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紙の本
自伝という体裁を借りた日本のイラストレーション史
2020/06/06 15:56
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
南伸坊と言えば、1980年代にイラストライターと名乗ってあちこちの雑誌や書籍などで文章とイラストを手がけていた頃によく読んだものだった。その前にどのような履歴の人かも知らず、その後顔面模写というか冗談のような冗談でないようなことまで始めたりするようになってからは何だか見かけなくなったようにも思っていた。
その南伸坊氏の自伝エッセイを見かけたら、なんだか懐かしくなって手にとってしまった。しかも、タイトルが『私のイラストレーション史』となっていて、イラストレーションについて語っているらしいのも気になるところだった。
まず何と言っても自伝なので、著者の子どもの頃の話から始まる。でも、著者は子どもの頃から「デザイナー」になりたかったと言い、今で言うイラストレーターに興味・あこがれをもっていたということらしく、とても普通の自伝ではない。そうした興味の対象であったということも含めて、やはりこの本は「イラストレーション史」と言っていいのかもしれない。
そして、「デザイナー」にあこがれていた少年が好きだった絵やマンガ、ポスター等々の話は、その時代のイラストやデザインの歴史の一端でもあり、どれも面白いものだった。
そして、そして、ついにイラストレーションに出逢ってからは、今では亡くなられた方も含めて日本のイラストレーション・グラフィックデザインを語る上で欠かすことのできない人たちの作品や、著者が知り得た人となりが縦横無尽に語られて、これはもう十分に日本のイラストレーション史と言っていい内容だった。しかも、そこに著者が模写したそれぞれの作品が載せられているのだから、それらを眺めているだけでも十分楽しめた。
先日、和田誠が亡くなった時のテレビでの追悼番組に著者が出演されていた。和田誠のファンであったといった紹介がされていたが、正直どこでどう和田誠と南伸坊が繋がっていくのかその時にはわからなかった。だが、本書を読んで著者がいかに和田誠に影響を受け、あこがれ、教えを請うような関係だったのだと知ることもできたのもなんだか良かった。
それにしても、南伸坊氏も「自伝」を手がけるような年齢になったんだなあ。
まあ、自分の年齢を考えれば、それも当然のことと言えばそうなんだけれど
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