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八咫烏シリーズの第一部の完結作。
第一部の完結作と言いつつも、内容や八咫烏世界の世界観、時間軸は前作の「玉依姫」とほぼ同じ。玉依姫の時間を八咫烏視点で描いたというのと、最後の新しい山神となった英雄の前で猿たちが烏への恨みを独白するシーンが増えたくらい。
ちょっと残念なかんじだった。
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裏表紙のあらすじに「八咫烏と大の最終決戦」とあったので、序盤に大猿が登場したときは「いきなり最終決戦開始?」と思ってヒヤリとしました。けれどその後は前作「玉依姫」と内容が重なってて、そちらの経緯と顛末が分かっているためか、ハラハラする緊張感を楽しめなかったかも。
ただ、その緊張感が無かったとしても、真赭の薄が山神の世話に向かう際に見られる浜木綿との友情シーン、長束と奈月彦が大滝で会話する場面と、その直後の長束と路近のやりとりなど、それぞれのキャラの想いなどが伝わってくる名場面が目白押し。本作で見納めなのかと思うと、若干寂しい気持ちにもなりますが、なかなかにグッとくるポイントは多かったと思います。
大猿との戦いに関しては烏側が圧勝しますが、大猿側の事情(=金烏が失っていた記憶)が分かり、いち読者としては素直に喜べず。歴史上、征服されて消滅した民族や一族を想起させられ、猿や烏というのはそれらの暗喩のように思えてきて、大猿達の末路がそれらと重なって切ない気持ちになります。
また、雪哉についてよくわからなかった点が二つ。1つは博陸侯景樹が雪哉のために焚書を行ったということ。これは烏が大猿を殲滅したとき、それを行った者が罪の意識にさいなまれないよう、猿側の事情を事細かに記した文書を破棄したと解釈しているのですが、自信がなくてモヤモヤ気分。
2つめはラストシーンで、姫宮を見て涙をながすところ。何故雪哉は涙したのかが分からなくてモヤモヤ…… 軍の参謀になってから戦いのことで頭がいっぱいになって、人間らしい感情や心を無意識に押し殺していたということなのかなぁ。全然わかんない(涙)
と、モヤモヤしたところがありつつも、一時期京都に住んでいたことがあったので、見知った名所が出てきたところは感慨深かったです。賀茂御祖神社(下賀茂神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)はちょくちょく訪れていましたし、下賀茂神社の近くに日吉神社があって、ここで猿(神猿)の石像を見ていたりしたので「俺、意外とこの世界(八咫烏シリーズの世界)の近くにいたんだ」と壮大な勘違いに浸れたのは、とても良かったです(バカですなー、私(笑))。
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雪哉をとめてあげたいと思った。真赭の薄の葛藤と彼女が感じる違和感こそが救いになるような気がした。一度、動き始めた激流を止めるのは本当に難しい。それでも、感じる違和感を大事にしなくてはいけないのだと思う。誰かの犠牲の上に成り立つ平穏な日常で、本当にいいのかを考えなくてはいけない。
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一気に読み終わった!あ〜、これこれ。読み終わった時の、このやるせなさとか、もどかしさというか、なんとも言えないハッピーエンド。この幕引きは哀しい。けれど、ぐっと引き込まれる。
前作・玉依姫の山内側の話。
山神の怒りによって瀕死に陥った八咫烏は、明留ではなく澄尾だったんだね。玉依姫では描かれなかった茂丸の死。雪哉の嘆きは想像するだけでも苦しかった。
激しく生き、一族の哀しい幕引きを選んだ大猿の決意。一族と金烏を守るために、残酷な手段を選び、優しさを手放した雪哉。そんな雪哉の変貌を心配する山内衆の同期たち。何者でもなかった若宮。山神を失い、滅びを選択した金烏と八咫烏の一族。全部ぜんぶ、哀しかった。
茂丸の死に直面した時、雪哉は泣けなかったんじゃなくて、泣かなかったんだね。悲しみを怒りや憎しみに変えないと、きっと耐えられなかったんだね。姫君に会いに行かなかったのは、ようやく彼の中で茂丸の死を受け入れて、ひとり静かに悼む準備ができたからなのかも。ラスト、生と死が対になって大きな感動が押し寄せて来る。
そういえば、澄尾と真赭の薄の関係はどうなったんだろう?あのまま澄尾が儚くならなかったのがせめてもの救い。
第二シリーズでは、姫宮の成長その後と、滅びゆく山内の危機を描くのかな。またまた楽しみ。
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八咫烏シリーズ第一部完結。
前作の玉依姫と連動していて、あっという間に読めた。前作ははっきりと八咫烏のことが描かれていなかったので、今作で分かった出来事にはかなりショックを受けた。ちょっと予想しちゃったけど、はっきり分かると辛い。。
猿との因縁も辛く淋しいもので、雪哉が冷酷になればなるほどやりきれない思いにかられた。
正直、神話の世界はあまりよく分からなくて苦手意識もあったけど、それでも読み応えのある作品に出会えて良かったと思った。
第一部は完結だけど、今度はどんな展開になっていくのかな。八咫烏のその後もまだまだ気になります。
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玉依姫の烏視点とその後の話でした。
なんとも複雑な終わりでしたが若宮は奥方がいれば大丈夫だろうし、雪哉だけが心配です。
第二部どうなるんですかね・・・続きが気になります。
外伝読んでないので外伝読んで待とうかな。
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自分を見失い,本来の道(この場合は天道か?)を踏み外すことでしか,自分の正義を全うできないが,我を忘れた状態に気づかせる事象が,また正義の先にしかないものだという二律背反も,生に対する業であり,古書の教えてくれるところである.さて,滅びの道を選択したこの八咫烏の世界は今後どこに向かうのだろうか.
