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おもしろくて、どんどん読んでいるんだけど、貸出期間中に読み終わらず、
返却。また、予約を入れた。次回が楽しみ。
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第一部 2008年 夏
姉の巻子と娘の緑子がやってくる。東京駅に迎えに行ったら、ベンチにぐったりと座っている二人を直ぐに見つけた。緑子はずいぶんと背が高くなっていた。細くて脚がとても細い。それよりも姉の巻子はずいぶんと全体が縮んだようだった。記憶ではもっとふっくらとしていたはずだったのに。二人を連れてアパートに帰り、熱い部屋空気の中に入った。巻子が上京するのは豊胸手術をするので病院でカウンセリングを受けるということだった。一緒についてきた緑子は、最近母親としゃべらなくなっているという。私にも返事はノートに書いた文章で答える。二人に間に何があったのだろうか。姉妹、親子、女性性。二人の会話と娘のノートの文章で女性であることの生きずらさを語る。「乳と卵」に拡張が入った文章。
第二部 2016-2019年 夏
わたしは、小説を一冊出版した。その後小説を書いてはいるが、出版のあてはなく、その小説も煮詰まりかかっている。でも、物書きの一人にはなって生活をしている。最近不妊治療のブログを読むようになった。
これでええのか 人生は
書くのはうれしい ありがとう人生の
わたしの人生に起こった
素晴らしいできごと
でもわたしはこのままいくんか ひとりでよ
このままずっといくんかまじで
淋しい と書けばほんまで嘘 でもそうじゃない
わたしはこのままひとりでいい
いいけど わたしは会わんでええんか
わたしはほんまに
わたしは会わんでええんか後悔せんのか
誰ともちがうわたしの子どもに
おまえは会わんで いっていいんか
会わんで このまま
精子を提供してもらって妊娠する。そんなことが何度も頭によぎる。女性性、親子、シングル、そして作家をめぐる物語。
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「乳と卵」からの二作目
ふーん。初めから最後まで引き込まれて
ストンと川上未映子の世界に落ち、どっぷり夏子はどうする〜またまたハマった。
おもしろい、
夏物語の世界と言っても夏ではない、まあ夏か!
一部〜2008年の夏
二部〜2016年の夏から2019年の夏
夏目夏子の話
一部は乳と卵の時の
巻子、緑子、夏子
姉と姪、私
胸「乳」卵子の話、より鮮明により詳しくー
葡萄狩りの話には泣けて泣けてたまらなかった。
本文より
「葡萄狩り」
覚えている限り幼稚園で楽しみにしたことなんかいっこもないのに、なんでわたし、その葡萄がりだけすっごい楽しみにしててな、もう何日も前から楽しみににしてて、そわそわしてて、自分でシオリみたいな勝手に作ったりして、あれなんやったんやろなって思うくらい、ほんまに指折り数えるって感じで、楽しみにしてた葡萄狩りがあってん、
でもな行かれへんかってん。、
その遠足に行くには別にお金が必要で、それがなかったんやな、今おもたら数百円とかそんなんやと思うけどな。んで朝起きたらおかんが「今日は休みで」っていうねんな。、
なんでって聞きたかったけどお金ないのに決まってるから
うんわかった家おるわなというてもうたらもうあとから後から涙が出てきて自分でもびっくりするくらいに悲しくて、涙が止まらへん
これに巻子がしてくれたことが……
二部は
もうわたくしには手に負えません。レビューなんて誰が書けるのだろう〜
夏目夏子、40才前
こどもにあいたい、
独身の夏子、パートナーがいない、恋愛する気も、セックスする気もない、したくもない女性が子供を欲しいそのための手段は。
未婚の女性たちが直面している問題
結婚をせず、パートナーを持たず
妊娠出産は可能か、そのためにネット上に現れた
精子提供サイト。
精子バンク、AID
知らないことばかり、無知です。
凄まじいくらい色々考えた。
これほど妊娠、出産、子供を持つこと、産むこと
ここまで突き詰めて考えたことない。
普通に結婚、出産、育児、子育てを終えた身としては、何か申し訳ないこの感情も傲慢かも知れないが。
子供を持つ、持たない選択自由、
生、生まれること死も考えさせられた。
凄い作品だ。川上未映子恐るべし。、
p)543
時間さえあればあっという間に読んでしまう。
親の「子供に会いたい」という欲望、煩悩
相手のわからない「男親の」ー子どもの父親を知りたいという気持ちをものすごく考えた。
あえて子供の立場、傲慢と偏見で申せば
「勝手じゃない、親のエゴではないか。」
物心ついていや、もっと大きくなって自分の出自がわからないことを
母親はその苦しみを考えたことはあるのか?
