紙の本
自分がどこに位置づいているかが分かる
2019/10/04 23:39
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投稿者:かにみそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
客観的に自分がどういうポジションの人間なのか、また世界の上級国民から貧困層の現状まで幅広い人間の立ち位置が分かる一冊。書籍においてよく見かける内容であるが、一夫多妻の章は実に現実味があり、興味深かった。
紙の本
上下に引き裂かれる国民とその背景を分析した1冊
2020/01/05 08:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルがセンセーションな1冊であるが、日本を含む先進国で起こりつつある、文字通り、上と下に引き裂かれる人々の状況を著者は冷静に分析していく。大きく分けると、平成と令和で起こったことと起きること、モテ/非モテ、世界の状況の3つで構成される。平成で起こったことは日本経済の生産性の低下による相対的な規模の減少、ホワイトカラー、大卒、男性の雇用の保護、令和で起こることはこれらの層が引退することに伴う雇用の拡大と年金を支えるための社会保険負担の増加である。この節で面白いのは、最低賃金の引き上げを求めるフランスで起きていることとして、新規雇用の抑制と若年層の失業率の高止まりである。これを若者が求めるという逆説的な状況下が黄色いベスト運動の背景にある。モテの議論は著者の今までの焼き直しでチンパンジーの活動からオスとメスの戦略が違う点から一夫多妻制がそれぞれの戦略に適い、恋愛自由の名のもと現在の社会もそれを実現していると説明する。
紙の本
お先真っ暗か
2019/12/01 20:25
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
だからどうすればいいかはわからないが、こういう問題に対する意識を持つだけでもかなり違うと思わせてくれる
・将来は下級国民が溢れるより貧乏くさい社会が待っている
・現代日本社会が大卒と非大卒の学歴によって分断されている
・貧じんえ、下人なのは学ばなかったものの自己責任
・教育の本質は上級、下級に社会を分断する格差拡大装置
・男にとって持てる者(高い階級に達する)になることと、女性にモテることが一致する
・男は若いうちは外敵から協力して身を守るため、男同士の友情が成立するが、格差ができ階層がはっきりしてくると友情は失われる
・男は歳をとると友達がいなくなり、女はいくつになっても新しい友達関係を作ることができる
・社会から排除された男が復讐をすると神と崇められ、そのような男を排除すると英雄とみなされる
・テクノロジーが発展していくと、誰も理解できない領域となり、そうすると技術と魔術の区別はつかなくなり、知識の価値がなくなる
・知識人はアスリートと同じ、才能を見出し、切磋琢磨が必要
・フォロワーを集め、評判資本をマネタイズする生き方がトレンドの一つ
電子書籍
冷酷な自然法則
2019/11/25 22:18
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投稿者:KazT - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代社会ではエリートやセレブは努力して実現する目標であると著者は語ります。
上流階級や下層階級は貴族や平民など身分制を表していたが、階級は成り上がったりすることで移動できるものでした。ところがネット上で使われている上級国民、下級国民は個人の努力が何の役にもたたず冷酷な自然法則のようなものとして使われている。
一度、下級国民に落ちてしまえば下級国民として老い死んでいくしかなく、幸福な人生を手に入れられるのは上級国民だけ。これが現代社会の本音だと。
著者は、このような現象が起きる理由は世界が知識社会化、リベラル化、グローバル化して世界が総体として豊かになったために、マジョリティの中で上級と下級の分断が起こったと解説します。
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リベラル化してPCが幅を利かせる社会。
一方で豊かな者と、そうではない者の分断が拡大する時代。
文明の方向は「自己責任」に向いている。
好むと好まざる関係なくて、人種や国籍や宗教や性別や性癖(LGBT)や職業、恋愛、婚姻、体形、容姿などで差別をしてはいけない、というのは豊かな先進国での常識になっている。
その根底には、以上で挙げた項目に関して選べる、つまり自己決定の自由(人種は?ですが、性別は変えてる人もいる)。
オランダに続いてスペインも安楽死が認められるようになった。それも寿命の自己決定の実現といえる。
自己決定だから、そこには選んだ責任が自分に掛かってくるのがセットになる。
自己決定があって自己責任がある、ということだと思う。それはそれとして、自己決定できない(能力的に、貧しさゆえに、無知ゆえに)人達の行方には悲惨な境遇が待ち受けている。そんな世界。
作品紹介・あらすじ-------------------
やっぱり本当だった。
いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。これが現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。(まえがきより)
バブル崩壊後の平成の労働市場が生み落とした多くの「下級国民」たち。彼らを待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占するのは少数の「上級国民」たちだ。
「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。
「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかで、世界が総体としてはゆたかになり、ひとびとが全体としては幸福になるのとひきかえに、先進国のマジョリティは「上級国民/下級国民」へと分断されていく──。
