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十二国記新作は全四巻。
「ということは、第一巻は現状の説明とか、これからの準備の巻に当たるんだろうな」と、途中までは思っていたのですが……
いや、中盤からこんな展開になるとは思わなかった……。割とマジであの場面は、今まで十二国記を読んできた中で、一番驚いたかもしれない。
王、そして麒麟が行方不明という異常事態の中、阿選が王となり6年。圧政の中で完全に動きが止まっていた戴ですが、泰麒たちの思いもよらぬ行動は、確実に王朝を揺さぶり、大きな波紋を広げたことが分かります。
すでに予想を裏切られただけに、展開はまったく読めない……。これは楽しみだ。
そして、暴動の鎮圧のさなか行方不明になった驍宗ですが、彼の失踪直前の様子も徐々に明らかになっていきます。
怪しげできな臭い動きがあったことは分かってくるのですが、まだまだ詳しいところは藪の中。この当たりの証言の出し方も巧いなあ。ミステリとしても通用しそう。
戴国の細かい設定もしっかりしてます。今更十二国記で「世界観の作り込みが不十分」なんて言われることはあり得ないとは思いますが、それにしても本当に良く練られてるなあ。
RPGでも裏設定が気になる自分みたいな人間は、ファンタジーの細かい設定、特に市井の人たちの生活や、組織、仕事がしっかり描かれているだけで、うれしくなってしまうのです(笑)
小野不由美さんの筆は、時に厳しく登場人物たちを描きます。今回それが表われたと思うのは、民たちの苦しみと困窮の描写。冒頭の母子の描写もそうなのですが、中盤に少しだけ挟まれる、名も無き民たちの絶望が読んでいて辛い……。
小説の中の話とはいえ、彼らの苦しみが少しでも早く終わるよう祈ってしまいます。
新刊が出るということで、この『白銀の墟 玄の月』を読む前に前作の『黄昏の岸 暁の天』を再読しました。
そのラストを読み終えたとき、改めてこの結末から18年間、続編を待ち続けたファンの皆様に、頭が下がる思いになりました。
もちろん自分もうれしかったのですが、新潮文庫版から入った自分と、講談社時代から待ち続けたファンの方とでは、きっと待ち遠しさの度合いは数十倍、数百倍は違うと思います。そんなファンの皆様のお祭り騒ぎに、後続の自分も参加させてもらってうれしい限りです。
わざわざ自分が言うことではないですが、18年のブランクは今のところまったく感じさせません! そしてここまで読んで感じないということは、きっと結末までこのまま突っ走ってくれるはずです! それがどのような結末であれ……
目下の問題は二巻をいつ読むか、ということ。来月の三巻、四巻発売直前くらいまで待つか、このままのテンションで読むか。悩みどころです……
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待ってましたぁぁ!
久々のこの世界に(漢字表記のぎっしり加減に)、潜るまで少〜しだけ時間がかかったけれど、あとはもう止まらない!
詳しい感想は4巻でまとめて。
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謎だらけのまま終わった「黄昏の岸 暁の天」でしたが、ようやく、ようやく続きが読める。ただもうそれだけで幸せ。変な話、この続きを待ちに待ちながら、読めずに世を去った人も少なからず居たはず。その人たちの無念を思うと、この本を手にできたことを本当にありがたく思います。
その内容についてはまだまだこれから、というところ。一番気になる驍宗の行方については、一瞬だけ驍宗らしい人の描写が出てきますが、そう断言できるほどの情報がなく。せめて髪と目の色を教えてくれよ、と思いましたが、それを分かったらほぼ確定なので(笑)。全四巻の予定らしいので、これについては小出しにして引き延ばされるんだろうなぁ……
後半は白圭宮に乗り込む泰麒と、驍宗の捜索を続ける李斎とに分かれ、話が進みます。隻腕ながらもそれなりの戦闘力を持つ李斎の方はさほど不安が無いのですが、麒麟としての力を失った泰麒が敵の中枢に乗り込むというのは大いに不安。項梁がいるとはいえ、危険が大きすぎて心配でしかないです。
ただ、驍宗の行方と同じくらい阿選の意図も気になるところ。かつては驍宗と双璧の将軍と言われた彼が、ただ権力欲しさに謀反を起こしたとは思えないし、お話としても単純すぎるので、何か驚きの真相がある……と思いたいです。なので、相当の覚悟を決めて白圭宮内で行動する泰麒が、きっと阿選の意図を究明してくれると期待して、第二巻を読む予定です。
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18年ぶりの新刊ありがとうございます!