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どうなるか、続きが早く読みたいのに、
次を知って、深い傷を負わされるんじゃないかと、
葛藤の末に読み終わりました。
最初から半分までが、重苦しい。
ちょっと希望が見えたのに、
後半3分の2は重苦しい。
最後の最後、浜木綿の言葉で、
やっと息ができた感じです。
雪哉の嘆きが強すぎて、痛くてたまらない。
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いやさか!いやさか!
玉依姫と表裏一体になっていたんですねぇ……。
素晴らしいです。
軍事に関して冷徹な雪哉が好きです。
業を背負い苦悩を抱え涙する雪哉が好きです。
まさしく堂々の完結。
読む前はこれで終わりなんて寂しいな、お、第二部あるのかやったって思ってたけど、もうこれで終わって充分すぎるほど充分だって読み終わって思う。
第二部は何をやるのかなぁ。
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既刊のシリーズを一気読みしてしまった。面白すぎる。
「玉依姫」の物語の八咫烏視点のお話。「玉依姫」を読んでいて気になってた部分が補完されていく感じ。雪哉の策士ぶりが凄い。
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シリーズ完結作ですか?「玉依姫」を前もって読んでいたので、ようやく物語がすべて丸く収まりました。第1作の姫様候補探しのお話からは、だいぶ違う趣の作品にかわりました。まさか、こんな壮大な物語に成長するなんて!楽しませてもらいました。
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第一部完結編なのですね。
違う視点から同じ物を見ると、全く違う物語になるというのは、このシリーズの冒頭からあった仕掛け。
この痛みや苦しみは、ぐっとマクロの視点から見たら、なんなのか。取るに足らないものなのか。
それから、「今」を知ったあと第一巻を読んだら、なんとも変な気分になりますね。
表紙に描かれるのは、素朴でも命の輝きにあふれた青い朝顔。玉依姫の表紙の真っ赤な椿と対になっているのでしょうか。
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あー終わってしまったー!!
ラストは金烏も雪哉も痛々しくて
見てらんなかったけど。
それぞれ救われたかな?
強い既視感あったのだけど、これ前巻とリンクしてるんですね。忘れてて気づかなかった。(笑)
ともあれ第二部も楽しみです。
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個々見れば見たことあるような話だったり、分かりにくいとこもあるけど、緻密な構成といい純和風な風景の描写だったり、著者の執念とも思える想像力で作り出された世界を堪能できる
最後の対談は著者がメインになってないみたいでそこだけちょっと残念だった
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八咫烏シリーズの6冊目。
猿の襲来に備えた烏の世界であったが、あっさりと猿が仕える山神らしきものの軍門に下るところからスタート。
ゆるゆると前作(玉依姫)の世界が登場するが、あのけったいな話がここで効いてくるとは…。
2作目を1作目と見比べながら読んだのを思い出したが、相変わらず、この作者、手の込んだことを考えていたのだな(まあ、自らの二番煎じではあるが)。
最後は何だか食い足りないが、雪哉の食えない奴キャラもここに極まり、登場人物それぞれの関係もシリーズ終盤らしい賑々しさで、結構楽しくは読めた。
どうやらこのシリーズもここでひとまずの完結のようだが、裏表紙を見れば『シリーズ第一部、堂々の完結』とあるので、まだ続くのだな。