ベストセラー『言ってはいけない』シリーズも話題の人気作家・橘玲氏が、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出す。
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シンギュラリティを目の当たりにできるだろう世界に生まれたのは幸運かも。
自由、多様性の尊重はそのまま格差社会を受け入れることとほぼ同値なのでは。
スポーツはルールがあるから成立している。リベラルの行き着く先は、大多数の人にはディストピアかもなー。
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ベーシックインカム全否定
負の所得税もほぼ同じかな
この論を覆すのは無理だなー
そしてナッジか
これ悪用されたらたまらないし
影響力の武器
行動経済学
要熟読だな
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第1章のみ、参考になりました。これからの令和の時代は、団塊の世代の社会保障を守るためだけにあると言えることです。
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著者にはいつも様々な気づきを与えてくれます。
普通に生きてるだけでは気づかないことが多すぎます。
「日本のサラリーマンは世界で一番仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界で一番長時間労働しており、それにもかかわらず世界で一番労働生産性が低い」
これはまあ巷間でよく言われることですよね。
僕も周りでよく聞きます。
「働き方改革は団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった」
つまり団塊の世代の既得権益に手をつけられなかったんですよね。
これからは対症療法的な法改正を小刻みにやっていくことになるんでしょうか。
『教育の本質は「上級/下級」に社会を分断する「格差拡大装置」であることを福沢諭吉は正しく理解していた』
とあります。
福沢諭吉の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の一節は続きがあって学問をするかしないかが貧富の差を分けるとあります。
今の教育は大学至上主義になってるのでこのレールに乗れない人はよほど逆転の目が出ないと成功に向かわないということです。
僕は友達に大学に行かなくても社長や店長として大成してる人を知ってますし高卒の素晴らしい上司に囲まれて仕事をしてます。
ただそれはマイノリティなんやろなあと思います。
グローバル化によって数億人が貧困から脱出したことで、世界全体における不平等は急速に縮小している。
しかし世界が「全体として」ゆたかになった代償として先進国の中間層が崩壊した。
これがまさに今の日本の生きづらさの正体なんかなと思います。
本書は読後にすごく考えさせられます。
何が正しいのか自分で納得して選択していかないと後悔することになるんやろなと思います。
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日本と世界が抱える現代社会の問題点が浮き彫りになる一冊。知識社会の現代の中で人々は明確にその知能レベルによって分断されてしまう。そしてその知能レベルでの分断が経済的な分断も生み出すことになり、さらにそれがモテ非モテといった問題にまでつながってしまう。このように現代社会において日本に限らず世界中で同様の問題が発生しており、これを明確に解決する方法が無いのが現状である。このままではいつまで経ってもインセルに代表されるような現代社会への報復を思想する人間が現れ続けてしまうだろう。
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何でも自己責任、ではなく低所得者層の底上げを実施していかないと分断は拡大してしまうんだろうな。
あとベーシックインカムへの反論がすごい端的で良かった。
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「言ってはいけない」シリーズ続き。知識社会、自由や自分らしさを求める社会への流れは止めようがなさそう。それは不可避的に分断(経済格差だけではない)を引き起こす。一人一人がいろんな意味で賢くなるしかないのかもしれないな。幸福になるベースはそろってくるので。
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上級国民/下級国民。橘玲先生の著書。日本社会が完全に上級国民/下級国民に分断されているとは思わないけれど、世界全体として上級国民/下級国民のような方向への分断が進んでいるのだと思う。上級国民は大きな事故や失敗をしなければ上級国民のまま、上級国民の子供は上級国民になる。下級国民はよほどのことがなければ下級国民のままで、下級国民の子供は下級国民になる。人間社会は今も昔も階級社会なのかも。
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この著者の方の本はもうかなり前から追いかけています、先週電車の広告でも見ました、10万部を突破したようですね。私は本屋さんに平積みされていて見つけましたが。
彼は、普通の人であれば「タブー」とされて言いにくいことを、ズバリと言ってくれる、私の知る中では数少ない著者の一人です。言っている内容は事実のデータに基づいているので、納得するばかりです。事実を踏まえたうえで、自分ならどう行動しますか、と本を読んでいて問いかけられていると感じています。
日本は私が社会人になった平成元年以前は、殆どの人が中流意識を持つ人で、同じ考え方・同じ環境にいたと思いますが、橘氏が指摘するように、平成の世において、格差が広がって、今では大きな二つのグループになりつつあるようです。
