品をかき集めベルトコンベアに流し込む作業を一日中繰り返すのである。一日の歩行距離はじつに一六キロメートル以上にのぼるというのだ。また、この職場で圧倒的に多いルーマニア人の劣悪な食住生活も克明に記録されている。さらにかれは、訪問介護の介護士・コールセンターのオペーレター・ウーバーのドライバーになり、そこでの労働者の状態を克明に浮き彫りにするのである。それは、あたかも若き鎌田慧による『自動車絶望工場』に似ている。
日本にも上陸したのにもかかわらず、全然普及しないウーバーであるが、英国とりわけロンドンでは爆発的に増殖したようである。ドライバーとして採用されるのは非常に簡単ではあるが、そこで一人親方として生計を立てていくのは如何に困難であるかを、かれは見事に証明してみせた。
日本でもまた、インターネットを媒介とした商売が拡がっている中で、英国のそれを”隣の芝生”と見るか”他山の石”と見るか。少なくても本書は日本のそれを考える上でその機会を与えてくれるであろう。
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イギリスにおける格差社会、貧困問題を、著者自身が底辺の街に住み、悲惨な職場で働くことを通じてあぶり出すという意欲作。途中、職場とは関係ないやん!というような、ホームレスの話が突然出てきたりするのはご愛嬌。タイトルにある企業をただ批判する本ではないのに好感が持てた。
それにしても格差社会、貧困問題は完全に日本と同じ・・日本もいずれこうなるのか、足元ではすでにこうなっているのか。若い人たちに、こんな絶望的な社会しか残せないことになんだか悲しくなる。
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タイトルから想像がつく通りの内容です。イギリス人の著者が、イギリス内でAmazon倉庫のピッカー、大手の訪問看護派遣会社、保険のコールセンター、ウーバーの運転手として実際に働いてみたルポタージュ。日本でもありましたね、ユニクロのやつ。ああいう感じです。ほんのりソフィストケートされたデジタル蟹工船。21世紀のプロレタリア文学です。
イギリスは産業革命発祥の地、工業で世界を制覇したものの情報革命に乗り遅れ、経済活動も社会制度もてんやわんや。過去の栄光のせいか、周辺の国とはうまくつきあえないし、移民でもめてるし、国民は無駄にプライド高い。格差は広がり、金も人も首都ロンドンに集まって地方が衰退していく。日本に似てますね。負けないぜっ!
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原題は「Hired」なので、うまい邦題をつけたなというのが第一の感想。
筆者が実際に企業に潜入し、そこでの体験や経験、一緒に働く移民の同僚たちの語りを用いて、イギリスでの格差社会や貧困を描き出している。
本書を読むことで、日本では意識しづらい「階級格差」をリアルに感じることができる。具体的な解決策が明示されていないので、読み終わっても未来への不安な気持ちがぬぐえない。
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アマゾンとウーバーの現実には驚愕。アマゾンはロボット化が進んでいるから、内容は古いかもしれない。⭕️
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もの言わねば経営サイドはいくらでもつけあがる。
アマゾン、訪問介護、コールセンター、ウーバーへの潜入ルポが語る過酷な実情は今まさに日本でも語られている実態であり、とても外国(イギリス)のこととは思えない。
便利な仕組みがあり、ユーザの利便性が向上する。これはとてもいいこと。ただし、そこに、劣悪な条件で搾取される人がいてはいけない。結局のところ、経営者は儲け過ぎるな、ということに尽きる。そこを性善説で制御できない以上、強制的な仕組みが必要だ。科学技術は人々を労働から解放する方向で発展・展開しなければならない。
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イギリスのどちらかというと貧困層の仕事、生活の実体が描かれている。日本で起きていることは、他の国でも似たような事象が発生していることなんだと思う。そこからの抜け出しは何が有益なのだろう?教育か?政治か?