生きてて良かった!!!
これから2巻です……早く戴に平和が訪れてほしい……
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泰麒帰還。泰麒は戴の希望。皆の泰麒が今まで何をしていたのかと思う気持ちはわかる。知っているだけにつらい。阿選は何をどうしたかったのか、まだ見えてこない。伏線のような歌。驍宗様はどちらにいらっしゃるのか…
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魔性の子を読み返し、拝読。
魔性の子と地続きで読んだせいで、しょっぱなから泰麒に涙が…
喪に服しているかのような、という表現がグッと胸に迫る。蓬莱で経験した想いを持って、いざ、泰に帰還した泰麒。心して私も、ゆきます
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ファンタジーからホラーに変わり、シリーズを通じての通奏低音であった「人間的成長」というテーマも消えた。
------以下、軽いネタバレあり------
主人公と目された泰麒、および阿選の心情や思考は一切語られない。読者がみずからを重ねてゆく主人公は戴の一般の人々だ。
群像劇の形をとり、暗澹たる戴の惨状がこれでもかと描かれる。想いは報われない。命は救われない。誰もが他人を犠牲に保身に走る、非常に現実的な絶望の淵。
そして大いなる謎、絶対君主たる阿選の無為。何かを為そうとして "魂魄を抜かれ"傀儡にされた不気味な諸侯、官僚、兵士たちの存在。それによる指揮系統の混乱と行政の機能停止。
明確な敵はおらず、明確な味方もいない。阻むべき陰謀もなく、支えるべき義勇もない。何もできぬまま着実に戴は沈んでゆく。
頼みの泰麒にすら、得体の知れない不信感がつのる終わり方。1-2巻は、煉獄編とさえいえる。
>疑問: この"病"は、柳を蝕むモノと同じか?北国同士、何が起きているのか。
>推測1:耶利のあるじは、瑯燦か?
>推測2: 老安の武将は、驍宗が失踪前夜に借りにきた霜元麾下の隊長ではないか。驍宗に変装して入れ替わった、とか?(あるいは歌つながりで静芝の上司の証博?)
>推測3: 一週間に一度しか食べれない、川の向こうの人。驍宗か?
>推測4: いっそ黒幕は驍宗で阿選は従ってるだけだったり。
泰麒も何を考えているか分からんし、繰り返し出てくる歌は、あの鳩はと、謎は深まるばかり。やあ次回が楽しみです。
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泰麒の初登場シーンでは、ついに戴に麒麟が戻ってくださった!と、戴に住む人々の気持ちを思って、感極まって涙が…。
それでもやっぱりすんなりとは進まず、これは執筆に時間がかかった訳だ、と感じるくらい丁寧かつ長くて前進してる感じがなくて心配になります。
さすがの十二国記でした。軽かったりエンタメ色の強いファンタジーとは全然違う。
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奇蹟を持たない麒麟と隻腕の将軍。戴へ帰還!
そうか。18年ぶりの長編か。
とても長かった。小野主上の体調を心配しつつ、続きを心待にしていたが、私の18年以上に、戴の民のこの6年は長かったことだろう。
6年前、戴で一体何が起こったのか。今、戴はどうなっているのか。誰もが気になっていたそのことを泰麒と李斎と共に探っていく序章。
泰麒の成長や李斎の献身はもちろん、戴の民の誰もの願いや想いに心打たれる。どうか、と誰にでもなく祈りながら、あっという間に読み終わってしまった。
第一巻でこの引力。さすがです。
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作品内では六年の月日が経ちましたが、私は18年待ちました。
王と麒麟が姿を消したところで続く…からの18年。
折々に短篇が出ていたとは言え。いや~、長かった。
実は私は戴国の話はあまり好きではありません。
「魔性の子」が怖かったし、泰麒がうじうじしてるし。
だけどさすがにあの終わり方は続きが気になるでしょう?
