紙の本
夏さんの物語
2021/04/05 12:37
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
書きたいテーマが見つかったときに、だったら前の作品のあのキャラクターが使いたいって
思ったんでしょうか。
前半は「乳と卵」のリライト
後半は新規のストーリー。
最後が、おもったより普通でした。
紙の本
本屋大賞ノミネート
2021/02/01 02:52
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020年本屋大賞ノミネート。38歳、独身、行き詰まった小説家夏子の“生”を窮極まで描いた大長編。自分の子供に会いたいという漠然とした思いからパートナーなしでのAIDの道を実体験者と接触し思索していくずっしり重いテーマ。二部構成で、一部の家族についての回顧はめちゃくちゃ笑える譬喩や、不思議な観点からの表現が多く面白かった
紙の本
辛すぎて読み進められない
2020/08/29 13:09
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投稿者:くつした - この投稿者のレビュー一覧を見る
母子家庭で貧困だった主人公の描写が辛すぎて読み進められていません。これから先も様々な辛い出来事が待っていそうなので、精神的に大丈夫な時にしか読めないと思います。
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乳と卵から10年かぁ。わたし乳と卵すごく好きなのであの中の子たちにまた会えただけで嬉しかった。
きみは赤ちゃん(著者のエッセイ)で自身が妊娠出産を経て訂正したいと仰っていた乳首の色について反映されていたのに思わずクスリ。アメリカンチェリー色なんて生易しい、テレビの液晶の色ってやつ。
内容はすごく大きくて、読み手によってすごく変わりそうや難しい設定なのに、やはり川上さんの言葉はリズムがいい。ところどころ、熱くなった。
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性と生、生と死、女性として一生を生きるということ。
生むこと、生まれること、生きること、命の意味。
前編は、『乳と卵』の改稿版。
後編は、その後。
「未婚の母」になるという夏子の選択。
人生のテーマの答え、と言っても過言でないほど。
真髄に迫っていた。
普通だったら避けるようなデリケートな話題を、敢えてヴェール無しに真っ向から挑む川上未映子さんに感服。
色んな立場の人が無駄に傷つかないように、多方面から沢山調べて、言葉や表現を選んで選んで、描かれてる。
時折りクスッとなるのも絶妙。
デビュー作から小説だけでなくエッセイも読んでいるので、川上未映子さんの育った環境や、普段からの思考回路、突飛した感受性の高さ、知識量、情報量、記憶力、語彙力、そして、『きみは赤ちゃん』で、自身の妊娠~出産~育児を綴った背景も知っている。
そういう全ての要素や経験があって、川上未映子さんが辿り着けた場所であり、これは、彼女にしか描けない作品だと思う。
孤独と絶望から、救われたときの温かさが、とても心地よかった。
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著者の作品は『あこがれ』『きみは赤ちゃん』に続き3冊目。トークイベントで実際に話している姿を見てからは、本を読みながら登場人物のセリフが声で聞こえてくるようで、ますます楽しい。
“人工授精”がモチーフとはなっているけれど、
それだけじゃなくて…。自分自身が親になることへの不安と期待、子どもの頃の記憶、感情の起伏が次々に喚起され胸が熱くなった。素晴らしかった。
(恩田のことは忘れたいけど、ボイジャーのことは忘れない!)
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これまでに読んだ川上未映子の作品の中では『すべて真夜中の恋人たち』が一番好きだった。実はこの作品が初読みで、そこから過去作を遡っていったのだが、あまり好きな作品はなかった。文体もテーマも合わなかった。そんな中に『乳と卵』があった。芥川賞受賞作でもあり、評価は高いがとてつもなく読みにくかった。本作はその続編にあたるが、前作がほぼまるごと取り込まれているため未読でも大丈夫。書き直されて読みやすい。生命の根源にも関わる重いテーマを、軽妙なタッチでぐいぐい読ませる。そして考えさせられる。一番好きな作品になった。
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読んでいる途中、何度も苦しくてページを閉じて深呼吸をした。
いろんなことがワーッ!と頭の中に、いや、心の中で動き回っていてもたってもいられなくなってまたページをめくる。
自分という人間が、どこから来たのか、誰から生まれたのか、自分自身は何でできているのか、生きている間、誰もが何度も考える問い。
答えなんて出ないし、出しても意味のない問い。
それでもヒトとしてのよりどころ。私は誰。私は誰と誰によって作られたの。
その根幹が揺らいだとき、どうやって気持ちを、心を、保てばいいのか。
第三者精子提供によって生まれた子どもたち。成長した彼らの心の揺らぎを理解することはできない。感じることもできない。
そのよるべなさは想像するしかない。
ずっと、小さい時誰かに向かって両手を広げたら、何の躊躇もなく抱き上げられ、そして温かい胸で安心していつまでもいられる。そういう経験をしていれば、大人になってもどんなことがあっても大丈夫、そんな風に思っていた。
確かにそういいう身近な誰かとの基本的信頼感、というのは人の心の安定というか芯の部分に大きな影響を与えはするのだろう。
けれど、そんな簡単なものではないのだ、人間は。
自分の中に流れる誰かの血。その意味。
セックスができないけれど自分の子どもが欲しいと願う夏子と、AIDで生まれた自分を受け止められず実の父親を捜す逢沢、夏子の祖母、母、姉、姪、逢沢の元恋人百合子、夏子の担当編集者仙川、様々な人がそれぞれの「生」を懸命に生きようとしている。そばにいる人を大切に思い、けれど、それをまっすぐに表現できず、その気持ちを持て余している。
何を求めているのか。何を求めて生きているのか。
