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帯に書いてあったのでそのつもりで読めたけど、これまでの作品のようなラストの展開じゃないのは知らずに読んだらまた違った感想を抱いたかも。予備知識なしで読んでみたかった気もする。
従来の手法に作者自身が飽きてしまったのか、それともテクニックに頼らなくても大丈夫という自信や確信を得たのか。私は後者のような気がした。今までも優れていたけど、心理描写にさらに磨きがかかって派手な展開がなくても読み応えは十分にあった。また、私小説としての側面もあると解説でも語られていたけど、作者の書かずにはいられない衝動が感じられた。
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この本を読み切ったときに全ての話が意外なところで繋がって驚きました。沼田まほかるさんの作品ほどではないですが、感動する、綺麗で美しいミステリーでした。湊かなえさんの文章はどんな風にもなるんだなあと改めて感じました。
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心情の書き写し方や、各章の話のつながり方がいかにも湊かなえっぽくて引き込まれる。でも終わり方は、これまでとはちょっと違った。解説にやたらと納得した。最終章は、これがどういう「湊かなえっぽいエンディング」につながるのか、ドキドキしながら読みました。
境遇それぞれ、自分にしかわからない自分のことも色々、でもどうやって折り合いをつけて生きていくのか、そういうことかな。
そしてなぜトンガが舞台になったのだろう。行ってみたいぜトンガ。
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短篇集。4篇ともに主人公は異なるが、全て阪神淡路大震災を経験したことが共通点となっており、最後の短篇は著者の経験を多く使った私小説であることを匂わせてくる。ということで、震災により何か心に穴が空き、そこから一歩進む舞台装置として、太平洋の島国トンガが出てくる。
私は日本の各震災で災害の内側にいたことはない。関東にいたからガソリンの品薄等で困ったくらいだ。だから、日々報道される痛ましい事件の一つという認識であり、それ以上でもそれ以下でもない。だからなのかもしれないが、読んでいる途中から判明してくる「震災」という串が一冊の本に刺さっている理由が、いまいち見えてこなかった。
また、どれもこれも上手くいかない人が登場して、後からその根っこの部分に震災がある!みたいに書かれると、何でそんなに読み辛い見せ方をするのだろうかと思う。今でもNHKの「あの日 わたしは」など、テレビを始めとしたメディアで実際に被災された方やご遺族の声が紹介されることがあるが、そこには過剰な演出があるわけでもないにも関わらず、人の心を恐ろしいまでに強く揺さぶる。この小説であとからネタばらし的なミステリの手法を使うことで著者は何を狙ったのだろうか。
短篇それぞれの内容は、まぁ面白い。とりわけ、『楽園』『太陽』ではそれぞれの主人公が交差するのだが、互いに「なんだこいつ」的な目を向けていて、主人公の考えが一面的であることをあぶりだす。もちろん、「なんだこいつ」と思われるような行動や視界が限られてしまうことにも、そこに至るまでの複雑な事情があるわけで、その事情は外部の者には究極的には分かりようがない。
子どもの夕食をシュークリームで済ませることには驚いたが、牛乳が消費期限3日過ぎたくらいでわざわざ過熱して飲むことにも驚いた。私の基準は一週間である。加熱などしない。みんなどこかおかしい。そんなもんだ。
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「イヤミス」の湊かなえさんが好きだけど、絶唱の湊かなえさんは、もっと好き。
以前テレビで話しているのを聞いて「頭の中がストーリーで溢れてる人だ」と興味を持ち、その溢れ出るストーリーをたくさん読んできたけど、それが全て絶唱を書くための準備だったんじゃないかと思った。
いつもの湊さんっぽくないなー、イヤな感じが全然ないじゃん!と思いながら爽やかな気持ちで読み進めていたけど、最後でグッと心をつかまれて、泣きそうになった。電車の中だったから、泣くのはガマンしたけど。
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短編集ですが、登場人物の繋がりがあり、というか視点の違いですかね。シーンを思い出しながら読めました。
阪神大震災をテーマとしている作品です。
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震災を元にした各々の暗い話だが最終的には救いがあるストーリー。湊かなえ特有の、同じ背景に生きる人々の語りがベース。
絶唱の主人公の気持ちが自分とよく重なり、胸が苦しくなった。この話はもう1回読んで消化したい。
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『死は悲しむべきことではない。親しい人との別れは悲しいけれど、祈りをかかさずにいれば、いずれまた同じ世界に住み、話したり笑い合ったりすることができるようになるのだから。』
孤独や喪失感を抱え、現実に絶望し、逃げ出したくなった時、遠く離れた太平洋に浮かぶ南の島で、全てを包み込んでくれるようなあたたかい人柄や文化に触れ、ゆっくり流れる時間の中で過去を振り返り、自分を見つめ直す。
世の中にはもっと大変な思いをしている人がいる。
もっとつらい思いをしている人がいる。
そんな事わかっていても、今「自分が」つらい。