せいぜい2年も待てば新作が出ると思いきや、出ない。
作者の体調不良と言われて待ち続けるも、ほかのシリーズの新作が出るのに、これは出ない。
蓬莱(私たちが住む世界)に飛ばされた泰麒が、戴国に戻ってきた。
やることと言えば、まず行方不明の泰王を探すこと。
この巻はそれに尽きる。
王も麒麟も不在で、荒れ放題の国の姿がこれでもかと描写される。
王位を簒奪した阿選(あせん)は王の信頼も厚く、なぜ彼が王を裏切ることになったのか、その謎はまだ残る。
そして王を称しているはずの阿選の影が薄いことも気になる。
泰王のもと、新しい国造りに腕をふるおうと思えば存分にふるえた立場で、敢えて王を排除してまで阿選がやりたかったことは何か。
命の危険も顧みず敢えて阿選の元に向かう泰麒と、泰王を探すために別行動をとる李斎。
謎は一向に解き明かされないけれど、物語は動き出したばかり。
続きが気になりぐいぐい読む。
一つ気になるのは泰麒のもつ雰囲気。
ちょっと気弱でうじうじしているけれど基本的には無垢な子どもだった泰麒が、六年の間にずいぶんと変わってしまった。
必要とあれば冷ややかな態度を取れるし、居丈高にもなれる。
もういつまでも子どもではないということなのだろうけれど、蓬莱での経験(魔性の子事件)がやはり泰麒の性格に影響を与えたのではないかと、少し心配になる。
国が荒れたら麒麟は病気になるはず。
麒麟としての属性をすべて失ってしまった今の泰麒が全くの健やかであるとは思えないし、いろいろ不安はあるけれど、最終的には戴国の民が幸せになれるはず。
そう信じて次巻へ進む。
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非情に凛々しい泰麒が表紙。
李斎と泰麒が驍宗を探す旅にでる。ついに舞台は戴国。
協力者も得られ、序盤は順調に進んでいるような様子。
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戴国へ戻った泰麒と李斎(^^)まだまだ分からない事だらけだけれども、驍宗と泰麒が行方不明になってから、大変だったという事は分かる(T-T)
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18年ぶりの書き下ろし新作。
お帰りをお待ち申し上げておりました……(涙)
戴の国民が「良く戻られました」と言って感動するのと一緒に私も泣いた。
お待ち申し上げておりました……18年……
詳細な感想は下巻に書きます。
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「絶望して取りかかっても良いことなど何もない。まず最初に必要なのは、希望を失わないことだ。」
3行くらい読んで、久しぶりの続編なのに関連する巻を読み直すことを怠った自分を恨んだけど、各所で出てくる身に覚えのあるシーンが記憶を呼び戻してくれて、お話を書くのが本当に上手だなあと。
かつて小さな体に緊張を目一杯溜めて泰王驍宗の隣に立っていたことや、自分の騎獣を前に興味津々にうきうきしていた泰麒の様子をありありと思い出したし、その後の悲劇と、そのために景王陽子が奔走した日々や延王の助力、そして泰麒が「載国に帰らねばならない」と言った日。今までの、すべてがここに繋がっているのだなと、しみじみと、深々と感じる。
十二国記の一番好きなところは、どんなに辛いことがあっても折れない人の心に触れられるところだけど、全4巻のうちの第1巻で既にそれをありありと感じられてたまりません。
絶対悪だと思っていたところも何か不思議だし、どこもかしこもうまくいっていない感じがして、戦うべきは、倒すべきは、黒幕は誰なのか、3巻4巻まで1か月待たねばならないと思うと少し気が重い。それまで私は、この苦渋を背負えるだろうか…。(まだ1巻だけど。)
それでもこの1か月、ひたすらに耐えようと思う。1か月後に、載国の厳しく凍てついた冬が終わり、優しく暖かい春が訪れると信じて。
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なんと18年ぶりの続き。
十二国記というからには、12の国があり、そのうち、北東に位置する戴という国の物語。続きとは言うものの、前作「黄昏の岸 暁の天」は、1部の主人公・景王が2部の主人公・泰麒を救い出す話でした。
そして、舞台は戴国へ。
戴国は、戴王・驍宗が阿選の謀反によって、行方不明になっており、元将軍の李斎と泰麒による驍宗の捜索が始まった。戴に厳しい冬が来ようとしていた。
そんな焦りの中、李斎と泰麒は別々の行動をとる。
泰麒は真意はわからぬまま、阿選を新王に指名する。
2巻へ続きます、