自分の父親が誰だかわからないー
AIDで生まれた
逢沢が訪ねる
「背が高くて、一重まぶたで、長距離走が得意で
心当たりはありませんか?」
胸が締め付けられる。泣ける魂からの叫びだよね。
2019年英訳���れ「乳と卵」
コロナでなければアメリカでいろんなイベントがされるはずだったらしい。
とにかく目を背けてはいかない問題ではある。
筆力、テーマ、読ませる力
凄い人だわ、川上未映子。
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自分の中でこの話を噛み砕いて吸収するにはかなり時間がかかるのかなと言うのが率直な感想。
多分、自分の中で1番モヤッと最初に感じてしまったのが何故主人の夏子は突然結婚、セックスは出来ないけど子供が欲しいと思ったのか。
そこからもう自分の中では、こう言う人もいるよなと納得させて読み進めようとしたけれど結局最後まで納得出来なかったのが、あまり話に入っていけなかった原因な気がする。片親でお金がなくても幸せだという人も大勢いる事はわかっているけれど、子供の時片親で貧乏な事で苦労したのに何故同じ道を自分の子供にも味合わせるだろう未来が分かっているのに子供を産むのか。産まれてくる子供は親の傲慢から誰もが産まれると言う考えは、自分の中ではかなりの衝撃が走った。
傲慢から生まれた自分達が生きててよかったと思えると言うのは、凄い事なのでは?
と思う一方で生きてきた事を否定しないとい生きていけない人もいると言う世界の矛盾と厳しさを感じたり。
とにかく考えたり感じたりする事が壮大すぎて上手くまとめられないのが正直なところ。
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いい話なんだけど、本筋に影響しないような情景描写が多くてそれらを読み飛ばす技術を身につけてしまったようだ。後半はテーマが重すぎて前半の方が好みだった。
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夏物語
著作者:川上未映子
文藝春秋
大阪の下町で生まれ育ち東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子供に会いたい」と言う願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探すうち精子提供で生まれて、本当の父親を捜す彼と出会い心を寄せていく。この世界は生まれてくるのに値するのだろうか?
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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1月の多くの時間を費やして、少しずつ、少しずつ読んだ。
性と生と死。家族。作家になってからが面白い。
自分はもちろん、将来のパートナー(できるか分からないが)がいざ選択を迫られた時、どのように考えるか。その一つのヒントを与えられたような気がした。
最後の数ページは、男の自分でも息が詰まるなんとも言えない感情が湧いてきて、主人公に近い人であればなおさら感じるものがあるのだろうと思った。
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女性が読んで思うところがあると、妻から言われていたが、男が読んでも十分読み応えがあり、考えさせられる内容だった。
彼らの悩みは、日本だからなのかもしれないが、遊佐が言うように、科学の発展で、生殖が男女の問題を超越する時代が来る事は間違いないだろう。その時、男性主体の訳のわからんアホみたいな時代があったんだね、と言われる事を思うと、恥ずかしい。女性の負っているものに比べて男の小ささが際立つ。
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前半はひどくボーッとした気持ちで読んでいたけど、終盤になるにつれ、どんどん入り込んでいった。ただそれは夢中になるというより、次第に息苦しくなるような、でも逃げられないような感覚。
主人公の夏子が同世代であることも、大きな要因だと思う。子どもを生むなら、リミットはそう遠くないですよ。余裕ぶってられませんよ。そういう事実を突き付けられる感じ。
しかしまさかこんな話になるとは。
前半の夏子の書いたメモ。
=====
わたしは会わんでええんか後悔せんのか
誰ともちがうわたしの子どもに
おまえは会わんで いっていいんか
会わんで このまま
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これがこの小説のすべてを表していたとは。
そしてラスト、夏子がこの選択をするとは。
善さんの話を聞いた後で、心変わりすると思ったのに。
善さんの
=====
自分の子どもがぜったいに苦しまずにすむ唯一の方法っていうのは、その子を存在させないことなんじゃないの。生まれないでいさせてあげることだったんじゃないの。
=====
生まれてきたことを肯定したら、わたしはもう一日も、生きてはいけないから
=====
この2つの台詞が、とつてもなく重い。この人はこんな思いを抱えて、どうやってこの先も生きていくのか。
夏子の選択を肯定するか、否定するか、大きく読者の反応が分かれそう。ちなみに今の私は否定派だ。
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ずっと気になってた本!川上未映子さん。大好きな作家さんです。
1部は乳と卵のやき直し。前作もその前に読んだので改めて再読みたいになったけど、より詳しく書かれてて面白かった。
2部では緑子ちゃんが無事に成長してるのを喜びつつ、笑
夏子さんの話。性行為ができない、でも子供は欲しい。
この小説を読んで、そういえば、性行為がなくても妊娠はできるんだよなあ。って思わされた。
自分が現在妊娠中っていうのもあって、善百合子の言葉にはグサッときました。
葛藤しながらも、最後は夏子さんは愛する人の子供を産むという結末になって良かった。
この小説を読んでると、男の人の存在感!笑 まあわかるけれど、女は強いなあ〜
巻子さんも幸せそうで、良かった!