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邦題につられたわけだけど、つられて良かった。
ウーバーはイノベーションの陽の側面がことさら強調されているけど、専業とした労働者視点にすると宿場女郎並みの閉塞感。ギグエコノミーの欺瞞、という章題が全てをあらわしている。「保障」を怠る企業というのは、はたして企業なんだろうか?プラットフォーマーですから、という詭弁も、いつまで続くんだろうか。
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【伝統的なセーフティー・ネットが崩壊し、古い対処メカニズムがうまく機能しなくなった現代生活には”個別化”が付きものになった】(文中より引用)
アマゾンの巨大倉庫やウーバーのドライバーとして実際に働いた著者によるルポルタージュ。新たに作り出されていく職を通して,移民や格差の問題について切り込んでいきます。著者は、左派系ウェブサイトの『Left Foot Forward』で編集者を務めた経歴を有するジェームズ・ブラッドワース。著者は、ロンドン大学・東洋アフリカ学院で修士号を取得した濱野大道。原題は、『Hired』。
本書一冊で多角的に議論をすることができるほど,内容面において充実している作品。労働環境や雇用状況がどうのと言う枠を超え,その労働や雇用といった用語の意味そのものが変容を遂げているのかなと感じました。
ずいぶんと思い切った邦題ですが☆5つ
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イギリス人ジャーナリストによる労働者を使い捨てる過酷な労働現場の潜入ルポ。
著者が雇われた職場はアマゾン倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバードライバー。誰もができる作業ゆえに人の取替が容易。だから、経営側は「クビ」というカードをちらつかせながら、労働者へ無理難題と低賃金を押し付けることができる。アマゾンのような巨大企業が求める効率化にとって、ヒトもモノも扱い方は変わらない。
移民が多くない今の日本にとって、本書で語られるイギリスは極端かもしれないが、いずれは参考にすべき時が来るだろう。ウーバーは自社ドライバーを個人事業主として業務委託契約するが、実態はアメとムチでドライバーへ労働を強制し、個人事業主に抵抗の手段はない。その光景は日本のコンビニ経営とそっくりだ。
と、イギリス格差社会の底を突きつけられる本書だが、その情報は主に労働者たちのインタビューによるもの。労働者としての著者による感想や体験は少ないし、採用されたプロセスも語られず。本当に潜入労働していたのか、疑問が残るルポだ。
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アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した。ジェームズ・ブラッドワース先生の著書。先進国に住む多くの人が享受している安くて便利なサービス。でもそれは、そのようなサービスを提供するために低賃金で過酷な労働をしている人がいることの裏返し。自分だけが幸せで楽しければそれで良いという自己中心的な人間にはなりたくない。そう思う人が増えないと現状は変わらない。
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ーーー本書を読むかどうか悩んでいる人へーーー
実は、自分は過去に読むかどうか悩み、結局辞めたことがある。
理由は単純で、日本語版のタイトルがややしつこく、かつ少々安っぽく感じられたため(ただ、Hiredという原題を訳したりカタカナで用いるだけでは、本書の内容を伝えにくいことも事実)。
同じ理由で迷っている人がいたら、今すぐ手に取ることをお勧めしたい。
本書はいたって真面目で、エンターテインメントとしての煽り文句や、ありきたりな“貧困層の問題への提言”などが書き連ねられているものではない。
著者がその身をもって体験した、「私たちのスマホの先」や「家族の面倒を見てくれるあの人」の世界が、淡々と描写されている。
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イギリスにおける最低賃金労働の現場を描いたもの。
単純に現場の人々を取材するだけでなく、自身もそこに身を置くことによる一人称の視点が、本書の特色である。
余談だが、最終章まで読み進めると、原題に込められた皮肉が際立つだろう。
消費者として、手元のスマホのワンタップで得られるメリットがどのような人々に支えられているのか、無知でいるわけにはいかないと思い知らされる。
また、ちょうどEU離脱の国民投票と取材時期が重なっていたことを考えると、なぜ有権者たちが離脱を選択したのか、本書を通してわずかに理解できた気がした。
日本にとっても決して他人ごとではなく、自分たちが目を向けていないだけなのだと。
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イギリス人ジャーナリストが自らイギリスの底辺と呼ばれる地域に住み
アマゾン倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバードライバーとして
働いた潜入ルポ。これが先進国と言われる国の現状なのか?と疑いたくなるほど。途中読むのがつらくなる。
劣悪な労働環境とひとくくりにできない不気味なものを感じる。
効率や生産性を追求し労働者は機会のように扱われる。
グローバル企業による「ギグ・エコノミー」という名の搾取。
イギリスではこんな条件下でも移民は自国の3倍の給料のために働いている、言葉の問題もあり表面化しないとか。
日本はまだマシかと感じたが果たしてそうか。格差拡大はすでに始まっている。
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タイトルにはアマゾンやウーバーの事しか書いていないけど、訪問介護やコールセンターも含めた低賃金職場環境のルポルタージュだった