このグループがある事件(革命)によって、明治維新で起きたように、大逆転する可能性もあり、歴史も学びつつ、現在の様々な変化に目を向けながら、今後を過ごしていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・全体としてみれば、日本の労働市場における正社員の割合は4半世紀でほとんど変わっていない、詳細にみると、新卒入社から3年で大卒男性の3割が離職するようになった。しかし、それ以降さらに3割が離職するのに10年かかっている、つまり10年後残存率は30代で7割から8割に達し、それ以降は安定する。つまり、30代になると正社員はめったに辞めない(p23、24)
・就業者全体でみれば正社員の比率はほぼ一定だが、非正規の割合は1982年の4%から2007年の12%へ増えている、この25年で何が起きたかだが、自営業者が減ったことで説明できる、自営業者比率は、1981年の27.5%から、2015年には11.1%であり、他の先進国並みとなった(p24)通説とは異なって、大手金融機関が次々と破綻し「リストラ」が起きてきた時期にも、日本企業の長期雇用慣行は温存された(p25)若い女性の非正規比率はなぜ、爆発的に増えたのか、それは「無業者」が1982年の43%から、2007年の26%へと大幅に減ったから(p27)しかし20代の正社員比率は、1982年に75%、1992年77%から急激に下がり、2007年には62%となり、若い男性は明らかにバブル崩壊で正社員が減って、非正規が増えている(p28)
・平成の日本の労働市場は、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで、中高年(団塊の世代)の雇用が守られた、職を失う中高年は低学歴層に多い(p30、51)
・以上のような報道がなされなかった理由は、誰もそれには興味がないから(p51)
・2000年には、労働時間調整法が施行され、従業員から労働時間の調整について要請があれば、使用者は原則としてこれを受け入れなければならなくなった。子育て、親の介護などの人生のライフスタイルによって勤務時間を主体的に決めれるようになった(p59)
・フランスでは、黄色ベストのデモにより、その対応策として、1)2020年までに公務員を12万人削減するという公約を取り下げて、中間所得層を対象とする所得税減税、2)最低賃金をさらに引き上げる、約束をせざるを得なくなった(p61)
・マスコミも含め日本の企業、官庁、労働組合を支配しているのは「日本人、男性、中高年、有名大学卒、正社員」という属性を持つ「おっさん」で、彼らが日本社会の正規メンバー、その生活を守るためには、「外国人、女性、若者、非大卒、非正規」のようなマイノリティの権利はどうなってもいい(p67)
・2017年9月に、日本の働き方を大きく変える可能性のある、画期的な判決が東京地裁で出された。日本郵便で配達などを担当する契約社員3名が、正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず手当、休暇に格差があるのは違法として勝訴した。これ以降、裁判所は次々と同様の判決を出すようになった。2018年9月には、就活ルールを廃止する発言があった。こうした動きは、団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった(p71)
・持ち家、年金受給額20万円、金融資産2000万円を超える平均的な高齢世帯は、全体の3割、この高い基準が平均以下とされた7割の不安を煽った。報告書では、現役世代が同じような平均的家庭を望むならば、2000万円を目途に資産形成したほうがいい、という至極まっとうな提言をしている(p72)
・平成が「団塊の世代の雇用(正社員既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守るための20年になる以外にはない(p73)
・現代日本社会において、下流の大半は、高卒・高卒中退の「軽学歴」層である。教育の本質は、上級・下級に社会を分断する、格差拡大装置であることを、福沢諭吉は正しく理解していた。学問に勤めれば成功できる、ということは、逆に言えば、貧人・下人なのは学ばなかった者の自己責任であるということ(p85,106)
・男女の数がほぼ同数なのに、男の未婚率のみが高い理由として、一部の男が複数の女性と結婚している。一部の男性は未婚の若い女性と再婚し、離婚した女性は再婚せずに母子家庭のまま暮らすと考えれば、男女の未婚率の違いが説明できる。これは欧米、日本のような先進国で共通して起きている現象である(p129)
・女性の未婚率が年収500万円あたりを境に横ばいに転じる、これは夫が子育てに協力し、妻も正社員としてフルタイムで働く世帯が増えていることを示す(p136)
・一夫一妻制は、非モテの男に有利、一夫多妻はモテの男とすべての女性に有利な制度である(p143)
・1960年代になると、前期近代の価値観(生き方)は、過去の歴史と見なされるようになり、古代や中世と区別がつかなくなる。好きな職業を選び、好きな相手と結婚し、自由に生きることが当たり前となった。これは巨大な変化である、18世紀半ばの産業革命においてゆたかさの相転移が起きたとすれば、20世紀半ばに価値観の相転移が起きた(p153)
・グローバル化によって世界が全体として豊かになった代償として、先進国の中間層が崩壊し、これが私達が体験していること(p195)
・アメリカ社会の構図、サイバーリバタリアン・リベラル(白人)・黒人保守派(黒人エリート)・マイノリティ・プアホワイトがあり、それぞれが対立・連帯をしている(p203)
2019年9月15日作成
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2017新書大賞「言ってはいけない-残酷すぎる真実」。橘玲さん相変わらずのタイトルお上手で売上好調な新書。「上級国民下級国民」内容は同路線で新しさはありませんでした。「知織化」「リベラル化」「グローバル化」による中流の下流化は欧米でも起こっており社会の分断化はますますこれからも進行するだろう。でどうすればいいの?