いろなことが頭の中で混じり合っている。夏子の、逢沢の、巻子の緑子の、それぞれの人生を考え、理解しようとし、自分と同化しようとし、切り離そうとし、けれどどれも上手くいかずにぐるぐるしている。
生きていること、生まれてくること、生むこと、育つこと、育てること、どれもこれも大切なようでどうでもいいようで、大きいようで小さいようで。夏子の母や祖母のように、懸命にとにかく一生懸命に生きていくことにだけ懸命それでいいようにも思えるし、逢沢や百合子のように自分というものの存在を確かめ続けることも大切なような気もするし。
いつかその答えを知るのだろうか。
私自身、子どもも生んでいるし、身近な家族を亡くしてもいる。
「生と死」たったこれだけの言葉の中にある抱えきれないほどの感情を経験している。
私を形作っている母親と父親、そして私と夫によってこの世に生み出された子どもたち。
亡くした時、この世が半分暗闇になってしまったと思うほどの存在と、自分の命よりも大切だと言い切れる自分の中から出てきた存在と。そこにあるのはいったいなんなんだろう。
大きな大きな宿題を与えられたような気がする。時々立ち止まって考えるのだろう。混乱し悩み苦しむ。そんな時にきっと頭に浮かぶ。葡萄色の空の下にたくさん並ぶ観覧車。窓に並ぶ笑顔。あぁ、この風景があれば大丈夫だ、また明日から生き���いける。そんな気がする。
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197
わたしは会わんでええんか後悔せんのか
誰ともちがうわたしの子どもに
おまえは会わんで いっていいんか
会わんでこのまま
433
どうしてこんな暴力的なことを、みんな笑顔でつづけることができるんだろうって。生まれてきたいなんて一度も思ったこともない存在を、こんな途方もないことに、自分の思いだけで引きずりこむことができるのか、わたしはそれがわからないだけなんだよ
478
これは何回目の夏なんやろうな、とそんなことをぼんやり思った。そんなことは自分の年齢とおなじで考えるまでもないことなのに、なぜかそれとは違う数字が、正しい別の数字が世界のどこかにはあるような気がして、わたしはそんなことを考えながらぼんやり夏の白さを見つめていた。
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乳と卵の10年後の話とはちょっと読んだ辺りから
気づいて、改めて始めのページから読み直した。
夏物語と題名があるが、切なく暑く苦しくまた
温かい夏物語。
巻子夏子緑子を中心とした女性達の女性であるが故の
人生の選択又は人生の別れ道、性と生、そしていつか
はおとづれる死。夏子巻子姉妹が歩んだ極貧の生活
それさえも川上未映子が見せる風景はどこか懐かしく
そして物悲しくもあり、夏子の祖母コミばあ、夏子の母親
は子供達を目一杯愛し強く生きていた。
巻子も他の人間には豊胸、夏子もAID で子供を持とうとするちょっと他人からは痛い人かも知れないが、そこがこの物語の切なさとどこか完璧ではない人達の夏物語である。
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第1部だけで既に1冊読んだような感覚。
乳と卵のリライトということなので当たり前といえば当たり前か。
2部は、章のタイトルに村上春樹らしさを感じたからなのか川上未映子さんが好きなのを知っているからなのか、ハルキっぽい文章の香りを感じた。私は好きですが。
ちょうど、少し前に子どもを産んで育てることについて考えていたので、タイムリーな話題。『会いたい』か。
読み終えて、ぼうっとしてしまう。すごいな、これは。
『産んだ』からこそできるはなし。
女たち。
夏の間に。
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今の私には、まだしっくりこない物語だった。
でもきっといつか、ここに書かれていることを、ひとつひとつああ、そうだ、そうだと思いながら読む日が来る予感がした。
私が子どもを産みたいと切実に感じていないからかもしれない。
感動したのは、子どもに関する川上未映子の感覚の数々。
きっと、自分が本当に感じたことのある気持ちをそのまま書き付けているのだと思った。
頭ではなく、皮膚やココロで分かる類の表現で、なんとも胸に迫った。
特にくらを抱きしめて、めまいがするほど気持ちが良かったというところ。
そんなふうに思ったことがなくても、私はそれを知っていると思った。
その言葉でしか表現できない、私にこの感覚を呼び起こさせるのは、その言葉。
黄色のカバーがピッタリに感じられる。
夏子は、貧乏のどん底も経験してて決して絵に描いたような幸福を手に入れたわけでもなく、酔っ払って落ち込んでダメなメール書いて送って失恋して突っ走ってひどいこと言って自己嫌悪になって、変態にも出会う。
でもなんか、そのひとつひとつが黄色って感じ。
レモンイエロー。
最後の最後は、どうにでもなったらええんちゃうんみたいなテンションがあって、なんかそこが好きやったのかもな。
この本はとっておいて、またいつか読もうと思う。
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女が決めて、女が産む
人生には良いことも苦しいこともあるって言いながら、本当はみんな、幸せのほうが多いと思っているの。
たった死んだくらいのことで会えなくなるなるとか消えるとか、おかしなことだと思いませんか。
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生きることの原点は女性の決断にあることを実感させてくれる物語。読んで良かった。「乳と卵」未読でしたが楽しめました。
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川上未映子さんの文章は初期から好きで、ここ最近のは、んー、と思いながらも読んでいたけれど、久々に痺れる本だった。
何かのメディアで乳と卵の何かしらという事前情報を偶然仕入れてしまっていたが、ほぼほぼ忘れていて、新鮮に読めた。最初の章がおそらく文体は違えど同じ話なのかな。
乳と卵を読み直してみます。
初期の作品を好きなのだけど、多分いま乳と卵やイン歯ーはしんどそうな気もする。
そして川上さんの文体は確実に進化しているのだなと本作で思った。
この作品もしんどい人ばかりが出てくるが、癌で亡くなった編集者の人がしんどかったな。バーの洗面所で主人公に抱きついたのはなんだったんだろう。