また少したってから、再読したいと思います。
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女に産まれてしまったからには~
妊娠出産、避けては通れないが、これほどまでに真ん真ん中を妊娠出産をすえた小説に出会えた事、幸い。しかもsex無しの。
スゴいよ。もう一度生き直せたらこう生きたい。と私は肯定できます。
題名からして、チャラっとした恋愛小説かと思ってましたがこれはいい。
後半の方がいい。前半はあ~子どもね…って割と遠くから見おろせたけど。
女として、母として。
いい思いも辛い哀しい重いもいろいろあるけれど、大人になってヨカッタっていうか~大人になんかずっとなりたくなかったんだよという泣きたい思いが交差して今の自分をみつめて泣きたくなる。
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本屋大賞候補作ということで購入。
500ページ以上というかなりのボリュームがあった作品でした。女たちの赤裸々な考えが多く登場するので、同性の方が、より共感や気持ちがわかるかもしれません。
終始、読んでいて思ったことは、「子供を産むとは」という言葉が頭にこびりついていました。あらゆる経歴を読んでいると、普通に育てられたということにありがたみを忘れていけないなと思いました。
登場人物が出るたびに新たな考え方が出てきて、読み手側としては、様々な考えがはびこるので、何が正解なのかわからなくさせてくれます。批判したい部分もあったり、そういう考えもあったりと一筋縄ではいかないことばかりでした。
とにかく作者の川上さんは、日々あらゆるところを観察しているんだなと思いました。言葉の表現のレパートリーが豊富で、なおかつ独特なので、新鮮味がありました。
また、1ページにつき、段落がそんなになく、腹の底から思いのたけをこれでもかと思うくらい、びっしりと書かれています。句読点はありますが、一息で一気に最後まで言っていそうな雰囲気を醸し出していました。
産む側としては、様々な考え方があると思いますが、最終的には子供に影響を及ぼします。子供に罪はありません。それだけは今一度、認識していただきたいなと思いました。
結末としては、明るく捉えられますが、果たして、その先はどうなるのか。「これから」が大事であると思いました。
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冒頭は『乳と卵』の刷り直し。あれ?読んだことがあるような?と思いながらも読み進めると、所々書き直されていたり、エピソードが挿入されたり。アメリッカンチェリーが液晶テレビに置き換わっているのにはニヤッとしてしまった。(詳しくは同著者『きみは赤ちゃん』を参照。)
作中では子供を産むこと、育てることに関して本当に色々な考え方の登場人物がそれぞれに想いを語る。
心に残ったのはやはり自分に近い考え方で、まさにそう!と膝を打つような表現ばかり。遊佐然り、善百合子然り。
つい先日、『現代思想』反出生主義についての巻を読んだところだったので、善百合子の論調はまさにこれだな、と思っていたら案の定参考文献に「反出生主義」の文字が。納得。
もう何度か読むと、自分とは違う考え方もフラットに見て理解ができるようになる気がする。
早く文庫化してほしい…
改めてだが、川上さんは妊娠出産・生命をうみだすということを真剣に考えていらっしゃるのだなと、崇敬の念を抱いた。
本筋とは全く無関係だが、作中で東日本大震災に触れられていた箇所について。
私自身この震災を東京で経験しており、連日の報道によって被害の有様を目にしていたので、作中に出てきた描写に関しても、ああ、ありそう…とリアルにイメージできた。
発災当時物心もついておらず、自身にはおそらく何の被害もなかった阪神大震災に関しては、他の作品でそれが人生の転機として語られてもただの舞台装置としてしか認識していなかった。
人生経験によって小説というものでも受け取り方が変わるんだなあとしみじみ感じられた部分だった。備忘用。
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男性が読むと男の存在って…と考えさせられるのでは?と思ってしまった。
色んな立場の人をその人にバックグラウンドとともに丁寧に描いては居ると思う。
遊佐さんのセリフに妙に納得してしまう自分というのは、家庭における男性の役割を見出し辛いと考えているのかとも感じる。
女性の産む産まないの選択が主テーマではあるとは思うが、そもそも生まれること、生きることって何なのかも考えさせられる、複合的な要素が絡み合った作品。
彼女の文章は、話はどこか非現実でもその情景がハッキリと浮かぶリアリティがある不思議。
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命の重たさが読み終わってからもガンガンのしかかってくる。。やっぱり1番は善百合子の主張。もう誰も起こさない方が良い。何も反論できなくて苦しい。そうだ、私が子供を産むことを選択したのは、人生が幸せなものだと信じて止まなかったからに他ならない。たまたまそっち側にいただけなんだ。。そして、その歯車は誰が握っているの?と、不安になった。正しい選択なんて誰も見極めることはできないんだろう。善にしろ紺野さんにしろ、内側に子供のままの部分が存在しているひとたちを、何もできなくとも抱きしめたくなった。