それでいいと思う。
自分の事を自分が一番考えてあげていいと思う。
それを責めないであげてほしい。
心の傷は癒えるまで時間がかかるかもしれない。
癒える事はないのかもしれない。
それらは忘れるものでも乗り越えるものでもなく、痛みと共に生きていくものなのかもしれない。
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トンガ王国でゲストハウスを経営する尚子を訪れる女性たちの再生のお話。
楽園、約束、太陽、絶唱からなる短編集。
震災がひとに戻らした恐怖や不幸。全話に登場する女性たちに共通するキーワード。震災を語れるのは生きた人のみだけど、本当の恐怖を語れるのは経験して生きてきたひとだけ。
太陽の主人公の杏子と花恋の話が最も印象的でした。誰かに誉められたいとか認められたい。みんな普通にもっている気持ち。一度だけの出会いがそのひとにとって大きな救いになる。
震災があったから別れなければならない人もいたかもしれない。震災があったからひとの温かさや温もりがわかったひともいるかもしれない。
そんなことを考えずにはいられませんでした。
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四人のそれぞれの物語が一つに繋がる。そのひとつひとつのドラマに感動がある。湊かなえならではの文体、構成。
感動を味わいたいときに読む一冊としてどうぞ。
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大阪に住んでいて外側だった私には何とも言えない気持ちになる。フィクションなら読める話しもノンフィクションだとザワザワする。
そういう意味で裏切られる本だ。
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各編の人物が、主役になったり端役になったりする、私小説とミステリーとが混ざり合った連作短編集。
著者がかつて、青年海外協力隊として訪れたというトンガの光景に、阪神淡路大震災の光景が重なる。
特に、『絶唱』は、後に作家となる「わたし」が主人公で、私小説の色合いが濃くなる。
著者の代名詞(イヤミスの女王)とは、一線を画す作品。
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トンガ王国の底なしの明るさと陽気さに対する、そこで生活する登場人物たちの、思い悩んで、暗く沈んだ心情の差がすごい。
「大学時代が、人生の夏休みだと言われる理由は
バイキング方式のように、好きなものを好きなだけとればいい。
自分のペースで生きていけるからだ。」
これはまさにその通りだと思った。苦手な人とは距離を置くこともできる。一人でいても誰も気にしてない。好きな授業をとって、好きなことを研究していけばいい。
いい意味でも悪い意味でも、みんな自分に興味がない。
とても心地よい距離感だった。
私の大学時代も、まさに人生の夏休みであった。
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これまでの湊かなえ作品とは異なる本作。阪神淡路大震災から、早二十数年が経過。その震災がモチーフになった「楽園」「約束」「太陽」「絶唱」の4つの短編からなる連作。ミステリー的な要素を基盤に、私小説というか鎮魂小説というか、作者が何故二十数年経った今、阪神淡路大震災をテーマにしたのか、そこに大きな意味があるように思われる。
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美しい異国の島で
“あの日”を経験した3人が
それぞれの自分を取り戻す
そんなお話。
最後の「絶唱」は
この小説の作者目線のお手紙。
どこまでがフィクションなのか、
実話なのか・・・
あの日とは、阪神淡路大震災。
意外と震災で人生が変わったという話ばかりではなく
ただの共通点にしか過ぎない。
根本は自分自身の問題。
自分と本当の意味で向き合う
ポジティブなストーリー。
でも正直どの話の主人公も好きになれなかった。
全部誰かのせい、ナニかのせい。
震災を結びつける必要はあったのかな?
震災の被害を語るのは外側にいた人だけ
という言葉は刺さったけど。
もしかすると、
本当に著者の経験で、
感じたことを文字にしたのかも。
何を伝えたい、とかではなく
吐き出したいという思いで。
経歴もぴったり重なる。
だとしたら、
私が理解をする必要もなくて
なんだか納得。
自然災害ってそれぐらい
理解ができなくて
納得ができなくて
やり場のない思いを残すものなのかなと。
震災当時、大阪にいた私は
人ごとのように思ってしまう。
「楽園」
ただただ可哀想な主人公。
話の内容は、
最初から伏線が分かりやすくて
結末の驚きはほぼなし。
この話はあの日はあまり関係ないかな。
親の価値観にガチガチにはめられて、
苦しんできた主人公の自立のお話。
でも、なにより
恋人の裕太くんがすばらしすぎる。
それが一番の感想
「約束」
楽園で何度も出てきた松本先生の若かりし頃のお話。
“あの日”の不条理さがよくわかる。
こんなこと実際にあったんだろうな。と思う。
ただ、ちょっと恋人の宗一の言動の変化が違和感。
松本先生はともかく、
宗一は島にきて間もないと言うか1日で、
いろんな考え方が変わるはずもなく、
うーん、なんだかしっくり来ない感じ。
「太陽」
楽園で出てきた杏子の話。
シングルマザーで
お金もなく、子育てに悩む杏子。
最初はただただ嫌な奴だったのに、
読み終えるとちょっと応援したくなった。
でもなんか自ら不幸を背負ってる感じが抜けなくて
やっぱりあんまり好きな主人公ではないかな。